夜と霧

迷える子羊
ーこの場を借りて自分の考え方を確立したいと思っていますー

農業問題の所在

2012-01-19 20:50:58 | Weblog
農業問題には問題の所在に関する大きな誤解がある。
農業経営の問題と農業自体の問題である。
私たちは、農業を論じる時によくサクセスストーリーを持ってくる。うまく経営ができている農業、儲かる農業経営、そんなイメージ造りに躍起となる。
しかし、儲かっている農家はそれなりにある。しかし一方で耕作放棄など儲からない農業経営に満ちている。ことが経営だけの話であれば、農家の自助努力で十分である。儲かる農家があればよい。儲からない農家は市場から撤退すればよい。
しかし、農業には私たちを取り巻く環境を作る機能がある。私たちが私たちに近しい環境を求める時に農業が必要になる。都市近郊の住宅地がセイタカアワダチソウに包囲されては困るのである。ヤブ蚊の巣窟と化しては困るのである。
この意味で、儲かる農家が存在するだけでは問題の解決にならないのである。そこそこの農業であれば、みんなが儲かる、そういう農業でなければならない。農業が存在するのは公益なのである。一般に農業が儲かる時農業の継承、農業への個人の参入が初めて始まる。儲かるところだけを選択する、いいとこ取りの農業への企業の参入は決して公益ではない。利潤追求を徒に奨励することは政策ではない。
つまり政策としては農業の中で経営が成立することが問われているのではなく農業を儲かる産業にできるかが問われているのである。

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