shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「天国への階段」カヴァー特集⑥ ~拾遺編~

2013-01-30 | Led Zeppelin
 「階段」特集6回目の今日は “ディープな「階段」マニア(?)への道” というテーマで、これまでの選に漏れた、いわゆるひとつの拾遺編でいってみます。

①Richard Cheese
 リチャード・チーズはロック/ポップスの名曲をラウンジ調にアレンジし、フランク・シナトラやディーン・マーティンのようなクルーナー・スタイルでてカヴァーするアメリカのコメディアン。この「階段」カヴァーでも当意即妙なパフォーマンスを披露、スインギーなジャズ・アレンジ(←キーボードの兄ちゃん最高やね!!!)と変幻自在なヴォーカルで楽しませてくれる。肩透かしを喰らわすようなエンディングもふざけとるなぁ... 尚、この曲が収録されたアルバム「バック・イン・ブラック・タイ」はタイトルもジャケットも AC/DC のパロディーになっており、そのウィットに富んだユーモアのセンスにニヤリとさせられること間違いなし。他にもフロイドをパロッた「ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ムーン」とか、ガンズをパロッた「アペリティフ・フォー・デストラクション」とか、洋楽ファンなら一度は聴いてみたくなるようなタイトルのアルバムが目白押しで、しかももうすぐ出る新作アルバムがビートルズ・トリビュートの「レット・イット・ブリー」ときたもんだ。この人、ホンマにオモロイわ(^.^)
Stairway To Heaven


②Leif Norbergs Orkester
 レイフ・ノルベルグ・オルケステル(って読むのかな???)ってどこの誰だか全く知らないが、
綴りから判断するとスウェーデン系か? そんな未知のバンドの「階段」は、マイナー調のメロディーをシャッフル・リズムで奏でるピアノがめっちゃエエ感じで、スプートニクスとパープル・シャドウズを足して2で割ったような(←あくまでもイメージです、念のため...)昭和の薫りが演奏全体に濃厚に立ち込めているところがいい。この音源は CD化されてないようで、「ハイウェイ・トゥ・ヘルシングランド」(←AC/DCってホンマに愛されとるんやなぁ...)というmp3アルバムがダウンロード可能。ゼップの他にもAC/DCやパープル、キッス、サバスなんかをポップなアレンジでカヴァーしており、この手の面白カヴァーを好む人には掘り出し物のミュージシャンかもしれない。
Leif Norbergs Orkester - Stairway To Heaven


③Steve Morse
 スティーヴ・モーズは1994年に第8期(!)ディープ・パープルに加入したアメリカのギタリスト。彼はライヴでロック・クラシックスの有名フレーズをメドレー形式にアレンジして弾きまくるソロ・コーナーをやることが多いのだが、どうやらゼップの「階段」も彼の十八番らしく、YouTube にも色々アップされており、下に貼り付けた音源ではまず「ハートブレイカー」のリフから入って「階段」へと繋げ、大喝采を浴びている。それにしてもディープ・パープルのコンサートでゼップの曲が聴けるなんて、考えただけでもコーフンしてしまうわ(≧▽≦)
スティーヴ・モーズ


④G's Incorporated
 私は昔からラップってどうも苦手で、トーン・ロックの「ワイルド・シング」とランDMCの「ウォーク・ジス・ウェイ」以外は生理的に受けつけないのだが、この「階段」は例外的にOKだ。ラップ・パートが必要以上に強く自己主張せずにバックのサウンドに上手く溶け込み、原曲のメロディーを繰り返すシンセの神秘的な音色と絶妙に絡み合ってメロウな味わいのメイン・ヴォーカルを引き立てているところが◎。G's インコーポレイテッドなどというどっかの株式会社みたいな名前は初耳だったのでネットで調べてみるとドイツのラップ・ユニットだと判明、こーゆーのを G-ラップ(ギャングスタ・ラップ)というらしい。ひとつ勉強になりました(^o^)
G's Incorporated - Stairway To Heaven (1997)


⑤Pardon Me Boys
 パードゥン・ミー・ボーイズは例の「ザ・マネー・オア・ザ・ガン」で「階段」をカヴァーしたジャズ・コーラス・ユニットで、ジャジーなアレンジと“B級マンハッタン・トランスファー” といった感じの洗練されたコーラス・ハーモニーで楽しませてくれる。グレン・ミラーの「イン・ザ・ムード」を間奏に織り込むあたりも中々芸が細かいですな。
Stairway To Heaven - Pardon Me Boys

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「天国への階段」カヴァー特集⑤ ~これは珍なり編~

2013-01-25 | Led Zeppelin
 今日はこんな「階段」もありまっせ... という感じでちょっと怪しいカヴァーを大特集。硬派なファンは “天下のレッド・ゼッペリンをナメとんのか!” と怒り出すかもしれないが、堅いことは言いっこなし。ということで今回は心の広~いゼップ・ファン限定の “これは珍なり編” です。

①Leningrad Cowboys
 フィンランドが誇るトサカ頭&とんがりブーツのロックバンド、レニングラード・カウボーイズが旧ソ連の軍楽隊(Red Army Chorus & Ensemble)と共演したライヴ・アルバム「トータル・バラライカ・ショウ」に入っていたのがこれ。見た目に反してアレンジは原曲にかなり忠実なのだが、ロシアの民族楽器バラライカで奏でられる「階段」の哀愁舞い散るメロディーやロシア軍コーラス隊の重厚なハーモニーが何とも言えない雰囲気を醸し出していて怪しさ満点... まさにあぁおそロシアである。下の映像はヘルシンキ元老院広場でのコンサートのものだが、チンドン屋も顔負けのド派手な衣装に身を包んだレニグラはもちろんのこと、クネクネと妖しげに踊るネェちゃん達といい、コテコテのロシア民謡色全開で迫るコーラス隊といい、炎を操る意味不明のジャグラー軍団(?)といい、どこをどう見ても怪しい新興宗教の儀式にしか見えへんわ... (>_<)
Leningrad Cowboys - Stairway To Heaven.mpg


