瀬渡の蔵

管理人・「瀬渡」のゾイドとたまに日常を綴った記録の保管庫

第一章六節 疾風

2015年01月25日 18時20分09秒 | 連載
照りつける太陽がまぶしい。
広大な荒野の世界に白いオオカミ型の機体が、まるで風のような軽やかな走りで駆け抜けていく。
「どうだ。思いっきり走る感じは?」
その機体のコックピットにいる青年が尋ねると、オオカミ型は首をクンと下げてさらにスピードを上げた。
「おいおい。無茶をするなよ。」
青年=シュウ・キリシマは自分の乗る機体、ワイツウルフの喜びを感じ取っていた。
これまでずっと暗い格納庫にいたワイツウルフは、今自分の足で大地を蹴る感覚に心地よさを感じているのであった。
ただし条件があった。
それは、この機体をおおっぴらに出すことできないこと。
そのため、人がまず立ち寄りにくい荒野を選んだ。
ここならばワイツウルフの性能チェックも同時に行なう事ができるため一石二鳥であった。
これまでの高速機とは違った次元の機体のようにシュウは感じた。
限界まで軽量化が施されていることにより、脚部への負担がまったくといっていいほど感じられない。
とても安定したその走りに加えて、背部には強力な推進力を出す3連イオンターボブースターまでも装備し、また武装面でも豊富であった。
また機体各所にブロックスの装着を可能とするブロックスマウントを設置させている関係の為か、同じ高速戦闘用ブロックスの「レオブレイズ」と共通のコックピットシステムであることで扱いやすさをより感じる事ができた。
シュウの向かう先はキナリシティ。
いくら他の大陸と比べて土地が整備されたとはいえ、まだこのような荒野などが残っている上、人目を避けていかなくてはならない。
そのための準備が必要となるためだ。
シティを目指し、ワイツウルフは駆けていった。



シティから1キロ離れたところで、止まっているグスタフの前にシュウはワイツウルフを止めてコックピットを開いた。
「久しぶりだな!シュウ!」
開かれたグスタフのコックピットから声がした。
「久しぶりだな、ハチ。」
シロウ・ハチスカ
フリーの運送屋であり、シュウが信頼できる人間の1人である。
「冤罪になってよかったな」
「ああ、ようやく開放された気分だよ」
「今回はこのゾイドを運べばいいのか?」
「ああ。けど運ぶのは明日で、俺も一緒に運んでもらう」
「別に構わないがどこまで運べばいいんだ?」
「今日はキナリシティに止めてもらう」
「って、すぐ近くじゃねえか!!」
「そりゃそうだ。この機体を雨ざらしにしたくないからな」
「連絡を受けたが、これがケーニッヒの代わりの機体か?」
「まあ、そんなところ。」
「かなりスマートな機体だな。形はソードウルフ系のようだが・・・」
「ベースしているのはな。まあ、その簡易型みたいなものだ」
「ほーお。そんじゃ、コンテナに積んでくれ」
「ああ」
そう言うとグスタフに牽引された2つのうち1つのコンテナが開いた。
そこはゾイドを輸送するための専用のハンガーを備えられていた。
シュウが再度ワイツウルフに乗るとワイツの感情が伝わってきた。
「悪いな。あまり姿を見せないための措置なんだ。しばらく我慢してくれ」
低く唸っていたワイツウルフもシュウの声を聞くと大人しくなり、素直にコンテナの中に入っていった。
コンテナの電子ロックを厳重にかけ、シュウはグスタフのコックピットに乗り込んだ。
「それじゃ、シティまで頼む」
ゆっくりとグスタフはシティに向けて動き出した。




