パロディ『石泥集』(短歌・エッセイ・対談集)

百人一首や近現代の名歌を本歌どりしながら、パロディ短歌を披露するのが本来のブログ。最近はエッセイと対談が主になっている。

2018年事件簿2 トランプが金正恩と会う

2018-03-11 20:06:57 | パロディ短歌(2018事件簿)
2月23日から10数年ぶりに、風邪を引いて寄稿の時間が空いてしまいました。歳をとると、風邪の治りも遅い。熱も咳きも鼻づまりも、大したことはないが、だらだら続く。昔なら1週間で治ったのに…とぼやきながら、ブログを再開します。




             文大統領と民族の野望

 今年5月頃に、いよいよトランプと金正恩が会うことになった。場所・時期ともに未定だが、会談自体は確実視されている。トランプが経済制裁や軍事演習などで圧力を強め、金正恩が白旗を上げた…という見方が有力だし、原油の瀬渡し(船から船への積み替え)の現場を数多く押さえて発表したのも効いているだろう。

 しかし、私は2月28日に発表された「シリアの化学兵器に北朝鮮の協力」という国連報告書の発表に注目したいのである。特に記憶のいい読者でなくとも、2017年4月10日、シリアでアサド政権が化学兵器を使用した…というニュースが伝わったあと、時を移さず、トランプが巡航ミサイル59発を、アサド政権側に打ち込んだことを覚えているだろう。(化学兵器の使用が確認されたら攻撃する…といいながら、その約束を反故にしたオバマとの違いが際立っていた)

 シリアの化学兵器との関連を指摘され、制裁やぶりを暴露されたときから、金正恩は怯えていたのではなかろうか。シリアとの関係は数十年に及ぶ。口先で派手な攻撃をしながら、内心は怯え、誰かに助けを求めるという行動は、父の金正日とよく似ている。ブッシュ大統領から「悪の枢軸」と名指しをされ、リビアのカダフィの住まいがピンポイントで攻撃されると、金正日の恐怖は頂点に達した、彼が小泉純一郎と電撃会談をしたのは、中国から「日本のKOIZUMIがブッシュとは最も親しい」と聞かされていたからである。さすがに、ブッシュへのとりなしを直接、小泉に頼むわけにはいかないので、拉致問題をとりあげ、釈放とバーターで賠償金を取り、平和条約締結をもくろんだが、中途半端に誤魔化したため、未解決案件になってしまった。しかし、会談を設けることで、ブッシュからの攻撃を受けなかった、という点では、彼は目的を達したのである。

 いざ、となると腰砕けになるのは半島のお家芸といってよく、そのくせ、目先を掠めては裏切りをする。政治学者や歴史学者は「強大国に挟まれた弱小国の運命」などと物知り顔に言うのは、こうした性根をさしていて、南北ともに共通してもっている。

 今度の米朝会談でも、気をつけなければならないのが「核の温存」である。国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れるフリをしながら、数発は隠しておくとか、例によって前言を翻して事態を振り出しに戻すとか、方法はいくらでもある。ただ、私が注意を払いたいのは、その誤魔化しは金正恩だけが狙う訳ではない…という点である。想いは文在寅も同じ、と言いたいのだ。狙いは核を持ったままの南北統一だ。南北統一にのめりこんだ韓国大統領は、これまで金大中、盧泰愚などがいた。彼らはそれでも、南北対等の合併をもくろんでいた。むしろ、貧乏な北朝鮮を抱きかかえるつもりだった。

 しかし、今回の文在寅が彼らと違うのは、彼が金正恩の部下になってもいいと考えている点である。彼のこれまでの発言や著書を洗い出せば、必ず証拠は出てくる。民族統一…というスローガンには誰も逆らえないから、しゃにむに進めて、一方では、隠していた核を有効に使う算段をするだろう。そのためには、どんな犠牲もいとわないはずである。「核つきの朝鮮半島」で自分たちがどれだけ威張れるか!を考えれば当たり前のことなのである。

 小癪な日本に対して、親分顔をするCHINAに対して、金王朝を作っただけで資源泥棒ばかりしてきたロシアに対して、核を持った朝鮮人は、つもりに積もった恨みを晴らすことができるのである! これが弱小国、それゆえに70年間も分断された朝鮮民族の心の底にある心情であることは疑いないだろう。今度の米朝会談は「検証可能で不可逆的な核廃絶」をテーマにしなければならない理由が分かる。あれ? どこかで聞いたような文言だなあ、と思った人は鋭い。慰安婦問題の蒸し返しと構造が似ているのである。トランプさんへ、お願いだから朝鮮人の性根の悪さ、小狡さを見抜いてね!

