恩恵を受けるのは一部の労働者だけかも
共同通信の配信です
プレミアムフライデー
「早帰り」定着するか
働き方から変える必要
月末の金曜日の終業時間を早める「プレミアムフライデー」が２４日から始まる。消
費喚起につなげようと政府と経済界が旗振り役を務めるが、導入する企業は一部にとど
まりそうだ。いち早く金曜早帰りを取り入れた企業の担当者は「定着させるためには、
日ごろの働き方から変える必要がある」とアドバイスする。
▽消費を喚起
プレミアムフライデーは、感謝祭明けの金曜日に買い物客が殺到する米国の「ブラッ
クフライデー（黒字の金曜日）」を参考に考案された。毎月の最終金曜日の就業時間を
午後３時や４時に繰り上げることで、飲食やレジャーの需要を掘り起こすのが目的だ。
働き方改革につなげる狙いもある。
夕方の早い時間からの来客を見越し、デパートや飲食店は割引セールや特別メニュー
といったキャンペーンを展開する。旅行業界でも、金曜日の夕方に出発する２泊３日の
旅行プランを用意するところが現れた。
▽導入は一部？
では、どれくらいの企業が導入するのか。普及を働き掛ける経済産業省、経団連、日
本商工会議所の担当者は、異口同音に「把握していない」との答え。統一ロゴマークの
使用を申請した企業・団体は２４００に上るが、サービスを提供する飲食店などが多く
含まれており、全てが導入企業とは限らない。
旅行会社ＤｅＮＡトラベルが１月、企業に勤める２５～６９歳の男女を対象に実施し
たインターネット調査によると、勤務先がプレミアムフライデーを「導入済み」「導入
予定」と答えた人は、２・２％。「検討中」も３・３％にとどまった。別の企業による
２月の調査でも「導入する」との答えは３・４％。今のところ、早々と退社できるのは
一部の人たちにとどまりそうだ。
▽仕事の見直し
アステラス製薬は２００９年４月から毎週金曜日は午後４時に終業する「ファミリー
フライデー」を導入している。映画やショッピング、友人との食事など、社員の過ごし
方はさまざまだが、会社全体の業績面でのマイナスはないとしている。
制度導入時には「好きで残業している」「自分のペースで働きたい」と反発する社員
もいたが、働き方を見直す部門の担当者が「家庭も大事」「社外の人と会えば、ひらめ
きがあるかも」と粘り強く説得を続けた。
早い時間に退社できるようにするためには働き方そのものを見直す必要もあった。会
議を減らし、仕事を同僚たちとシェア（共有）するように改めた。メール作成の時間を
短縮するため、マニュアルを用意するなど工夫を重ねていったという。
ただ、取引先の都合もあり、まだ金曜日に残業を強いられる社員がいることも事実。
同社の広報担当者は「１社だけの努力では限界がある。これを契機に金曜早帰りがもっ
と広がってほしい」と期待を込めた。
