Webcomic.tv

動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

紙の呪縛(iBooks Author制作日記27)

2013-03-27 19:46:15 | iPad版制作日記

上の画像は、制作中のiPad版電子コミック【ナナのかぼちゃパン】のストーリーボード用画像です。

ナナの父・雄作が、ナナのかぼちゃパンを美味しいと言わないので、ナナががっくりしてるシーン。

コマが重なってますが、それぞれが喋るときには喋るほうのコマが上にきたり、コマを大きくしたり小さくしたりします。もちろんキャラが熱く語るときは全画面に拡大して強調したりするわけです。

あれっ...これ前に書いたっけな!? う~ん、書いたかもしれないけど、新スタイルのマンガ表現に関してはこれまでもさんざん似たようなことを書いてきているので、多少の重複はご容赦ください( ̄∇ ̄;)ゞ。

上の画像では背景が壁のような質感ですけど、外の景色であればその背景を動かしながらコマ上で会話すれば、歩きながら(移動しながら)話している表現になりますよね。背景を奥行きの方向(Z軸)に動かすときは、3DCGで作っていて良かったと思う瞬間です。

コマの中でキャラがアニメしつつ背景画像も動く、コマを消して背景上でキャラがアニメする、等々ここにきて表現の自由度が自分の中でアップしてきているように思います。

その変化はiPad版の制作にとりかかる前と後で、その違いがあらわれたようです。

Web上でマンガを始めた当初は、普通のコマ割りマンガの形式に囚われていて、自由な発想ができませんでした。

まず白い画面を表示して、そこに1コマ目を表示しコマの中のアニメが一区切り着いたら、次のコマを表示。最終的にページがコマで埋まったら、そのページの表示完了という具合です。

最初に何も描かれていない白い画面を表示するのは、きっと真っ白いケント紙とかマンガ用原稿用紙のイメージが頭にあり、それを無意識のうちに再現していたのかもしれません。

静止画と文字だけじゃなく、アニメやサウンド・音声、インタラクティブ性などを使いこなしてマンガを描きたい、などと言いながら紙の呪縛からぜんぜん自由ではなかったんですね。

さてそんな状態がなぜ先ほど書いたように自由度がアップしてきたのか...。

今描いているiPad版電子コミックは、基本的にiPadを横向きにして読むことを想定しています。縦向きにしたときは、本編を補足するコンテンツ(今回はストーリーボード)が表示されます。

その横向きiPadのサイズでマンガを描き始めたことが、従来のコマ割りマンガの形式から自由になるきっかけだったのかもしれません。

まず背景を含む最初の静止画像を表示。その静止画像をタップするとHTMLウィジェットが起動し、マンガが動き始める。というのが現在「iBooks Author」で制作している【ナナのかぼちゃパン】の表示スタイルです。

もう白い紙を埋めていくというイメージを再現することにこだわることもなく、というか何でそんなことをしようとしていたのか(^^;)...、ページを表示し終わったときにすべてのコマがきっちり描かれていなくても気にならず、コマ無しで背景上でキャラが物語を進めてもいいし、背景の上にコマを表示してももちろんいいし、コマと背景がそれぞれ動いてもOK。

という自由度を得たような気分です\(=^▽^=)/。

「もう能書きはいいから、早く完成させなよ」という声がどこからか...。たしかにここのところ進んでいません。でも落ち込んでいてもしかたないので、明るくいきましょう!

能天気だね。




読者層について(iBooks Author制作日記26)

2013-03-15 18:37:24 | iPad版制作日記

iBooks Authorで作る電子コミック【ナナのかぼちゃパン】の制作日記26です。

短編作品をサクッと作ろうと思って取り掛かったこの【ナナのかぼちゃパン】ですが、麻雀のようにサクッとはいきませんでした。制作日記の回数だけは着々と積み重ねていますけど( ̄∇ ̄;)。

自分が作る電子コミックは、モデリングデータやオーサリングのテンプレート等、初めての作品では特に手間がかかってしまうので、準備不足でしたね...と言い訳しつつ本日のブログ「読者層について」です。

この【ナナのかぼちゃパン】は、読者層をほとんど考えずに描いています。制作がストップ中の【時空マジシャン】と【Wings ウイングス】も特にターゲットを想定しませんでした。

そもそも最初にwebcomic.tvサイトでウェブコミックなるものを描き始めたときは、「自分で好きなものを自由に描く」というスタンスで開始したので、そのまま読者層を意識しないで今に至るという感じです。

iPad版【ナナのかぼちゃパン】は、構想時に読者層のことは考えませんでしたがAppleの審査のことはちょっと考えました。なにしろAppleの審査を通らないとせっかく作ってもiBookstoreに並ばないので。

普通マンガは、少年マンガ・少女マンガ・青年マンガ等のジャンルや、掲載雑誌の読者層を考慮して描くものですが、そういうことを無視して描いていると、そこから何か見えてくるような気がします。

「このマンガ雑誌では、こんなキャラやストーリーがうけるんじゃないか」とか「うちの雑誌ではこのジャンルが足りないので...」というような前提抜きで描くと、たぶん作者が現在興味を持っているテーマが頭に浮かぶんではないでしょうか。

