OAインストラクターのオンとオフ

パソコンインストラクターshienaのお仕事と日常

「できなければいけない」という目線を捨てる

2014年03月18日 | インストコラム
今回の記事は、ご年配の受講生が多いパソコンスクールでのインストラクションに寄った
ものかもしれません。


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インストラクターは、常にフラットな目線で居るということが必要ですね。

目の前の生徒さんに対して、好き嫌いの判断をしないとか、思い込みで見ないとか。
どんな周囲の状況であっても、自分自身の感情がどのようであろうと、
受講生の前では常に「いつものインストラクター」で居るということ。とか。

そのラインのお話でもあるのですが、インストラクションする時に、
「できなければいけない、できるようにならないといけない(受講生が)」という
目線を捨てることって、大事だと思うんです。

インストラクター自身が「できなければ劣等生=ダメである」という教育の中で育ってきているため
知らずのうちにそういう価値観で「勉強」というものをとらえていることが、
原因の一つになっているのかもしれないなあ、なんて
フンワリ思ったりもするわけなのですが。

インストラクターの、そのような目線やスタンスは、
インストラクションにあまりよい形で出てこないなあと、感じています。

なかなかできるようにならないとか、何度も同じ質問をする生徒さんを目の前にすると
インストラクター自身の”いらだち”につながり、受講生に厳しく接するようになってしまいます。
あえて放ってみるとか、子供にしつけるような対応になるとか・・・。
それらは結果的に、受講生を委縮させることになり、「でない」をさらに助長させる
スパイラルにはまっていくのです。

そのあとは、負のスパイラルです。
さらにインストラクタはイライラして・・・受講生はさらにできず・・・、
受講生の自信喪失やストレスにつながり、最悪の場合教室やめてしまう・・・
ということにもなり得ます。

そういうケース、様々な場所で、たくさんたくさん、観てきました。


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人ってそんなにすぐに、できるようになりませんもの。
普段使わなければ、数日経ったら忘れちゃいますしね。
それに、色々な思いでみなさん通っているわけで、「しっかり習得しよう!!」という
熱い思いを持って、予習復習しっかりと!・・・という姿勢で通っているかたって案外少ないものです。

要は、できなくて当然なのです。

そう、「できなくて当然」というところをスタート地点に・・・そこをベースにいつも考える方が
優しいなって、感じています。


うまく表現するの難しいのですけど、心持としては、目の前の生徒さんは、
「できなくたって」いいんです。
裁かずに、受け入れるスタンスが良いのでしょうね。


できるできないじゃなくて、もっと大事なのって、楽しいか楽しくないか、だと思うんです。
もう、ここのブログで何度も繰り返し書いていることですが。

何年も前から、このことを思っていて、それは今もずっと変わっていません。

楽しければ、自然に受講生の力は伸びていきます。
「できるように」なんて思わなくたって、勝手に自然に、受講生はできるようになっていくのです。

目の前の受講生ひとりひとり、性格も価値観も、通っている目的も違いますから、
それぞれに、「楽しい」と思える形はきっと、違うでしょう。
それを、探していくのって、とても楽しいものです。

この人は、何を楽しいと感じるのだろう。
どういう形の時間が心地よく感じるのだろう。

人によってですね。
新しい機能をバンバン知ることが楽しいと感じる人もいれば、
インストラクタとおしゃべりしながら、少しずつ目の前のことをこなすのが楽しい人もいます。

目の前の人に合わせて、それぞれの「楽しい」や「心地よい」を見つけて
それに応じたやり方で、レッスン時間をご提供していくことこそが、すべてがうまくまわる
ベースになるんじゃないかなあって、思います。


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特にご年配は、本当に、ゆっくり時間をかけて、楽しんでいただくことが大事ですね。
年齢によって、ものごとを理解する速度も、キャパシティも、大きく変わってきます。

さらに、高齢になってからパソコンを始めた方は、とても繊細な方が多いです。
きっと、パソコン教室の扉をたたくこと自体がとても、敷居の高かったことかもしれません。
「迷惑かける」などというお気持ちを持ちながら、通っているかたも多くいらっしゃいます。

ゆっくりでも大丈夫ですよ、迷惑だなんてこと何もないですよ、
大丈夫大丈夫、忘れちゃったって大丈夫。
間違えちゃいました?あらら~、やっちゃいましたね~大丈夫ですよ(笑)って、
「できない」ことや「なかなかうまくいかない」ことも
一緒に笑い飛ばしちゃえるような「楽しい」空間をつくることが、優しさだなって、思います。

受講生の「不安」は、笑いで解していきましょう。
そう、インストラクタは「怖い」存在ではなくて「安心」する存在であれたらいいですね。

リラックスして楽しんでいただいて、ひとつできるようになって。
はやく出来なくたっていい、気づいたらひとつ、またひとつ、できていた・・・!っていう姿。

多分、その方がインストラクタ自身も楽しくできるんじゃないでしょうかね?