シティの駐留所にはさまざまな輸送用ゾイドが停泊していた。
ハチにその場を任せて、シュウはシティの中心部でこれからに必要な物を買っていた。
「蒼牙の時と違って、買い過ぎる事が出来ないのは痛いところだな」
長期間のミッションに対応できるようにしていた蒼牙と違い、ワイツの物資の載積量はかなり少なかった。
恐らく基地での運用を前提にしているのと、機動力の低下を防ぐためにそうしているのだろう。
「となると、期間が長い食料のみしか買えないな」
そういいながら、缶詰の食料のみを買っていった。
逃亡生活で缶詰の食料はよく食べていたが、冤罪となった後も以前と変わらない食生活となる。
「せっかくの自由な時間だ。何かいいものを食いに行くか」
買い物を済ませてそう思ったシュウは、昼食をとるためにある場所に足を運んだ。
その店はシティでステーキの食べられるお店だった。
西部劇に出てくるような外観と内装をしていて、中では香ばしい肉の焼ける音とソースの香りが漂っていた。
それなのにお手ごろな価格のため、隠れた名店であった。
注文を終えて、水を一口つけたところである箇所で人ごみができていることに気がついた。
(何かあったのか・・・)
席を離れ、少し様子を見る。
集まっているのは見る感じ荒くれ者のような男達だった。
その先にはカードと大量のお金がテーブルに置かれていた。
(賭博か)
こういったところでの賭博は日常茶飯事であり、そんなに驚くような事ではなかった。
変わったことといえば4人の中で唯一一人勝ちしているのがいる事だった。
それも歳が大体15歳ほどの女の子だった。
「チキショウ!!」
「なんだ、このガキ!急にバカツキじゃねえか!!」
「どんなイカサマを使ってんだ!」
いろいろな罵声の中、女の子は言った。
「さっきも見たじゃない。どこにイカサマする方法があるのよ」
文句を言えなくなると再度ゲームが始まった。
カードが配られ、それぞれがカードを入れ替えていく。
そして全員がそろう瞬間にシュウはあることに気がついた。
(なるほど。そういうことか)
少女の視線をみたシュウはあることに気がつくと、ちょうどに持ってこられたステーキを切り始めた。
その直後にまた驚きと罵声が店内に響いていた。
食事が終わるまでにその流れが3回ほど繰り返された。
シュウが会計を済ませようとすると同時に少女も大金をもって帰ろうとしていた。
「もう二度と来るな!!」など絶えない罵声の中をお構いなしにホクホク顔で出ようとした。
女の子すれ違う瞬間にシュウは小声でこういった。
「早めにこの町から去った方がいい」
少女は一瞬ビクッとしたが、そのまま外に出て行った。
続くようにしてシュウが店を出て行くと、女の子は振り向いてこっちを向いた。
「どういうことかな?」
「あのカードに細工をしただろ。例えば・・・熱によって文字が出るようなインクを使ったとか」
「そんなのを使ったらすぐにバレちゃうよ?」
「カードの端に番号を暗号化した文字を書いて、店内の熱で薄くぼやけて出てくるようにしたんだろ。大方それを目安にカードの中身が分かったんだろう?」
シュウが言うと少女は諦めたようにして言った。
「どこでそれが分かったの?」
「視線がずっとカードの端ばかり見ていたからな。そこでだな」
「そっか。なるほどね」
「あと、今回はバカばかりで成功しても、次にもその手を使うな。痛い目にあうぞ」
「ご忠告、ありがとう。それじゃあ、言うとおりに別の場所に行こうかな」
そう言って少女はシュウとは反対の方へ走っていた。
「ったく。『さよなら』くらい言えないのか」
そう言いながらも、面白い子だと思った。
危なっかしいながらもそれを楽しんでいる。
自分の過去に無いものを彼女は持っていた。
それを少しでもうらやましく思ってしまった自分がいた。
「まあ、賭博だけは勘弁してほしいがな」
シュウは荷物をグスタフに置くために歩き出した。


その後、4時間ごとにハチと交代でグスタフの見張りを決めていた。
AM0:00
グスタフのコックピット内にいたシュウは腕時計を確認し、「そろそろか」と言った。
するとキャノピーからコンコンコンコンと4回音がした。
強盗のような輩に簡単にコックピットを開けないための措置である。
顔を確認してシュウはグスタフのキャノピーを開いた。
「わりぃ。少し遅くなった」
「運び屋が時間を過ぎて来るのはどうかと思うが・・・」
あきれた顔をしながらシュウはコックピットから出てきた。
「それじゃ、今度は『3回』で」
「分かった。『3回』な」
『3回』とは、今度のノックの回数である。
シュウはグスタフから離れる前にワイツウルフのいるコンテナをノックした。
コンテナの中から小さく「クーン・・・」と低い声が聞こえてきた気がした。
その声に胸を痛めながらも、シュウはグスタフから離れた。
朝には空のもう一つのコンテナに入れる荷物の引き取りに向かうことにした。