②掟破り軍団, 見良津健雄 & おたっしゃCLUB
 これは “日本の70年代フォークと洋楽ロックの融合” という掟破りの変則マッシュアップ的カヴァー(?)を収録したパロディー盤「旅荘カリフォルニア」に収録されていたもので、以前に一度このブログで取り上げたことがあるが、めっちゃオモロイので再アップ。日本で平和に暮らしていた「神田川」を拉致してロンドンへ連れて行き、ハードロック養成ギプスを装着して髪もブロンドに染めて胸をはだけさせ、無理やり「天国への階段」を歌わせた... という感じのチカラワザが功を奏し、聴く者すべてを爆笑の渦に叩き込む。「階段」の例のイントロに続いて “あなたは もう わすれたかしら~♪” というフォーキーな歌が流れてきた時点でイスから転げ落ちること間違いなし(^.^)  「階段」メロディーを奏でるバックの演奏もコワいぐらいに「神田川」の歌詞とマッチしていて感心させられるが、何と言っても後半部の盛り上がりパートでたたみかけるように歌われる「神田川」には大爆笑! よぉこんなアホな企画を思いついたものだ(・o・) しかしダブルネックと南こうせつってどう考えても似合わんな...
おたっしゃ倶楽部 ステァウェイトゥ神田川


③DJ Earworm
 「階段」がらみのマッシュアップといえばやはりこちらが本命か。この「ステアウェイ・トゥ・ブートレッグ・ヘヴン」と題されたマッシュアップは主役であるドリー・パートンのヴァージョンにユーリズミックスの「ジス・シティー・ネヴァー・スリープス」が断片的に添い寝、ローリー・アンダーソンの「オー・スーパーマン」やアート・オブ・ノイズの「モーメンツ・イン・ラヴ」の無機質なサウンドをスパイスにしながら要所要所をビートルズの「ビコーズ」でまとめ上げ、このまま何事もなく終わるのかと油断していると突然パット・ベネターの「ラヴ・イズ・ア・バトルフィールド」が乱入してきて腰を抜かしそうになるという実に手の込んだ作品になっている。特にベネターの “ウィー・アー・ストロング!♪” という一喝が炸裂するパート(6分6秒と6分59秒)がこのマッシュアップ最大の聴き所で、ピリリと辛い山椒のように抜群の効果を上げている。全くバラバラの素材を組み合わせて一つの作品に仕上げるマッシュアップ職人 DJ Earworm の腕前は、さながら無国籍料理のアイアン・シェフだ。
NoRVid - Stairway through NoR (SecondLife, Machinima, MMORPG)


④西脇睦宏
 西脇睦宏という人はMusic Box、つまりオルゴール音楽の第一人者で様々なジャンルの名曲にオルゴール・アレンジを施してヒーリング・ミュージック化してしまう音の魔法使いみたいなアーティスト。ゼップの「階段」も原曲のメロディーの髄を見事に引き出されて美しいオルゴール・ミュージックに仕上げられており、疲れた時なんかに聴けば癒されること間違いなし。特に後半のペイジのギター・ソロのパートがオルゴールの音色で忠実に再現されているところが何気に凄い。小さな赤ちゃんのいるロック・ファンにオススメの逸品だ。
MutsuhiroNishiwaki


⑤Bass Zeppelin
 最後は珍盤中の珍盤、 “日本音圧協会認定”(笑)の世界BASS名鑑シリーズ(←他にパープルやクイーンのもあるらしい...)の一つ「Stairway To Bass Heaven ~天国への重低音~」である。この “ベース・ミュージック” というのはクラブ・ミュージックの1ジャンルのことで、スーパーウーハーを積んでブーミーな重低音をボンボン外へ響かせながら走っているアホな車を時々街中で見かけるが、要するにそういう類の垂れ流し音楽だ。私はブレイクビーツとかドラムンベースとか呼ばれるこの手の音楽は全く趣味じゃないので今まで眼中になかったが、豹柄Tバックに尻のアップという品性下劣なエロジャケと “重低音でゼッペリン” というシュールなコンセプトに興味を引かれ、ヤフオクで送料込みで170円という安さに釣られてサクッと落札。中身の方はジャケットのような奇天烈なインパクトはなく、気怠い女性ヴォーカルをフィーチャーした打ち込み主体の凡庸なカヴァーという感じだ。それにしてもゼップのトリビュート盤でこのジャケットはいくら何でもありえへんわ...(>_<)
Bass Zeppelin - Stairway to Heaven

「天国への階段」カヴァー特集④ ~他ジャンルのアーティストによる名カヴァー編~

2013-01-20 | Led Zeppelin
 レッド・ゼッペリンの楽曲は彼ら独特のグルーヴと一体化して初めて成立する類のものなので、他アーティストによるカヴァーというのは思いのほか少ないのだが、この「天国への階段」だけは別で、ロック以外のジャンルのアーティスト達も積極的にこの曲を取り上げている。ということで今日は、スパニッシュ・ギターからフォークロア、ブルーグラスにテクノ・ダンス・ポップ、そして最後はクラシックのオーケストラと、様々な解釈で楽しむ「階段」特集です。

①Rodrigo Y Gabriela
 私は以前から「天国への階段」の色んなカヴァーを集めているのだが、今回の特集をきっかけに改めて YouTube で徹底検索、新たに発見したものの中で一番の収穫といえるのがこのロドリーゴ・イ・ガブリエーラというギター・デュオ。二人はメキシコ出身で今はアイルランドを拠点に活動しており、元々スラッシュ・メタル・バンドをやっていたというだけあって、ラテン/フラメンコをベースにロック、ブルース、ジャズといった様々なジャンルのスタイルをミックスしたようなそのユニークな音楽性が、スパニッシュ・ギターといえばパコ・デ・ルシアぐらいしか知らなかった私の耳に衝撃的に響いたのだろう。とにかく2本のアコギだけでこれほどエネルギーに満ち溢れた情熱的なサウンドを生み出すとは只者ではない。「激情ギターラ」(←こっ恥ずかしいこの邦題、もうちょっと何とかならんかったんか...)というCDに付いていたDVDに収録されていた「階段」のライヴ・パフォーマンスもめっちゃカッコ良くて、特にボディーを叩きながらリズムを取るガブリエーラのプレイは何度見てもスリリング!!! テクニカルな速弾きを披露するロドリーゴも絶好調で、2分48秒からのジャガジャーン♪に始まる超絶技巧を駆使した後半部の盛り上がりは鳥肌モノだ。
Stairway to Heaven live (Rodrigo y Gabriela)


