35歳からのアメリカ行政学・公共経営PhD挑戦

ノンキャリ国家公務員を辞め、アメリカ行政学・公共経営のPhDに挑戦するオッサンのブログ(毎週1回更新...たぶん)

日本型博士後期進学とアメリカ型PhD進学の違い

2015-07-28 11:30:37 | PhD受験対策
 こんなブログを細々と書かせて頂いていることもあり、日本の大学生あるいは大学院生の方からPhD受験についてアドバイスを求められることがあります。ただ残念ながら、PhD合格の報告を頂いたことはありません。相談を頂く方は、日本の大学から日本あるいは欧米の大学院に直接進み、実務経験等を経ずにPhDを目指す方が多いです。日本では博士課程前期と後期という形で、修士と博士の距離が近く、実務経験を経ずに博士課程後期に進むのが一般的とも言えます。ただ、これは少なくともアメリカの社会科学系PhDには当てはまりません。
 今後もPhDを受験する方を応援したいという想いも込めて、数学や統計などの特殊技能を持たない方がストレートでPhDに進めない理由をいくつか列挙し、その対策についても書いてみたいと思います。

1.日本型受験シンドローム
 日本型受験と異なり、TOEFLやGREの試験の点数は受験者の足きりに使用される基準で、PhD合格を決定づける要因とはなりえません。GREの高得点を理由に自信満々でPhD受験をし、アイビー・リーグ等の希望する大学に合格できなかった日本の有名大学出身者を多く見てきました。アイビー・リーグ、UC Berkeley、シカゴ大学等で公共政策・政治学PhDに行く具体的な方法は分かりませんが(笑) TOEFL・GREの高得点に加え、特殊な能力を示す必要があるのは確かです。ちなみにうちの師匠はシカゴ大学政治学部からUC Berkeleyの政治学PhDへストレートで進学しましたが、シカゴ大学を首席で卒業されたそうです(((;゜д゜)))ガクブル

2.英語力
 例えば日本の大学の学部からイギリスの大学院に進み、アメリカのPhDに進む計画を立てるとします。アメリカの大学院修士課程の2年と比べると、イギリスの大学院修士課程は1年と短くお得なので、ご両親に負担をかけたくないという理由でイギリス修士からアメリカ奨学金付PhD合格を目指すという話をよく聞きます(イギリスのPhDプログラムがアジア系留学生に奨学金を支給することは稀)。
 ところが、修士課程入学時にTOEFL iBT100点を超えていても、修士課程在籍1年以内でPhDレベルの英語力に到達するのは至難の業です(過去記事参照)。2年でも多くの人にとって、英語をPhDレベルまで引き上げるのに十分ではないでしょう。ネイティブを含めた数多くの応募者の中で、エッセイや面接を通じて大学教授陣に自分は特別だと伝えられる英語力が必要です。海外でのボランティア等を含め実務で英語を磨く機会が必要だと、個人的には感じています。

3.モラトリアム
 実務経験を経ないでPhDに応募してくる学生に対し、PhDプログラムが抱く最大の不安が日本でも悪名高いモラトリアムというやつです。実際、自分のラトガースのPhD同僚でも最も若い2人が脱落していきました(-。-;) PhDの授業を受けている間は、大学からゴールを設定されているため努力しやすいのですが、いざ自分の研究テーマを決める段階になると「やりたいこと」が分からずに、PhD取得に向けて足踏みすることが多いです。「組織の歯車になるのは嫌だ!」という一心でPhD受験をしただけで、実はあまり研究に情熱がなかったというケースを大学側は恐れているため、PhDでは実務経験がある組織の歯車となった経験のある応募者が有利になることが多いです。

 上記は学部・修士からストレートでPhDに応募してきた日本人学生の入学を阻む一部の理由ですが、数学・統計等の特殊能力や際立った文章の才能などはこれら大学側の不安を凌駕するケースも少なからずあります。ただ、自分を含め多くの日本人の方は、実務経験を得ることも視野に入れて、長期的にアメリカPhD挑戦を考える必要があると思います。


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