瀬渡の蔵

管理人・「瀬渡」のゾイドとたまに日常を綴った記録の保管庫

2013年、振り返り~

2013年12月31日 19時42分40秒 | 日記
2013年ももうわずか。
なので、今年の振り返りでも~。

{ゾイドの発売について}
今年はゾイド生誕30周年の年でした。
1月からMSSでスタートして、ゾイドオリジナルとタカラトミーのゾイドがついに始動した感がありました。
しかし、今年後半にコトブキヤのHMMがゴジュラスをもって一時休止する事となり、今後のゾイドがどうなるのか気になります。
とりあえずは3月の「ストームソーダーFSV」以後の動きに注目です。

{自分のゾイド活動}
今年の最初に立てた目標は、昨日のとおり「ウインドシア」は出来ました。
来年はZAOD大阪展示会に向けてプロジェクト「A」を完成させたいです。
あと、イレギュラーで作った「ハンティングウィーズル」が比較的早いスピードで出来上がったのは、自分のジャンクの量に助けられました。
また、放置していた「アイアンコングSS」もHMMの発売があってこそ完成させることが出来ました。
なんだかんだで改造が充実していますね。

そして、ゾイドオリジナル発売から「レビュー」を開始しました。
自分の考えで製品の評価をするというのは、ブログがあってこそ出来た事だと思います。
惜しむのは、ジェノリッターの入手が遅かった為あまり解説できなかったことですかね。

最後に「連載」。
こちらは近々メインタイトルを追加したいと思います。
というのも、今やっている時代の前の話などをやっていきたいと思っています。
そして、以前に言っていたゴジュラスギガの話ですが、こちらは今の連載の後日談なのである程度連載が進んでから掲載します。
とはいえ、今のペースでやっていたら一体いつになるやら・・・(滝汗)

・・・頑張ります・・・・



以上がここでの振り返りです。
タカラトミーの復帰によりモチベーションを上げて活動できました。
来年もこのペースを維持するところは保ち、上げるべきところは上げていきたいと思います。
それではもう数時間ですが、よいお年を~。

プロジェクト「W」、ロールアウト!!

2013年12月30日 23時48分07秒 | 改造ゾイド
今年も今日入れてあと2日。
やり残したことありませんか?
自分の場合、これが残っていました。

プロジェクト「A」とプロジェクト「W」。

「A」は以前にも書いたようにまだ出来ていません・・・
そもそもHMMの改造を2体平行にやるのが難しいですね。
あとは頭のデザインでかなり時間をかけてしまいました。
現在、基礎フレーム(ライガーゼロでいう素体)は完成しましたので残りは装甲と武装の作成に入っています。

これでは今年の目標がまったく達成出来ていません・・・



いえいえ。
こっちは出来ていますよ。
プロジェクト「W」は!!
まず「W」のコードネームが付いていますが、実は名称の頭の頭文字なのです。
そうです、作成する前にもう名前は決まっていました。

機体名は「ウインドシア」。
意味は・・・


検索してみてください。(←オイ!!


いや、風の状態という事までは分かったのですが、細かな説明となると難しくて。
もともと「ウインドシヴァ」としようとしました。
「ウインド」は風、シヴァはインドの神話に出てくる破壊神の名前から、「風の破壊神」という意味で付けようとしたところにインド神話ではシヴァの別名で「ルドラ」があります。
ルドラは暴風雨の神の為、そうすると名前がややこしいことに。
で、再度の検索中にミスで「ヴ」を消してしまったときにたまたま出てきたのが、この「ウインドシア」。
これが原因で航空機が墜落する事があるとのことなので、不謹慎ですがあえて採用しました。

では、その姿をご覧ください。





後ろ


モチーフは「オオタカ」です。
航空機をイメージして塗装はジャーマングレーをメインにしました。
このコもミキシングで作っています。
使ったゾイドとしては・・・
・HMMジェノブレイカー レイヴン仕様(ボディ)
・HMMバーサークフューラー (足)
・バスターイーグル(尾羽の基部・爪・嘴)
・ダークスパイナー(尾羽・脚部アーマー)
・ライガーゼロフェニックス(羽)
・ザバット(尾翼)
・ライトニングサイクス(脚部アーマー)
・シュトゥルムユニット(脚部アーマー)
・バトルクーガー(頭部・羽の基部)


