停泊地)吉祥寺Strings(08.11/26)
メインアーティスト)宮嶋みぎわ(p)、高井亮士(b)、広瀬潤次(ds)
ゲスト:永山マキ(vo)
かなり乱暴な分け方だと承知で書きますが、ジャズ・ミュージシャンは、2つのタイプに大きく分類できます。
1)スタンダード・ナンバーを中心に、即興演奏をとことん追及するタイプ。
2)Original楽曲の作曲を中心に、独自の世界を創造していくタイプ。
恐らく、前者のケースが圧倒的に多いと思います。なにしろジャズの世界には、コール・ポーターやデューク・エリントンといった、偉大な作曲家の残した、ジャズの演奏に映える楽曲が山ほど有ります。
なにも自分が新しい曲を創らなくても、目の前にはいくらでも美味しい素材が溢れている訳ですね。
しかし、極まれにですが、後者のタイプで成功しているミュージシャンがいます。
私の場合、真っ先に思い浮かぶのは、ピアニストの国府弘子さんです。
既にリーダー・アルバムは、20枚以上リリースしていますし、500人とか1000人規模のホール・ライブを日常的にこなしている、文字通りジャズ・ピアニストの第一人者です。
しかし残念ながら、この実績のわりにジャズの世界では、あまり評価されていない様に感じます。
国分さんは、以前、インタビューで確か次のように答えています。
“私は、様々なジャンルの音楽家と共演することが多いのですが、クラシック系の方からは、ジャズを演っているコワい人のように思われるし、ジャズの人からは、ポップスのような軽い音楽を演っている人と扱われるし、何処にも居場所がないんです。”
国分さんのライブは、ビックリする様な超絶テクニックで圧倒するという類の演奏ではないんですが、演奏のクオリティーが高く、何よりも楽しくて、最後までオーディエンスを飽きさせません。
この独自の世界を切り開いている国分さんのようなミュージシャンがもっと評価され、それを目標とする若いプレーヤーたくさん増えてくれば、ジャズ・クラブももっと賑やかになるのになぁ、、、
さて、このOriginal楽曲の作曲を中心に、独自の世界を築き始めている貴重なミュージシャンが、本日紹介するmiggyこと宮嶋みぎわさんです。
宮嶋さんの音楽活動は、多岐にわたっています。
☆miggy+(ミギー、オーギュメントと読みます):宮嶋さんが作曲・アレンジしたオリジナル曲のみを演奏するビッグバンド。
☆hitme&miggy:サックス奏者山上一美さんとのDUOユニット。
☆Lynn:hitme&miggyにさらに、ツインボーカルが加わった変則カルテット。
☆ピアノトリオ
次々に楽想や企画が湧いてくるのでしょうか、何れもセッションのようなものではなく、それぞれのユニットごとに書き下ろしてアレンジされた楽曲が中心となって活動しています。
そして今夜のライブはピアノトリオに、『モダーン今夜』というユニットのボーカリスト永山マキさんがフィーチャリングされたセットです。
ライブの方は、2曲ほどオリジナルが続いた後、
“次はチャーリー・パーカーの「Confirmation」です。この曲は、恐れ多くてあまりプロのミュージシャンが取り上げないようですが、学生の頃から大好きで、なんか、自分の解釈がひょっとしたら的外れかもしれないけど、気にしないでやってみます!”と意外なことにこのビバップの代名詞とも言える曲が演奏されました。
これが実に軽快で楽しい。この曲のこんなポップな演奏は初めてです。
そして、二部の1曲目は、オリジナルの「パレード・オブ・プリン」。
これは、真夏に自宅でピアノを弾いているときに、好物のプリンがピアノの向こう側から列をなして押し寄せてくることを夢想したときに思いついて書いた曲だそうです。ちょっと、ソニー・ロリンズのラテン・ナンバー「St.Thomas」を連想させるご機嫌なナンバーです。
宮嶋さんは、社会人の経験が長かったからなのか、MCがとても上手で的確です。会場からも笑顔が絶えない楽しいアットホームな雰囲気でライブは進んでいきます。
次に、やはりオリジナルの「Grateful lights from the sea」。
悩み事があったり、行き詰ったりしたとき、よくお母様が夕日を見に、海に連れて行ってくれたそうです。
その時の思い出を曲にしたようですが、とてもドラマティックで雄大な曲で、本日の一番でした。これは、miggy+のCDの最後を飾る曲でもあるので、今度はジャズ・オーケストラバージョンでも聴いてみたいですね。
後半は、永山さんが参加して、エリス・レジーナで有名な「カイデントロ」やスタンダードの「But not for me」で締めくくり。こちらも、定番的な歌唱とは全くテイストの異なるポップな歌声でした。
永山さんは、ブラジル系シンガーでもジャズ・シンガーでもありません。自分に一番フィットする曲をジャンルレスで選択して歌っている感じです。
終演後少しお話をする機会ががあったんだけど、「わたし、ポップスなんです。」などと何故か恐縮してました。一応ジャズ系のライブハウスなので、“全然ちがうな!”なんて怒られると思ったのかな。
永山さん、ちょっとCoccoのような独特な雰囲気を持ったなかなか素晴らしいシンガーですよ。
今日は、miggy ワールド全開で、とても楽しく刺激たっぷりのライブを堪能しました。
昔から、ジャズの世界では、ポップで解りやすく楽しめるものを軽くみる雰囲気があります。
でもそんなことお構いなしにわが道を行く、このたくましいmiggyさんを、今後共注目していきたいです。
