しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

MIX 1-8 あだち充著 ゲッサン少年サンデーコミックス KINDLE版

2016-07-03 | 漫画
ふとあだち充の最新作MIXが読みたくなりKindle版で入手しました。

字の本は電子版より紙派なのですがマンガはスペースの関係もありついつい電子版に手が出てしまいます。

最初は1巻だけ読んでちびちびと購入して長く読もうと思ったのですが・・・。

読んでいくうちに先が気になってたまらなくなり結局発売済み(6月末現在)の8巻まで一気に大人買いして読んでしまいました。
この辺は手軽に買えすぎる電子書籍の悪いところ(いいところ?)ですね。

あだち充作品ですがこの「MIX」も含め「H2」以降の作品は読んでいませんでしたが初期のものからけっこう読んでますし(初期短編集を持っている)「ナイン」「陽あたり良好」「みゆき」「タッチ」「スローステップ」「ラフ」「虹色とうがらし」「じんべえ」「H2」は全巻読んでいて、短編も「ショートプログラム」「ショートプログラム2」は読んでいます。

ただ「H2」をオンタイムで単行本を買って読んだ以降「いつも美空」「KATSU」を途中まで買って止まっていたくらいであだち作品最近読んでいませんでした。
(「H2」傑作すぎた?)
好きなマンガ家なんですけどねぇ。

私的には(何の権威もないですが)日本マンガ界で天才と呼べるのは「藤子・F・不二雄」と「あだち充」!!と思っています。

両者ともあきらかに「非日常」な状態をあたかも「日常」として描き読者に違和感を抱かせないで読ませるところが天才だと思っています。
またある意味でのワンパターン性も共通点があります。
(「キテレツ大百科」「オバケのQ太郎」「ドラえもん」もある意味ワンパターンですよねぇ...)

手塚治虫はすごい才能ですがこの二人より多才かつ理に走っているという意味で「天才」でない気がする。

22世紀の猫型ロボットが普通に生活している情景やら、「MIX」のように同日生まれの義兄弟かつ野球の才能が素晴らしく、美少女の妹がいるなどという状況を合理化する説明もなしに読者に納得させてしまうというのは手塚治虫には無理なような…。
(アトムでもその誕生、その後社会に受け入れられるまで紆余曲折いろいろ理屈付け描いています)

さて「MIX」あの「タッチ」の明青学園が舞台の野球マンガです。

内容紹介(ゲッサンHPより)
舞台は明青学園―――
上杉兄弟の伝説から26年、今、再び運命の兄弟が明青学園の扉を開く。
あだち充が描く大型青春野球ストーリー。

2012年にゲッサンで連載開始し連載中の最新作!
タッチと同じ舞台、世界ですが「タッチ」の主要キャラは出ていません。

買う前にAmazonで書評を見ていて「いい」という人と「陳腐なセルフパロディだ!」とひどくけなす人がいてその辺に興味を持ち購入したのですが...。

私は傑作だと思いました。

よくも悪くもワンパターンの野球と美人の妹やら幼馴染やらを巻き込んだ(いつものように犬の名前はパンチ)展開なのですが…本作「どうせワンパターンですよー」という開き直りが激しい。(笑)
その辺の開き直りをどうとらえるかかと思いますが、まじめな人だといやな気分になるのかもしれません。

私はあだち充もすでに65歳ですから「いい感じで枯れてきているのでは」と好意的に受け止めましたし、ストリーやら描き方の様式美的展開になにやら伝統芸能的なものを感じてました。
「様式美」という視点でみると「キレッキレッ」で「凄み」のようなものまで感じました。

といって1-8巻で印象に残ったシーンを思い返してみたのですが…あまりない。(笑)

手慣れた野球の試合の場面は思わず引き込まれてしまうほど読ませますし、ラブコメ的展開も楽しめるのですが、序盤(?)なのでキャラ紹介的な部分が多いのかストーリー的には薄めな印象なので「陳腐なセルフパロディ」という評価もある意味当たっているのかもしれません。

一番印象に残ったのはタッチにも出てきた西村勇のボヤキですから郷愁的なもの、時間経過的なものが強く打ち出されているような気もします。
(ターゲット読者年齢層がオヤジなだけかもしれません)
主人公の立花兄弟、その父母(亡くなった方)の関係性も時間軸の中で今後いろいろ展開していきそうですのであだち充の集大成となる大傑作になって…欲しいなぁ。

まぁこのまま乾いた様式美に終始して終わっても私的には「あり」ではあります。

あだち充の野球長編「タッチ」も「H2」も(「クロスゲーム」は未読)基本的に同じ世界を書いている気がしますが、ヒロイン像は時代に応じて変わって(変えて)きていますね。

その時代の「最先端」からちょっと遅れている感じで描いて安心感を持たせるというか….。
その辺が現代視点で以前の作品を読み返すと古く感じられる理由なのかもしれません。(タッチとか)

ちょっと情けなさもありながらも基本優しく、控えめで、努力家(あまり表にださない)な主人公像は見事に変化がないですがヒロイン像はかなり変わってきます。

タッチの浅倉南はかなりきれいごとの世界かつ新体操で大活躍の絵に描いたようなヒロインでしたが「ラフ」の二宮亜美は身体能力は優秀なもののそこまで超人的ではない。

「H2」の雨宮ひかり、古賀春華はかなり現実的な線で落ち着いています。

今回は….まぁ現実的な線なんでしょうねぇ。
義理の妹(「みゆき」的展開)は明るい性格でそれなりに運動能力は高そうですがそれほどでもなさそう、監督の娘(は「ナイン」の展開だ)は新体操(は「タッチ」だ)をやっていますがそんなに身を入れているとも思えませんし性格も「完璧」というものではない。

とにかくあだち充の(セルフパロディ?)集大成、期待です!!

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