・・・バトルクーガーって?
の人は「メカ生体ゾイド」の後期で発売したグリフォン型ゾイドです。
知っている人は、「なんてレアゾイドを!!」と思っているでしょう。
そもそも「ウインドシア」は何度も試作を重ねていく中で「バトルクーガーを純粋な鳥型にしたら」と考えた中で行いました。
さらに、プロジェクト「A」で使用しないパーツで構成しようと決めていました。
ちなみに使っているのは海外版のがとあることで手に入ったので、旧版と違ってメッキパーツが無いので塗装がしやすいです。
後はジャンクパーツを使っています。
ゾイド外のパーツも使われていますが、そこは探してみてくださいw

コックピット

頭部にあります。
目などはメタリックグリーンを使用。
その理由は後の機体説明で。


羽をたたむこともできます。
これはバトルクーガ―の手動ギミックをそのままに、ゼロフェニックスの翼を付けているため可能になりました。

飛行時

HMMジェノブレイカー レイヴン仕様のボディをベースに作っているため、下部にフライングベース用のパーツを付ければ飛行形態も出来ます。
ただし、もともと取れやすいのでパーツには接着剤で幅を狭めていますがそれでも不安定・・・
コトブキヤさん、「フライングベース・ネオ」には期待していますよ。

飛行時 横

足を下すとカメラでは撮れないところが出てくるほど大きくなります。

飛行時 後ろ

足パーツは以前にここで掲載しました。
実はこのコのだったのです。
この足にはギミックを仕込んでます。




分かりましたでしょうか?
後ろ爪が可動するのです。
これは、HMMバーサークフューラーの小型スラスターに爪をくっつけたことで実現しました。


このように襲い掛かるようなポーズも可能に。


脚部拡大。
中心部のメタリックグリーンのパーツがありますがこちらも機体説明で出てくる武装です。


機体の大きさを伝えるため近くにあったコマンドウルフで比べてみました。
ちなみに使っているのは1/72スケールです。
こう見るとMSSを使っているのではないかと疑ってしまっても仕方ないですね(汗)


コマンドに襲い掛かるウインドシア。
迫力があり過ぎ・・・


爪でこの大きさ。
先程言ったように・・・


つかむことも出来ます。
オオタカというよりアラビアンナイトに出てくる「ロック鳥」ですね・・・


そろそろ機体説明でも。



 ウインドシア (オオタカ型)



○機体説明
ガイロス帝国で開発が進められた新型飛行ゾイド。
開発はZAC2099年でレドラーに代わる機体として、本国二クス大陸で生息するオオタカ型をベースとしている。
しかし、コンペティションでレドラーのコンセプトを踏襲した格闘戦闘機のプテラノドン型に敗れ、開発が凍結された。
だが、プテラノドン型の設計図をへリック共和国軍の情報部隊に奪われ、のちに「ストームソーダー」として帝国軍に多大なる打撃を与えた。
そのため対抗策として、急遽凍結されていたオオタカ型ゾイドの開発が進められた。
ボディ内部に「磁気振動システム」を搭載。
これは旧大戦で最大級の飛行ゾイド「ギルベイダー」に搭載されていた技術であり、超大型にも関わらずマッハ4という超高速を可能としていた。
武装として、腹部のミサイルとマシンガン、両サイドに長く伸びたAZハイパービームキャノンでの一撃離脱戦を得意としている。
また、尾部のジャミングテイルスタビライザーによりレーダーを攪乱しての奇襲を可能とした。
さらに対地武装を搭載しており、脚部のクラッシュグラップクローにより急降下から敵をつかみ、中心部のAZビッグビームキャノンによる零距離射撃はゴジュラス級の装甲すら貫くほどである。
これらの装備とオーガノイドシステムを搭載した結果、予定以上の大型となってしまった事で量産に向かなくなってしまった事と当時の政治的判断により戦場には姿を現さなかった。
のちにとある企業によって製造されたという話があるが、戦場カメラマンの写真の中にこの機体らしき機影が映し出されたことからこの話は事実さが増した。


全長:20.8m
全高:16.3m
重量:60.0t
最高速度:M3.7

  武装
 全天候マルチブレードレーダー
 AZハイパービームキャノン ×2
 4連装ミサイルランチャー
 AZ145㎜ハイパービームガン ×2
 AZ85㎜マシンガン
 AZ125㎜パルスレーザーガン ×2
 クラッシュグラップクロー    ×2
 AZビッグビームキャノン    ×2
 ジャミングテイルスタビライザー




