西三河地域労連のブログ開設!

愛知県西三河地域の労働組合の地域組織です。すべての労働者を視野に入れた活動をしています。

同一労働同一賃金の判断 おおさか高裁

2016-07-31 10:59:20 | 労働情報
016年07月26日 共同通信の配信です

正社員と手当差、一部違法
 有期契約、同一の立場否定
 労働条件、初の高裁判断

 運輸会社に有期契約で雇用され、滋賀県内の支店で運転手として勤務する池田正彦さ
ん(54)が、正社員との賃金体系の格差は違法として是正を求めた訴訟の控訴審判決
で、大阪高裁(池田光宏裁判長)は26日、正社員との間に格差のある手当の一部に当
たる計77万円の支払いを命じた。労働条件に関し「正社員と同一の地位にある」との
主張は一審に続き退けた。
 パートや派遣社員らの待遇改善を目的として2013年に施行された改正労働契約法
は、有期契約者と正社員の労働条件の違いを「業務の内容、責任の程度などの事情を考
慮し、不合理であってはならない」と規定し、この解釈が争点だった。
 原告側によると、具体的な賃金体系についての司法判断は、高裁レベルで初めて。政
府が進める「同一労働同一賃金」の議論にも一定の影響を及ぼしそうだ。
 池田裁判長はまず、労働条件が正社員と同一かどうかに関し、異動や出向がある正社
員の地位は「社の中核を担う人材として育成される立場にあり、有期契約の社員とは異
なる」と判断。
 その上で正社員だけに支給される7種類の手当を検討し「通勤手当」「無事故手当」
「給食手当」など4種類は雇用期間の定めの有無にかかわらず支払うべきだと指摘した
。住宅、家族、皆勤の3種類の手当支給や一時金、退職金、定期昇給は認めなかった。
 昨年の一審大津地裁彦根支部判決は通勤手当のみ「不合理」と判断し1万円の支払い
を命令。双方が控訴していた。
 会社は浜松市に本社がある「ハマキョウレックス」。判決によると、委託先の従業員
だった池田さんは08年、雇用期間を半年として同社に採用され、以後更新を継続。滋
賀県の支店で配送業務を担う従業員30人のうち、有期契約は9人いたが、正社員と区
別なく同じ出勤表や担当表で管理されていた。

愛労連第54回定期大会

2016-07-29 11:37:45 | 労働情報
 7月24日、愛労連は第54回定期大会を名古屋市内で開催し、代議員・役員・傍聴者など約170人が参加しました。主催者あいさつにたった榑松議長は、参院選の結果をとらえ、安倍首相がすすめる改憲に真っ向からたたかう決意を固めようと訴え。労働者の置かれた厳しい実態のもと、「新たな組織強化3ヵ年計画がスタートします。すべての単組、支部で労働組合の価値・役割を語り、職場を基礎に、地域でつながる愛労連運動をさらに強めて7万人愛労連へ全力をあげましょう」とあいさつしました。
 来賓として全労連副議長の長尾ゆりさん、自由法曹団の福井悦子弁護士、日本共産党の岩中正巳委員長から激励のあいさつを受けた後、16年度のたたかいの総括、17年度の活動方針等を知崎事務局長が提起して討論へ。11単産8地域、2補助機関から37人が発言をおこない、すべての議案が承認されました。最後に「歴史的転換点にたっているいま、戦争する国づくりNO! くらしと平和のために憲法が活きる職場・地域・社会をめざして奮闘しよう」とした大会宣言を参加者全員で確認して大会を終えました。

