思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Sneck鈎に毛針を巻く

2017-04-23 11:06:03 | 毛針/Flies
英国の古い鈎を入手したので、次の釣行に備え毛針を巻く事にしました。
とは言っても老眼が進行し近くが全く見えない事と仕事帰りの夜間の作業というオジさんには大変ハードルの高い仕事。昔のように意欲一杯で次々に巻くという訳にはまいりません。

それでも一週間コツコツやって、全部で21鈎巻きためました。

Orange Quillは12鈎。実際のハッチに関わり無くオーストリアのMur川のグレイリングにはこのオレンジ、否、水に濡れるとダークブラウンか?の鈎が良く効くのです。サイズはSneckの1番(14番)。但し、ゲイプはAlbert PartridgeのWide Gape鈎の16番くらい。グレイリングのおちょぼ口にも十分吸い込まれる大きさです。

Tup's Indispensableは2鈎。

Kite's ImperialはLarge Dark Oliveをイメージ。2鈎巻いて見ました。

それから、ドライがだめな場合、欧州でも日本でも実績のあるSnipe and Purpleも5鈎結びました。Snipeのハックルが厚めですが、釣りをしてハックルが抜けてくると更に良く効いてくると思います。尚、ドライフライはアップアイ、ウェットフライはダウンアイに結びました。

夜なべ仕事の毛針巻き。Sneck鈎をバイスに固定し、PearsallのGossamerシルク糸で下巻きします。このシルク糸は伸縮しないのでワックスを効かせて一巻きすると思う通りに材料が固定されます。

Starlingのクイルを用意します。耐久性と扱い易さを狙い二重にします。一匹かける毎にウィングが壊れたら、オールドイングリッシュゲームコックのハックルがもったいないので。

二重にしたクイル色の薄い側同士を合わせると自然にクイルウィングは広がります。

シャンクに結びますが、二重のクイルにすると強さが出て修正も容易。結構簡単に結べます。

こんな感じにウィングが乗りました。若い方には想像出来ないと思いますが、老眼で手前が見えないのでこんな簡単な作業でも神経が疲れます。

Frank Elder氏の遺されたオールドイングリッシュゲームコックのハックルを結びます。

アイから巻き始め、ウィングの後ろまでハックルを巻いたら、シルク糸でハックルの間をアイに向かって巻いていき、ウィップフィニッシュでヘッドを作って出来上がり。平日の仕事帰りの疲れた状態では2鈎を作って終わりというペースでした。
5月は忙しいので欧州に釣りに行けそうになく、断食月ラマダンで暇になる6月に向けカタツムリのペースになると思いますが毛針を巻きためたいと思います。
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Hardy Loch Leven (Special) H34617 (1960年製)

2017-04-09 14:26:11 | Hardy Palakona
Loch Levenは1929年から1939年まで製造された湖でのウエットフライ釣り用の竿。James Leighton Hardy氏の著書"The House the Hardy Brothers built"によれは、11'6、12'6の3本継の竿となります。
そのLoch Levenの名を冠した10'の2本継のパラコナ竿を英国から先日入手してしまいました。製造番号H34617ですので、1960年製。Loch Levenの後に"(Special)"と銘が入っておりますので、特注品か特別復刻版と思います。

ロンドンの宿に届けられたこの竿はグリップにプラスチックは巻かれておりませんでしたが、新品にしか見えない状態の竿です。

さすがに、10'の2本継ですので、全体像を写すのはちょっと無理です。

赤い段巻きが施されておりますが、リングのラッピングは緑のシルクでティッピングされております。この色の組み合わせは他の竿には見られないものです。
(追記)1939年製のLRH Wet 9'3''で同じ様に緑のシルクでティッピングされた赤のラッピングの例がありました。これはウェットフライ釣り用の竿独自の仕様なのでしょうか。