ガイロス帝国軍のゾイドなので、目はメタリックグリーンにしました。
つかんでビーム砲で撃ち落とすのは部品のベースになったものからきました。


鳥型ゾイドは少ないのでかなり困りました。
そんな中での作成したので、前回の飲み会ではいろいろとアドバイスを頂きました。

明日は今年最後なので振り返りでもしま~す。

コマンドウルフRGC

2013年12月29日 19時30分00秒 | レビュー


本日、コマンドウルフRGCが届きました。
皆さん、HMMゴジュラスでゾイド生誕30周年が終わったわけではありませんよ!!


タカトミ版コマンドウルフは十数機作っているので、説明書なしでさくっと組み立てられました。


まずは「コマンドウルフインターセプター」
まあ、「コマンドウルフ アーバイン仕様」のカラバリですね。
キャノピーは写真ではオレンジに見えますが、実際はスモークでした。
それでも本体カラーの緑と合わさるとオレンジに見えるのは不思議ですね。


この2パーツを合わせると・・・


「コマンドウルフザッパ仕様」になります。
両パーツともはめ込み式なので簡単にインターセプターに戻せます。
ただし、装甲コックピットのドラゴンヘッドは装着するとキャノピーの開閉が出来なくなります。

ドラゴンヘッドは形とカラーを見るとどうしてもアレに見える。
ヴェルデバス(ry)


そして本命の「コマンドウルフRGC」
肩部装甲、エレクトリックトランスミッションユニットに緑の塗装が施されていますが、レールガンにも塗装がされている部分があります。
それはのちほど。
レールガン使用形態に展開するには、


スコープと後ろ脚のスパイクアンカーを下ろす。


レールガンの基部を前にスライドする。(先程の写真と比べると分かります)


砲身を伸ばすと完成します。
なお、レールガンの塗装ですが砲身を伸ばした時に本体の真ん中が薄い緑の塗装がしてあります。
この処理が無かったら、ただの長方形の箱でディテールに目がいかなかったと思いますので、こういった芸の細かい点には関心してしましました。
そしてもう一つの細かな点。

以前のイベントで言っていました「スコープの伸縮」ですが、

上の写真と比べると少し伸びているのが分かると思います。
なお、ネジ形状の上ロックも付いているので伸ばし過ぎて外れるといったこともありません。


おまけにレールガンの後ろ。

上下にスライドして専用弾(ファング弾)を装填できます。
しかし、発射機能がないので弾を入れると外しにくいという欠点があります。
また、今月号の電ホのマンガでのレールガンの連結は排熱口が邪魔なのでこのパーツを外せば出来るかもしれません。

以上が、「コマンドウルフRGC」のレビューでした。
久しぶりのコマンドウルフですぐに飽きると思いましたが、なかなかの出来でした。
レールガンのような長モノは改造のし甲斐があるので、やってみたいですね。
思いついたのが黄色のLEDを仕込んでみるのも面白いと思います。


追記
今回は、撮影ブースを出すのが面倒だったため、作業机で撮影しています。
ゴチャゴチャしていてごめんなさい。

第一章三節 逃亡(前編)

2013年12月22日 20時32分28秒 | 連載
シティを離れてから3時間、東へと青いケーニッヒウルフ(蒼牙)が走っていた。
華やかな町から一変して、大きな岩壁ばかりの荒野が夕日を浴びることで一面が茜色のキラキラと輝いていた。
蒼牙のコックピットでは、その風景を楽しむ女性と暗く沈んだパイロットの二極した姿があった。
シュウとエリカである。
しばらくすると蒼牙の足を止まった。
ゆっくりと頭を下げて、コックピットを開いていく。
大きな岩の陰。
荒野の強風も岩のおかげでそれほど強くなく、砂埃も少ない場所であった。
シュウはコックピットから出て、ケーニッヒの後ろに歩いていった。
蒼牙の尻尾に上がり、尻尾の付け根近くのコンテナを開く。
そこから携帯用の鍋や紙皿などを取り出すと、降りてきた。
買ってきた食材の中からいくつか取り出して、調理を始める。
「何か手伝いましょうか?」
コックピットから降りてきたエリカが、シュウに尋ねた。
「手伝ってもらうようなことはない」
まるでふてくされたように答える。
それ以降、何も話さなかった。

