思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

ハックルカラーの分類について

2016-08-21 17:44:20 | ハックル/Hackles


今の日本ではハックルの色の呼び方にルールが無いようです。日本の釣り雑誌を読まなくなったのは前世紀ですが、偶々最近日本の釣り雑誌を見る機会があったところ、米国のジェネティックハックルメーカーの商品名の付け方をそのまま使ってハックルの色としていたり、茶色を「ブラウン」と呼んで解説しているのに出会いました。
色の呼び方などはどうでも良い些細なものなのでしょうが、問題は先人が残したレシピの通りに毛針を巻こうと思う時。例えばTup's indispensable(タップス・インディスペンサブル)のハックルは金色がまばらに乗ったblue dunとなってます。じゃあblue dunって何色なのか?これが明確に定義され釣り人に共有されていないと先人が意図した毛針の姿が判らない訳です。今の日本では夫々の釣り人が自分の「スペシャル」を巻いているようですので、70年代辺りまで蓄積されて来た先人達の毛針への関心がないのかも知れません。それでその昔作り上げられたハックルの色の定義と分類にも関心が向かないのでしょう。。。また、日本で入手出来るのは、昔のメッツ、キーオ、ホフマンから始まって今のホワイティングに至る米国ハックルとチャイニーズ、インディアンのハックルまでですので、英国を発祥とするハックルの色を見る機会がないこともハックルの色の定義・分類が普及するための障害になっているのかも知れません。

悲しいので下記のハックル色の分類を載せさせて頂きます。



上記分類中、米国のジェネティックハックルで残念ながら未だ目にかかった事のない色にブルー・ダンがあります。



上の左はホワイティングのMedium Dun (ミディアム・ダン)という色のハックル。このハックルはファイバーが金色に光りフェザントテイルをボディに巻いたドライフライに良く合いそうですが、右のOld English Game Cock (オールド・イングリッシュ・ゲーム・コック:英国で19世紀まで盛んに飼育された闘鶏)のブルー・ダンが持つ青色は有りません。

但し、この青色はOEGでもかなり珍しい色であり、ここ迄青色が濃いハックルはそうはありません。そこで鋼鉄を感じさせるメタリックな色のものもブルー・ダンとして分類されております。



上のハックルのリスト部分を見て頂けるとメタリックな色が見てとれると思います。



上の右側は、相模大野のバートンさんに入荷したチャイニーズケープの写真を見て、ハニー・ダンの可能性があると思い購入したものですが、リストの色が左のOEGの色と多少違っているのがお判りでしょうか。



これがチャイニーズケープのハックル。リストの色はメタリック色というよりも薄い茶色かかったブラックとでも言う様な色です。





チャイニーズケープのリストの色に対し、OEGのハックルは茶色・黒の影が入らない色になっております。このハックルのリストはpale blue dunですので、このハックル自体はpale honey dunという分類となります。



上の写真の左側はブルーが強くハックルファイバーはレッド(茶色)と言えるMedium honey dun with dark honey tipのハックルのケープ。右はホワイティングのジェネティッックケープでリストがクリーム色のもの。これもhoney dunにならないかと思って購入したものですが、どうしてもジェネティックハックルでブルーあるいはメタリックな色のリストを持つものがなく、honey dunとして使うのは無理と諦めたものです。

日本の毛針釣り雑誌も商売でやっているので、ハックル色の定義などは無意味、あるいは、米国ハックルの独自表記との関係で商売上有害なのかも知れませんが、少なくても毛針釣りの先人が作り上げて来た文化の一つですので、今後に期待したいところです。

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