shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

艶・怨・演歌 / 藤圭子 (Pt. 1)

2013-09-04 | 昭和歌謡
 今日も藤圭子の追悼特集だ。彼女のベスト盤は似たり寄ったりの選曲のものが色々出ていてどれを買えばいいか迷ってしまうが、私が持っているのはカヴァーの選曲が最も充実している5枚組CDボックス「艶・怨・演歌」だ。確かにちょっとお値段は張るが、中途半端なCDに2,000円も出すくらいなら、名曲名唱のアメアラレ攻撃にゾクゾクさせられるボックス・セットに1万円出した方がいい。そういうワケでウチのCD棚の “昭和歌謡” のコーナーにはこの藤圭子を始め、西田佐知子、ちあきなおみ、青江三奈、ザ・ピーナッツ、江利チエミ、弘田三枝子らのボックス・セットが所狭しと並んでいるのだが、私にとってはどれもみな一生モノのお宝アイテムだ。
 このボックスは1「オリジナルを歌う」、2「男の情を歌う」、3「女心を歌う」、4「人生・昭和を歌う」、5「ふるさと・叙情を歌う」の5つのテーマに基づいて選曲されているのだが、私が最も愛聴しているのはもちろんディスク3の「女心を歌う」で、今日は違うのを聴こうと思いながらも結局はコレを聴いてしまうというくらい惚れ込んでいる。前回取り上げたさっちゃんの①「アカシア」⑤「赤坂」⑩「涙かわ」はもちろんのこと、他にも私の愛する女性歌手の代表曲が一杯入っているからだ。女心を歌わずして何の藤圭子か!と言いたい。ということで、今日はこのディスク3を中心に彼女の名カヴァーの数々を聴いていこう。
 藤圭子といえば何はさておき “怨歌” というイメージがあるが、そんな彼女のキャラにピッタリな選曲が梶芽衣子の⑪「恨み節」だ。そもそも藤圭子と梶芽衣子って、どちらも凛としたクール・ビューティーで、活躍した時期もほぼ同じだし、名前の響きも何となく似ているのだが、やはり一番の共通点は “怨みのこもったやさぐれ歌謡” を歌わせたらこの二人の右に出る者がいないということ。この「恨み節」でも背筋がゾクゾクするようなド迫力ヴォーカルが堪能できて言うことナシだ。北原ミレイの⑫「棄てるものがあるうちはいい」でもその抜群の表現力に唸ってしまうが、ミレイ作品のカヴァーなら何と言っても「ざんげの値打ちもない」(←アルバム「藤圭子リサイタル」に収録)にトドメを刺す。残念なことにこのボックスには入ってないが、曲を完全に自家薬籠中のものとし、オリジナルに勝るとも劣らない吸引力で聴く者をグイグイ魅きつける圭子姐さんにシビレます。何でコレがベスト盤から漏れるかねぇ...
怨み節

ざんげの値打ちもない


 エト邦枝の②「カスバの女」も彼女の持ち味が存分に活かされた名カヴァーだ。この曲自体かなり古い歌なのだが、歌詞といい曲想といい藤圭子にピッタリの雰囲気を持ったナンバーで、まるで自分の持ち歌であるかのように見事に歌いこなしている。翳りや愁いを感じさせるしみじみとした味わいのヴォーカルがたまらんたまらん(≧▽≦)  そういう意味では八代亜紀の(21)「舟唄」のカヴァーも秀逸。この曲はオリジナル・ヴァージョンが絶対的な存在感を誇っているだけにカヴァーするには相当の自信が無いと悲惨な結果に終わることは目に見えているが、さすがは圭子姐さん、貫録十分の歌唱でこの難曲を完全に自分のモノにしている。藤圭子のヴォーカルで聴く絶品「舟歌」... ハッキリ言って鳥肌モンですよ、これは!!! (つづく)
カスバの女

舟唄

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4 コメント

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Unknown (みながわ)
2013-09-05 08:34:09
今、藤圭子のCDが売れているそうです、そりゃそうでしょ今まで演歌嫌いで通して来た私が買ったくらいですから。
演歌が好きになった訳ではなく圭子姐さんが特別なんです、自分ではこれは演歌というより藤圭子オンリーワンの世界だとかなり苦しい言い訳をしています。

この5枚組いいですね「女心を歌う」だけ売ってくれないかな、とりあえず欲しいものリストに入れておきました。

圭子姐さんのカバー力はすごいですね、八代亜紀、西田佐知子、青江三奈なとどれも完璧に自分のものにしてますね、そして圭子姐さんの歌を他の人がカバーしても決して超えることは出来ないものがあると。
今日あたり「新宿の女」が届く予定です。
youtubeで「長崎ブルース」を聞いて青江三奈にも興味が出て来ました(笑)。
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自家製CD-R (shiotch7)
2013-09-05 22:48:50
みながわさん、こんばんは。
私の考える演歌というのは森進一とか五木ひろしとか都はるみとか、そーゆー類の音楽で
ベタベタした歌い方が生理的に無理なんですが、
私の中では圭子姐さんは“演歌”とは激しく一線を画する “濃厚な昭和歌謡女性ヴォーカル” という位置付けで
聴く者の心を激しく揺さぶる魂のヴォーカルという意味ではジャニス・ジョップリンに近いですね。
度し難い暗さはビリー・ホリデイやニーナ・シモンを想わせますが
圭子姐さんの歌は暗くても心にスーッと入ってきます。
青江三奈もそうですが、 “日本人にとってのブルース” なんですよ。
いつか青江三奈祭りやろうかな...(笑)

レコード会社が「女心を歌う」を製品化してくれないなら
自家製CD-Rを作るしかありません。
この選曲や曲順決めがまた楽しいんです。
ぜひお試しください。
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新宿の女 (みながわ)
2013-09-06 08:35:39
昨日「新宿の女」が届きました、まだ全部聞いてないのですが、収録曲のタイトルを見ただけではピンとこなかったですが聞いて見ると聞き覚えがある曲が多くて驚いています。
子供の頃聞いた曲はテレビで流れていたり街角で聞いた曲でも結構覚えているものですね。
洋楽もしかりですけど。

CD-Rではないですが、私はMP-3プレーヤー用のプレイリストの1曲目をヒッキーちゃんの「嵐の女神」2曲目から圭子母ちゃんの曲にしようと思ってます(^_^)
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アルバム1枚丸ごと “藤圭子” の世界 (shiotch7)
2013-09-07 02:14:44
みながわさん、こんばんは。
デビュー・アルバム届きましたか!
オリジナルもカヴァーも
アルバム1枚丸ごと彼女のために書かれたような曲が揃っていますよねー
「カスバの女」や「長崎ブルース」なんかもう鳥肌モンです。
それと、竹越ひろ子のカヴァー「東京流れもの」は
石坂まさを氏が彼女のために新たに書き下ろした歌詞が
圭子姐さんのヤクザなヴォーカルと絶妙にマッチしているのが凄いです。
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