無言の食事であった。
「あの・・・」
その空気に耐え切れず、エリカが申し訳なさそうに話かける。
「ごめんなさい。状況とはいえあの子に乗り込んでしまって」
それでもショウは黙ったままだった。
「勝手なことをしてしまって、本当にごめんなさい」
今にも泣きそうな声で謝る。
シュウの口が開いた。
「今、シティはどうなっていると思う」
静かにエリカに尋ねた。
「私のことを心配して、探しているのでは・・・」
「俺を社長令嬢の誘拐犯として指名手配している頃だろう」
それを聞き、彼女はひどく驚いた。
「そんな!私が自分から勝手に乗ったのだから、あなたに責任はありません!」
「そんなことを言っても、それが世間の考え方だ。いくらそっちで言っても、俺は刑務所行きだ」
エリカはあらためて自分はどういう存在なのかを知った。
「それに、君みたいなのは外の世界を知らないほうがいい」
「なぜですか!」
今度は侮辱されたような言い方をされ、さすがのエリカも声を荒げた。
「自分の知っている以外のこと調べることが、そんなに悪いのですか!
それが私のすることではないと言うのですか!」
「そうだ」
冷静に言いつける。
「少なくとも、お宅の企業に幻想を抱いている内は外に出ないほうがいい」
「父は立派な人です!
さまざまな所に援助を申し出て、多くの人に感謝されています!
そのどこが幻想なのですか!」
「それが何も知らない証拠だ!外の世界も、企業のことも、この大陸のことも・・・」
一瞬だが、シュウは怒りの気持ちを口に出した。
そして、最後の言葉に悲しみが込められているようにエリカは感じた。
なぜかは分からない。
ただそれが悲しい事があったからこその発言のようであったからだ。
それから沈黙が続いた。
出来た料理もただ黙々と食べていた。
ただそれだけ・・・








目を開けると、ふと感覚が戻っていく感じがした。
そこはさっきまでの荒れた世界から、横には機械と上には満天の星が見える。
ゆっくりと体を起こす。
「目が覚めたか」
前にいるシュウが声をかけた。
ここは蒼牙のコックピットの中であった。
「あの、どこへ向かっているのですか?」
自分が寝ているうちに移動したのだろう。
「あそこが何処だかわかるか?」
そう言って前を指さした。
月と星よりも眩しい光の街が広がっていた。
「ここは・・・
もしかして戻ってきたのですか?」
そこはまぎれもなく、昼間までいたシティであった。
北の岩場の上から町を見下ろせる場所にいる。
蒼牙のコックピットを開き、エリカを降ろす。
「ここからなら、一本道で迷うことなく戻れる。そうしたら屋敷まで帰れるだろう」
「やはり、だめなのですか・・・」
「あんな場所で知らないうちに寝ているようなのを、連れて行けるはずがない」
「それに、俺に関わらない方がいい・・・」
これ以上に自分と関わらせたら、エリカ自身にも厄介事が降りかかってくる。
それだけは阻止しなくてはならない。
エリカはふと、今のシュウの感じをつぶやいた。
「悲しい・・・ですね・・・」
「悲しい?・・・そうかもな・・・」
シュウは上を向いた。
見上げればシティでは見られない、満天の星空が広がっていた。
だが、それは悲しみ涙かそれ以上の苦しみを隠すためだとエリカは感じた。
自分には経験のない、とても深い何かと。
「分かりました。あなたの言うように戻ります。これ以上屋敷の方々に心配させられませんから」
この言葉を聞くと、シュウは蒼牙のコックピットに乗り込む。
「あの!!」
コックピットを閉じようとした時、エリカが声をかけた。
「ご迷惑をかけてしまい、すみませんでした。」
頭を下げて謝る。そして、
「ありがとうございました」
そう言って、町に下りていった。
そしてシュウも蒼牙を反転させ走り出した。

「エリカ様!!」
シティに辿り着くと、ZOITECの兵士たちが迎えてくれた。
「ご無事でしたか?」
「はい、ご心配をおかけしました。」
兵士たちの心配をかき消すように笑顔で返答した。
「すぐにお屋敷に戻りましょう。
シュウ・キリシマはこちらにお任せください」
「あのお方は私を誘拐したわけではありません。
私の方から彼らにお話しかけたのです。」
「・・・エリカ様。ご存じないでしょうが、彼は企業の極秘情報を漏洩させたのですよ」
その言葉を聞き、エリカは声を失った。
シュウがそんな犯罪者であることに・・・