メタル部品は未だピカピカ。今年で57歳とは全然思えません。

フェルールはHardy独自のロックファスト。使用中にフェルールが外れる事はありません。

フルオープンブリッジ。

2本継の竿は通常は替えトップが付いて来ませんが、特別製造なのか2トップとなっております。

竿袋は流石に57年の歳月で色あせております。

銘にはLoch Leven (Special)とあります。

1960年代のパラコナ竿の銘は大振りで踊ったような手書きになりますが、これは未だ1950年代に記銘していた担当の方のマニュスクリプトのように思えます。

しかしながら、1950年代のパラコナ竿には通常見られないフックキーパーが付いております。

ピカピカの竿尻には製造番号H34617と刻印されております。

コルクグリップの上の方にはバーニッシュが広がっております。
この竿の調子ですが、ロッホスタイルの釣りの竿と言えばイージーアクションの竿と思うのですが、さにあらず。新品で未だ張りが強い事もあろうと思いますが、Gold Medalの様に胴調子でありながら、ティップのみを曲げる事も容易で、先日ご紹介したPezonのSawyer Nymphと同じ様な調子です。従い、ドライフライにもウェットフライにも今の状態であれば使えそうです。またライン番手は記載されておりませんが、AFTM 5〜6番が合うのではないかと思います。最も、竹竿の場合は許容範囲が広いので、AFTM 4でも7でも使えると思います。

さて、昔Phantom 10'の記事のところで、HardyのRod Pattern Numbers Bookに触れました。このノートはHardyが過去の同社製の竿の仕様を将来に亘って残す為に自社で保管した基準竿をリストアップしたものです。

それを広げると、1番〜25番までがサーモン竿、26番〜143番が毛針竿(鱒竿)となっております。

更に鱒竿の一番、26番はLoch Levenの10'、2本継の竿で、1969年7月3日に基準竿が登録されております。

冒頭のJames L. Hardy氏の本ではLoch Levenな11'6"、12'6"の3本継の竿となっているのですが、11'6の3本継は基準竿であるものの、10'と10'6''は2本継の竿が基準竿となっており、1939年と1969年の間に何か仕様の変更か或は特別復刻製造がされたのか、何らかのイベントがあったような雰囲気です。本竿はその確たる証人という事でしょうか。
(追記)1935年のアングラーズガイドにLoch Levenに10'と10'6''が追加されたとありました。
10'の2本継ですので、飛行機で運ぶのは追加料金がかかる可能性があり面倒そうですが、オーストリアでの釣りに連れて行ってやりたいなと妄想しております。
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養沢釣行(2017年3月17日・18日)

2017-04-01 09:34:25 | 釣行記/Fishing Trips
3月中旬、所用があり一時帰国致しました。
用事も何とか片付け、週末のチュニス帰路までの間、3月17日(金)・3月18日(土)の二日間養沢へ行って参りました。2017年の初釣りです。
未だ気温も10度程度、水温は7度と寒く、ドライフライでは出ないだろうなとは思いましたが、スーツケースに斜めに入れられる竿はHardy Marvel 7'6''三本継だけなので、それを持参。淡い期待を胸に都心から電車・バスで川へ向かいます。

3月17日は平日なので、電車のダイヤの都合上、養沢には8時半過ぎにしか到着出来なかったのですが、既に17番という番号。相当人が入っていたようです。それで、この時期でも魚の動きが期待出来そうな遠藤前を目指し歩いて行きました。

遠藤前は水が少なく流れは通常よりゆっくり。この難条件下でドライフライを投げましたが、一回魚が出たものの、痛恨の合わせ切れ。そこから先は音信不通になりましたため、スナイプ アンド パープルを結びました。この毛針、紫色のタイイングシルクのボディにスナイプのフェザーという簡単極まるものですが、水温が低い条件下、過去数々の魚を掛けてきた実績のある鈎。養沢に来る前も、ニンフを使うのは嫌なので、多分これでなければダメだろうなと思っていたものです。上の写真の鈎は魚を掛けてシルクがボロボロになったもの。

ティペットはそのままにして、リーダーにはグリースを塗り良く浮かぶようにします。毛針は唾で濡らして沈み易く下準備をした上でアップストリームに投げ込みます。光の関係で見難い場合もありますが、水面に浮かぶリーダーの動きと魚の動き、そしてblind man's sixth senseという言葉がピッタリの第六感でアタリを待ちます。写真の流れではリーダーの動きだけでアタリが良くわかり、おかげさまで沢山の虹鱒に遊んでもらいました。

翌3月18日も、都心に居てもやる事はなし、代々木上原駅まではタクシーで、そこで5時36分の小田原行き急行にのり南武線経由立川で武蔵五日市線へ乗り換え、7時半前には養沢に到着です。前日よりも陽光が暖かい中、同じ場所で同じ毛針を振ります。暖かさが気持ち良く、また、金曜日よりも人が少なかったためもあり快適な釣りになりました。