 もっとも、「核つきの朝鮮」は、どの国にとっても悪夢だから、寄ってたかって潰すに違いない。それは100%の確率でたしかなことである。ただ、政治の世界で「一寸先は闇」という。最悪の事態は、芽の内に潰すにこしたことはないのである。

 拉致問題については「人道問題である。人権侵害の最たるものである」と、トランプに繰り返してもらえばいい。要するに問答無用で返すのが筋…という論法である。しかし、いくらそう言っても、金正恩は拉致被害者を人質にとって、平和条約を高く売りつけてくるだろう。それはそれでいい、と私は思っている。金で全面解決すればいい。日本人は潔癖すぎるのではないか。金で解決するのは、最も基本的な取引である。更にいうなら、何かと逆らう韓国への見せしめに、金正恩の方に経済的な好条件を出すべきである。南北は分断しておくのも日本の国益にかなう。外交音痴の外務省が、うまくやれるかどうかが問題だが。

 トランプの政策は、まるで50~70年前のアメリカに戻ったかのようである。しかし、意外にパンチは効いている。北朝鮮問題は、もう少し成り行きを見なければならないが、中東に関していえば、産油国の実力が落ちているのを見越して、大胆な手を打っている。イスラム国壊滅がそうだし、サウジアラビアとイランの分離を図っているのもそう。イスラエルが最も重要、というシグナルも送った。30日間だけであるが、シリアの停戦も実現した。今のところ、反対勢力は有効な手段を見出すことができないでいる。つまり、産油国は金詰りなのである。その証拠にテロも激減した。世の中の沙汰は金次第(中東の場合は原油価格次第)…という商人らしい見通しが効いている。

 鉄鋼とアルミへの関税は、時代が逆戻りしすぎの感もあるが、トランプには意外な柔軟性もあって、これからは例外規定をどしどし作っていくのではないか。予知不可能を演出しながら、目的を達するやり方は、アメリカだけに許される贅沢だが、トランプはそれを楽しんでいるようだ。。時代に逆行するのも、半世紀以上のスケールになると、誰もがどう対応していいのか分からなくなるようで…。

米朝会談では、このセリフを聞きたい
●山を見よ山に核ある海を見よ海に核あるいざ廃棄を君
(本歌 山を見よ山に日は照る海を見よ海に日は照るいざ唇を君  若山牧水)
(蛇足)IAEAの査察を巡っては、もめるだろうな。トランプがどんな取引を持ちかけるかが見もの。

核開発中の罵倒合戦はすさまじかった
●「チビのロケットマン」と君が言ったから5月会談は決裂記念日
●「気違いのオイボレ」と君が言ったから5月会談は決裂記念日
(本歌 「この味がいいね」と君が言ったから7月6日はサラダ記念日  俵万智)
(蛇足)会談の席上、こんな言葉をはいたら即決裂だろう。ただ、本当に戦争をするより、悪口を言いあって、そのエスプリを国連安保理で判定するのはどうだろう? 「今回はアメリカの判定勝ち」とかね。我が国の国会でも取り入れたらどうか。「なにを! この下ぶくれ野郎!」(誰を指しているのか分かるよね)とか、「なにを! へのへのもへじ野郎!」(これも分かるよね)とやりあったら、楽しいと思う。茹で蛸、蛸焼き姉ちゃん、うらなり君、台湾イソギンチャクなど、あだ名を付けるのもありにしたら? 国会が随分楽しくなりそうだ。言われて怒ったらダメ。もちろん、絶対に手を出してはいけない。専守防衛を命じるのがミソだね。
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