AM2:00
グスタフに備え付けられたオーディオから流れる音楽に聞き入っていたハチは、途中から腹に痛みを感じた。
「つぅ。ちょいと食いすぎたかな。」
ハチは周りを確認するとコックピットを開き、カギをかけて外に出て行った。


しばらくすると、駐留所に小さな影が動いていた。
「う~ん、まさか想定外に稼いじゃったから運ぶ事が困難になるなんて・・・」
小さな影は困ったような様子できょろきょろと見回していた。
「どこかに運べそうなのはないかな~、っと」
ほとんどが小型の運搬ゾイドばかりで、条件の見合う機体がいなかった。
すると二つのコンテナのついたグスタフを見つけた。
二つあるうちの一つは電子ロックがかけてあったが、残り一つが空の状態であった
さらにコックピットを見ると誰もいなかった。
「これならあの子も一緒に運べるね」
影はコソコソとポケットから何かを探した。
ポケットから長方形の黒いモノを出すと、それをグスタフに向けた。
カチッ!!
ボタンを長押しすると、グスタフのロックが解除された。
「え~と。警報装置を解除してっと」
慣れた手つきで警報装置を解除すると、グスタフを起動させた。
「それじゃー、しゅっぱーつ」
ゆっくりとグスタフが動き出した。


その30分後
戻ってきたハチは一瞬、目を疑った。
もう一度確認すると「ど、ドロボーだー!!」と大慌てでシュウを捜しに行った。
キナリシティは知り合いの修理屋がいないため、シュウはやむなく宿をとることにした。
その宿で一眠りしていると、急に自室のドアが激しく叩かれた。
外からは「シュウ!起きてくれ!!」とハチの声がした。
目を覚ましたシュウは、ハチであることを確認するとドアを開いた。
「どうした、一体。グスタフはどうしたんだ」
「そ、それが!!俺がトイレに行っている間になくなっちまったんだよ!!」
その言葉にシュウは一瞬焦るも、すぐに冷静になった。
「カギはかけたよな?」
「そりゃあ、ちゃんと確認したよ!」
「分かった。一度駐留所に行くぞ!!」
すぐに着替え、シュウは駐留所へと走り出した。


AM3:30
シュウが駐留所に到着すると、確かにグスタフの姿が無かった。
「カギをかけたのを動かしたということは、プロの仕業か」
遅れてハチが到着する。
「はあ、はあ。シュウ、すまない。俺のせいでこんな事になって・・・」
「気にするな。それよりもグスタフの位置は分かるよな。」
「ああ。しっかりとGPSを持っているからな。」
「ちょっと貸してくれ!」
ハチからGPSを受け取り、グスタフの現在地を確認した。
「北東に進んでいるな」
ただ、少しおかしなことがあった。
なぜ警報装置を切っているのに、GPSまでは確認していないのかである。
そのあたりも念を入れて確認するものが何故なされなかったのかが気になった。
(いや、それよりも今は追いつけるゾイドを捜すのが先決だ)
周りにあるのは小型の輸送用のモルガしかなかった。
カタログスペック上、モルガの最高速度は200キロだが、民間用にリミッターが掛けられており、約120キロが限界である。
「お前!まさかシュウか?!」
万事休すかと思われたとき、後ろから声が聞こえた。
振り向くといかつい男が数人、そこにはいた。
「ユウジか!」
ユウジと呼ばれるこの男は配達屋を営んでいる中でリーダー格の男であった。
「やはりシュウか。昨日のニュースを見たぞ。よかったな。冤罪が晴れて・・・」
「ユウジ、悪いが今はそれどころじゃないんだ・・・。」
そこまで言うとシュウはあることに気がついた。
「ユウジ!グレイヴクアマを貸してくれ!」
グレイヴクアマ
超小型ゾイド(通称SSゾイド)ながらも飛行の可能とした機体。
腹部に輸送用のフックを付けており、さまざまな用途で使われている。
「おいおい。一体どうなっているんだ。」
「コイツのグスタフが盗まれたんだ。こっちの荷物を積み込んだままな」
「面目ない・・・」
ハチが申し訳なさそうに言う。
「頼む!」
シュウの姿を見たユウジは少し悩んだ。
そして、
「いいだろう。荷物もないことだしな。ただし、俺らもついて行くぞ。
壊されたときにすぐに請求できるからな」
「分かった。俺はグスタフの奪還をするため外に出る必要があるからな」
「いいだろう。それじゃ、早く乗り込め。お前達も行くぞ!」
シュウはユウジのグレイヴクアマに乗り込んだ。
まだ朝焼けまで早い時間に4機のグレイヴクアマがテイクオフの準備を始めた。