②Del Pueblo Del Barrio
 私は数年前の第一次「階段」マイ・ブームの時に100近いカヴァー・ヴァージョンを集めたが、その中で一番気に入ったのがこのデル・プエブロ・デル・バリオだった。「Escalera Al Infierno」というタイトルが付けられたこの曲、クレジットは “Page/Plant” ではなく “Agustin Bustos” となっているのだが、メロディーのモチーフになっているのはどこをどう聴いてもゼップの「階段」以外の何物でもない。因みに「Escalera Al Infierno」をネットの自動翻訳にかけるとスペイン語で「地獄への階段」という意味らしい。 なるほど、そーゆーことか...(^.^)  以前に一度このブログで取り上げた時にも書いたが、ジプシー・キングスを想わせるハイテンションでエモーショナルな歌と演奏が心の琴線をビンビン刺激する名カヴァーだ。
Del Pueblo...Del Barrio - Escalera al infierno (videoclip)


③Nashville Super Pickers
 レッド・ゼッペリンがアメリカで圧倒的な支持を受けている理由の一つに彼らの音楽性が内包しているカントリー・ミュージックの薫りが挙げられると思うのだが、そのせいかカントリー/ブルーグラス系アーティストによるゼップのカヴァー/トリビュートは結構多い。中でも私が気に入っているのがナッシュビルの凄腕セッション・ギタリスト達で結成されたナッシュビル・スーパー・ピッカーズというグループによる「ピッキン・オン・ゼッペリン ~ア・トリビュート~」というアルバムで、ギター、マンドリン、バンジョー、フィドル、ハーモニカetc といった楽器が一致団結して作り上げるブルーグラスなサウンドで聴くゼップというのも中々オツなモノだ。
Stairway To Heaven Instrumental Bluegrass Version- Led Zeppelin Cover


④EtCetera Theatre Company
 エトセトラ・シアター・カンパニーという謎のユニットによるこの「階段」は例の「ザ・マネー・オア・ザ・ガン」からのもので、ゼップの名曲で踊ってしまおうという大胆不敵な発想が面白い。ファルコ(←元斗皇拳のファルコではありません...)の「ロック・ミー・アマデウス」にトーキング・ヘッズを少々振りかけてレンジでチンして一丁上がり、といった感じ(?)のキャッチーなテクノ・ダンス・ポップに仕上がっており、さながら「ロック・ミー・ゼッペリン」といった按配だ。
Stairway to Heaven EtCetera Theatre Company


⑤The London Symphony Orchestra
 私がクラシックを全く聴かないのは曲も演奏も退屈すぎて眠くなってしまうからだが、このロンドン・シンフォニー・オーケストラによる「階段」は結構好き(^.^)  クラシック界の巨匠カラヤンが “私がオーケストラで演奏するとしてもこれ以上のアレンジを必要としない名曲” と絶賛しただけあって、ここでも原曲に忠実な器楽アレンジが施されており、ドラマチックな盛り上がりを見せるスケールの大きい演奏はロック・ファンも一聴の価値アリだ。
The London Symphony Orchestra-"Stairway to Heaven"

「天国への階段」カヴァー特集③ ~意外なアーティストによるカヴァー編~

2013-01-16 | Led Zeppelin
 「天国への階段」特集第3弾は、 “エッ、こんな人も「階段」やってんの?” 的な、ちょっと意外なアーティストによるカヴァー編です。

①Pat Boone
 このパット・ブーンとはもちろん「砂に書いたラヴレター」の、あのパット・ブーンである。ハードロックとは最も縁遠い軟派ななイメージしかないこの人が何をトチ狂ったのか(←失礼!)60才を過ぎた老体でゼップをカヴァーしたというだけでもアリエナイザーなのだが、この曲が収められている1997年リリースのアルバム「イン・ア・メタル・ムード ~ノー・モア・ナイス・ガイ~」(邦題が「メタルバカ一代!」って... ナメとんのか!)では他にもパープル、メタリカ、ガンズ、オジー、AC/DC、ヴァン・ヘイレンなんかの曲もやっているのだがらコレはもう開いた口が塞がらない(゜o゜)  日本で例えるなら加山雄三が B'zの曲をシャープス&フラッツの伴奏で歌ってるような感じ(笑)なのだが、ハードロック/へヴィー・メタルの名曲の数々をゴージャスなビッグバンド・アレンジで歌う還暦ポップス・シンガーのチャレンジ精神(or 遊び心???)が生んだ抱腹絶倒の1枚と言えるだろう。それにしても少女マンガじゃあるまいし、ジャケットの眼光キラリにはクッソワロタ(^.^)
Pat Boone Stairway to heaven


②Dolly Parton
 私はドリー・パートンのかなりのファンで、CDも何枚か持っている。カントリー界の大物でありながら、ジャンルの枠にとらわれずにポップスの名曲を意欲的にカヴァーする姿勢が素晴らしい。彼女はこれまでもメリー・ホプキンやジャニス・ジョプリン、ボブ・ディランなどの曲をカヴァーして楽しませてくれたが、さすがにレッド・ゼッペリンの曲をやるとは思ってなかったので、2002年リリースの「ヘイローズ・アンド・ホーンズ」でこの「階段」を取り上げたのにはホンマにビックリ(・o・) バンジョーやヴァイオリンといったカントリー楽器を大量投下、原曲のメロディーを崩さずに、繊細さと力強さのバランスが絶妙な透明感溢れるヴォーカルによって曲を完全に自分の色に染め上げているところが凄い。カントリー/ブルーグラス、ポップス、ゴスペルと、幅広い音楽性に裏打ちされた珠玉の逸品だ。
Dolly Parton - Stairway to Heaven Live


