渋いっ!僕らのTokyo Jazz Cruising♪~今夜も出航!~

Live cafe & bar 池袋Apple Jump(アップルジャンプ)店主の日誌

初めてのライブは混合ツイン・ボーカルで!

2008年02月23日 | ジャズ・ボーカル・ライブ
停泊地)吉祥寺STRINGS(08.2/10)
メインアーティスト)矢幅 歩(vo) ギラ・ジルカ(vo)小畑 和彦(g) 竹中 俊二(g)

当Blogでは、今までに約20ヶ所のライブ報告を実施していますが、その中で特にアクセス数が多かったのが「初めてのジャズ、初めてのラテン!」です。
何かのきっかけでジャズに興味を持った方が、「初めてのジャズ」というフレーズに導かれてアクセスされているようですね。あ、勿論多いといっても、数十万単位のアクセスがある“しょこたん”や“ガッキー”のBlogをイメージしてはいけませんよ。所詮インチキくさい船長のジャズのブログです。この怪しげでコアなクルージングにふさわしい数百という単位のお話です。

前回は、モヒカーノ関さんの、底抜けに楽しいラテン・インスト・ジャズを紹介しましたが、今回は、それに負けず劣らず、入門者でも充分堪能できる男女ツインボーカルのライブのご紹介です。

ということで、ストリングスのある地下へと階段を下りると既に演奏が始まっている。しまった!今日は日曜日で、この店はいつもより30分開始が早いんですね。船長が、こんな初歩的なミスをしてはいけません。
さて、ライブの構成としては、一部二部共に、前半と後半に豪華なツイン・ボーカルがあって、中ほどにそれぞれがソロで歌うという編成です。
一部で印象的だったのは、矢幅さんをフィーチャーした、ジョビンの名曲
「シェガ・ジ・サウダージ(想いあふれて)/NO MORE BLUES」
この曲は、今から50年前にジョアン・ジルベルトによって録音され、それがボサノバの
ルーツ(始まり)とされていることから、ブラジル音楽家にとっては聖歌のように扱われているようです。矢幅さんも思いが強すぎてなかなか人前では歌うことが出来なかったと前説されてました。

不思議ですね。ジャズの世界でこの曲は、「NO MORE BLUES」というイージーな英題が付けられ、ごく普通に歌われ、演奏されています。私もこの曲は、ジョビンの中でもフェイバリット・チューンの一曲ですが、この由来を今回はじめ知りました。
一般的に、スタンダードと言われる曲は、32小節で構成されているものが多いのですが、この曲は、68小節で出来ています。しかもかなり複雑。「チン、トン、シャ~ン」と鼻歌のように始まり、前半はマイナー調でブルージー。しかし後半から急に明るく(メジャーに)なりドラマチックに転調を繰り返しながらエンディングとなる、なかなかの難曲です。ジャズでは、テナーサックスのジョ・ヘンダーソンがピアノのイリアーヌと録音したバージョンが私のお気に入りです。
矢幅さんにとって機が熟したということでしょうか、とても素晴らしいパフォーマンスでした。
ライブでのMCはとても大切ですね。そういった思いを胸に今この曲を歌っているんですね、と言う受け手の感情が、パフォーマンスに増幅されて一層響いてきます。
矢幅さんは、ジャズの名門六本木サテンドールとブラジル音楽の殿堂プラッサオンゼの両方を出演されている貴重な演奏家ですね。垣根を越えてこういったアーティストが増えると良いですね。あ、勿論今回のギターの達人竹中さん、小畑さんにも垣根は全然ありません。

さて、二部に入るとギラ・ジルカさんの存在感がグーッとアップします。
ギラさんは、イスラエル系のハーフのようですが、神戸出身で、しゃべりはこてこての関西人。この方、生粋のエンターテイナーですね。おしゃべりも歌もとにかく楽しい。これは練習や訓練でどうにかなるものではありませんね。天性としか説明が付きません。

一曲目は、ブルースの「ルート66」。ギターの小畑さんがトイレに行こうとした時に、曲が始まってしまいました。すると、ギラさんはアドリブで、小畑さんがトイレに行って戻ってくるまでを実況解説した歌詞でこのブルースを歌って会場大爆笑となりました。
それからギラさんのソロで、オリジナルの「ステイ」と言う曲もなかなか感動のラブ・ソングでした。
そして、後半は、デュオになって、スタイリスティックスの名曲「誓い」、スティービー・ワンダーの「オーバージョイド」と素晴らしい歌声を堪能。
ラストはチック・コリアの「スペイン」。いつもこれで締めるんですと言っていたようにコンビネーション抜群の最高の「スペイン」を聞くことが出来ました。そして、アンコールはボズ・スキャグスの「ウィー・アー・オール・アローン」でしっとりと締めくくり。

いやー、とにかく楽しい。男女両方の歌声が楽しめて、しかもジャズ、ブラジル、ポップスと盛りだくさんの音楽を堪能しました。
今日はわずか20数名のキャパのライブでしたが、200人ぐらいいても全然圧倒できるぐらいのパフォーマンスの高さですね。
これ本当に「初めてのライブ」にお勧めです。というか、その内、沿線のスモールクラブでは見れなくなる可能性も有りますので、あまり知らせたくないんです。

このブログを読んだ方も、密かにこのコンビのライブを観にいってくださいね。

今夜は、足音を立てずに静かに船に戻ります!

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