しさ治徳です

地域住民の生活を守るために、その要求をどうしたら解決できるか、住民の皆さんといっしょに考えます

18の春を泣かすな! 奨学金制度の充実は急務

2015-01-12 09:58:49 | Weblog
 生まれ育った環境で子どもの将来が左右されないことをめざす「子どもの貧困対策法」が施行されて今月なかばで1年になります。子どもの約6人に一人が貧困状態にある現実の打開が急務なのに、それに見合った対策づくりは大きく遅れています。それどころか、安倍政権は格差と貧困を拡大させてきた経済政策「アベノミクス」をさらに加速させようとしています。子どもが希望が持てる社会へ、政治の姿勢を大きく転換することが必要です。

 大学生の二人に一人は奨学金を借りて学んでいるという報道に、唐津市の実態を調査しました。市は基金条例に基づき大学への進学者には1回切り60万円を無利子で貸与しています。
 市内の全ての高校に問い合わせた結果、卒業生の中で300人強が大学に進学していますので、半分の150人が奨学制度を利用していることとなります。そのうち唐津市が貸与する学生の数は条例により31名分しか準備されていませんので、進学した子ども達の中で、120人は他の奨学金等を受けて勉強を続けていることになります。
 奨学資金を貸与する機関としては、日本学生支援機構が知られていますが、そのほとんどが利子を付けて返還しなければなりません。また、4年間の学生生活で卒業時の平均的な借入額は300万円といわれます。しかしながら、卒業しても受け入れる企業は非正規社員としての採用が多く、そこでは低賃金と雇用状況は決して良好とはいえません。
 現在、若者の二人に一人は非正規雇用ですから、奨学金の返還も大変で、まず「自己破産」手続が社会人としての第一歩でなくても、10年間も20年間も借金の返済に追われていては、結婚も子育ても考えられないという、笑えない現実がまっています。
 そうしたことで、12月議会で「奨学金について」一般質問で取り上げました。そもそも奨学金制度は、教育の機会均等、貧困の連鎖を解消することが社会全体の発展になるという主旨の下にもうけられています。
 文科省の調査でも4年間に300万円を借り入れなければならない現実からすると唐津市の奨学金制度は現実離れをして使い勝手が悪いと指摘しました。奨学金を貸与している財団等によっては応募条件として、「他の奨学金を利用しないこと」を条件としていますので、4年間に60万円という唐津市の奨学金制度は応募したくても学生が必要とする金額にはほど遠いので、役に立たない制度と言えます。
 合併前、七山、相知、肥前、呼子等で奨学金制度が条例化されていました。それを見ると、七山では月額25,000円を貸与していましたから4年間では、120万円の貸与となりますし、相知町の場合は、私立大学の場合年間60万円ですから4年間では240万円となります。奨学金制度は合併により改悪されてしまったのです。
 「もっと貸与額を増やすべきだ」との問に部長は「多く貸すと返済が大変となる」という主旨の答弁をしていましたが、もっと学びたいという唐津の子ども達の願いを叶える制度に内容を変えるべきではないでしょうか。
 全国的に見ると、高校卒業後、短大、専門学校、大学に進学している子どもは8割という調査記録がありますが、唐津出身は5割程度に止まっているのが現実です。何故平均以下なのでしょうか。今回の聞き取りの中で、ある高校の教師から、「経済的な理由で大学への進学を諦めた子どもがいる。」という言葉も頂きました。これでは、18歳で人生を諦めさせているのが唐津市の現実となり、ますます格差社会が固定化してしまうのではないでしょうか。
 ところで、合併時、奨学金制度を支える「基金」は2億円程度ありましたが、この間寄付金として0.5億円余が寄せられ、利息で500万円が積み増しされました。唐津の子どもにもっと勉学の機会をつくってあげようとの好意は強いものがありますので、行政として責任をもって、期待に応える制度に改革すべきだと考えます。また、相知町は「基金」に頼らないで、上記のとおりの好条件で制度を運営していました。こうした経験に学ぶべきです。
 国際的に見ますと、我が国は学費が高く、しかも奨学金も有利子の貸与型が主流となっています。これを返済しなくてもよい「給付制奨学金創設に必要な予算は年146億円」と言われます。その財源として政党助成金(年320億円)を回せば十分賄えます。税金は未来ある学生に使うべきではないでしょうか。
 我が国の予算に占める教育予算はOECD諸国で最低です。OECD諸国の平均はGDP(国内総生産)の1%強ですが、日本は僅か0.5%です。これをOECD諸国の平均にすれば、大学はすべて無償に、奨学金も全て給付で返還の必要がなくなります。
 市内の子どもの『学力向上』を声高に唱えるよりも、教育にもっと税金を回す方が『学力向上』に効果をあげることができるのではないでしょうか。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