一方、グスタフは盗んだ小さな影と一緒に北東を目指していた。
まだ辺りは薄暗く、自分以外誰もいなかった。
「う~ん、快適快適」
グスタフのコントロールは自動モードで行なっていた。
「でも、前のコンテナのロックだけは解除できなかったけど、一体何が入っているんだろう」
かなり厳重なロックのため半ば諦めたコンテナの中身が気になっていた。
「まあいいや。次の町に着いたらもうちょっと調べてみよう」
ふふふふ~んっと鼻歌を歌っていると、グスタフのレーダーがこちらに急速で接近する機影を捉えた。
警戒音が鳴り響く。
「追っ手!」
機影の数は4機。
陸戦ゾイドにしては早すぎる速度であった。
「航空ゾイドね。何とか追い払わないと」
決意を固めると自分のいるコンテナのハッチを開く準備をした。



グスタフに迫る機影。
それはシュウたちを乗せたグレイヴクアマであった。
「いた!俺のグスタフに間違いない!!」
シュウとは別のグレイヴクアマに乗り込んだハチが言った。
「シュウ。一体どうする?」
「前のコンテナの上に着陸してくれ。後はこっちで何とかする」
「わかった!」
ユウジのグレイヴクアマが前のコンテナに向かおうとした時、後ろのコンテナが開こうとしていた。
「ユウジ!!いったん離れろ!」
シュウの指示にユウジはいったんグスタフから離れた。
コンテナが完全に開くとその中から黒いキツネ型ゾイドが現れた。
「シャドーフォックス?!」
シュウがその機体の名前を言った。
ZOITECでライセンス生産されている中型のキツネ型の機体。
その名の通り、ステルス戦による高速戦闘を得意としている。
背部に付けられたレーザーバルカンがユウジのグレイヴクアマに向けられる。
「なめるな!!」
ユウジは巧みな操縦でレーザーの連撃をかわしていく。
フォックスはグスタフに近づけないように威嚇射撃を続ける。
「シュウ!どうする?あのバルカンでは近づくのも困難だぞ!」
シュウは考えを張り巡らせた。
高い連射性と可動範囲を誇るあのバルカンを越えて、グスタフのコントロールを奪取するのかを。
「3機で何とかフォックスの注意を引いてくれ。こちらで何とかグスタフを止めてみせる。ただし、危険なマネはしないでくれよ。」
シュウの指示に1人のクアマのパイロットが言った。
「それはこっちのセリフだがな。了解!頼むぜ、シュウ!」
3機のグレイヴクアマが旋回をし、フォックスの注意を引こうとしたその時。
グレイヴクアマのレーダーが警戒音と別の方向からの機影をキャッチした。
「機影は・・・20機!!」
あまりにも多い数に別のクアマのパイロットが驚きの声を上げた。
「なんだ!この数は!!」
ユウジもその数に声を上げた。
「ちっ!野盗どもが出てきたか!!」
シュウは問題が増えたことについ舌打ちをした。
「どうする、シュウ。」
「何とかコンテナの上に着けてくれ!あのコンテナの中にあるのを手に入れれば何とかなる!」
「お前のケーニッヒが入っているんだな。」
「いや、今は別の機体なんだ」
「どういうことだ?」
「訳は後で話す。何とかならないか」
「俺を誰だと思っているんだ!要求されればどんな事でも可能にさせてやる!!」
ユウジの言葉に仲間の一人がツッコんだ。
「それって運びに関してですよね。親分」
「バカ野郎!どんな事に関してもそういった心構えが必要ってことだ!」
そのやり取りを合図に再度コンテナに取り付こうとする。
フォックスも機影を感知したのだろう。
こちらへの攻撃を緩め、夜盗たちに攻撃を始めた。
その瞬間を見逃さず、ユウジは何とかコンテナに取り付いた。
コックピットを開いてシュウはすぐに飛び降りて、コンテナの入り口に向かって下りた。
入り口に着くと、ロックを手早く解除して中に入っていく。
中には待機状態のワイツウルフがそこにいた。
シュウはコックピットに入ると「待たせて悪かったな」と言ってワイツウルフを起動させた。
コンソールに起動画面が次々表示され、オールグリーンである事が確認されると同時にコンテナが開かれようとした。


