つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

白き牝鹿の血は薄い……

2005-08-01 23:45:23 | 時代劇・歴史物
さて、ここの文書くの忘れてて後日付け足した第244回は、

タイトル:モンゴル帝国の興亡(下)―世界経営の時代
著者:杉山正明
文庫名:講談社現代新書

であります。

第239回で紹介した上巻の続きです。
クビライ政権の成立から帝国の解体までを描きます。

本巻の主役はクビライです。
ほぼ半分以上が彼の作った統治システムと、内乱の話。
正直、彼がこんなに戦ってたとは知りませんでした。
最後に出撃した時、なんと七三歳!

チンギスの血統による帝国の分散支配と、それによって生じる軋轢。
それらを取りまとめ軍事帝国から経済帝国への移行をはかるクビライ。
自分の息子達に中国各地を支配させ、さらに第四子を中東アジアに送ったはいいが彼は捕らえられ、その件が済んだと思ったらお膝元で反乱……休む暇なし。

元寇の話も出ます。
一回目と二回目の間にあたる南宋との戦い、その後の支配についても詳細に解説してあるため、唐突にやって来たように思える蒙古襲来も非常に解りやすくなっています……しかも、二回目の襲来は移民が目的だったのではないかという新解釈のおまけつき。

他にも、クビライ死後の帝位継承戦争、明の成立、帝国の斜陽、解体後各地に成立する巨大王朝の話などなど、歴史好きにはたまらない話が盛り沢山。

ややモンゴル贔屓が過ぎるのと、中華史観を毛嫌いするあまり、元の後成立した明のせいで東西のパワーバランスがひっくり返った……といった少々強引な断定が気になるところではありますが、それでも面白いです、オススメ。

あと……血族が多すぎて、覚えきれないのが辛いと言えば辛いか。(笑)


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