スイス公文学園 (KLAS) を知りたい!

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Dorm Life

2017年08月09日 | 日記
KLAS は全寮制学校です。
英語では「Boarding School」と呼びます。

本校の寮は100名を超す10代の若者が寝起きする生活の場。
(表題、英語圏の習慣で「Dormitory」を略して「Dorm=ドーム」と呼びます。)
生徒たちにとって寮生活とは、
自分たちの生活を管理し指導する保護者から離れての暮らしです。
当然、何らかの監督体制が必要なわけですが、
KLAS では、男女寮共に専属の職員が寮内に居住、常駐しています。

とはいえ、寮監督職員(男子寮の職員は「寮父」、女子寮の職員は「寮母」と呼びます)にも、
休養は必要なわけで、週の半ばの火曜と水曜は、彼らの休日。
その間に彼らに代わり寮を監督するのは、
日中教壇に立つ、教員の仕事です。
日本で言う「宿直勤務」です。
(英語ではこの仕事を「Night Duty」と呼びます。 2017年1月24日「夜のオツトメ」もご参照ください)


男性教員は男子寮、
女性教員は女子寮にそれぞれ泊まり込み、
夜間の監督に当たります。

輪番制で、およそひと月に一度この役目が回ってきますが、
昨晩、私は今期2度目の宿直の当番として勤務しました。

上記のように、未成年者の生活の場では、当然ながら様々なことが起きます。
過去にこのページで紹介した卒業生の言葉を読めばお判りになると思いますが、
本校の「人間教育」の最大の点は、この寮生活にあります。
卒業生たちが異口同音に語ります。
「寮生活で、自分を確立できた」と。

学級も学年も出身地も違う複数人が暮らす寮居室では、
常に他者を意識して時間を過ごさねばなりません。
彼らが体感するのは「自分の周りには他者がいる」という至極当然の事実ですが、
その当然の事実を理解しているか否かが、
若者の成熟を促す上で重要な鍵となるのです。

例えば価値観の相違から衝突が起きても、
その他者とどうやって話し合い、
どうやって折り合いをつけ、時に妥協し、時に主張し、
いかに解決の糸口を見出すのか、生徒たちはそのことを学んで行きます。
そして、そのような「揉まれ合い」を経験して3年間を過ごすと、
最後にはお互いを認め合い尊重する態度を身に付けるのです。

さて、私の昨晩の宿直勤務でも、
色々と対応を迫られることがありましたが、しかし概ね平和な一夜でした。

夜の学習時間後、宿直室でラーメンをすすりながら将棋をさす若者たちを眺めながら、
彼らの食欲に毎度驚かせられつつ、
何とも愛らしい彼らの姿に目を細める国語教師なのであります。





(写真は過去の記事からの再掲です)