「う~、一体なんだって言うのよ~」
フォックスのパイロットはグレイヴクアマに続いて現れた賊たちと問題に頭を悩ませていた。
すると後ろのコンテナが開こうとしていた。
「今度は何?!
って、あのコンテナが開き始めている?!」
ゆっくりと開かれるコンテナから、白いオオカミ型の機体が姿を現した。
「きれい・・・」
その白さからつい口から言葉がこぼれた。
白いオオカミ型は一吼えするとコンテナから飛び降り、野盗たちに向かって駆け出した。

「ユウジ、機体は取り戻した!
荒くれ者どもの相手はこっちがする!」
「分かった、シュウ!後は任せたぞ!!」
ユウジとの回線を切ると、ワイツウルフを加速させた。
敵の戦力を確認する。
「ヘルディガンナーが7機に残りすべてがガイサックか・・・」
ヘルディガンナー。
イグアナ型の中型ゾイドで破壊工作を得意とした奇襲用機。
背部にロングレンジアサルトビーム砲は狙撃、連射、カノンの3種類に切り替え可能で低い体高と相まって高い戦闘力を持っている。
ガイサック。
サソリ型の小型機であり待ち伏せしての奇襲戦を得意としているゾイド。
高い生産性と8本の足で高い走破性を誇る。
戦力を確認するとシュウはワイツウルフの背部に搭載された3連イオンターボブースターを稼働させた。
一気に300キロを超え、ワイツウルフをさらに加速させる。
その後に、数秒前さっきまでいた位置に砲撃が着弾・爆発する。
ヘルディガンナーからの砲撃であった。
ロングレンジアサルトビーム砲を狙撃モードにしての砲撃。
それを感じ取って、シュウはブースターを稼働させたのだ。
同時にワイツウルフの射程可能範囲まで詰め寄り、背部のエレクトロンハイパーキャノンを放った。
大型重武装ゾイドを倒すほどの破壊力のあるこの武装に奇襲戦用のヘルディガンナーが耐えることは不可能であった。
1機撃破し、また一機とヘルディガンナーを狙った。
対小型ゾイド用の射程の短い武装しか持たないガイサックより、多彩な攻撃方法を持つ中型ゾイドのヘルディガンナーが厄介だからだ。
思った通りに狙撃モードから連射モードに切り替えた。
ばら撒かれるビームの弾がワイツウルフに襲いかかる。
それを左にかわし、今度はヘルディガンナーの手前にワイツのキャノンが着弾した。
爆発とともに土が柱のように飛び散り、砂埃を上げる。
一瞬だけ視界を失ったヘルディガンナーの次の瞬間にはワイツウルフが飛び込んでいた。
背部のビーム砲をストライクザンクローで引き裂き、機能停止にさせた。
そのまま敵の後方まで距離を置き、旋回、そして腹部のショックキャノンを撃ち込む。
集団となって固まっていたガイサックに次々と当たる。
小型ゾイドの中でも最も装甲の薄いガイサック相手にはちょうど良い武装であった。
敵がこちらに向こうとした瞬間に前方で爆発が起きた。
その先にはシャドーフォックスがいた。
フォックスは敵陣に突っ込むと機体の各所から煙幕が噴出させた。
スモークディスチャージャーにより攪乱させる。
「逃げるなら今のうちだよ!」
フォックスのパイロットからマイクで声をかける。
その直後、ワイツの背後に地中に潜っていたヘルディガンナーが姿を現した。
「危ない!!後ろ・・・」
フォックスのパイロットが声をかけたと同時にワイツウルフは一丁のハイパーエレクトロンキャノンを180°回転させ、バックショットで後ろのヘルディガンナーを撃破した。
「助太刀してくれてありがたいが、こういう奴らはここで全員潰さないとまた湧いて出てくるからな。」
シュウも同じくマイクにてフォックスに声をかける。
「今ここで徹底的にやって、戦う気を削がないとな!」
そう言って再度、ワイツが走り出した。


