腕の見せどころ

尿酸値がやや高いのでクスリを２日に１度飲んでいる。
そのクスリもぼちぼち少なくなったので、医者にもらいに行く
とたくさんの患者さんが待合室にいた。クスリをもらうだけで
１時間も待たされてようやく私の番となった。
・
「今日は２ヶ月に１度の採血を取りましょう」
初めて見る看護師さんから、採血室に案内された。
「どちらの手から採血をしましょうか」
「だいたい左の手で行っていますので、左でお願いします」
「親指を持って少し力を入れてください」
・
目の前で自分の手に注射針を刺されるのはいやなものだが、
これも健康のためにはしかたがないこと。
いつものように看護師さんが針を刺す静脈を探す。
「ここはいつも刺すところですよね。」
と言いながら、今までとは違う静脈を探し出した。
ここは看護師さんの腕の見せどころなんだろう。
・
いつもより３センチほど外側にずらして採血をするようだ。
「ブスッ」、だが血液が注射器に入っていかない。
さらに注射針を奥深く刺すが血液が入らない。だが同じ位置で
２度、３度と繰り返すので痛さが限界に来た。
「ごめんなさい。いつもの位置に戻します」
「ブスッ」、すると血液がすぐに注射器に入っていった。
最初からそうやればいいのに、患者はたまったものではない。
注射針後の絆創膏を２カ所貼って半日過ごすことになった。





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