③桑田佳祐
 音楽界がアンプラグド・ブームで盛り上がっていた1991年に桑田師匠は様々な洋楽ロックの名曲をアンプラグド・カヴァーする「アコースティック・レヴォリューション」というライヴを新宿のライヴハウス “日清パワーステーション” で行っており、ビートルズやディラン、クラプトンに混じってゼップのこの曲も取り上げている。とにかくどこを切っても桑田節が全開で、このカヴァー企画を単なる模倣に終わらせてなるものかという気概、そして原曲への愛とリスペクトが感じられるところがいい。このくずしの妙味にハマるとクワタ・ワールドから抜け出せなくなること間違いなしだ。
Stairway To Heaven


④本田美奈子
 何と、2005年に白血病で亡くなった本田美奈子が歌う「天国への階段」である。これは彼女の死後にリリースされた拾遺集「心を込めて」に収録されていたもので、元々は彼女が存命中の2003年に制作された彼女のソプラノ・アルバム「AVE MARIA」のセッション時にレコーディングされたというだけあってクラシック志向が強いアレンジになっているのだが、この曲が内包している “ちから” ではなく、メロディーの上澄みのキレイキレイな部分だけを模倣したクラシック臭さが鼻につくし、透き通るような彼女のソプラノ・ヴォイスも私にはちょっとキツい...(>_<)  やっぱり本田美奈子はお上品なソプラノよりも、腰を振り振り歌う「1986年のマリリン」の方がエエわ(^.^)
本田美奈子~天国への階段 Stairway to Heaven(カヴァー曲)


⑤Frank Zappa
 名前はよく聞くのに実際にアルバムを1枚も聴いたことがないアーティストが私には何人もいるが、フランク・ザッパもそんな一人。昔どっかで聞いた曲が気持ち悪いぐらいアヴァンギャルドな作風で、前衛嫌いの私はそれ以来ザッパを避けるようになった、というのが実情だ。しかし1988年のライヴを収録したアルバム「ザ・ベスト・バンド・ユー・ネヴァー・ハード・イン・ユア・ライフ」に入っているこの「階段」は、所々エキセントリックな音が飛び出すものの、想像していたよりも遥かにストレートな演奏で、これなら私でも大丈夫。ペイジのソロ後半をホーン・セクションで再現しているところなんか実にユニークだ。
Frank Zappa 1988 03 23 Stairway To Heaven
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「天国への階段」カヴァー特集② ~ケッサク・パロディー編~

2013-01-12 | Led Zeppelin
 「天国への階段」特集パート2は “もしも○○が「天国への階段」をカヴァーしたら...” というノリの “ケッサク・パロディー編” をお届けします。

①The Beatnix: もしもビートルズが「天国への階段」をマージー・ビートでカヴァーしたら...
 「抱きしめたい」そっくりなメロディーに「天国への階段」の歌詞を乗せ、途中「シー・ラヴズ・ユー」に寄り道しながらビートリィなコーラスと手拍子でコテコテの初期ビートルズ・サウンドに仕上げ、後半は「ツイスト・アンド・シャウト」大会へとなだれ込むという抱腹絶倒の展開が楽しいザ・ビートニクスはオーストラリアのビートルズ・トリビュート・バンド。下に貼り付けたのは前回紹介したテレビ番組「ザ・マネー・オア・ザ・ガン」出演時の演奏で、4人の細かい動きまでよく研究してるなぁと感心してしまう。これでジョン役の人がもっと両足を踏ん張ってガニ股でギターを弾いてくれてたら完璧やったのにね...(^.^)
Stairway To Heaven - The Beatnix


②The Australian Doors Show: もしもドアーズが「天国への階段」をサイケにカヴァーしたら...
 これはちょっと凄いです... このオーストラリアン・ドアーズ・ショウはその幽玄な彷徨ヴォーカルといい、ヘヴィーなオルガンのサウンドといい、妖しげでサイケな雰囲気といい、本物が演ってるって言われたら信じてしまいそうなぐらいドアーズそっくり。彼らはオーストラリアが誇るドアーズ・トリビュート・バンドで、「天国への階段」を「ホェン・ザ・ミュージックス・オーバー」化したこの演奏は①同様「ザ・マネー・オア・ザ・ガン」からの映像だが、ホンマにそこまでやるか...という感じのなりきりぶりはドアーズ・ファン必見だ。
Stairway to Heaven The Australian Doors


③Me First And The Gimme Gimme: もしもラモーンズが「天国への階段」をパンク・カヴァーしたら...
 ミー・ファースト・アンド・ザ・ギミ・ギミズはロックやポップスの名曲を片っ端から高速化していくパンク・カヴァー・バンドで、ラモーンズを想わせる高速ダウンストローク主体のラウドなギターが轟きわたる疾走系ロックンロールは痛快そのもの。エキセントリックなギター・ピック・スクラッチも効果抜群だ。欲を言えば後半のギターソロのパートもやって欲しかったが、演奏の短さもラモーンズの遺伝子を受け継いでいるということか。とにかくこのバンド、パンクルズあたりが好きな人なら絶対に気に入ると思う。
Me First And The Gimme Gimmes - Stairway To Heaven


④Neil Pepper: もしもエルヴィスが「天国への階段」を白のジャンプスーツでカヴァーしたら...
 エルヴィスのモノマネ芸人、ニール・ペッパーが「ザ・マネー・オア・ザ・ガン」でエルヴィス版の「階段」に挑戦、薄っぺらいヴォーカルはエルヴィスとは比ぶべくもないが、「階段」を「ラスベガス万歳!」と組み合わせた斬新な発想と見事なアレンジ力には唸ってしまう。特に “Ooh it makes me wonder♪” のラインをサビの “Viva Las Vegas♪” のメロディーに乗せる所なんかもう最高だ。因みにエルヴィスの信奉者であるロバート・プラントもこれを大いに気に入っているらしい...(^.^)
Stairway to Heaven Elvis