定期大会に向けて

2016-07-18 23:50:23 | 労働情報
次年度の体制の準備をしましょう
地域労連定期大会は、10月19日(水)を予定

 梅雨明けが迫り、暑い夏が待ち受けています。私たち地域労連の活動は、これから10月にある定期大会のための次期の体制づくりの準備に向かいます。
 私たちの西三河地域労働組合総連合は2010年3月、それまでの西三河南地域労働組合総連合と岡崎額田地域労働組合センターが合体して、新しい組織としてスタートしました。脆弱な組織を補完するという意味では、この間名古屋市外の地域労連が困難を増す中で、西三河労連は相対的にその位置を維持してきました。
 しかし一方では、地域労連の活動では、新しい若い層の担い手が育たず、高齢化して先細りしているのも事実です。この課題をどうしていくかが問われています。私たちが知るところでは、各労働組合もまた、高齢化・担い手不足のため地域の方まで気が回らないということです。
 考えて見れば、それは理解できることですが、私たち労働組合の組織と運動が企業内にとどまっていれば、けっして未来を切り開くどころか、企業内の労働者の権利すら守ることができないのは、この間の労働法制解体攻撃でも明らかです。
 地域労連に結集する労働組合と労働者の皆さんが、困難を解決するための施策をともに考えていくことを訴えるものです。

西三河労連機関誌№10より

カンボジア、インドネシアの労働事情

2016-07-08 21:33:37 | 社会問題紹介批評
カンボジア、インドネシアの労働事情

 5月20日に行われたカンボジア・インドネシアチームの労働事情を聴く会から、カンボジア労働組合連盟(CCTU)、インドネシア労働組合総連合(CITU)、の報告の一部を紹介する。

<カンボジアの労働事情>

【不安定で劣悪な労働環境、低いコンプライアンス】
 カンボジアの経済成長は堅調であるものの、物価もそれに伴い上がっている。そのため、一部の物価は最低賃金の上昇(1.4倍:2014→2016年)を上回っている。しかも雇用は不安定である。とくに不安定な業種は、建設業や漁業、れんが製造業などであるが、それらの業種は請負が多く、かつ、企業規模が小さいために、労働法によるカバーがなされず、一般的に日当が1日5ドル以上とされる以外に決まりはない。しかも、未成年労働者も多く、事故が発生しやすい劣悪な労働環境にある。事故など何か問題が起こった場合は、すぐ逃げられてしまう。短期で雇用が継続しないため、労組結成しようにもできない。
 カンボジアでは、労働契約にも問題がある。とくに期間の定めのある契約の場合は、失業率が高いことも背景にあり、労働者は非常に不安定な状態にある。さらに、労働条件の改善の要求をしただけで、雇用契約が途中であっても解雇されてしまったり、組合員になっただけでも解雇されてしまうなど、法律は整備されていても、法律に対するコンプライアンスは非常に低い。そのため、労働者は労働組合への加入を躊躇し、組織化の障害となっている。

【労働界全体で互いに協力を】
 カンボジアの労働組合は、複数労働組合の問題を抱えており、同じ企業の中で労働組合同士が競い合う事態になっている。同じ企業の中で多くの労働組合があった場合は、労働組合同士が協定を結んで、競争しないようにしていかなければならない。
 今後、我々の取り組むべき課題としては、労働界全体で互いに協力し、使用者に対して有期の労働契約の利用を止めさせるよう訴えていくとともに、組合員の立場に立って組合員の利益のために運動を進めていくべきである。

<インドネシアの労働事情>

【周辺の諸国と比べて、低い賃金水準】
 最低賃金は、インドネシアの場合、州単位、州ごとにそれぞれ異なる。バタム工業地域を含むリアウ諸島州の数字を例とすると、2014年の月額最低賃金は、166万5千ルピア(1ルピア=0.0077円)で、日額にすると6万6千600ルピア、時間当たりでは9千514ルピアとなった。2015年には、月額195万4千ルピアで、USドルだと大体、143ドルとかそのぐらいだが、日額でいうと7万8千160ルピア、時間当たりでは1万1千166ルピアで、2016年は、月額217万8千710ルピア、USドルでいうとおそらく160ドルほどになる。日額では8万7千148ルピア、時間当たりにすると1万2千450ルピアである。
 インドネシア経済は外国からの堅調な投資に支えられて高い成長が続いており、GDP成長率は、2014年に5.02%、2015年は4.71%、2016年は4.91%に達する見込みである。賃金は近年急速に上がってきたものの、インドネシアは周辺の諸国と比べて、賃金の水準は非常に低い。そういったなかで最低賃金の決定は適正生活が可能となる賃金水準でなされるべきであり、適正な生活が可能となる最低賃金水準へ引き上げを求めていく。