虹鱒の口の右側にはスナイプ アンド パープルがしっかりかかっております。昔の達人の様に目印のようなものは付けずに竿先の感覚とリーダーの動きを中心にアタリを取って行く技を磨くにはこの手の釣り方は多分入門し易いものではないでしょうか。流石にMarvel 7'6''の短竿では竿先の感覚でというのはフライラインの処理に難があり、養沢ではリーダーの動きでのアタリ取りが中心になりましたが。

昼過ぎには帰りのバスに乗りたいので、午前中で遠藤前の流れにお別れし、事務所下でちょっと遊ぶことにしました。

事務所下では毛針のスローリトリーブに虹鱒・山女魚がアタックしてくれ、根を詰めない気楽な釣りが出来ました。でも釣れるヤマメは全て脂ビレがちゃんと付いている魚。私は養沢の標識山女魚を未だ釣った事がありません。

そんな釣りの最中、水面にカゲロウが流されて来るのを見ました。羽化に失敗してもがいているので可哀想に思い石の上に置きます。和名でマエグロヒメフタオカゲロウ、欧州の釣り師は簡単にマーチブラウンと呼ぶカゲロウ。サイズは13番くらいでしょうか。後少ししたらドライフライで楽しめるかなと思う次第です。
欧州の釣り場は未だ未だ釣りになりませんが、4月末以降フランス・ノルマンディーだったら大丈夫かなと期待しております。
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Pezon et Michel Sawyer Nymph 8'10'' (1975年製)

2017-02-26 14:39:42 | Fishing Tackles

また新しい竿がチュニジアにやって来ました。ペゾン・エ・ミシェルのソーヤー・ニンフ8''10'です。
ペゾン・エ・ミシェル(仏語発音はペゾン・エト・ミッチェルではありませんので念のため)の竿は英国で流行し、FarlowsやSharpe'sがブランク供給を受けて英国内製造・販売をするなどしたためか、大陸欧州以外でも英国内で結構出物があるのですが、この竿もその一つ。英国某所で退蔵されていたものを入手したものです。

どう見ても新品にしか思えない竿でフェルールもキツく、竿自体も張りと固さがあり全然使いこなされていないのが感じられます。

ハーディーの60年代前半までの竿と違い、トップリングは瑪瑙等が入っていないもの。1950年代に登場したプラスチックラインの使用を前提に設計された竿である事が判ります。

ペゾンの竿はPPPシリーズがスタッガード(トップとバット・セクションの長さが違う)デザインになっている等特徴がありますが、この竿の特徴はグリップとバット、トップの3セクションに分かれている事です。

グリップ側は雌フェルールになっておりますが、バット側の雄フェルールにはポッチが出ており、グリップ側の切れ込みに合わせれば使用中にズレる事がありません。しかしながらこの竿は未だ新しいからか、奥までフェルールを押し込めないので未だその機能を使えません。

インスクリプションは8'10''、#5/6となっており、AFTM 5〜6番を使うSawyer Nymph Mark IIです。

ここで気づいたのですが、この竿はNymphと書いてあり、仏語のNympheではありません。最初から英国向けの前提で英語のネーミングとなったのでしょうか?

ここで製造番号を見てみます。そこには724581057と9桁の数字が並んでおります。

ペゾンの竿はハーディーの竿の様にきちんと製造年を遡る事の出来る製造番号システムを持っていないのでやっかいですが、1970年代の竿の場合は、最初と最後の数字が製造年を示し(この場合は77:77年製)、左から2番目〜4番目の3桁の数字がモデルコード(この場合は245:これはSawyer Nymph Mark Iのモデルコード)、左から5番目〜7番目の3桁の数字が竿の長さ(この場合は810:8'10'')を示すという情報はあり、この竿の製造番号も大凡それで説明可能なのですが、左から8番目の数字5が一体なにを表すのか(1977年中5番目に作られたSawyer Nymph竿という意味か?)また、本竿はAFTM 5〜6番のライン用のMark II (モデルコードは243)なのに何故Mark Iのモデルコードなのか、判然としません。