それから15分後。
20ものゾイドをこの短時間で全機機能停止させた。
戦いが終わり、グスタフの周りに集まっていた。
治安局が到着すると野盗達全員を連行した。
シュウも軽い職務質問を受けて、ものの8分で終わった。
すると、ユウジがシュウに声かけた。
「シュウ、この白い機体がお前の新しい相棒か?」
「まあ、そんなところかな。ZOITECからの依頼で」
「依頼?」
「ブルーシティーまで送り届けるって依頼でな。
悪いが今回の件は他言無用にしてほしい。」
「それは構わんが・・・」
そこまで言うと、横から大声でハチが言っていた。
「あのフォックス、どこ行きやがった!!」
確かにその場所にフォックスの姿はなかった。
(野盗達を叩いている時に姿をくらましたか、あるいは、・・・)
今回の事件のもう一人の犯人がいないがシュウは冷静だった。
ワイツウルフを取り戻したことはもちろん、今回の戦闘でワイツウルフの自信にも繋がったからだ。
「ユウジ。今回の報酬は野盗どものゾイドと残りはハチが出すからな」
「な、なんでそうなるんだよ。シュウ!!」
「当然だろ。そもそもの原因はお前の不注意から起こったのだから」
「そんな~。
あの厄病狐め!」
周りが笑う中、ゆっくりと日が差し込んできた。
「次の日の始まりだ」
シュウはそう言って、ワイツウルフを見た。



{あとがき}
今年初の連載の更新~。
ようやく楽できると思ったら、カードトリックの部分であれやこれやと考えて、ここまで期間が伸びてしました。(汗)
無い知恵絞っても出てくるものでもないので、一番シンプルに。
それ以外はもうかなり前から出来ていたのに・・・
あと、ワイツウルフの戦闘シーンが短い事にちょっと反省。
とはいえ今後ガンガン戦ってくれるので、今回は高速ゾイドの基本的な戦いで終わらせました。
何事も「シンプル イズ ベスト」がいいのです。

それとここを見ている人で、写真付で各機体の説明って必要でしょうか?
シャドーフォックスは知っていても、グレイヴクアマって何?って人が多そうなので・・・
こういったことしてほしいという意見がありましたら、ぜひともコメントに記載を。
こちらとしてももっと良いサイトにしていきたいので、可能な限りは要望に応えていきたいと思っています。

こんな感じで、今回もお付き合いしていただきありがとうございました。

それではレビューを開始します。

2015年01月18日 18時37分07秒 | レビュー(以前物)
今週のゾイドサイトをいくつか見たところ、なんか話題になっていたので。
被告ゾイドの名前は「ゴッドカイザー」。
旧ゾイドで「ハウンドソルジャー」や「キングライガー」の頃に発売した現在未復刻ゾイドです。
それでは、被告人前へ









ええ、持っているんですよ。
中古ショップでたまたまあったので。
白が黄ばんでいますが、処理の仕方があるのか?


