論語を詠み解く

論語・大学・中庸・孟子を短歌形式で解説。小学・華厳論・童蒙訓・中論・申鑑を翻訳。令和に入って徳や氣の字の調査を開始。

里仁

2007-03-26 08:53:25 | 論語

里仁:里仁とは仁の心を持つことで第四編の出だしの二文字

里仁 一 あれこれと人の生き方探しても仁はずれなば智者とは言えず

      言動の基本を仁に置いてこそ人たるものは美しきもの

      
メモ:儒教の根本を為す仁の心の大切さを説いたもの。

里仁 二 仁の道心得ぬ者窮屈な暮らしに耐えず遂に堕落す

      仁者とは仁に安んじ智の人は仁を利用し一歩及ばず

      
メモ:儒教の根本的教えである「仁」すなわち「真心の徳」の有り様を説い
          たもの。

里仁 三 仁の人私心なければ公平に人を愛してその悪憎む

      
メモ:仁を心に持つ人だけが人の憎悪に良く対処できるのである。

里仁 四 苟も仁に生きんとするならば心に悪は生ぜざるべし

      
メモ:仁と悪とは無縁のもの。

里仁 五 名も富みも人皆それを欲するが正しからずば安住できず

      貧乏や賤しき身分嫌われる正しからずばそれも避け得ず

      君子とは仁を行う以外にて名をなすことは欲せざるもの

      君子とは普段の時も変事でも片時たりと仁を忘れず

      
メモ:貧富の差も、貴賤の差もそれ相当の理由から出来るものだと言うこ
          とをきちんと理解すべきである。君子はこれを良く理解して常に仁に
          励んでいる。

里仁 六 仁愛す人申し分なけれども不仁を憎む人また仁者

      少しでも仁に努める心懸けあれば誰でも仁者たり得る

      
メモ:仁のために尽くすことが如何に大切なことかを説いている。

里仁 七 過ちの仕方によりてその行為仁あるものか判断がつく

      
メモ:君子も小人と同様に過ちを犯すが、前者は人情が厚すぎて、後者は
          薄すぎるが為という。

里仁 八 真実の人のあるべき道聞けばたとえ死すとも悔いは残らず

      
メモ:余りにも有名な言葉「朝に道を聞けば、夕べに死すとも可」のほうが
          簡にして明か !

