つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

企画ではないよ

2006-04-30 21:38:35 | ファンタジー(現世界)
さて、これで9割8分かなの第516回は、

タイトル:Add 機械仕掛けのホムンクルス
著者:仁木健
出版社:角川スニーカー文庫

であります。

地球に衝突した隕石によって蔓延した致死性の極めて高いウィルス性の病気「隕石病」によって人口が激減した近未来の世界が舞台。
人口の激減による労働力不足などからロボットが活躍、そして人間とほぼ同等の知能を持つに至り、人権を認められた「無機人」とがともに暮らしている。

そんな時代に生まれた主人公のミナヅキ=コウという14歳の少年は、日本政府の指令を受け、内戦中に消息を絶った天才科学者兄妹を捜し、「適切な処置」をするために東欧のラトリアという国を訪れる。
身体を機械にし、隕石病によって超常的な能力を持ったコウ、そのメンテナンスを受け持つ無機人のミナ、そんなふたりと行動を共にするアイリーンの3人によるファンタジー。

ん~、いかにもラノベって感じだねぇ。
特にキャラが。
年齢はコウより上だが外見は年下にしか見えない無表情少女のアイリーンは、妹属性にツンデレ(でいいよね?)のオプション付き。
ミナは天然系のお姉さんキャラ属性。
途中から出てくる天才科学者兄妹の妹のほうのカレンは、イラストから見ると眼鏡をかけたお下げの少女。

まー、外してないなぁ、この著者……。
キャラ造形もステロタイプで、ホントにラノベらしいよなぁ。
そういうジャンルだから別にいいんだけどね。

ストーリー的には強い主人公が困難に立ち向かう、典型的な伝奇小説 or 少年マンガの展開そのままで、特にどうこう言うべきところはない。
こういう意味でもまたラノベらしい話なんだろうなぁ。

いちおう、コウの戦う理由が自分の妹絡みのトラウマだったり、対立する側の理屈をこねくり回してみたりと、キャラに深みを出そうとしたのだろうが、これもよくあるネタ。
……ってことは、キャラ、ストーリー、展開、ネタなどなど、すべてらしさ爆発か。
いかにもなラノベを好むひとにはけっこう楽しめるのかもしれないなぁ。
キャラ萌えも出来るだろうし。

文章は……最初のページを見た瞬間、ゴミ箱に投げそうになった……。
最初の1行目、引用すると、
「人間NOオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」(文字数も一緒)

……最初の1ページ全部こんな感じ。
途中にも効果を狙ってだろうが、似たような文章が随所に出てきて、そのたびに本を投げたくなったなぁ。
あと、流れもいまいち悪いので、読み返したりしないといけないことがそれなりにあったりして、文章的な好みの問題も含めると落第。

でも、昨日の「満月の夜、モビイ・ディックが」と較べると、まだこっちのほうがマシかな。
もっとも、ラノベらしい作品だから、少なくともラノベがすごい好き、ってひとになら、読んでみたら? って言えるからってくらいだけど。



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