モチーフは「ティラノサウルス型」。
なんですが、スナイプマスター(ベロキラプトル型)と並べるとほとんど高さが変わらない。
これが不評の一つとも言われています。
またティラノ型の割に顔が小さいので、これじゃない感を醸し出しているのかもしれません。
ただ、現在「ディロング」というティラノ系譜の恐竜がいまして、名前の元も「皇帝竜」とのことでこっちに変えるといいかもしれませんね。

あと個人的にはここが。

後ろ向きの3連ビーム砲。
なんで前にしなかったのかと・・・

ただのカバーになっている事です。
せっかくパワーコネクターなんだから、ちょっとギミックを入れれば面白そうな機体に仕上がったのに・・・

ただダメ出しばかりではないです。
この機体の面白い所。

爪が・・・

伸びます。
メタルクローと名称されているので、今なら「メタルーZi」と関連付けると良いような気がします。


総評としては難しい評価をされてしまいますが、キットとしては面白い子と思います。
面倒な点として、説明書を見たときにモーターボックスから作るのですが、ハウンドソルジャーやキングライガーが現在では作り済みなので、再販された時には同じようにしてほしいと思います。
あと、武装が後付けのパーツに頼りすぎた感も否めません。
個人的には前に大きな砲パーツがあると見栄えも変わると思いました。

以上、ゴッドカイザーのレビューでした。

なぜにこんなにあるんだ??

2015年01月12日 17時46分10秒 | 日記
ただいま改造、行っています。
で、こんなのを見つけました。

このパーツ、見たことのない人多いんですよね。

これ、バスターフューラーのジョイントパーツなんですよ。
けど、うちにはバスターフューラーは2機しかいないのですよ。
それも、1機は組み済みでもう一機は未組み。
他に2つもジョイントパーツがあるわけないんですが・・・
ミステリー?
ちなみにバスターフューラーにはこのパーツと足裏に付けるパーツで1ランナーとなっているので、もう一方がないと自立しません。
あんまり取っていても意味ないのでどうしようかな・・・

忘却の彼方に・・・

2015年01月04日 19時20分42秒 | 日記
さて、今回のタイトルですが去年の目標に「連載」の後日談となるゴジュラスギガの話を出せれば・・・
とか言っていました。
現状どうなっているのかというと・・・


ゾイドの方は決まり、完成しました。
話の大筋の方向性も決まりました。
声をあてる人も・・・

・・・ウソです。すみません。
某氏の自主製作アニメがうらやましくて・・・


まあ、大筋の流れは「ギルドを組み、それが徐々にゾイドバトルをしていく」といった感じになりました。
平和な話ですね~。
え、今の連載は血が出るのか?
・・・極力は出さない、死なせない方向ですが、話の流れ上によっては、ですね。
今の連載とギガの話の大まかな流れを作っていた時が、放送していたアニメが結構血だらけの話ばかりでうんざりしていたという時でその反抗心といったところから話を作り始めました。
甘ちゃんと言われればそれまでですが、話を見てネガティブになるくらいならいい方向で一話一話を見てほしいという思いがあります。

ゾイドは戦争だけじゃない。
そんなところを見ていただければと思います。
期待していてください。

謹賀新年2015

2015年01月01日 18時14分32秒 | 日記
あけましておめでとうございます。
今年も瀬渡、「瀬渡の蔵」をよろしくお願いいたします。

今年は「未」ですがヒツジ型はいないので・・・
最初はディスペロウとエヴォフライヤーでできないかと思いましたが、両機とも1体ずつしかなので、そうなるとエヴォフライヤーの箱にあるチェンジマイズ形態しかとれない・・・

今年の目標は「去年残していた改造ゾイドを完成させる」です。
残していたのは、凱龍輝とセイバータイガー。
セイバーはHMM版SSとの武装のみをミキシングさせるというものです。
まだ、今年はコレ!!といったモチーフが見つかっていないので・・・
とりあえず、今年も幸ある日々が過ごせますように頑張っていきます。