(追記)
本記事にコメントを頂いたスナフキン様の情報と他のサイトの情報より、724581057は、製造年:Y、製造月:M、モデルコード:C、竿の長さ:L、とした場合、YCCCLLLYMとなり、1975年7月製造のモデルコード245、竿の長さ8'10''の竿というように理解致します(2017年3月5日)。スナフキン様ありがとうございました。


これは日本で山一マークと呼ばれるもの。これは山ではなくひっくり返してTと読み、仏語のTruiteの頭文字を示し、一というのは只の線で、そこからグリップまでの長さ23cm。つまり当時のフランスに於ける鱒の体長制限を示すものです。

バットリングはハーディーとは違い瑪瑙は入っておらず安価かつシンプルな仕様です。

さて、この竿のリールフットですがこれがちと厄介です。

バットエンドにキャップがあり、それをリングで締めるという特段特徴のないものですが、

手持ちのリールですと、1980年代のパーフェクトしか入らないのです。

それも先っぽが一寸だけ入るという程度。

このSawyer Nymph竿は英国のニンフ釣りの革新者Frank Sawyerの名前を冠したもので、Sawyerスタイルのニンフ釣りのために開発されたような印象を与えておりますが、実際のところはさにあらず、元々ウェットフライ釣り用に開発・販売されていたものをSawyerの名前を使ってリネームし、マーケティングしたというのが真相。そのため、アクションは胴調子。但し、トップセクションのみを振り方により曲げる事も可能で先日ご紹介したHardy Marvel 7'6''の1953年製の竿と似たアクションに感じます。

更にこの竿はまだ『新品』という感じで張りと固さがありますので、ドライフライにも十分使用出来そうです。グリップ分離式のお陰でチュニスエアの機内に持ち込める8フィート二本継用のロッドケースに入るので、ノルマンディーのRisle(リール川)、それと勿論オーストリアの川でこれからドライ、ウェット、ニンフと万能に使えそうで、とても楽しみです。
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Hardy Palakona Fairy 9' E41354 (1937年製)

2017-02-05 18:59:57 | Hardy Palakona
鱒釣りとは遠く離れたチュニジア。ですが、竿はだんだんと増えていきます。
Hardy Fairy 9'を落札する気が殆どないにも拘らず、適当な金額で入札だけしてみたら、落札してしまいました。チュニジアに直送は、問題の多い当地税関で確実にストップされて、その後どうなるか分からないので、確実な第三国に送付してもらい、そこに立ち寄った際に持ち帰るというちょっと面倒なステップを経て、この竿は昨年当地にやって参りました。
Fairyはあの「老人と海」でカジキマグロと老人の死闘を描いたアーネスト・ヘミングウェイの愛竿だった事でも有名な竿。ヘミングウェイは元々フライフィッシャーで、ロンドンに立ち寄った際、ハーディーでFairyを買い求め、それでアメリカを釣り歩いたのですが、以前読んだ話では、愛竿等一式を列車で送ったところ紛失してしまい、それでフライフィッシングを一切止めてしまったとありました。
ところが、この記事を書くに当たりネットを見回してみたところ、フライフィッシングを止めてしまった後、息子とアイダホで一回フライフィッシングをしたそうで、その際にFairyとJ.J.Hardyを使ったと息子が言っているとありました。
ヘミングウェイはFairyにウェットフライを三本付けた仕掛けて釣りを楽しんだそうです。

さて、そのFairy。三本継でトップセクションは二本。曲がりも反りもなく、今年で80歳になるとは思えない状態です。

緑の段巻きが施され、グリップは戦前の竿の特徴である先細り。

トップとバットのリングにはシルクライン使用を前提に瑪瑙が填められております。

光の関係で見えないですが、製造番号E41354がプリンスオブウェールズの紋章の横に刻印されております。

ちょっと長めのリールフットをもった1912年チェックのPerfect 3 3/8リールもちゃんと装着出来る設計です。

銘は戦前の手書きです。

上にFairyと書いてあるのが判ります。

先端部です。

トップのリングの瑪瑙のアップです。

その他のリングはフルオープンブリッジ。ザラザラのシルクラインが竹竿に触れないように設計されたものです。

フェルールは低コストのサクションジョイントです。

こちらは雄ジョイント。

リールフットはグリップ下のハウジングと二つのパーツより構成される可変式のリールホルダーで固定します。
同じ9'でも、手持ちのCC de Franceよりも強い竿ですので、強風が吹くノルマンディーで使うのに良いかも知れません。また、オーストリアの河川でも活躍する事でしょう。