里仁 九 道めざす人士たる者いやしくも粗衣粗食をば恥じるべからず

      
メモ:人士とは、教養人で社会的地位の高い人物を指す。

里仁 十 君子とは天下のことに逆らわず愛着もせず正義あるのみ

      
メモ:主観を避けて、ただただ正道を歩むとの意。

里仁 十一 君子とは道徳思いその上に法規をもって世の中ただす

        小人は安住の地を先ず思い更に恩恵あること願う

        
メモ:為政者は庶民の心を良く理解して政治を行う必要を説く。

里仁 十二 利ばかりをとらえ行動することは怨みを受ける機会ぞ多し

        
メモ:気を付けるべき当たり前のことだが、目先の利に惑わされるの
            が人間の常。時々反省が必要。

里仁 十三 譲り合う心で國を治めずば礼の力も無きに等しき

        
メモ:何事も礼譲を持って接することが大事。

里仁 十四 地位なきを憂う事なくその地位を得る為のすべ気に掛けるべし

        認められざるそのことを憂えずに認めらるべき事に努めよ

        
メモ:まわりのことを気にすることなく、自信を持って己自身の為すべ 
            き事に努めることが肝要。

里仁 十五 孔聖の道は変わらぬ真心で他人を思うつまり仁道

        
メモ:孔子は常に真心を尽くして、人の為を思いやる事に努めた。

里仁 十六 物事を処するにあたり浮かぶこと君子は正義小人は利

        
メモ:利に走りがちだが冷静に正義について考えてみる事が大事。

里仁 十七 己より勝れし人と接しなば等しからんと思うべきなり

         己よりつまらぬ人と接しなば自己反省の材と為すべし

        
メモ:最近は真摯に反省する人を見かけることが少なくなった。反省と
            いう行為はその人を高める手だてになるのだが。

里仁 十八 父母の悪しき処を見たときはまず穏やかに忠告すべし

        その時に聞いて貰えぬ事あらば慎み深く逆らわぬこと

        さらにまた聞いて貰えぬその時は労多けれど怨まざること

        
メモ:人間社会の秩序が守られるためのスタートは、己を生み育ててく
            れた親を如何に大切にするかからに始まる。

里仁 十九 父母ませば遠く離れず離れてもその行いは正しかるべし

        
メモ:親に心配を掛けないことが儒教の精神。

里仁 二十 父の死後三年の間やりようを改めざるが孝と言うべし

        
メモ:先人の行いをいたずらに批判せず、十分慎重に吟味して、改革
            するべきはするという態度が大切。

里仁 二十一 父母の歳知るが大切一つにはその長命を喜ぶがため

         父母の歳知るが大切今一つ余命に限りあるを知るため

         
メモ:父母には常に気を配り、長命なる事を願って尽くす事が大切。

里仁 二十二 先人は言軽々に口にせず行伴わぬ事を恥じたり

         
メモ:昔の人の無言実行の真意はここにある。

里仁 二十三 言動を慎み深く行えば仕損じること少なかるべし

         
メモ:節度を守ることが大事。

里仁 二十四 君子とは言訥にして実行は速やかなれと望むものなり

         
メモ:言行よりも実行に重きを置くことが大切。

里仁 二十五 徳政を行うものは孤立せずきっと親しき仲間現る

         
メモ:徳のある人の周りには必ずそれを慕って人が集まるものであ
             る。

里仁 二十六 何事も限度を超えて行えば仕える君に恥辱を受けむ

         何事も限度を超えて行えば親しき友に疎んぜられむ

         
メモ:常に己の立場を考えて行動することが必要。


                                              

                                     

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八いつ

2007-03-01 09:41:46 | 論語

八佾:八佾は天子の舞のことにして第三編の出だしの二文字

八佾 一 非礼をば責めず我慢が出来るなら如何なる事も辛抱可能

       
メモ:身分相応と云うことを常に念頭に置いて行動することが、社会秩 
           序を守ることになる。

八佾 二 人間の社会秩序を守るには分わきまえて行動すべし

       
メモ:人間にはその立場の応じた行動規範がある。これが乱れれば社  
           会秩序が保たれなくなる。

八佾 三 人として仁あらざれば礼ありて音楽あるもなすすべもなし

       同情や隣人愛の気持ちもて総ての人に接するが仁

       人の世の社会秩序を保つため守る規範を礼と称する

       音楽は身分年齢時を越え人を和ませ平和もたらす

       
メモ:礼儀も音楽も人間社会にとって大切なものだが、仁は根源に関わ  
           る重要なもの。ところで音楽は如何に時代が変わろうと人の品性
           に関わる大切なものである。

八佾 四 物事のうわべを飾ることよりも真心こそが礼の基なり

       
メモ:枝葉末節のことよりも誠の心が大事と云うことである。

八佾 五 世は乱れ君主奉ずる夷てきより劣る現状孔聖嘆く

       
メモ:孔子が生きた春秋時代は群雄割拠で乱れてはいたが、君主に治
           められていても夷てきは夷てきで、伝統ある中国には及ばぬとい
           う解釈と、夷てきにさえ君主がいるのにとの嘆きと見る説がある
           が、ここでは後者を採った。

