さて、どっちが勝つのだろうねぇの第768回は、
タイトル:しにがみのバラッド。
著者:ハセガワケイスケ
出版社:メディアワークス 電撃文庫
であります。
シリーズ化され、白泉社花とゆめコミックスでマンガにもなっている人気シリーズの第1巻であります。
別に大して興味はなかったんだけど、「LaLaDX」で和泉明日香というマンガ家さんのマンガ化した話が掲載されていたので、もとの小説はどんなもんかいな? と言うことでゲット。
ストーリーは、「変わり者」とされる死神の少女モモと、その仕え魔の猫ダニエルのふたりが、魂を奪う対象となる人間たちとの出会いの中で織りなす人間ドラマと言ったところ。
オムニバス形式の短編集で、本書には4編が収録されている。
では、いつものように各話ごとに。
「ヒカリのキセキ。 I feel the light」
世界的な芸術家の幾間一陽を父に持つ大輝は、芸術家たる父の名を汚さぬよう、父の望み通りの人生を歩んでいたが、それは押しつけられた空虚なものでしかなかった。
ある少年が飛び降り自殺した建築途中のビルで、自らの境遇に疲れた大輝は自殺した少年とおなじように自殺すら考えていたとき、モモに出会う。
そのままでは、大輝が望む死は訪れないと告げて。
「きみのこえ。 echo」
一匹の猫を捨てに来た小学5年生の瀬戸公太は、捨てようとするところをモモとダニエルに見つかる。
見られて、捨てることを断念した公太は、それでも別の場所へ捨てようと移動する。
その猫は、小児喘息を患い、短い一生を終えた牧原麻依とのつらい思い出の残滓であった。
だが、そうした中で麻依を死なせてしまった呵責に悩む公太を救いたいために麻依は……。
「傷跡の花。 Low Blood Pressure」
思い出せない悪夢……傷を精神安定剤で押さえ込んでいる葉山マコトは、施設を出て兄と二人暮らしをしている高校生だった。
些細なきっかけで出会ったおなじ高校の樋浦トイロと出会い、トイロの抱える傷とともに接近していくふたりだった。
そんな、お互いを認め合うふたりだったが、トイロの身に危機にマコトの、幽霊などの見えないものが見える力がそれを察知する。
「あの日、空を見てた女の子。 balled for innocence / momo」
死神の仕事ではないけれど、地上に降りてきたモモは都会のビル群の中でぽつんと建つ洋館に住むひとりの少女を見つける。
父の言いつけで、部屋から一歩も出ることはないが、父の愛情に守られて育っているトワ。
しかし、そのトワのもとへ、怖いひとと教えられている黒ずくめで、赤いランプのついた車に乗った男たちが押し押せてくる。
父に助けを、そしてその帰りを待つトワは……。
以上、4編。
ストーリー的な評価としては、マンガを見たときからもわかっていたが、そう悪くはない。
死神、と言う主人公兼ヒロインを設定しているので、どうしてもキャラの死が避けて通れず、これまたどうしても切ない、悲しい物語になりがちなのは、設定の時点でどうしようもない。
だが、そうした中でも、それなりに雰囲気を持ったストーリーにはなっており、人気シリーズになるのもわかる。
また、「傷跡の花~」など、狙いすぎな部分がないわけではないが、メインキャラとなる人物のそれぞれの悲しい過去や傷などもしっかりと描かれており、ラノベにしてはきちんと人間ドラマをしているところは好印象。
欠点は、とかく読みにくいこと。
まずはページの白さがかなり目につくし、その白さの原因となっているのが、短い文章を1ページ、又は2ページ丸々使って書いているところだ。
作品の雰囲気や「間」などを作るために、こうした使い方をするのはいいのだが、これが長すぎると逆に読みにくさに繋がり、流れを阻害するし、うざったくなってくる。
使い方を誤ると逆効果になる、と言うお手本のようなもの。
また、詩的な言い回しをしたいのか、文章に特徴を出したいのかわからないが、上記の欠点のような使い回しを地の文でも多用しており、地の文が軽佻で薄っぺらい印象。
小説は文字で読ませるんだから、地の文くらいもっとしっかりと書いてもらいたいもの。
これでははっきり言って、マンガのほうで十分。
ストーリーはそれなりに読める話になっているので、下手な地の文で読むよりも映像で読んだほうがよっぽどかマシだろうねぇ。
とは言え、文章面は著者の書き方ひとつである程度どうにかなる部分だし、ストーリーは悪いとは言わないので、落第とは言わない。
いちおう、及第、かな。
――【つれづれナビ!】――
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タイトル:しにがみのバラッド。
著者:ハセガワケイスケ
出版社:メディアワークス 電撃文庫