これは、Frank Elder氏のハックル。1月で父君の残されたオールドイングリッシュゲームコック(OEG)のハックルの販売を止めるので興味があるなら発注して欲しいと娘さんからメイルを頂き、ダン系を中心に最後の発注をしたものです。これまでのコレクションと合わせこれで一生OEGのハックルに困る事は無いでしょうが、残念な事であります。
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Hardy Marvel 7'6'' (E87715 1953年製)

2017-01-15 12:51:30 | Hardy Palakona
チュニスの拙宅に新しいHardy Marvel 7'6''が加わりました。
製造番号E87715、1953年製のMarvelです。

3ピース、2トップ。グリップはオールコルクがMarvelの仕様。

コルクは洗ったのか汚れが付いておりません。

導入当時からMarvelには段巻きはありません。1960年代半ばまで段巻きされたタイプがHardyの竿の主流でした。

製造番号はリールを固定するリングに刻印されております。

雄フェルールは接着されただけ。ピンで固定されておりません。

トップとバットのリングには瑪瑙があしらわれております。ザラザラのシルクラインを使う前提での仕様。

グリップ上の銘はRegd Trade Mark Palakona The 'Marvel' と50年代までのチマチマした字体で記入されております。

これで、チュニスの拙宅のMarvelは3本になりました。上から夫々、E49054、1938年製、E87715、1953年製、E/S、1967年5月製の竿になります。計測機器がないのであくまで感覚的な比較ですが、3本の中で1938年製が一番軽く、1953年製、1967年製は重さに差を感じません。
アクションは、全てがミドルセクションから曲がる胴調子ですが、1953年製の竿は振り方によりトップを他の2竿よりも曲げる事が可能で、繊細なティップを持っているように見受けます。日本の渓流で近距離に毛針を早いテンポで打ち込むような釣りにも合っているかも知れません。
また、1938年製、1953年製の竿ではミドルセクションがどうも他セクションに比較し固くて重い感じがします。胴調子で一番負荷がかかるミドルセクションに特別密度の高い竹を使ったのでしょうか。私は所有しておりませんが、昔読んだ話でHardy White Wickam Fairchild (8' 3pcs、1925年〜1939年製造)のミドルセクションにはスチールセンターが入っているとありました。Marvelも同じ1925年に導入されておりますが、胴調子の竿で一番負荷がかかるミドルセクションを強くするための方策がWhite Wickam Fairchildのスチールセンターであり、Marvelは密度の高い竹の使用だったのかも知れません。

グリップ側の写真。よく見て頂けるとお判りになると思いますが、1953年製と1967年製の竿ではリングの位置がほぼ同一であるのに対し、1938年製のものはリングの位置が違っております。それもその筈、1938年製のMarvelのリング数が8に対し、1953年製、1967年製の竿は9つのリングとなっております。1920〜1930年代のHardyの竹竿はリングの数が後年の竿よりも全般に少なくなっておりますが、Marvelでも同様のデザインの違いが見られます。

トップ側の写真。

1938年製のミドルセクションの雄フェルールを見て頂くと、フェルールにピンが打ち込まれているのが見て取れます。戦前の接着剤の性能は限られていたため、フェルールを接着した後、ピンを打ち込んで抜けなくしてあるのです。

1953年製のものにはピンは既に打ち込まれておりません。

1967年製のものも同様。接着剤の性能に対する信頼・自信の現れです。但し、戦後の竿であってもフェルールが外れたりする事がありますので、何事も過信は禁物と言ったところでしょうか。

30年代、50年代、60年代夫々のMarvelの勇姿。オーストリア・ドイツの山岳渓流の釣りが可能になる6月が楽しみです。
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英国の古い毛針用鈎

2016-11-20 15:03:09 | 毛針/Flies
2016年の毛針釣りシーズンも欧州では既に終わり、それでも釣りをしようと思ったら、フランスの管理釣り場に行くくらいしかありません。そこで釣行とは関係ない話を一つ取り上げることになりますが、先日、英国から古い毛針用の鈎のコレクションを入手致しました。
売り手の話では、ひいお爺さんの集めた鈎というもので、古い鈎は100年以上という説明でした。