三節後編に続く

第一章三節 逃亡(後編)

2013年12月22日 20時28分00秒 | 連載
月夜の中、蒼牙が「グルル」と唸った。
まるで「これでいいのか?」と投げかけているようであった。
「いいんだ。何も知らない事が彼女にとっても幸せなのだから・・・」
エリカが寝ていたのは、食事の時に彼女の分だけ少量の睡眠薬を混ぜていたためだ。
ほんの一時間分だけだが、それでも彼女のせいにしたのは気が悪かった。
「彼女がこのままいなくなれば、多くの人が困惑する。あるべき所にあるべき人がいないと、必ず混乱が起きる。それは、俺が望むことではないんだ。」
もしこのまま連れて行ったら、あらゆる方法で捜しにくるだろう。合法、非合法に関わらず、さまざまなやり方で・・・
「確かに、彼女にこの大陸の本当の姿を見せるほうがいいのかもしれないが・・・。
彼女一人で何かが出来るわけではないしな。」
久しぶりの感覚だった。
あの訳の分からない事件の犯人にされる前までは、当たり前のような光景だったから・・・
そんな気分に浸っていたところに、急に警戒音が鳴った。
モニターを見る。
後ろ。
それも速い。
地面の影響を受けていないような速さであった。
すぐに蒼牙が左に跳ぶ。
するとさっきまでいた場所に青白く光る何かが通りすぎ、その後に強い衝撃波が起こった。
懸命に飛ばされないように、爪を立ててこらえる。
「シュウ・キリシマ。重要機密の漏洩と社長令嬢の誘拐の件で逮捕する。」
聞き覚えのある声に、シュウは上を見る。
青白い月に大きな翼と四本の足のシルエットが見える。
ライガーゼロフェニックス。
最強の高速機、ライガーゼロの飛行形態。
他にディメトロプテラがいる。
シュウはすぐに周りを見る。
凱龍輝、エヴォフライヤー、ディスペロウ、レオゲーター、コマンドウルフACの5機が、蒼牙の逃げ道をふさいでいた。
「もうあなたは包囲されているわ。おとなしく降りてきなさい。」
凱龍輝からも聞き覚えのある女の声がする。
「カイトにミズホか。前から情報がないと思っていたら、まさかここにいたとはな」
カイト・シラフジ。
ライガーゼロフェニックスのパイロットで、陸と空の自在な戦闘と本人の性格から「サイレントブレイズ」の異名を持つ。
ミズホ・カシマ。
凱龍輝のパイロットで、他に音声応答でコントロールする無人のサポートブロックス、エヴォフライヤーとディスペロウと3体を同時に操ることから「ビーストマスター」というあだ名をもつ女性である。
昔、特殊部隊を組んでいた時の仲間である。
そう、シュウは元ZOITECの軍出身の人間であった。
シュウが認めるほどの腕をもつエースパイロット。
その仲間も、今では新しい特殊部隊の隊長と副隊長である。
その特殊部隊の名は、アージャーパラディン(紺碧の騎士団)。
通常の軍務の他に独自の作戦やZOITECの社長護衛という重要任務まで任されるほどの部隊。
そのため、ZOITEC最強の部隊である。
「あのお嬢さまなら、今頃無事にシティに着いたはずだ。」
「そのことなら報告を受けている。」
「だったら、お嬢さまの誘拐は取り消せ」
「そうだとしても、機密漏洩の件がある。とりあえず、ケーニッヒから降りてもらおうか。」
投降勧告である。
だが、ここでそう簡単に降りる気はない。
シュウは蒼牙の操縦桿を離して、ポケットから何かのスイッチを取り出した。
そしてスイッチを押した。
蒼牙のコンテナ部に取り付けられていた、二本の筒から花火のようなものが打ち上がる。
それが何かに気付いたカイトが、各員に伝える。
「全員、目を閉じろ!シンヤ、すぐに下りろ!」
ディメトロプテラと共にゼロが緊急着陸する。
着地と同時に辺りを光の世界が襲った。
閃光弾である。