であります。
シリーズ化され、白泉社花とゆめコミックスでマンガにもなっている人気シリーズの第1巻であります。
別に大して興味はなかったんだけど、「LaLaDX」で和泉明日香というマンガ家さんのマンガ化した話が掲載されていたので、もとの小説はどんなもんかいな? と言うことでゲット。
ストーリーは、「変わり者」とされる死神の少女モモと、その仕え魔の猫ダニエルのふたりが、魂を奪う対象となる人間たちとの出会いの中で織りなす人間ドラマと言ったところ。
オムニバス形式の短編集で、本書には4編が収録されている。
では、いつものように各話ごとに。
「ヒカリのキセキ。 I feel the light」
世界的な芸術家の幾間一陽を父に持つ大輝は、芸術家たる父の名を汚さぬよう、父の望み通りの人生を歩んでいたが、それは押しつけられた空虚なものでしかなかった。
ある少年が飛び降り自殺した建築途中のビルで、自らの境遇に疲れた大輝は自殺した少年とおなじように自殺すら考えていたとき、モモに出会う。
そのままでは、大輝が望む死は訪れないと告げて。
「きみのこえ。 echo」
一匹の猫を捨てに来た小学5年生の瀬戸公太は、捨てようとするところをモモとダニエルに見つかる。
見られて、捨てることを断念した公太は、それでも別の場所へ捨てようと移動する。
その猫は、小児喘息を患い、短い一生を終えた牧原麻依とのつらい思い出の残滓であった。
だが、そうした中で麻依を死なせてしまった呵責に悩む公太を救いたいために麻依は……。
「傷跡の花。 Low Blood Pressure」
思い出せない悪夢……傷を精神安定剤で押さえ込んでいる葉山マコトは、施設を出て兄と二人暮らしをしている高校生だった。
些細なきっかけで出会ったおなじ高校の樋浦トイロと出会い、トイロの抱える傷とともに接近していくふたりだった。
そんな、お互いを認め合うふたりだったが、トイロの身に危機にマコトの、幽霊などの見えないものが見える力がそれを察知する。
「あの日、空を見てた女の子。 balled for innocence / momo」
死神の仕事ではないけれど、地上に降りてきたモモは都会のビル群の中でぽつんと建つ洋館に住むひとりの少女を見つける。
父の言いつけで、部屋から一歩も出ることはないが、父の愛情に守られて育っているトワ。
しかし、そのトワのもとへ、怖いひとと教えられている黒ずくめで、赤いランプのついた車に乗った男たちが押し押せてくる。
父に助けを、そしてその帰りを待つトワは……。
以上、4編。
ストーリー的な評価としては、マンガを見たときからもわかっていたが、そう悪くはない。
死神、と言う主人公兼ヒロインを設定しているので、どうしてもキャラの死が避けて通れず、これまたどうしても切ない、悲しい物語になりがちなのは、設定の時点でどうしようもない。
だが、そうした中でも、それなりに雰囲気を持ったストーリーにはなっており、人気シリーズになるのもわかる。
また、「傷跡の花~」など、狙いすぎな部分がないわけではないが、メインキャラとなる人物のそれぞれの悲しい過去や傷などもしっかりと描かれており、ラノベにしてはきちんと人間ドラマをしているところは好印象。
欠点は、とかく読みにくいこと。
まずはページの白さがかなり目につくし、その白さの原因となっているのが、短い文章を1ページ、又は2ページ丸々使って書いているところだ。
作品の雰囲気や「間」などを作るために、こうした使い方をするのはいいのだが、これが長すぎると逆に読みにくさに繋がり、流れを阻害するし、うざったくなってくる。
使い方を誤ると逆効果になる、と言うお手本のようなもの。
また、詩的な言い回しをしたいのか、文章に特徴を出したいのかわからないが、上記の欠点のような使い回しを地の文でも多用しており、地の文が軽佻で薄っぺらい印象。
小説は文字で読ませるんだから、地の文くらいもっとしっかりと書いてもらいたいもの。
これでははっきり言って、マンガのほうで十分。
ストーリーはそれなりに読める話になっているので、下手な地の文で読むよりも映像で読んだほうがよっぽどかマシだろうねぇ。
とは言え、文章面は著者の書き方ひとつである程度どうにかなる部分だし、ストーリーは悪いとは言わないので、落第とは言わない。
いちおう、及第、かな。
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「しにがみのバラッド」ってあったんですが
関連作品っすかね?実写らしいけど?
たぶん、原作がこれだとは思いますけど、この手のマンガっぽいのを実写にしても見る気はしないですねぇ。
見ることもなく、マンガ>小説>実写って順位になりそうです(^^;