⑤Rolf Harris: もしも横山ホットブラザーズが「天国への階段」を洋風音曲漫才でカヴァーしたら...
 コテコテ関西人の私としてはやはりこのロルフ・ハリスを取り上げないワケにはいかない。ノコギリこそ使っていないが、そのホワホワした浮遊感のあるサウンドはまさに横山ホットブラザーズ! 笑いのツボは万国共通なのか... まぁここはひとつ広~い心で愉快なゼッペリン・カヴァーを愉しみたい。でもこんなんばっかり聴いとったたらそれこそ “おまえはアホか~♪” って言われそうやけど...(笑)
Stairway to Heaven Rolf Harris

「天国への階段」カヴァー特集① ~異色の女性ヴォーカル編~

2013-01-09 | Led Zeppelin
 年末からお正月にかけて年をまたいで続けてきたレッド・ゼッペリン祭りは「祭典の日~奇跡のライヴ~」DVDの3連投稿でお開きにするつもりだったのだが、ケネディーセンター・トリビュートでのアン&ナンシー姉妹による「天国への階段」に大感動したせいもあって、もう少しゼップ・ネタでいってみようと思い、今度はゼップのカヴァーを特集してみることにした。トップバッターはもちろん「天国への階段」である。この曲は彼らの持ち歌の中でも被カヴァー率が断トツに高く、ピンからキリまで併せるとその数何と100以上というから凄まじい。ということで「天国への階段」特集パート1はお洒落系から疾走系まで色々取り揃えた “異色の女性ヴォーカル編” でいってみます。

①Bellanova
 ベラノーヴァはイタリアの女性シンガーで、お洒落なラウンジ~チルアウト系ヴォーカルが耳に心地良い。バックのアコギもめっちゃエエ味出してて言うことナシ。ジャケットはギターのフレットを天国への階段に見立てたものだ。それにしてもゼップの「階段」がこんな雰囲気抜群のライトなボッサになるとは...(・o・) この人は同じ路線でビートルズをカヴァーした「アンド・アイ・ラヴ・ヒム」も超オススメなのだが、どちらもCD化はされておらず12インチ・シングルも既に廃盤、今では mp3 ダウンロードのみで入手可能なようだ。
BelaNova- Stairway to Heaven


②Whipper Snappers
 オーストラリアのテレビ番組「ザ・マネー・オア・ザ・ガン」の最後に毎回ゲストが「天国への階段」を自己流スタイルでカヴァーするコーナーがあり、ユニークなヴァージョンが数多く生まれたのだが、この②以降はすべて同番組の出演者。中で一番気に入っているのがこのホイッパーズ・スナッパーズで、フロントの女性二人が織りなすコーラス・ハーモニーがたまらなく気持ちイイ(^o^)丿 あのドラマチックな「階段」を換骨奪胎してバングルズを想わせる溌剌系ガールズロックに仕上げたアレンジ力に脱帽だ。
Stairway to Heaven The Whippersnappers


③Kate Ceberano & Ministry Of Fun
 メルボルン出身のケイト・セベラノはポップスからジャズまでこなすヴァーサタイルな女性シンガーで、この曲でもエニグマっぽいダンス・ビートと彼女の伸びやかで深みのある歌声が絶妙なマッチングをみせている。う~ん、めっちゃグルーヴィー(≧▽≦)  尚、彼女によるフリートウッド・マックの「ゴー・ユア・オウン・ウェイ」カヴァーも YouTube にアップされてるので気に入った方はどーぞ。
Stairway to Heaven Kate Ceberano and The Ministry of Fun


④Helen Jones
 「ザ・マネー・オア・ザ・ガン」に登場した女性シンガーのうち異色中の異色と言えるのがこのヘレン・ジョーンズ。これがあのヘヴィーロックの王者レッド・ゼッペリンの「階段」なのか、と思わせるようなレトロな雰囲気横溢のジャジーな女性ヴォーカルに仕上げている。ちょっと短すぎるのが玉にキズだが、その気怠いヴォーカルはムード満点だ。
helen jones- Stairway to Heaven Toots.mp4


⑤Toys Went Berserk
 トイズ・ウエント・ベルセルク(←ワケの分からんバンド名やな...)はシドニーを中心に活動していたガレージロック・バンドで、「レッド」期あたりのメタル・クリムゾンのへヴィネスと初期のU2の攻撃性を併せ持ったようなアグレッシヴな演奏をバックに不機嫌なクリッシー・ハインドみたいな(?)歌い方をする女性ヴォーカルという組み合わせが実にユニークで面白い。特に疾走感溢れる中間部なんかもう快感!の一言に尽きる痛快なカヴァーになっている。
Stairway to Heaven Toys Went Berserk

Celebration Day DVD / Led Zeppelin (Pt. 3)

2013-01-05 | Led Zeppelin
 ダブルネックといえば当然もう一曲... そう、⑫「ザ・ソング・リメインズ・ザ・セイム(永遠の詩)」である。ペイジはのっけからエンジン全開で軽快なリフをバリバリ弾いていく... いや、弾き倒すと言ってもいいかもしれない。プラントも「プッシュ!プッシュ!」連発でノリノリだ。ジェイソンのキレは抜群で父親を彷彿とさせる豪快なドラミング... 彼がジョーンジーと共に音楽の土台をしっかり支えることによって圧倒的な空間を作り出す “バンドの力” が戻ってきたのだろう。これが “ケミストリー” というやつかもしれない。とにかくこの曲では彼ら4人のバンドとしての一体感を思う存分味わうべしだ。演奏が終わった後、プラントが “ジェイソン・ボーナム、ドラムス!” と紹介するとジェイソンが腕に彫ったボンゾのシンボルマーク “3つの輪” のタトゥーを指差すシーン... これにはめっちゃ感動した。ホンマに “見事な腕” である。ボンゾもきっと彼のことを誇りに思っていることだろう。
Led Zeppelin - The Song Remains The Same - Celebration Day - Full Version