つまりそのように描かれたマンガは、今作者が何を考えているのかが見える、作者の頭の中が見える、等身大の作者が見える。

本当は、作者はそれを見てほしいのかもしれません。それを知ってほしいのかもしれません。自分はこんなことを考えているんだよと。これが自分なんだよと。

でも作者が今描きたいものを自由に描いたからといって、その作品がおもしろいかどうかは別問題です。

いつもスポーツマンガばかり依頼されるマンガ家は、スポーツマンガをおもしろく描けるからですよね。本人が本当は恋愛マンガを描きたくても...。

ミュージシャンが、自分がやりたかった音楽とは違う売れ線狙いの曲を事務所に強いられた、なんて話はよく聞きます。こちらもミュージシャンがやりたい音楽を自由にやれば、果たしてそれがファンが望むものと合致するのであろうか...という話になってくると思います。

同じようにマンガ家が描きたいものと読者が望むものは、必ずしもイコールではないんですよね。

売れ線狙いというとイメージが悪いですが、売れ線という言葉の中には、「難しくなく素人にも解り易い」とか「甘口でとっつきやすい」とか「派手で目に付きやすい」等々、万人受けする要素が含まれています。

紙の雑誌の時代は、ある程度万人受けする作品でないと掲載されなかったし、掲載されてもすぐに打ち切りでした。好き嫌いが分かれるような作品で、コアな読者がわずかな作家は難しかったわけです。

それが電子出版の時代になって、日本国内だけじゃなく世界というマーケットになった場合、コアな読者はわずかとはいえその読者達に向かって描いていくということでやっていける時代がくるのでしょうか。それともやはり、売れっ子作家だけにファンが集中して売れない作家との格差がますます広がるのでしょうか。

ある程度のコアな読者をつかみ、その読者に対して描いていける電子書籍時代が来ると良いのですが。

なんとなく寂しくまとまってしまった(-ω-;)。




Adobe Edge Animateのこと(iBooks Author制作日記25)

2013-03-07 19:31:36 | iPad版制作日記

ついに日本のiBookstoreでも、日本語電子書籍の販売を開始したようですね。自分はまだ電子ブックリーダーの最新バージョン「iBooks3.1」を試してないので詳細はわかりませんが、ようやく開店休業状態から動き出しましたか。

Appleとしては、Kindle Storeにあまり水をあけられると厳しくなるので、頑張ったんでしょうね。

『さあ、準備は整った!』...ってこればっかりですけど、私の電子コミック【ナナのかぼちゃパン】はいつになったら準備が整うんでしょうか(-_-)。

先日、電子コミックにちょっとしたインタラクティブな仕掛けを施そうとしてハマってしまいました。画面のキャラをタップしたらちょっと反応するといった程度のものなのに。

そもそもiBooks Authorで作るコンテンツに、HTMLウィジェットを貼り付けてマルチメディアコンテンツを作れる、しかも(Toolkit for CreateJSを使って)Flashアニメを挿入できるという非常にありがたい状況に満足していたので、今回の【ナナのかぼちゃパン】には複雑なインタラクティブな仕掛けは無しのつもりでした。

せいぜい下記のように、タイムライン上でフレームを指定してアニメをループさせるくらいに止めました。


/* js

this.gotoAndPlay("loop");

*/

(/* jsで始まるコメントブロック内にJavaScriptを書く)

ところが制作が進むにつれてだんだん欲が出てきて、『読者がキャラをタップしたら反応させたい』とか『これぐらいなら簡単にできそう』などと考えて、ちょっとやってみたりするわけです。

Toolkitでパブリッシュし、書き出されたJSファイルなどを開いて修正してみます。でもうまくいきません。『あれ?おかしいな...なんでだろう』というわけであれこれいじってはまっていくんですよね。

でネットで調べていたら、「Adobe Edge Animate」というツールについて書かれた記事を目にしました。Edge Animateは、HTML5ベースのオーサリングツールで、私も名前くらいは知っていました。

FlashとToolkit for CreateJSでHTMLウィジェットを作ろうと決めたときに、Edge Animateも選択肢の一つとして候補に上がりました。でも自分にとってはFlashという使い慣れたツールがあるわけなので、FlashとToolkitに即決でした。

「ちまみれマイ・らぶ」という押井守監督・原作によるコミックアニメーションがあります。コミックアニメーションは、各クリエイターがそれぞれの感性で描くデジタル時代の新しいマンガとのこと。

ついに出てきましたか!いや~、うれしいですねえ。デジタル時代ならではの新しい表現がどんどん出てきてほしいものです\(^Д^)/。

で、この作品のオーサリングにAdobe Edge Animateが使われているそうです。なんでも制作者がEdge Animateを試したところ、「ピタリとはまった」らしいです。つまりこの手の作品の表現に適したツールで、UIが初めてでも直感的に使いやすく、コードビューにJavaScriptを記述してコンテンツを自由に拡張できるとのこと。

なんとも良さげな雰囲気が伝わってくるではありませんか(゜ ー ゜#)。

昔の自分であればすぐに飛びついて、そのあげくおもいっきりツールに振り回されたりしたものですが、もはやその時期も通り過ぎました。

でもそのうちちょっと試してみようかなと(-ε-)~♪。

もちろん【ナナのかぼちゃパン】が完成した後ですけど。