スコッチダイアリー

盛岡の小さなショットバー「スコッチハウス」のサトコママの日記帳です。

サンデーブランチ ~グレンファークラス・セミナー番外編~

2007年10月31日 | Weblog
10月22日(月)のグレンファークラス・セミナーに参加を決めたとき、迷わず東京に前泊することにしました。日曜はホテル代が安いのと、東京のあちこちのレストランで日曜日だけおこなっている「サンデーブランチ」を経験してみたかったからです。

汐留のホテルコンラッド28階のレストラン「ゼリーズゴードン&ラムゼイ」のサンデーブランチはアミューズからはじまり前菜、卵料理、メインディッシュ、デザートから好きなものを選べるコーススタイルのブランチですが、なんと料理とともに「ルイ・ロデレールのシャンパンをお好きなだけどうぞ」という、地方の人間には信じられないような豪華な内容なのです。ちなみにお値段は6,800円。シャンパンがつかないコースは5,800円です。

好評のプランにつき要予約。一ヶ月からの受付ということで、いれました!予約。マスターに話すと「昼飯にそんなに金かけるのか!」と言われそうなのでもちろん言わない。(笑)

悩んだのが着る物。ドレスコードありのレストランで基準は「スマートカジュアル」。荷物は最小限がポリシーなので、もう新幹線に乗るときからスーツ姿でと決めました(洋服は着て歩くのが一番荷物にならない)。これは正解でした。着替えは朝ごはんを食べる時用にニットをくるくる巻いて鞄のなかに。

サンデーブランチの結果は・・・堪能しました。シャンパンもフルボトル位は飲んだかも。レストランのウェイターが、グラスのシャンパンがなくなりそうになるとすっと注ぎにきてくれて、最後まで優雅な気分でいられました。こちらから催促する必要が全く無い行き届いたサービスでした。食事代プラス水代というお会計だったのが東京らしかったです。(東京では水は無料ではないのです。)

当然ですが、酔いました。夕方までここちよくホテルで過ごして、日が落ちるとともに行動開始。デパ地下でうな丼を食べいざキャンベルタンロッホへ。楽しくアイラを2杯飲み二軒目へ行こうとしたところ・・・突然眠くなりました。まだ午後9時なのに!帝国ホテルのバーインペリアルに行こうと思っていたのに!!しかし無理はせずおとなしく部屋に戻って寝ました。昼間のシャンパンがまだ残っていたんですねえ。一人で行動するときはすべて自己責任。しかも明日はグレンファークラス・セミナーがあるので体調を整えておきたい。当然の判断でした。

翌朝はお腹がすいて目が覚めました。前の日あんなに食べたのに(笑)。ゆっくり朝食をとり身支度を整えて、会場の霞ヶ関ビルへ。はじめて行きましたがフロアがとても広い。そしてビジネスマンがいっぱいいる~。やっぱりスーツ姿でよかったとつくづく思った瞬間でした。

個人ではとても入れないところに行けたのはやはりウイスキーのおかげ。すばらしいセミナーを企画してくださったグレンファークラス蒸留所とミリオン商事様に心よりお礼申し上げます。









天空で飲むウイスキー ~グレンファークラスセミナー③~

2007年10月28日 | Weblog
セミナー会場は、霞ヶ関ビルの33階でした。折からの快晴で窓から見下ろす景色の気持ちのいいこと。そこで1961年を窓辺において撮影してみました。このアングルが大変よかったとみえて、私に倣って写真撮影していた方がちらほら。

それにしても下界を見下ろしながらウイスキーをいただくという贅沢な時間が持てるとは思いもしませんでした。ご案内をいただいたミリオン商事様、そして快く「行って来い」と言ってくれたマスターに改めて感謝です。こういう経験の積み重ねが私を育ててくれるのかなと思いました。せっかくですからいい感じに熟成したいですね。

ところで後日譚。

グレンファークラス1961年を注文いたしました。入荷は1月ごろです。代金はマスター持ちなのかそれとも私なのかはまだ決まっておりません!