 ジョーンジーのキーボードで始まる⑬「ミスティ・マウンテン・ホップ」はライヴ・ヴァージョンを聴いて好きになった曲で、 “クライマックスへ向けてどんどん加速していく” 感じがたまらないドライヴ感溢れるナンバーだ。ジェイソンが叩き出す重厚なビートに乗ってプラントが水を得た魚のようにシャープな動きで溌剌としたヴォーカルを聴かせてくれるのが嬉しい。曲が終わった時にプラントはジェイソンに向かって “やるねぇ!” という仕草で彼のドラミングを称えている。又、バックの巨大スクリーンを彩るカラフルでサイケなグラフィックが曲想と見事にマッチしているのにもご注目。この曲に限ったことではないが、このコンサートのスクリーン担当者はホンマにエエ仕事してまんなぁ...(^.^)
Led Zeppelin - Misty Mountain Hop [Celebration Day] HD,HQ


 アンコール前の本編最後の曲はゼッペリン・グルーヴの極致、⑭「カシミール」だ。地響きを立てながら轟きわたるジェイソンのドラミングの一発一発の重さがビンビン伝わってきて圧倒されるし、ペイジはペイジで昔のようにステップを踏みながら中毒性の高いリフを刻み続ける。背筋がゾクゾクするようなこの感覚がたまらんのよね。シャンパンレッドのレスポールがカッコエエなぁ(^o^)丿 ゼップ・サウンドを陰で支える仕事人、ジョーンジーは黙々とキーボードに向かっているし、プラントはもう威風堂々といった感じで自信に満ち溢れており、そのシャウトはとても還暦前とは思えないほど伸びやかでパワフル。得意の “ママママママ...♪” も聴けて言うことナシだ。そんな4人の演奏が有機的に絡み合って唯一無比のグルーヴが生まれる様はまるで全盛期の彼らを観ているかのようで、“ここにレッド・ゼッペリン完全復活!” と大声で叫びたくなってくる。間違いなくこの曲が今回のライヴのベストトラックだろう。演奏を終えステージ前に並んで一礼するメンバーの表情も清々しい。
Led Zeppelin - Kashmir - Celebration Day


 アンコールの1曲目は⑮「ホール・ロッタ・ラヴ」だ。あの耳慣れたイントロ・リフが響き渡ると場内は凄い盛り上がりで、サビでは大合唱が沸き起こる。汗だくになりながらもクールにリフを弾き続けるペイジに痺れマス。間奏でレーザー光線が飛び交いプラントが “ママママママ...♪” の大盤振る舞いをする中、満を持して登場するのがペイジのテルミン(←アンテナに手を近づけたり遠ざけたりして音をグニョグニョにする電子楽器)だ。大きく腕を振りながらMr.マリックも顔負けのハンドパワー(?)で音を自在に操る姿がカッコイイ(^o^)丿  テルミン・ホワイ?などとダジャレを言っている場合ではない。この混沌とした幻想的なパートがあるからこそ後に続くギター・ソロが一層際立つのだ。後半部はもう鳥肌モノの凄まじさで、すべてを超越した音楽が持つダイナミズムに圧倒される。やっぱりレッド・ゼッペリンは凄いわ... (≧▽≦)
Led Zeppelin - Whole Lotta Love (Celebration Day) Clear Video


 ⑮を終えて4人は一旦引っ込むが、会場を埋め尽くした1万8千人のオーディエンスはライヴ・エイドでもアトランティック40th でも演った “あの曲” をまだ演ってないことをよ~く分かっていてアンコールを求める拍手が鳴りやまない。そして地鳴りのような大歓声の中、4人が再び登場し、待ちに待った “あの” ドラムのイントロが... 2度目のアンコール曲はもちろん⑯「ロックンロール」だ。ステージ中央に仁王立ちでポーズをキメるプラントのカッコ良さを何と表現しよう? ペイジはもうノリノリでインスピレーションの趣くままにグルーヴ感溢れるソロを弾きまくる。ジョーンジーも楽しくてたまらんという表情だ。そしてこの夢のような時が終わるのを惜しむかのようにプラントが “Lonely lonely lonely...♪” を何度も繰り返した後、3人がジェイソンのドラム・セットの前に集まり客席に背を向けて見守る中、この日のMVPジェイソン怒涛のドラム乱打でショーはフィナーレ。3人にとってジェイソンはきっと “可愛くてたまらない甥っ子” のような存在なのだろう。涙目で客席に向かって礼をするジェイソンを称える3人の姿にウルッときていると、背後のスクリーンいっぱいに誇らしげに「LED ZEPPELIN」の電光ロゴが... 何という感動的な演出だろう! 私なんか何度観てもここで感極まってしまうのだが、それはまるで “LED ZEPPELIN が帰ってきたぜ!” というメッセージのように思えた。
 英語の諺に “See Naples and die.”(ナポリを見てから死ね)というのがあるが、何十年も前に解散したバンドのマジックが再び生まれる瞬間を見事に捉えたこの “奇跡のライヴ” DVD はまさに “See ZEP and die!” と言いたくなるような、ロック史上、いや音楽史上屈指のライヴ・ドキュメントである。私は彼らと同じ時代に生きていることを、そしてこのような感動を味わえたことを神に感謝したい。
Led Zeppelin - Rock And Roll (Celebration Day) Clear Video
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Celebration Day DVD / Led Zeppelin (Pt. 2)

2013-01-03 | Led Zeppelin
 「ブラック・ドッグ」で全盛期の勘を取り戻した彼らの凄まじい演奏に早くも背筋がゾクゾクしてきた。ここでペイジがギターを持ち替えて始まったのが④「イン・マイ・タイム・オブ・ダイング」... アルバム「フィジカル・グラフティ」の中でも三指に入る愛聴曲だ。この曲はメンバー間の息が合っていないとグダグダになってしまう危険性をはらんでいる難曲だと思うのだが、そんな不安を吹き飛ばすかのように70年代中期のあの一分の隙もないバンド・アンサンブルが見事に再現されており、ゼッペリン独特の重たいうねりを伴うグルーヴが会場全体を包み込む。曲が進むにつれてどんどん盛り上がっていく様はまさに圧巻で、この高揚感は他のバンドではちょっと味わえない。ペイジの粘っこいボトルネック奏法がたまらんたまらん(≧▽≦)
Led Zeppelin - In My Time Of Dying (Live at London, 2007)