この古い紙箱の中に、

如何にも昔風な紙の包装に包まれたアップアイ鈎、ダウンアイ鈎がギッシリ入っております。

私の好きなアップアイ鈎を数点ピックアップしてもこの通り。各紙包装の中には50本からの鈎が入っております。

ここで、伝統的な毛針鈎の形状について、確認です。今日本及び世界で作られている鈎の形と伝統的な鈎の形は多少違っております。上のラウンド、スプロートは今でも多く作られ、広く入手可能な鈎ですが、リマリックはサワダあたりで入手可能な程度、また、スネックは世界中で今作っているメーカーはもう無いだろう、という感じと思います。ところが、伝統的な英国の毛針にはスネックに巻かれたもの(例えばスキューズニンフ)、スネッキー・リマリックに巻かれたもの、等があり、どうでも良いかも知れませんが、伝統を再現しようとするとどうしても古い鈎を世界中から探し出さなければならないのです。

これは今回入手の鈎の中でも希少性では格上のスネックのアップアイ鈎の0番です。この0番は今の規格では15番程度と言われておりますが、どうもそれよりも小さく16番程度と思います。

形状が四角四面なので、シャンクが長く見えますが、ノーマルフックでしょう。

アップアイ・スネックには2番(13番)もあります。

並べてみるとこの通り。ベントは上から見て左側に鈎先が曲がっており、カーブド・ベントです。

左は1番のスネッキー・リマリック・アップアイ鈎。右のスネック鈎と比べると形状の違いが良くわかります。

15番のワイドゲイプ鈎。これはアルバート・パートリッヂ・ワイドゲイプ鈎と同じ形状です。

さて、この古いハッチンソン鈎。これは今ではとても稀少な鈎ですが、昔の英国の老舗の鈎です。0番となっておりますが、17番程度ではないかと思われる程小さい鈎。スネックで英国の伝統的なドレッシングを施すととても似合いそうです。

上記鈎のズームアップです。

今回入手した鈎はアップアイだけではありません。ダウンアイも沢山あります。

これはダウンアイのスネッキー・リマリック鈎。

ダウンアイのスネック鈎もあります。これは12番のもの。

太軸のブロンズで、丈夫そうなスネック鈎が多数入っております。

ズームアップするとこの通り。

ダウンアイ・トラウトとのみ書いてある鈎は、

今でも入手出来る鈎と殆ど変わりませんが、ブロンズで軸が太めなのが違いでしょうか。

今回入手の鈎にオールド・イングリッシュ・ゲームのハックル、ゴッサマー・シルク、スターリングのプライマリークイルを巻き込んで(出来映えはともかく)スタイルのある鈎を巻くことが出来ると思うとまた一つ心が豊かになります。でも、これから来春迄の長い間、鈎を巻く時間は十二分にあると思っていると、あっという間に来シーズンに突入するので、老眼に鞭打って気合いを入れて毛針を巻かなければ、と決意を新たに致しました。
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ドライフライでのグレイリング釣り(9月11日Mur川)

2016-09-21 13:43:53 | 釣行記/Fishing Trips

ラマダン明けの休日を使って行った7月初めのMur川釣行では、16番のパートリッジのアップアイドライフライ鈎に結んだドライフライにグレイリングがライズしてくれました。グレイリングのドライフライ釣りはフィーディングレーンを外さずに毛針を流す事、毛針先行で先糸を魚に見せない様に流す事と、鱒を釣るよりも気を使う点が多いのですが、流れが緩やかな川で深い川底からグレイリングが水面にスーっと上昇して来て毛針を咥えた瞬間の達成感は中々に心を引きつけて放さないものがあります。グレイリングは必ず水底に定位しているのでこういう光景になるのですが、シャルル・リッツが鱒よりもグレイリング釣りの方が好きだったというのも、一度体験すれば良くわかる気が致します。

9月11日(日)の朝は多少の靄はありますが、晴れ。まずまずの釣り日和です。

ホテルに隣接するMurauer Bier (ムーラウアー・ビアー)の工場建物。ビールを貯蔵するタンクが見えます。

昨日は60歳なのに未だ固さの取れないPerfection 8'で小型毛針にかかったグレイリングを結構釣り落としたので、1938年製のHardy Marvel 7'6''を使います。これは胴調子の竿で大きな魚がかかっても竿全体が曲がって魚の力を吸収してしまうため、バラシが殆ど無い竿です。それに昨日使ったSt. George JuniorとKaizerシルクラインの2番(AFTM 4-5)を合わせます。