満を持して ~グレンファークラス・セミナー②~

2007年10月26日 | Weblog
ミリオン商事、グレンファークラスの両社長による挨拶の後スライドによるグレンファークラスの歴史の説明と今回発売のファミリーカスクシリーズの説明。年代別にえらんだ5種類のウイスキーのテイスティング、質疑応答というのがセミナーの次第でした。

そしてそのあと最大のおまけがつきました。

「1952~1994までのファミリーカスクからお好きなものをテイスティングしてください。」

なんという太っ腹でしょう!体調を整えてきて良かったと心の底から思いました。そこで1952年(一番古いヴィンテージ)、自分の生まれ年である61年、そして社長ジョン・グラント氏の一押し88年をテイスティング。あとでマスターに50年代をちょっとづつ全部飲んでくればよかったのにと言われましたが、自分の体が受け付ける量が限られているのでいつものセオリーどおり3種類をワンショットずついただきました。

ミリオン商事本間社長が「はるばる盛岡からようこそ」と、手ずからウイスキーをついでくださいました。そして一緒にウイスキーを試飲しながらファミリーカスクシリーズは準備に2年間かけた事、発売も反対意見が多かったけれども社長のジョン・グラント氏の熱意で実現できたことなどをお話してくださいました。目の前にずらっと並ぶファミリーカスクをみて「満を持して」という言葉が自然に浮かんできました。堂々と世に出るべくして発売されたウイスキー。グレンファークラスの歴史の重み、ウイスキーの作り手の矜持をかいまみた瞬間でした。

何年を選んで飲んでもはずれがないこのシリーズ。なにしろ各年号につき一樽分のボトリングしかない貴重品なのです。たとえば1992年は669本の発売ですが、1952年(完売)にいたっては110本の発売とまさに限定品。自分のヴィンテージ1961年46%は159本の発売でどうしても欲しくなりました。(出来もものすごくよかったんです。)現在マスターにお伺いをたてております。(笑)

このブログを見てファミリーカスクシリーズが欲しくなってしまった貴方、迷わずご自分の生まれ年のヴィンテージを購入することをお勧めします!




昔の味 ~グレンファークラス・セミナー①~

2007年10月22日 | Weblog
10月22日(月)東京でおこなわれたミリオン商事様主催のグレンファークラス・セミナーに参加しました。

今回発売になったファミリーカスクシリーズ1952~1994から55、66、72、80、92の5種類を試飲アイテムとして出していただきました。さすが選び抜いたウイスキーだけあってどれもおいしかったのですが、70年代~90年代と50年~60年の味がはっきり今の味と昔の味に分かれたのが興味深かったです。

50年~60年のウイスキーには、内側からにじみでるような木の香りがあります。一種独特のこの味わいを何と表現したらよいのかここ1~2年考え続けていました。グレンファークラスの社長ジョン・グラント氏が直々に質問に答えてくださる、ということだったので「今回の試飲で70年~90年と50年~60年の味わいの違いがはっきりわかりました。この昔の味を一般の方にもわかりやすいシンプルな言葉で表現するとどのようになりますか。」とたずねてみました。

その答えとして「古い年代のウイスキーはシェリーの香りを強くそして重く感じる。また飲み終わったあとに口のなかにいろいろなフレーバーを感じる。若い年代はもっと単純な味わいで、飲み終わったあとも平坦で複雑みに欠ける。50年60年は、飲みにくさを感じたらほんのすこし(一滴ほど)加水するとアルコールの強さを消して香りが開く。ちなみにプロが試飲するときは必ず加水する。なぜならストレートでたくさん飲むと体がもたないから!」

さらに別の方の「70年代に樽詰めしたウイスキーを30年~40年間寝かせ続けると60年代の味わいになりますか」という質問には「毎回同じようにはいかない!」

グレンファークラス蒸留所では、50~60年代に使ったシェリー樽がどこから購入したものなのか今となってはわからないのだそうです。それで同じものができるかどうかはっきり言えないが、まれに10年12年熟成のものでも古い味を感じることがあるということでした。

今回のグレンファークラス・セミナーに出席した最大の収穫は昔のウイスキーの味を再確認したことです。古い味だと感じていたものは、シェリー樽からくる重厚さでした。そして飲み終わったあとに、微かな酸味、土の味、バニラ香などが交じり合った複雑なフレーバーが残るのです。




ボウモア・テイスト ~1965と67~

2007年10月16日 | Weblog
長年モルトウイスキーと付き合っていると、年月につれて瓶のなかで味が変化していくのがよくわかります。なかでも面白いのがボウモア。

