しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

プロテウス・オペレーション ジェイムズ・P・ホーガン著 小隈 黎訳 ハヤカワ文庫

2012-11-01 | 海外SF
先週ブック・オフを覗いていて目について購入。
650円でしたが、分厚く定価1260円、まぁお得かなぁということで購入。


1985年の作品
あらすじは
「第二次世界大戦で大勝利を収めたナチス・ドイツが世界のほとんどを支配する暗黒時代の1974年、最後の民主主義国家アメリカ合衆国にまでナチスの魔の手が伸びようとしていた。そして、アメリカは最後の希望である『プロテウス作戦』にすべてを託す。過去へと選りすぐりのプロテウス部隊をタイムスリップさせ、歴史を修正しナチスを倒そうとしていたのであった。」
というもの。
タイムスリップものとしてはありがちといえばありがちな設定ですね。

今回の設定は英米側から見た当時のナチの脅威がひしひし伝わり興味深かったです。
ヨーロッパ大陸のほとんどをナチが制覇したんですから「もしかして英米が立ち上がらなかったらこんな未来もあったかも?」というのが納得できました。
85年という米ソ冷戦まっさかりという状況の中ではソ連の書き方は比較的ニュートラルで今でも読むのに耐えられると思います。

読みだして感じたことは、さすがホーガン。
ものすごく面白い、先が気になってページをめくる時間も惜しくなるほどでした。
この辺は才能でしょうねぇ。
政治的な話やら、タイムマシンに関わる物理学やら多次元宇宙的な話はSF慣れしていない人には難解かもしれませんが、その辺気にせず読み進めていっても十分面白いと思います。
ただ前半のこの世界の成り立ちやら、理論的補足、謎解き部分に比べ、後半のプロテウス作戦メンバーの冒険活劇的活躍はご都合主義すぎる感じもして若干???な感じがして読むスピードも落ちました。

読了後の感想は残念ながら、「やたら面白いけれども心に残らない物語」という感じです。
良くできた講釈を聞いた感じでしょうか。
読んでいるときにはとても楽しいんですけどもねぇ...。

ホーガンは初期の作品、どれも78年出版の「星を継ぐもの」「ガニメデの優しい巨人」「創世記機械」はかなり丁寧に小説を作ってる感じを受けたのですが(この三作品すべて同じ年の出版だったのを今回発見、すごい)80年代に入ってちょっと雑になり、展開やら人間関係の描写がご都合主義的になってきたような気がします。
「星を継ぐもの」シリーズでも、81年出版の「巨人たちの星」(邦訳版83年)ワクワクしながら新刊を買って読んでちょっとがっかりした記憶があります。
邦訳で出たのが中学生くらいだったんだなぁ、なんだか懐かしい...。
同時代で新刊を読んでいたんですねぇ、感慨深いです。

ホーガン、偉大なSF作家だと思いますし、「面白い」という意味でははずれのなさそうな作家だと再認識しましたが、続けて読むのはつらいかなぁ。

久々SFづいているので次はアシモフを読もうかと思います。
プロテウス・オペレーションでもコロンビア大学の学生としてゲスト出演していたし。

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