いつも入っているのは、Bodendorf漁区の最上流のWandritsch橋(バンドリッチュ・ブリュッケ)の下流100m以内のところですが、そこから数百メートル下流に石の州があり、淵もありましたので、今日はそちらに行ってみました。上の写真は上流のWandritsch橋の方を見たもの。川幅は70m程度に広がり後ろを全く気にせずに毛針を投げられます。

そして、緑の淵の上流には早瀬があります。まずはそこに毛針を流してみます。

すると、第一投から早瀬を流れるOrange Quill 16番に魚がライズ。アワセをくれるとちゃんとのりました。7'6''のMarvelの穂先はグイーんと曲がりミドルセクションも曲がりますが、お陰で例外無くジャンプするここMur川のグレイリングの抵抗も軽くいなしてSharpeのタモに最初のグレイリングが収まりました。最初から30cm超の尺越えサイズです。

その後も尺越えサイズのグレイリングが16番の毛針を次々に攻撃し、78歳のお爺さん(お婆さん?)のMarvelの粘り腰の前に屈服しテレスコピック・タモに誘導されて行きます。

上は本日最大のグレイリング、38cmのものです。他の獲物が早瀬から出たのに対し、この魚は毛針が早瀬を流れきるところで、淵から浮かび上がり毛針を咥えたもの。毛針を咥える前に魚の姿が見えるので興奮しました。

下流の早瀬で尺以上を11匹釣りもうお腹いっぱい。そこで、より流れが緩やかで水深もある橋の近くの区間に戻り水底に潜むグレイリングと対戦する事にしました。後ろのスペースが限定されるので、7'6''のMarvelでは多少厳しいものがありますが、16番の鈎に魚を掛けた後の事を考えると弾力のあるMarvelが一番信頼出来る竿でした。

そこで何投か、川の中心部に小さな毛針を送り込みます。私の下手な腕前ではなかなかグレイリングのお気に召すように毛針を流す事が出来なかったのですが、偶々それがうまく行ったのでしょうか、水底からグレイリングがスーっと上昇してきて毛針を咥えました。その光景による興奮を抑えつつ、アワセをくれるとMarvelの穂先はギュイーンと曲がりバットセクションまで曲がりシルクラインがジーっっと引き出されます。これがこの釣りの醍醐味。グレイリングのジャンプをMarvelの穂先はいなし、決して糸のテンションがなくなる事はありません。さすがの好敵手も徐々に疲れをみせ、何回か抵抗したものの、最後はテレスコピック・タモに収まったのでした。35cmの奇麗なグレイリングでした。

疲れたグレイリングを水中で休ませ、自力で泳げる様になるまで支えてやります。水に入ると陸では銀ピカ魚が茶緑紫の表現しにくい色に変わるのが本当に不思議です。
日本でもグレイリングがいると面白いかもとは思いますが、やはり生態系を考えると無理な話です。せいぜい楽しめる限りオーストリアで楽しみましょう。

グレイリング釣りの後は作り立ての美味しいビール。Murauer Bierは黒ビール(Dunkles)も醸造しております。スッキリしたピルスナータイプとは違ったコシと旨味のある味。

そして、豚肉に餓えた北アフリカ在住者は豚肉料理を頼んだのでした。釣りに疲れたオジサンに豚肉の滋味が染み通ります。
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Hardy Perfection 8' (H8361 1956年製)

2016-09-17 14:53:11 | Hardy Palakona
竹竿はもう要らないのですが、先日また入手してしまいました。
英国出張時、ホテルに届いたそれはHardy Perfection 8', 製造番号H8361、1956年製のパラコナ竿です。

PerfectionはHardyの竹竿の代表選手。2本継の竿で11フィートまでラインアップされておりましたが、8フィートはその中で一番短いモデルとなります。入手した竿はアルミ製のスピアが仕込まれた特注品です。ところが、このスピア、60年の年のせいか、固まってしまっており抜けません。