この稿を書くに当たって再度ボウモア1965と67(それぞれ50%)をテイスティングしました。いざ飲もうとしたときマスターが「待て、67からだ。67の方が味がやさしい!」で、素直に67からいきました。

67は華やかな味わいと蜂蜜の甘さ。オープン当初開けたのでかれこれ7年たっています。実は一年前味をみたときパヒューム香が出ていてショックを受けたのですが今回はそれがほとんど消えていました。ごく微かにパヒュームを感じるのですが67の味をそこなう程ではありません。パヒュームを感じたり感じなかったりする、という事はボウモアというウイスキーにどこか不安定な部分があって長期保存していると味の変化が著しい・・・ということなのでしょうか。そいいえばピアレス1966も開封から一年過ぎたあたりで風味が落ちていきましたから。

もっともピアレス66はカスクストレングスでありながら40%という度数の低さ。そのせいで開封後はアルコールがどんどん抜けていったという感じでした。67はさすがカスク50%。開封7年でも充分飲むに値します。ただ今後パフュームが再度出てこないとはいえません。これは私見ですがジム・マックワンはこのあるかなきかのパヒュームの雰囲気が好きだったのでは・・・。

さて、ついで65年。これはおいしい。フルボディといいたいくらいの重厚さ。まさに60年代のボウモアテイストの代表。これも面白い話があって、封切した時マスターはボウモアテイストをほとんど感じず、重厚なスペイサイドを飲んでいるような気がしたそうです。それが年月がたち度数がだんだん落ちていくにつれ隠れていたボウモアテイストが前面に出てきたのです。置いていて味がよくなったウイスキーの代表例。「ボウモアマジックだよな~。」とマスターは言います。

最後になぜ60年代のボウモアを比べるとき65と67の2本が出てきたのか、とマスターに訊いてみました。

「オフィシャルのスタンダードラベルはすべて43%だけど、65と67だけは50%のフルストレングスも出しているから。」というのが答え。ちなみに同じヴィンテージなのに67の43%はシリーズ中最低の味だったそうです。



間違いました!

2007年10月15日 | Weblog
10月14日の第22回テイスティング会無事終了しました。参加いただいた6名の皆様ありがとうございました。

ところで今回配った案内のウイスキーリストに間違いが!

ウイスキーリスト
マッケンジー20年 容量、度数ともに記載なし
ベル 760ml 40% (特級表示)
ベルピュアモルト5年 750ml 40%
ブレア アソール8年 750ml 40%
ダフタウン1979 700ml 46%
インチゴアー1975 700ml 49.1%

さてどこでしょう?
これ、わかる人にはわかるんですよ~。

案内をバールパン(盛岡の老舗バーです)に持っていったときルパンのマスターが「あれえ、760mlのベルに40%ってあるの?珍しいんじゃない?」と聞いてきました。会の当日ニートのマスターも「ベルの760mlは43%だと思ってました。ちょっとボトル見せてもらっていいですか?」・・・はい私が間違えて記載しました。正しくはベル760ml43%(特級表示)です。

「お前には基礎知識がないからなあ。だから間違いに気づかないんだよ。」と、マスターがぼそっと一言。「760mlを出していたころ、イギリスでは国内向けの度数は40%輸出向けの度数は43%という規定があったんだ。特級のラベルが貼られているのでこのベルは間違いなく日本向けの輸出品。だから43%でなければおかしいというわけ。わかったか?」

ああぐうの音もでない。ウイスキーの道はかくのごとく奥ぶかいものであります。



オフィシャルとボトラーズ ~タリスカー他~

2007年10月12日 | Weblog
「昔のボトラーズはやっぱりうまいよな~。」とはマスターの独り言。先日のロングモーンを飲んでから、ふとそんなことを言いました。

スコッチハウスのウイスキーコレクションは70年代の名酒事典にそって集めた結果です。盛岡はウイスキーの流通がよくなかったので、事典に載っているオフィシャルの方が入手しやすかったのです。当時のボトラーズはゴードン&マクファイルとケイデンヘッドしかありませんでした。(そしてインディペンデント・ボトラーズを独立瓶詰業者と訳していました。)

