スイス公文学園 (KLAS) を知りたい!

スイスの日本人学校の国語教師が
学校紹介 卒業生紹介 スイスでの生活など
スイスからの「生の声」をお届けします!

さくらの卯月

2017年04月06日 | 日記
日本では花見の盛りを迎えつつあるようですね。
日本のさくら並木の火を灯したような見事な花明かりには遠く及びませんが、
KLAS の校舎周辺に植樹して十数年が経つ桜も盛りを迎えています。




三月に校舎の中で咲いた桜は以前にお知らせしました。
(2017年3月2日 桜 三月 参照)
同じ場所に、今度は「復活祭」を象徴する動物が出現しましたので写真でお届けしますね。


日本人の桜に対する特別な思い入れは、世界でも稀に見る国民的嗜好だと感じています。

無論、欧州の人々にも豊かな自然を愛でる情感があることは言うまでもありませんが、
しかし、例えばテレビの全国放送のニュースで
「ある特定の植物の開花が、今日は○○で見られた、明日は少し北上した場所の△△で見られるであろう」
と報じるようなことは、私の知る限りありません。

「英国の庭園でバラが咲いた」
と報じられることはあっても、
そのことに大多数の国民が一喜一憂して最大に関心を寄せる、
このようなことは例えば BBC や CNN では見たことがありません。

逆に上記放送局で、
「日本人の桜に対する強い思いは、Teenager だった頃、恋人に寄せていた想いのようだ」
と報じられているのを目にしたことがあります。

日本人の桜好き。
中でも特に私は桜に強い想いを抱いているような気がしています。

3月生まれの私は幼少時から母に
「お前が生まれた時には裏庭の桜が満開で、それは見事だったんだよ」
と聞かされて育ちました。

また、横浜の実家の私が勉強部屋として使っていた二階の居室は、
北側の窓を開け放しておけば、
春先には桜吹雪が風に乗って室内に舞い散ってくるような場所でした。
窓から手を伸ばせば枝に触れられるほどに成長した裏庭の巨木は、
亡くなった祖父が私が生まれる数年前に植樹したもの。

青春時代を過ごした場所には常に桜の木があったということが、
「Teenager だった頃の恋人に寄せていた想い」
にも似た私の桜への愛着を支えているのかも知れません。

花の咲く 麗らかさこそ 胸に沁む 春の別れの 近き頃かな