八佾 六 分を越えおのが野望を満たすのは礼の本質見落とすことに

       
メモ:君子に取って代わる陪臣達がはびこる乱れた世を孔子は屡々嘆
           いている。

八佾 七 君子とはたとえ争いあう時も謙譲にして礼を失せず

       
メモ:どんな場合でも相手の立場を尊重する心で接することが大事であ
           る。

八佾 八 絵画では下地仕上げが肝心でその努力こそ良し悪し決める

       身を飾ることよりも先ず優れたる人格つくることが肝心

       
メモ:優れた人格をつくることは立派な絵を描くことと同じように、土台を
           しっかりと築くことである。

八佾 九 祖の礼のこころ守らず伝えねば世に名を残すことも叶わず

       充分に礼の制度が充実し賢人おればその國栄ゆ

       
メモ:祖の足跡や伝統を守ることの大切さを解いたもので、それが国の
            繁栄を保つ策でもある。

八佾 十 祖を祭る儀式は厳に誠意もて行わざれば無用為るべし

       
メモ:祭りの儀式が次第に乱れてきた状況を孔子が批判。

八佾 十一 天帝の祭りの意義を知る者は天下の事も知るはわけなし

        
メモ:祖を祭る事の大切さを説いたもの。

八佾 十二 祖も神も祭るときには形式にとらわれずして誠を尽くせ

        
メモ:祖も神も今そこにいますが如くに真心を籠めて祭りごとをするこ
            とが大事。

八佾 十三 将射んとまず馬射るの諺は悪しき譬えで正道ならず

         姑息なる手段を使う世渡りはとどのつまりは天罰受ける

        
メモ:たとえ実力者でも正道からはずれた者にこびを売ることを厳に 
            戒めた孔子の思い。

八佾 十四 先人の制度見習い改めて政治に励むことぞかんばし

        
メモ:周王朝の文化を理想とした孔子はその実現に務めた。

八佾 十五 大事なる事を為すには先達の知恵を借りつつ慎重であれ

        
メモ:礼を守るためには慎重の上にも慎重であれという事。

八佾 十六 何事も人それぞれの能力の違いを認め対するが道

        
メモ:個人個人の持つ能力は違って当たり前であり、それぞれに対応
            した対処の仕方があると言うこと。

八佾 十七 礼式が唯慣習に堕したとて軽々しくは廃すべからず

        ただ今は不必要なる物事も後に必要生ずることも

        
メモ:無駄を省くと称して単純に何でもかんでも廃止するのも考え物で
            ある。

八佾 十八 上役に儀礼を尽くす行動を時に人々諂いという

        
メモ:礼を尽くすことは人間本来の姿であり、他人の目を気にすること
            は全くない。ただし諂いからでた形だけの儀礼は別である。

八佾 十九 上役は下に対して礼守り下は忠もて仕えるがよし

        
メモ:ここで言う忠は誠実さというふうに取るべきだろう。

八佾 二十 楽しみも哀しむことも度を超さず穏やかなるが真の愛情

        何事も哀楽ともによく調和させることこそ基本たるべし

        
メモ:音楽にたとえて何事もほどほどに、そして調和が大切との孔子
            の言。

八佾 二十一 まつりごとその目的を履き違え民おののかす事なかるべし

         出来たこと過ぎ去りし事いつまでも咎めることはプラスにならず

         
メモ:いたずらに民をおののかすようなまつりごとは慎めと言うこと。

八佾 二十二 為政者は王道めざし仁政を行うだけの器量持つべし

         為政者は如何なる地位にあろうとも礼わきまえて行動すべし

         
メモ:人は如何なる地位にあっても「礼」を忘れてはならない。

八佾 二十三 音楽は音合わせして調和させ明るく続け一曲終わる

         
メモ:儒教では楽即ち音楽を大事にする。楽は人間性の美しい現れ
             であり、道徳を伝えうるようなよく調和した音楽こそ本当の音楽
             とする。

八佾 二十四 法令を敷くとき鳴らす鈴形の舌持つドラを木鐸という

         天の神やがて孔子を世の教化指導に当たる木鐸とせん

         
メモ:諸国遍歴中の孔子に会った役人が孔子を評した言葉を紹介
             したもの。

八佾 二十五 禅譲は道徳的に許されるされど放伐不善と言うべし

         
メモ:徳を失った君主を討伐し放逐する放伐は中国人の革命感だ
             が、孔子は禅譲よりも劣るものとして良しとしなかった。

八佾 二十六 上に立つ者が寛容ならざれば見所なしと言わざるを得ず

         上の者礼行うも敬せずば見所なしと言わざるを得ず

         上の者喪に臨みても哀なくば見所なしと言わざるを得ず

         
メモ: 為政者の心得を説いたもの。

                          

                                                  

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