白窯だより

陶芸家の日常、思い事

はだかの王様

2018-03-13 08:15:33 | 日記

はだかの王様は よい王様でありました。

奥様や友人をとても大切にしました。よい王様でありました。

「それにしても王様、どうして王様は裸なのですか?」 ある日、ひとりの国民がたずねました。

王様は少し怒っていいました。「わたしが裸のわけないじゃありませんか。裸だったら辞めますよ。」

大臣たちも言いました。「王様は裸ではございません。」

官僚たちも言いました。「王様は裸ではございません。」なん百ぺんも言いました。

本当のことを言いそうな正直者夫婦は牢屋に入れて、出られなくしてしました。よい王様でありました。

王様の裸が写った写真は、役人たちが黒く墨で塗りました。一生懸命に塗りました。

とくに王様の大事なところは、丁寧に丁寧に塗りました。ボカシまで入れました。

ただ、このボカシがいけなかった。ボカシは法律違反だったのです。

「誰だ。こんなボカシなんて入れたのは。誰が、何の目的で、信じられない。」官僚が言いました。

「誰が、何の目的で、信じられない。徹底的に調査します。」大臣も言いました。

王様も言いました。「誰が、何の目的で、信じられない。徹底的に調査させます。」。。。よい王様でありました。

 

王様は、法律も変えました。憲法も変えました。

大人たちはいつしか、本当のことをいわなくなりました。というより、本当のことに興味がなくなりました。

そんなこと、どうでもよくなったのです。

 

ある晴れた日、こどもがまちの広場で叫びました。

「王様は裸だー。はだかの王様だー。」       こんな物語だったか。