トップリング含めたリングの総数は8個。

比較のため、製造番号H16943、1958年製のPerfection 9'と並べてみます。

9'のものは2年若いのですが、良く使い込まれているので、グリップも8'に比較し痩せて色がついており、アクションも8'よりもしなやかな感じがします。逆に言えば8'は未だ未だ使い込まれていない発展途上の竿のように感じます。

9'は1フィート長いだけですが、リングの数は10個と8'に比べ2個も多くなっております。トップセクションのリングは9'が7個に対し、8'は6個、バットセクションが9'は3個に対し8'は2個。所謂ストリッピングガイドとグリップの間隔は9'が33.7cmに対し8'は45.6cmもあり、ホールをかけてシュートするような投げ方により適しております。

8'の調子はやはりPerfectionシリーズの調子。太いトップですが、7・3調子という感じでトップが粘り強さを感じさせつつも(もったり感?)曲がり、更に力を加えると徐々に胴の方まで曲がってくるものの、Gold Medal程には胴調子ではないアクションです。
9'は長年使い込んできた竿で投げるに良し、魚もブラウントラウト、虹鱒、グレイリング、アルプスイワナ、山女魚、岩魚、その他の魚とこれまでどんな魚でも安心して取り込んできた竿ですので、8'もそういうものと思ってました。



それで、イスラム教の宗教祭日犠牲祭の連休を使ってオーストリアのMur川にドライフライでのグレイリング釣りに行った際、一番最初に使う事にしました。車はオペルのコルサ。

Kaizerの2番(AFTM 5程度)をSt. George Juniorに巻き込んでPerfection 8'を使い、Mur川の流れが多少緩く水深がある川の中心部に16番のドライフライOrange Quillを浮かべると、グレイリングが水底からスーっと上がってきて毛針をゆっくりと咥えます。
やった!と合わせて、St. George Juniorの逆転音を聞き、Perfectionの竿先がギュギュと曲げられるのを楽しんだのですが、グレイリングのジャンプとノシで、途中で毛針が外れてしまいました。
それを合計4回も繰り返してしまい、ちょっとこのPerfectionは愛用の9'に比べて固いなと思わされてしまいました。
写真は漸く取り込めたドライフライでかけた5匹目のグレイリング。60歳でも未だ未だ若いPerfectionをこれからもっと使い込んで固さをほぐしてやりましょう。
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Sharpe's of Aberdeen Telescopic Folding Net

2016-09-04 18:03:51 | Fishing Tackles
これまで、数知れずこのブログに登場してきながら、愛用のテレスコピックタモを全く紹介しておりませんでした。
Sharpe's of Aberdeen製のtelescopic folding net ''Seaforth''です。

これはViscount Grey 10'6''で釣ったブラウントラウト46cm。相棒のネットは伸ばされております。

このネット、ネット部分を広げずに畳んだままですと54cmの長さ。

ネット部分は金属製のアーム2つとそのアームの間に取り付けられた太い合成繊維製のロープ、そして網よりなります。

金属製のアームを広げるアームとロープが三角形を作り、ネットとして使える様になります。

肝心の金属製アームを広げてかつ固定する機構はシンプル。

アームを向かって上方に起こしていって、

斜めに切り込まれたところまでアームを起こしてあげるとそれ以上は動きません。

そこをバネ仕掛けのキャップで覆えばしっかり固定されます。

また、取手にはフックがついているので、釣りバックの金属リングにフックをかけると、右肩から左腰に斜めに釣りバックをしょいながらネットも同時に持ち運び可能です。日本の渓流溯行には向きませんが、忍野のように川岸が高い川、英仏のチョークストリームでは重宝します。

上の写真は2005年にEtrachseeで尺上のアルプスイワナをKiller Bugで釣った際のもので、曲がっているのは1967年製のPalakona Perfection 9'です。これで見て取れる様に竹竿で魚を上げる際、ティップ部分を労るためにはテニスラケット型よりもテレスコピックが有利なのは明らかでしょう。
このSeaforthは伸ばさなければ88cmのネットとして使えますし、最大限に伸ばせば129cmのネットになります。私が買ったのは1997年。John Norrisの通販でした。来年で20年選手となりますが、多少くたびれてはいてもこれからも全然問題なく使えると思います。
但し、Sharpe'sはこのFoldingバージョンの生産を止めてしまったようで、今の製品ラインアップにはもう入っておりません。私の愛用品は何故か製造中止になってしまう確率が高いようで残念です。
コメント (2)
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