しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

白きたおやかな峰 北 杜夫著 新潮文庫

2012-09-16 | 日本小説
この作品を最初に読んだのは中学生くらいの頃のはず。
学校の宿題で感想文を書いたような記憶がうっすらあります。

確か新潮社の純文学書き下ろしシリーズの一冊というようなハードカバーの本を古本屋で購入しました。
(現物も探せばあるはずだが出てこない。)

当時は中学生にしては多少背伸びした読書という感じで読みましたがでしたが、そこはどくとるマンボウ、北杜夫氏。
中学生にもかなり敷居の低い作家でありました。

うっすら残っている記憶ではかなり面白い山岳小説という感じでちょっと背伸びした作品を読んだ満足感を得た記憶があります。
他、著者をモデルとしたドクターが狂言回し的な役割で出ており、それを三島由紀夫が「いまいちだ」とかなんとか著者にいいにきたというようなエピソードがあったといういうな記憶もうっすらあります。

ブックオフで200円で売っていた文庫版を見つけ懐かしさから購入し読み直しました。

「つまらなかったら幻滅するんだろうな~」と思いながら読み出しましたが、1966年の作品とは思えないテンポのよさで一気に読めました。
この頃の作品で今日的に「かなりツライ」もの、作家もいますが「北 杜夫」は時代を超えて残る作家だと再認識しました。

「純文学?」という感じですが、優れた山岳小説であると思います。
いまどきのヒマラヤ登山は装備もかなりシステムも進歩しており、ここで書かれているような大掛かりな登山隊というのは時代遅れなんでしょうが、「山に対する姿勢」というようなものは不変なような気がします。
読了後山に行きたくなりました(昔登山もかじっていた)

ネットで感想をちらっとみていたら、「アイゼン」等用語の説明がなく不親切というような評もありましたが、小説ですしSFなんかでももっと難解な用語が出てきて説明なしだったりします。
必要ないんじゃないかなーと思います。

今回読み返してみて、隊員の妻子に対する思いなどは40男になって妻子を持ってわかるところだなぁなどということや、ドクターと同じく狂言回し的な役割のメルバーンのなかなか味わい深いキャラなどが再発見でした。

あと結末はもっとすっきりしていた記憶があったんですが、すっきりしていませんでしたねー、意外でした。
中学生の私はもしかしたらこの結末で登頂成功と感じていたのかもしれません。
う~ん浅い男だったんだなぁ....。

最後に全体的な印象として、北杜夫氏の文体はかなりクールで客観的というか突き放した文体ですね。
本人が「それじゃいけない」という感じで「ドクター」的ななごませキャラを無理やり入れたり、登場人物に主観的な独白をさせたりしていますが本質的にはクールな感じがします。

無理やり入れている照れ隠し的なところがうるさく思える人には思える作家だろうと思いますが、そういうナイーブさも私的には好感が持てました。
機会があれば「楡家の人々」なども読みたいですが時間ないだろうなー。

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