光がおさまり、どの機体もすぐにある方向に向いた。
閃光の中でシュウは蒼牙を走らせたのだ。
すぐに後を追う。
「カイト!エヴォとディスペロウが動かないの!」
ミズホが困惑しながら、カイトに言う。
「ジャミングか。さっきの閃光弾の仕込んでいたか。」
恐らく、音声などの遠隔コントロールを妨害する電磁波を発生する閃光弾なのだろう。
「動き次第、追撃に参加!その間はこちらでやる!」
「分かったわ!」
そして、ゼロが中に浮いた。


蒼牙の後ろを、レオゲーター、コマンドウルフACと空からディメトロプテラが追跡する。
「ミズホが来ないということは、ちゃんと効果が出たのか。ということは、こいつら全員有人というわけだな」
コマンドウルフACが砲撃する。それを左にかわす。
「いい腕だな。さすがに最強を自負するだけはある」
コマンドウルフACの正確な射撃に感嘆する。
そこらのパイロットだとすべてコンピューターの計算まかせで撃ってくるのに対し、このパイロットは自分とこちらの速度・動きを計算して、状況に応じた正確な射撃をしてくる。
機械的な感じがするが、ここまで柔軟な射撃技術は人間だからこそ出来るものだ。
コマンドウルフACの砲弾が、蒼牙の前方に着弾した。
右にかわすと、後ろからレオゲーターが飛び込んでくる。
それを左に機体をずらすことで、レオゲーターの爪は空を切った。
わずかな隙を作らぬようにとディメトロプテラが、頭部のビーム砲で牽制する。
少し荒削りな所はあるが、それでも見事な連携だった。
「ったく。これでこっちも攻撃ができたら、どんなに楽だか!」
もちろん、蒼牙の武装にはすべて弾が装填されている。
それでも攻撃をしない。
いや、出来なかった。
背部に搭載したデュアルスナイパーライフルは反動との関係で大きく速度が落ちてしまう。
ミサイルポッドにしても相手に向けなければ使い物にはならなかった。
つまり、この追いかけっこの行為こそ、蒼牙のもっとも苦手とする行動であった。
警戒音と共に背部から高速でこちらに向かってくる機影を確認した。
ゼロフェニックスである。
到着すると同時に、蒼牙の前に向けて砲撃を開始する。
左に回避した後、シュウはカイト達の思惑を察した。
ミズホが動けるようになるまでの間の時間稼ぎである。
彼女一人で、一気に3体も増える。
そうすれば、格段とこちらが不利になる。
そうなる前には、早めに振り解いておきたい。
しかし、彼らの連携からはなかなか隙を見出す事が出来ない。
大きくS字を書くように蒼牙を誘導していく。
そうこうしている間に、独特な低い金属咆哮が聞こえた。
凱龍輝である。
もうミズホが動けるようになったのだ。
すると、そばにいたバッファロー型ブロックス・ディスペロウがバラバラに分離した。
そのパーツが凱龍輝に合体していき、重砲撃形態の凱龍輝デストロイとなる。
ブースターを稼動させ、部隊と合流する。
そして3連キャノンを蒼牙へと向ける。
「ちっ!」
他の機体からの攻撃をかわしながら、蒼牙は大きな岩山のそばに近づいた。
シュウは岩山と沿うように曲がっていく。
これなら地上部隊は、こちらに攻撃を当てることが出来ない。
ふと上を見ると、空戦形態のエヴォフライヤーが接近していた。
重機関砲による連射を、今度は別の岩山を左に沿うようにしてかわした。
ジグザグに動くようにして、巧みに岩山を利用しながら上からの攻撃を避けていく。
また、こうした動きに飛行ゾイドはうまく身動きをとることが出来なかった。
少しずつだが、振り切るチャンスが生まれていった。
すると、岩山が開けたところで奇妙な光景が広がっていた。
大量のゾイドや武器が打ち捨てられている場所であった。
今まではこんな場所はなかったはずであった。
シュウは全神経を張り巡らせた。
罠である。
そうこれまでの経験が警告している。
再び後ろから砲撃が来た。
今度はただ積み重ねただけのジャンクの山である。
当たれば簡単に吹き飛ぶだけでなく、それが鉄の塊として飛んでくる。
この危険極まりない場所を蒼牙は全速力で駆け抜けていく。
上からの攻撃もくる。
それをギリギリの所で次々とかわしていく。