 “次は初めてライヴで演る曲です...” というプラントの言葉で始まったのが⑤「フォー・ユア・ライフ」だ。普通、この手の再結成コンサートでは出来るだけ無難なセットリストにするものだと思うが、この大胆不敵な選曲は “単なる懐メロ大会にはしないぞ!” という彼らの挑戦的な姿勢の表れだろう。この曲は名盤「プレゼンス」のA面で超大作「アキレス・ラスト・スタンド」の陰に隠れて目立たない不憫なナンバーなのだが、なかなかどうして、こーやって聴いてみると単調なリフの繰り返しが結構クセになるスルメ・チューンだ。鋭いリフを刻み続けるペイジのカッティングが実にカッコイイし、変則ビートでガンガンプッシュするジェイソンも素晴らしい。
Led Zeppelin - For Your Life (excerpt from Celebration Day DVD)


 この⑤から中盤にかけて中後期のヘヴィーな曲が並ぶ。 “1935年にロバート・ジョンソンは「テラプレイン・ブルース」を録音した。これはゼッペリン版「テラプレイン・ブルース」だ。” というプラントの紹介で始まった⑥「トランプルド・アンダー・フット」はジョーンジーの弾むようなクラヴィネットが印象的なファンキー・ロック。後半部でプラントの “プッシュ、プッシュ!” も聴けて大満足だ(^.^)  バックの巨大スクリーンの演出がめっちゃカラフルでお洒落なのも◎。
Led Zeppelin - Trampled Underfoot (excerpt from Celebration Day DVD)


 ヴォーカルとギターのユニゾンで始まる⑦「ノーバディーズ・フォルト・バット・マイン」も実に引き締まった演奏で、うねるようなグルーヴを生みながら “ストップ&ゴー” をシャープにキメる4人がたまらなくカッコイイ。プラントのブルースハープも実にエエ味を出しているし、フランジャーでグニョグニョに歪ませたペイジのリフ攻撃は聴く者を快感へと誘う。3人が客席を背にし、ジェイソンを囲むようにしてプレイするシーンやペイジとジョーンジーがジェイソンのドラム・セットの前でアイ・コンタクトを取りながらプレイするシーンが印象的だ。
Led Zeppelin - Nobody's Fault But Mine (O2 2007)


 ⑧「ノー・クォーター」ではジョーンジーのキーボードがワウを使ったペイジのゆったりしたリフやバックの巨大スクリーンの映像と混然一体となって幻想的な世界を作り出している。何だか海の底に際限なく引き込まれていくかのような錯覚を覚えるスケールの大きな演奏だ。それにしてもペイジはワウ好っきゃねぇ...(^.^)  ⑨「シンス・アイヴ・ビーン・ラヴィング・ユー」は何と言っても艶っぽいギターの音色が聴き所。チョーキングのお手本のようなペイジのエモーショナルなプレイに涙ちょちょぎれる。
 続いてプラントの “こういった大舞台で演奏する曲を選ぶ時、絶対に外せない曲がある...” という紹介で始まるのが⑩「デイズド・アンド・コンフューズド(幻惑されて)」。曲の前半でワウを駆使して幻想的な世界を表現していたペイジがおもむろにアンプに近寄りサッと弓を手にする... “お約束” ともいえるボウイング(弓弾き)パフォーマンスの始まりだ。オーバーアクションでアピールしながら弓弾きを披露するペイジに観客は大喜び(^o^)丿  ペイジを囲むピラミッド型のレーザー光線も実にカッコイイ演出だ。それにしてもこの21世紀に弓弾きプレイを見れるとは夢にも思わなんだ。弓弾きが終わってポンと無造作に弓を投げるところ(←6分57秒あたり)も超カッコイイ(≧▽≦)
 ここでジェイソンのシンバル一閃と同時にバンドは鎖を解き放たれた猟犬のように疾走を開始、一気に沸点に達する怒涛の展開に圧倒される。バンドが一体となって生み出す破天荒なエネルギーの奔流はまるでラオウの天将奔烈、北斗剛掌波のような凄まじさ... これこそまさにレッド・ゼッペリンだ!!! そしてギンギンに盛り上げておいて最後は又スローなテンポに戻るという、この静と動の見事なコントラストがたまらない。とにかくハードロックというカテゴリーに収まり切らないゼップの多様性をまざまざと見せつけられる凄い演奏だ。
Led Zeppelin - Dazed and Confused (Celebration Day)


 歓声が鳴りやまない中 ステージが暗転すると、ロックファンなら知らぬ者はいないあの厳かなイントロのアルペジオが鳴り響く... そう、構造美の極致といえるゼップ不朽の名曲⑪「天国への階段」だ。スポットライトがステージを照らすとそこにダブルネックを持ったペイジの姿が浮かび上がるというドラマチックな演出に思わず “キタ━━━(゜∀゜)━━━!!!” と快哉を叫びたくなる。ダブルネックがこれほど絵になる男は未来永劫現れないだろう。
 しかし好事魔多しというべきか、この曲でも客席を映すシーンが数多くあるのだが、観客の多くがケータイでステージを撮影しており、暗い客席にボンヤリ浮かぶ無数のケータイ画面の明かりに物凄い違和感を覚えるのだ。それはこのDVDを観始めた時からずっと感じていたことで、アンタ達そんなことしててホンマにコンサートを楽しめてるんか?って思ってしまう。まぁ私が大のケータイ嫌いのせいなのかもしれないが、ハッキリ言ってせっかくのムードがブチ壊し(>_<)  ココはやはり昔ながらのやり方でライターに火を灯してもらった方がずっと絵になると思う。
 話をゼップに戻そう。後半のギター・ソロは無駄を削ぎ落としたような感じでシンプルそのもの。背後の巨大スクリーンにダブルネックと共に左右対称に映し出されたペイジのカッコ良さは筆舌に尽くしがたい。とにかく歌い終えた後の “ヘイ、アーメット、やったぜ!” というプラントの言葉がすべてを物語る感動的な演奏で、歴史的名曲に酔いしれたオーディエンスの大歓声が鳴り止まない。メンバーが万感の思いを込めてアーメット・アーティガンに捧げた「ステアウェイ・トゥ・ヘヴン」... 恩人への追悼曲としてこれ以上相応しいものはないだろう。 (つづく)
Led Zeppelin Celebration Day -Stairway to Heaven
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Celebration Day DVD / Led Zeppelin (Pt. 1)

