しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

カムイの剣 矢野徹著 角川文庫

2015-01-08 | 日本小説
矢野徹コレクシション」で書きましたが、私の大好きな作家・矢野徹氏の作品が読みたくなり手に取りました。

本作も「黄土の奔流」同様、星新一が激賞している作品です。
(この本の解説文が「きまぐれフレンドシップPart1」に収録されている。)

角川でアニメ映画化されているので「翻訳家」でなく「作家」矢野徹としては一番の有名作かと思います。
私は映画は見たことがなく「絵」だけ見て「好みじゃないかなぁ」と思っていたのですが、今回ちょっと調べてみたらマニアにはけっこう人気があるようですねぇ。
見たくなりましたがDVD買うしか見る手段がないようです、うーん。

本書は1970年に立風書房から出版され1975年に角川文庫に収録されています。
私が持っているのも角川文庫版

さだかではありませんが小学5、6年頃に買ったと思います。
(古本で買ったので奥付見てもわからない…)

当時はスケールの大きい冒険物語に血湧き肉躍る思いで(たしか…)読み。
何回も読み返していました。
と書いて思い出しましたが、本作にはマーク・トゥエインが登場しています。
それをきっかけに「トム・ソーヤーの冒険」を読んだんだなぁ…懐かしい。

内容(表紙折込記載)
海賊の黄金時代、彼らの覇者として七つの海を暴れまくったキャプテン・キッド。彼が生涯をかけて世界各国に残した莫大な秘宝の謎は、今もって解明されていない―――。
 時は幕末、西洋文明の嵐が日本を襲わんとするとき、下北半島にアイヌ人の血を引く赤ん坊が流れ着いた。だが、この子の身につけていた剣こそがキャプテン・キッドの秘宝の謎を解く鍵であり、彼を波乱の渦の中へ落とし込むのだ・・・。
 幕末・維新の時代の子、忍者次郎左の半生を壮大なスケールで描くエンターティンメントの最高傑作。


かなり好きな作品だったので「読み返してがっかりしたらやだなぁ」とは思っていましたが….。
まぁ現代の標準から冷静に評価すると「ジュブナイルの冒険小説としてはなかなか」ぐらいが妥当な評価な気がします。
私がかなり内容を覚えていて先が全て読めてしまったというのもありますが…。

日本の冒険小説は1970年から45年間の間にかなりの進化を遂げているかと思いますのでしょうがないでしょうかねぇ。
お色気シーンなどもあるので今でもませた小学生や中学生辺りが読むと結構楽しめそうな気がします。
松前のお雪、けなげです….。

と、けなしているようですが懐かしさもあり、読み出したら止まらずに一気に読んでしまいました。
(夜更かししてしまった)
なにしろスケールの大きいロード・ストーリーなので読んでいて楽しい…。(先がわかっていても)

誰とそれが結局親子やら兄弟やらになっているのもかなりご都合主義的ですが、知らないで読んでいれば「へぇー」と思うかもしれません。
また急にマーク・トゥエインが出てくるのもかなり都合がいいのですが…。
本作では「人種差別」「階級差別」がメインテーマになっているので、矢野氏のマーク・トゥエインに対するリスペクトの意が出ているんでしょうね。

私の好きな後年の矢野氏のような茶目っ気と遊び心溢れる文章ではなく、かなり真面目に書いているのも私的にはいまひとつと感じられた要因かとも思いますが…とにかく「面白い小説を読みたい」ということであればなかなかお薦めであります。
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