メインアーティスト)宮嶋みぎわ(p)、高井亮士(b)、広瀬潤次(ds)
ゲスト:永山マキ(vo)
かなり乱暴な分け方だと承知で書きますが、ジャズ・ミュージシャンは、2つのタイプに大きく分類できます。
1)スタンダード・ナンバーを中心に、即興演奏をとことん追及するタイプ。
2)Original楽曲の作曲を中心に、独自の世界を創造していくタイプ。
恐らく、前者のケースが圧倒的に多いと思います。なにしろジャズの世界には、コール・ポーターやデューク・エリントンといった、偉大な作曲家の残した、ジャズの演奏に映える楽曲が山ほど有ります。
なにも自分が新しい曲を創らなくても、目の前にはいくらでも美味しい素材が溢れている訳ですね。
しかし、極まれにですが、後者のタイプで成功しているミュージシャンがいます。
私の場合、真っ先に思い浮かぶのは、ピアニストの国府弘子さんです。
既にリーダー・アルバムは、20枚以上リリースしていますし、500人とか1000人規模のホール・ライブを日常的にこなしている、文字通りジャズ・ピアニストの第一人者です。
しかし残念ながら、この実績のわりにジャズの世界では、あまり評価されていない様に感じます。
国分さんは、以前、インタビューで確か次のように答えています。
“私は、様々なジャンルの音楽家と共演することが多いのですが、クラシック系の方からは、ジャズを演っているコワい人のように思われるし、ジャズの人からは、ポップスのような軽い音楽を演っている人と扱われるし、何処にも居場所がないんです。”
国分さんのライブは、ビックリする様な超絶テクニックで圧倒するという類の演奏ではないんですが、演奏のクオリティーが高く、何よりも楽しくて、最後までオーディエンスを飽きさせません。
この独自の世界を切り開いている国分さんのようなミュージシャンがもっと評価され、それを目標とする若いプレーヤーたくさん増えてくれば、ジャズ・クラブももっと賑やかになるのになぁ、、、
さて、このOriginal楽曲の作曲を中心に、独自の世界を築き始めている貴重なミュージシャンが、本日紹介するmiggyこと宮嶋みぎわさんです。
宮嶋さんの音楽活動は、多岐にわたっています。
☆miggy+(ミギー、オーギュメントと読みます):宮嶋さんが作曲・アレンジしたオリジナル曲のみを演奏するビッグバンド。
☆hitme&miggy:サックス奏者山上一美さんとのDUOユニット。
☆Lynn:hitme&miggyにさらに、ツインボーカルが加わった変則カルテット。
☆ピアノトリオ
次々に楽想や企画が湧いてくるのでしょうか、何れもセッションのようなものではなく、それぞれのユニットごとに書き下ろしてアレンジされた楽曲が中心となって活動しています。
そして今夜のライブはピアノトリオに、『モダーン今夜』というユニットのボーカリスト永山マキさんがフィーチャリングされたセットです。
ライブの方は、2曲ほどオリジナルが続いた後、
“次はチャーリー・パーカーの「Confirmation」です。この曲は、恐れ多くてあまりプロのミュージシャンが取り上げないようですが、学生の頃から大好きで、なんか、自分の解釈がひょっとしたら的外れかもしれないけど、気にしないでやってみます!”と意外なことにこのビバップの代名詞とも言える曲が演奏されました。
これが実に軽快で楽しい。この曲のこんなポップな演奏は初めてです。
そして、二部の1曲目は、オリジナルの「パレード・オブ・プリン」。
これは、真夏に自宅でピアノを弾いているときに、好物のプリンがピアノの向こう側から列をなして押し寄せてくることを夢想したときに思いついて書いた曲だそうです。ちょっと、ソニー・ロリンズのラテン・ナンバー「St.Thomas」を連想させるご機嫌なナンバーです。
宮嶋さんは、社会人の経験が長かったからなのか、MCがとても上手で的確です。会場からも笑顔が絶えない楽しいアットホームな雰囲気でライブは進んでいきます。
次に、やはりオリジナルの「Grateful lights from the sea」。
悩み事があったり、行き詰ったりしたとき、よくお母様が夕日を見に、海に連れて行ってくれたそうです。
その時の思い出を曲にしたようですが、とてもドラマティックで雄大な曲で、本日の一番でした。これは、miggy+のCDの最後を飾る曲でもあるので、今度はジャズ・オーケストラバージョンでも聴いてみたいですね。
後半は、永山さんが参加して、エリス・レジーナで有名な「カイデントロ」やスタンダードの「But not for me」で締めくくり。こちらも、定番的な歌唱とは全くテイストの異なるポップな歌声でした。
永山さんは、ブラジル系シンガーでもジャズ・シンガーでもありません。自分に一番フィットする曲をジャンルレスで選択して歌っている感じです。
終演後少しお話をする機会ががあったんだけど、「わたし、ポップスなんです。」などと何故か恐縮してました。一応ジャズ系のライブハウスなので、“全然ちがうな!”なんて怒られると思ったのかな。
永山さん、ちょっとCoccoのような独特な雰囲気を持ったなかなか素晴らしいシンガーですよ。
今日は、miggy ワールド全開で、とても楽しく刺激たっぷりのライブを堪能しました。
昔から、ジャズの世界では、ポップで解りやすく楽しめるものを軽くみる雰囲気があります。
でもそんなことお構いなしにわが道を行く、このたくましいmiggyさんを、今後共注目していきたいです。