しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

MONSTER 浦沢 直樹著 小学館

2013-02-14 | 漫画
この作品が出だしたころ(‘94~5年くらい?)4巻くらいまで読んで、なんだか進まずそのままになっていました。
2~3年前に古本屋で全18巻セットを衝動買いしたのですが、またまた10巻くらいで中断してそのままになっていたのを今回読み返しました。


私的にはなんだかざらざらして読みにくい作品なんだと思います。
今回も一気に読むという感じでなく、正月からちびり、ちびりと読みました。
今回終わりまで読み通せてなんだかホッとした気分です。

ストーリーは....、売れた漫画なのでよく知られているかと思いますが、ドイツの大病院に勤める日本人天才脳外科医 Dr.テンマが助けた双子の兄妹の兄が実は旧東側で計画的に教育されたとんでもない子供で、数々の悪行を行い続け10年後....。

というお話。

読了後第一感は、前述の通りすらっと受け入れ難い展開の作品なので、この作品がよく週刊誌に連載され、完結まで辿りついたなぁというものです。

何かで読んだ記憶があるのですが、浦澤氏が何かのインタビューで「自分の描きたいものを描きたい形で連載できるように、YAWARAなど売れる作品を積み重ねていきやっとMONSTERを書くことができた」と語っていたような気がします。

まさにそんな作品。

構成的には双子の兄妹の出生の謎を追いかけていくことを軸に、悪魔=双子の兄ヨハンと善良な人間テンマとの争いを描くことと、レミゼラブルのジャベールvsジャンバルジャン的なルンゲ警部とテンマの関係を入れ込むという割と古典的な展開だと思います。

「謎」を最後まで不気味な感じを発しながら引っ張り、ヨハンの悪行を浄化していくテンマと、テンマの善行をこれでもかと潰していくヨハン。
職務に超人的集中力でのめり込むルンゲ警部、基本的には単純な展開を飽きさせず最後まで持っていく技には感心しました。

ただキャラクター的には「ルンゲ警部」が非常に個性的な造形であった以外は、全体的に薄い印象でした。
主人公のテンマ、ヒロインのニナも今一つ「キャラ立ち」していないような感じがしました。
意図的に主要人物のキャラを薄めて脇の人たちを引き立たせようとしたのかも知れませんが...。

ただ「漫画」として面白く読むことを考えると、もう少し主要人物のキャラは立てた方が読みやすいような気がしました。
(この後に書かれている「20世紀少年」はキャラ立ちしているような気がする)

最後はここまで広げて引っ張ってきた「謎」を「どう解決するのかなぁ?」と思って読んでましたが、基本ハッピーエンドで、ちょっと肩すかしな感じは受けました。
最後の方で正体を現した重要人物もインパクト薄かったですし。

ラストもここまでの惨劇を繰り広げるほど衝撃の事実なのかなぁ?とは感じました。
(この辺20世紀少年も同様で動機がちょっと??)
でも思いっきりバッドエンドにするとか、松本零児ばりに謎を謎のままにしておくとかしない限りはこれぐらいが限界なのかもしれませんね。

いろいろ書きましたが意欲的な名作だと思います。
また間を置いて読み直したい作品ではあります。

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