いつ現れるか分からない敵に対する緊張感と後ろからの注意で、体力の消耗が激しかった。
それでも回避し、逃げ切るための作戦を組み立ていく。
1対7という極限の中で、諦めるということをせずに冷静に自分が置かれている状態を把握し、そこから突破口を考えていくというあたり、シュウもただのパイロットではなかった。
焦りを抑えながら、ジャンクの山と煙幕を利用しながら隙を作ろうとする。
それでも彼らは混乱することがなく、まったく隙を見せない。
そんな中、ある地点に蒼牙が足を踏み入れる。
すると、ミズホの凱龍輝が突然、すべての装甲を排除した。
装甲は、ツバメ型の「飛燕」とカブトガニ型の「月光」となって、牙狼に襲い掛かった。
月光の体当たりを踏みつけてかわし、飛燕のビーム砲を左右にフェイントをかけて外していく。
「何かがくる!」
こんな場所でいきなり凱龍輝が分離するからには、ここで決着を付けるつもりなのだろう。
そう思いシュウは、すべての周囲を警戒した。
その時、凱龍輝がさらに装甲を排除した。
腕と足回り、そして尻尾の2箇所の装甲だ。
「さらに装甲を外す?!」
シュウは理解することが出来なかった。
その部分を他のブロックスに与えても、まったく意味が無いパーツだからだ。
「なぜ?」
攻撃をくぐり抜けながら、シュウは疑問に思っていた。
もしそれがブロックスになるとしても、コアブロックがまったく見当たらない。
ただの見当違いかと思ったところ、装甲は何かに引き寄せられるかのように、急に動き始めた。
その先には、2種類の火器が転がっていた。
その火器が宙に浮いた途端に装甲と組み合わさって、見る見るうちにイノシシ型のブロックスに変化した。
「新型のB-CAS!!」
その一瞬の出来事に、シュウは戸惑った。
ブロックスが火器となる事は知っているが、その逆で火器がブロックスになるなんて聞いた事がない。
その上、見たかぎりでコアブロックが確認できなかった。
ブロックスを起動させるのに必要な部品であるコアブロック。
一般的にブロックスと言われる機体はもちろん、凱龍輝のB-CAS(ブロックスチェンジングアーマーシステム)である飛燕や月光にも、コアブロックが確認できていた。
それなのにこのイノシシ型は、構成される中でコアブロックが現れていなかった。
そんなイノシシ型ブロックスが、その一瞬だけ動きが鈍った蒼牙の右前足に突進した。
走りながらという不安定な体制であった事から、強烈な衝撃の後に蒼牙が倒れてしまった。
「くっ!」
完全に油断していた。
ありえない状況と思っても、戦場では「当たり前」というのはない。
その「当たり前」でないことを素直に受け取らずに、疑問を持った事で隙を見せてしまった。
衝撃で1秒ほど意識が飛びそうになった。
そして普段と同じように戻ると、倒れた蒼牙の周りをパラディンが包囲していた。
「ここまでか・・・」
蒼牙のコックピットを開き、シュウは両手を上げた。

-続く-



{あとがき}
今回は2部構成とさせていただきました。
前編では主にエリカ目線、後編はシュウ目線でといった構成です。
アージャ―パラディンが出てきて次章ではキャラが一気に増える事にビビッております。
次章は実はある程度が完成していますが、今度も構成を変えるようにして書くかも・・・
それも3視点での・・・
どんどんと自分の負担を掛けていますね。

さて、今回から出てきたイノシシ型のブロックス。
多くのゾイダーなら「ああ、雷電か」と思っていると思います。(知らない人は「凱龍輝・真」で検索。いずれはゾイドライブラリを作らなくては。)
その通りなのですが、コアブロックが最初から埋め込まれているといった点に気付いた人って発売当初だと少ない感じがしました。
自分が組み立てている時に「え、コアブロックが埋め込まれているの?」と疑問に思った時に、この流れが生まれました。
そしてケーニッヒの弱点。
前面に火器が集中しているのでこういった解釈で書きました。
デュアルスナイパーライフルの反動というのは、ライフル単体で販売した時の設定に「反動が大きい」と書いてありますのでそこから。
弱点があると話の展開がしやすいです。
今回もここまでお付き合いしていただき、ありがとうございました。