2013-01-01 | Led Zeppelin
 新年あけましておめでとうございます。このブログもとうとう5回目のお正月を迎えることになりました。今年も本能の趣くままに自分の好きな音楽を紹介していこうと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

 昨年の11月にレッド・ゼッペリン1夜限りの復活コンサートの模様を収録したDVD「セレブレイション・デイ」が届いて以来、私は “ゼップ漬け”の日々が続いており、このブログもすっかり “レッド・ゼッペリン祭り” 状態になってきた。ということで2013年の記念すべき1st エントリーはその「セレブレイション・デイ」で決まりだ。
 このライヴは2007年の12月10日にロンドンのO2アリーナにおいて、彼らの友人で恩人でもあるアトランティック・レコードの創設者アーメット・アーティガンの追悼チャリティー・コンサートとして行われたもので、1万8千枚のチケットのオンライン抽選に全世界から2千万人が応募し “音楽史上最も入手困難なチケット” というギネス認定記録を打ち立てたという歴史的イベントだ。
 さすがに仕事を放り出してイギリスまで見に行く根性も甲斐性もなかった私は、コンサートの後 YouTube でライヴ映像を検索しまくったのだが、アップされてるのはオーディエンスがケータイで撮影した手ブレのヒドい映像ばかりだったし、かといってやらずボッタクリ商法のブートに手を出す気も更々なかったので、ただひたすらオフィシャルDVDがリリースされるのを待ち続けていた。
 それから5年が経ち、まさか、ひょっとしてこのまま出ぇへんのやろか... と不安に思い始めた矢先の昨年9月、アマゾンのトップページでこの「祭典の日 ~奇跡のライヴ~」DVDの発売告知を見て狂喜し即予約、2CD+DVD+ボーナスDVDという4枚組デラックス・エディションを奮発した。 YouTube にアップされたオフィシャル版予告編の映像がこれまた痺れるくらいカッコ良く、5年間待った甲斐がありそうだという期待で胸を膨らませながら11月の発売日を指折り数えて待った。
Led Zeppelin - Celebration Day Trailer


 届いたDVDを観てまず思ったのは、このライヴはこれまで3回の中途半端な再結成とは違い、メンバー全員が真剣に “レッド・ゼッペリン” と向き合い、見事にあのゼッペリン・サウンドを、あの唯一無比なグルーヴを再現しているということ。ベテラン・バンドの再結成にありがちな “昔の名前で出ています” 的なチャラい演奏はとは異次元の緊張感漲る凄いパフォーマンスの連続にゾクゾクさせられる。ペイジの指の動きがどーのとか、プラントの声が厳しくてキー下げの曲が多いとか、そういった諸々のアホバカ批評を木っ端微塵に吹き飛ばすかのように巨大な音の塊を紡ぎ出す彼らの演奏はライヴが進行していくにつれてどんどんノッてくるのが感じられ、改めて “本気になったレッド・ゼッペリン” がどれほど凄いのかを再認識させられた。
 ライヴは①「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」で幕を開ける。スティックのカウントに続いて バンバン♪ バンバン♪ という例の重たいイントロがスタジアムに鳴り響き、それにシンクロするように眩いライトを点滅させるという実にカッコ良いステージ演出に、観ている私のテンションもいきなりレッドゾーンまでハネ上がる。もちろん場内は大歓声大興奮だ。
 メンバーの表情はかなり緊張気味で、まだ手探り状態という感じ。特にプラントはかなり抑え気味のスタートだが、ジェイソンはいきなり全開モードで父親譲りのパワフルなプレイでヘヴィーなビートを叩き出し、70年代同様にどっしりと安定感のあるビートを刻むジョーンジーと共にあの1st アルバムのグルーヴを再現している。ペイジのギターは実にソリッドで贅肉を削ぎ落としたような感じ。その尖った音はヘロヘロだった80年代のペイジとは明らかに別人だ。そう、ついに “レッド・ゼッペリンのジミー・ペイジ” が帰ってきたのである(^o^)丿
 それと、このライヴで感心したのは実に考え抜かれたセットリストだということ。全16曲が織りなす大きな流れが完璧で、この曲はここしかない!という位置に置かれているように思う。現役時代にライヴでほとんど演ってないこの①をオープニングに持って来たこと自体、意外と言えば意外なのだが、そんなところにも彼らの揺るぎない決意のようなものが感じ取れる。この①は何と言っても1st アルバムの1曲目... ゼップの歴史はまさにこの曲から始まったのだから。
Led Zeppelin - Good Times Bad Times [Celebration Day] HQ


 ①に続いて間髪を入れずに②「ランブル・オン」が始まる。2nd アルバムのB面に入っていた地味なアコースティック・ナンバーを2曲目に持って来るとはこれまた意表を突く選曲で、曲調が穏やかということもあるかもしれないが、どちらかというと安全運転といった感じの演奏だ。
 しかし代表曲の一つである③「ブラック・ドッグ」あたりからプラントもエンジンがかかってきたようで全盛期を想わせる動きを随所に見せてくれるし(←歌い終えた後の満足げな表情がタマラン!)、ペイジはペイジで “世界最高のロックバンドのリード・ギタリスト” としての自信と風格が全身から漲っており、まるで往年のゼップが完全復活したかのようなスリリングな演奏を聴かせてくれる。その原動力になっているのが父親の魂が乗り移ったかのようなジェイソンの爆裂ドラミングで、問答無用のチカラワザでバンドをグイグイ引っ張っていく。彼が父親のプレイを限りなく再現できたことによってバンドのバランスが戻ってきたようだ。ドラムスが若干早めに入るアレンジも斬新で、曲にパワー・ブーストをかけたかのような躍動感を生んでいる。ジェイソン、GJ!!! (つづく)
Led Zeppelin - Black Dog - Celebration Day [OFFICIAL]
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