【労働者が持つ権利についての理解】
 労使紛争は、2014年には7万7千700件、2015年は4万8千800件となっている。内容は解雇等、さまざまで、解決方法も二者間の協議で解決するものもあれば、なかには裁判沙汰になるケースもある。裁判沙汰になるような場合は、解雇をめぐる紛争が圧倒的に多い。
 インドネシアの場合、法律的には、労働契約に関して経営側と労働者側が合意した場合、その内容を書面化して、政府に提出することになっているが、現実には労働者も政府にも提出されていない実情にある。
 とくに、インフォーマルセクターの労働者が契約違反や破棄等の憂き目にあうことが多いが、問題なのは、そういった人たちが、労働者が持つ権利について理解しておらず、組織化されるに至っていないことにある。
 また、経営者の側にも、労働組合というものは会社を壊滅させかねない敵だというような捉え方が今なお見られる。政府の側にでさえも組織化された労働組合の発展を阻もうとする間接的な干渉というものがいまだにあり、そのために1つの企業の中で、いわゆる単独の労働組合、インディペンデントユニオンといった形のものが多くなっている。

【課題解決に向けての労働組合としての取り組み】
 インドネシアでは取り組みの際、常に3つのステップを基本的な考え方としている。第1段階は、いきなり行動するのではなく、しっかりとした調査や研究などを行ないコンセプトを定めてから動く。第2段階として、そのコンセプトを、政府や関係者にロビー活動を通じて要求内容をしっかりと伝える。第3段階では社会的支持の拡大を目的としてデモやキャンペーンなど、具体的な行動に移して訴えていく。これらの課題解決についてもそういったかたちですすめていく。


EU国民投票における英労使の動き

2016-07-08 21:30:34 | 社会問題紹介批評
国際労働財団のものです

 6月23日のイギリスの国民投票の結果は「EU離脱」を僅差で決定したが投票前後の労使の動きを追ってみた。ロンドンに本部をもつイギリス労働組合会議(TUC)は投票日の前日、製造業の使用者団体EEFのテリー・スクオラーCEOとTUCフランシス・オグラディ書記長が異例ともいえる共同声明を発表してEU残留を訴えるとともに「ぞっとするような賭け」をしてはならないと警告した。EU離脱は労働者と労働者を雇用している産業に計り知れない影響をもたらすことになるとし経済の現実について投票する前にもう一度考えるよう訴えた。

 Wales TUC(本部:カーディフ)のマーティン・マンスフィールド書記長は、国民投票について「EUが今現在保障している労働者の諸権利を獲得するために数世代にわたる闘いがあった。ここでEU離脱をすれば、その諸権利を取り戻すまでにまた数世代かかることになる。働く者の諸権利に加えコミュニティーの活性化と一番大事な雇用創出に必要な財政支援をしたヨーロッパと縁を切ってもやっていけるほどウエールズに余裕はない、と残留の立場を明らかにした。

 翌24日、スコットランド労働組合会議(STUC)のグラハム・スミス書記長は、スコットランド首相は、投票結果を受け、独立に向けた2回目の国民投票を実施する意向のようだが、今回の国民投票は2014年のときとは違い、不確実性を増すものであることをスコットランド市民は認識しなければならない。英国の貿易の最大相手国はEU諸国であり、EUが基盤になって保障されていた基本的な労働者の権利が脅威にさらされることになる。EU離脱が憲法上どうなろうと労働者の公平で安定した雇用確保のために従来通り、ロビイ活動と労使交渉をすすめていく。

 また、マンチェスターに本部がある商店通関連労働組合(USDAW)のジョン・ハネット書記長は、EU国民投票については、年次代表者大会で圧倒的多数で「残留」支持を決め、全国の多くの組合員がEUへの残留を望んだにもかかわらず、その民意が反映されなかったのは残念だが、結果は尊重しなければならない。しかし、EUによって守られていた労働者の諸権利がないがしろにされてはならない。国民投票の結果は国を二分したことは深刻であるが、引き続き平和と安全のために近隣諸国との良好な関係を構築していかなければならないと述べている。USDAWはTUC傘下4番目の組織人員約40万人を持つ。