しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

誰の死体? ドロシー・L・セイヤーズ著 浅羽莢子訳 創元推理文庫

2014-09-13 | 海外ミステリ
先日「犬は勘定に入れません」を読んだときに気になったドロシー・L・セイヤーズのピーター卿シリーズを読もうとシリーズ第一作である本書を職場近くの本屋で新品で購入。

本書は1923年発刊、ピーター卿シリーズ第一作でもありますが作家セイヤーズのデビュー作でもあります。

英米で評価の高いセイヤーズ&ピーター卿シリーズですが本作は英米のベストでもランクインはしておらずそれほど評価は高くないようです。
内容はともかくピーター卿が誕生した記念すべき作品という感じでしょうか。

内容(裏表紙記載)
実直な建築家が住むフラットの浴室に、ある朝見知らぬ男の死体が出現した。場所柄男は素っ裸で、身につけているものといえば、金縁の鼻眼鏡と金鎖のみ。いったいこれは誰の死体なのか? 卓抜した謎の魅力とウィットに富む会話、そして、この一作が初登場となる貴族探偵ピーター・ウィムジィ卿。クリスティと並ぶミステリの女王がモダンなセンスを駆使して贈る会心の長編第一作。

「クリスティと並ぶミステリの女王」の作品のつもりで読み出したのですが小説としてもミステリとしてもかなり出来が粗い感じを受けました。
(「悪い」わけでなく要素はいいのでもっと磨けば光るのになーという感じ)

本作を現代の「ミステリ大賞」的なものに応募したら「佳作にも残らないんじゃないかなぁ」などと失礼な感想も抱いてしまった。

「聖職」的な人の犯行、死体入れ替えトリックなど1923年時点では意外なものだったかもしれませんがスレた現代の読者の眼から見るとかなり厳しいものがあります。
トリックを犯人が実行するのもかなりの力技ですし....。
(というかこれ本当にできるのだろうか?)

小説的にも会話がぶつ切りで「ピーター卿」はなんだか面白そうな人ではあるのですが「よくわからない人」というのが受けた感想。
助手役のバンターのキャラなどはなかなか魅力的でしたが、ちょっと間抜けな警察官役のサグ警部などはあまりに類型的すぎて「いかがなものか?」という感じ。

ネットでの評価などを見るとこの第一作「誰の死体?」は評価が低いようで第二作「雲なす証言」から尻上がりに出来が上がってくるらしいです。
私のように期待して読むと外す人はかなり多いのかもしれません…。

ただ、探偵役のピーター卿の貴族で頭がよく金持ちだけど...第一次世界大戦に従軍し前線で戦いでトラウマたっぷりという設定は魅力的で、軽妙な会話も現代的であり魅力の片鱗は感じられました。

なんとなーくこうウマが合うという感じは受けたのでめげずに今後ピーター卿シリーズを読んでいこうとは思っています。

第二作「雲なす証言」-第五作のハリエット登場作「毒を食らわば」まで揃えてしまった…。
(ブックオフのお導きです…)

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