同時に、そういうスタンスでやっていると、できないところより「できた!」ところを
たくさん発見できるようにもなります。
案外・・・と言ったら失礼なのかもしれませんが、どんなご年配の生徒さんでも、進歩しているのですよ。
小さい進歩を見つけて、そこを大事にできたらいいですね。


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もし、目の前の受講生がいつまでもいつまでも、ずっとできるようにならなくて、
苛立っちゃっているインストラクタさんがいたら、
ちょっと一息、深呼吸をして、「できるように」なるやり方を捨てて、「楽しいと思える」やり方に
シフトしていくといいんじゃないかなあって、思います。


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■OAインストラクターのオンとオフ過去記事
 「楽しい講座とは」
 「ワクワクの力」
 「インストラクタはいつも笑顔で」

自分の変化

2014年03月08日 | インストコラム
私がインストラクターの仕事を始めたころはまだ、
パソコンインストラクターを本業にしているかたが、あちこちにたくさんいた時代でした。

色々な場所で、本当に、いろいろなタイプのインストラクタと出会ってきました。

駆け出しの頃・・・そうですね、まだ4年目くらいの時かな、
その頃に出会った、スパルタ先生たちを、今日ふと、思い出していました。

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職業訓練関係の講座で出会ったインストラクター(先生)です。
毎回、決められたカリキュラムを決められた時間の中で、キチッと進める、
そして、毎回の講座が完璧で、とてもわかりやすい。
ピリッとした空気をもってやっているメインの先生がた。

そう、もちろん、メインもやりますがサブもやります。
両方とも完璧にこなします。

完璧なだけに、ひじょ~うに「怖い」で有名な先生方もたくさんいたんです。

例えば準備が足りないサブがいれば、ビシーッ!としかる。

そうそう、よく覚えているのが、準備不足で講座の進行をきちんと把握していなかったサブが
言い訳で「家事が忙しくて・・・」というようなことを言ったら、ビシッと
「家事で忙しくて予習ができないなら、この仕事は今すぐ辞めてください」と言い放った事件。

当時、頑張っても頑張ってもまだまだ足りないという意識で、必死にやっていた私にとって、
「ひゃ~!」と、びっくりするエピソードでした。

当時は、いつ自分が怒られるかヒヤヒヤしていたし、
できるかぎりそういう怖い先生のサブには入りたくない~~などと、
戦々恐々としていました。
怒られたことはありませんでしたが(笑)

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そして今。

本当にびっくりするというか、面白い感覚なのですが、当時私が「怖い」と思っていた先生たちの
気持ちがすごくよくわかる、全く同じく思う瞬間がたびたび訪れる私が、居るのです。

「あれっ...これは...」と、気づいたとき自分でハッとしました。

さすがに、私も完璧ではないので、そうそう人のことビシッと叱ることはできませんし、
どんなインストであっても、一緒に組む人のよさを見つけてやっていこうという姿勢でいますが、
それでもやっぱり、準備してこないとか、勉強が足りない状態で
講座に入るとか、甘い状態でインストラクションするインストに会うと、
当時怖いと思っていた先生たちが言っていた言葉たちと、同じ言葉が
浮かぶのです。

メインインストラクター、サブインストラクター・・・ほか、
様々な形の場があると思いますが、
自分が受講生の目の前に立つときには、準備はできるかぎり完全にして行きます。
テキストの展開をおさえるのはもちろん、どこで何を伝えるのか、また、
時間配分、操作確認&検証と、疑問点を調べ上げる・・など必ず行います。
何を聞かれてもきちんとわかりやす答えられる準備等。

お金を払って来てくださっているお客様ですから、
私たちインストラクターは、聞かれたことに対して
きちんと、わかりやすく、答え説明する責任がありますし、
それが私たちの仕事の基本です。

また、受講生は、インストラクターのことは、
「何でもわかる」と、思っていますし、信頼してくださっています。
そのベースがあって、私たちの場所を選んで、お金と、
大切な時間を、かけてくださっています。

受講生に「?」を残したまま、「うーん?」というモヤモヤを残したまま・・・にするのは
いけないと思うのですね。
みなさまは、その「?」や「うーん?」を取り去るために通ってくださっているのですから。
そこのあたりは、慎重に、そして誠実にいたいと思うのです。

そうなるとやはり、出来る限り最上限の事前準備を
しておくことって必須なんです。

不器用なやり方なのかもしれませんが、
こうやって全力の11年間を過ごしてきた今、
当時出会った「怖い」インストラクターのみなさまは、
ああ、本物のプロフェッショナルだったんだなと、
心の底にストンと落ち着くように、気づきました。

11年やってきていてもまだ手が届かない、ストイックさがリアルに感じられて
リスペクトすると同時に、
恐れるべき人たちではなかったんだと、気づくことができました。

今になってようやく、ですね。


そして、今その先生たちの近くに立っているらしい自分自身を感じたら、
とても不思議な心地になっています。

ああ、もしかして、私って怖いのかな?とか思うこともあります(笑)
怒ったりはしませんけどね。

11年目の重み、というか。
ひとつのことを細々とでも突き詰め続けていると、人ってこうなっていくのかもしれません。

嬉しいのか悲しいのか、わかりませんが。
ただ、私にとってはとても、貴重でおもしろい気づきでした。