盛岡の酒屋でスプリングバンクを頼んだら「一本だけでの入荷はできません」といわれた80年代でした。90年に入ってもそんなに事情は変わらず、入会したソサエティも欲しいものが買えたのは最初の4~5年。95年ごろから抽選になって、これが全く当たらない。(頼んでも頼んでも当たらないので、これは東京の内輪だけで分けているに違いない、と思ったほどでした。)


1980年代はグレンファーの105が60%でそれ以外のオフィシャルは40%43%ばかり。「樽出しのウイスキーを飲んでみたいね。」とマスターは盛岡の大御所Kさんと語り合っていたのだそうです。そしてG&M社がはじめてカスクストレングスのタリスカーを出したのが1980年後半で蒸留年は1957。

その後56年55年と出たものを二人で飲み比べて「57が最高。あのさわやかさが56と55にはないね~。まったりしてるのはタリスカーらしくないよな。」なんて言い合っていたのですから、今思うと贅沢な話。クリストファー・カナンから同時期に出たカスクストレングスは銘柄20種がすべてうまかったそう。スプリングバンク社でもボトラーズのカスクストレングスの味に刺激された結果、60%クラスのウイスキーを元詰めで出しました。それがかの有名なウエストハイランドというわけです。

そのころ有楽町西武の地下に酒蔵という酒売り場があって、JRで発売していたE切符(3日間乗り放題1万5千円)でちょくちょく東京に行ってはウイスキーを買い込んでいました。

先日紹介したクリストファー・カナンのロングモーンも90年発売のもの。「オフィシャルになると均等にまぜて度数も下げるから味が薄くなるんだよ。本当にうまいのは樽出しのボトラーズのほうだな。しかし最近のボトラーズは乱れ打ちでいいものを捜すのに苦労するね。」うーん含蓄のあるお言葉。君は田舎者だけど空の高さを知ってるね。

でも一言余計だったのは「まだ開けてないクリストファー・カナンのボウモア64とG&M社のハイランドパーク55もうまいぞ~、きっと。お前まだ飲んだことないだろ~。」うっ、悔しい。我と思わん方、どうぞ封切りしてくださーい!!


次の7年

2007年10月10日 | Weblog
保健所の営業許可証の期限が終了しました。7年という歳月はオープン当初ははるか先に思えましたが過ぎてみればあっという間。そして今日再審査のため保健所の職員さんがきて10分ほどの店内チェックのあとOKをだしてもらいました。後日衛生講習会を受講して再び営業許可証を発行してもらう段取りです。

以前店でクレジットカードを利用できるようにカード会社にお願いしたところ申し込み用紙に営業許可証の番号を記入する欄がありました。その時これがないと何も始まらないんだと認識しました。ですから審査が通るかどうか、大丈夫とは思っていてもちょっとドキドキでした。

また7年で申請しましたがオープン時とは違ってこの先7年のウイスキー三昧の日々がなんだか想像つきますね。(苦笑)

ともあれ次の7年も皆様よろしくお願いいたします。


チョコレートとカシスと ~ロングモーン~

2007年10月08日 | Weblog
ウイスキーも相性がいいと、まずいものには当たりません。ロングモーンという銘柄はその筆頭みたいなものです。とりわけケルティックコネクション・1972はフィニッシュがまるでチョコレート。50.2%のカスクなので味もぬけずとっておきの一品として大事に売ってきた、私のなかではトップクラスのウイスキーです。ところが上には上がありました。

マスターが盛岡の大御所Kさんから最近ゆずってもらったロングモーンが、びっくりするくらいおいしかったのです。色か濃くて味が深くてすうっと喉に入っていってフィニッシュがカシス。グラスの残り香もいつまでも消えません。こういうパーフェクトなウイスキーもひさびさでした。

フランスのボトラー、クリストファー・カナンのロングモーン。1974蒸留の14年もの、50.5%。ショット5千円と少々高めですが、これはウイスキーの好きな人には是非飲んでおいてもらいたい(今何人かのお客様の顔がうかんでおります)。こんなふうに思うのも私にとっては久々のことでした。




10月のテイスティング会

2007年10月02日 | Weblog
10月14日にテイスティング会を行います。隔月でやっているこの会も22回目となりました。前回の記事でも少しふれましたが、皆勤賞はバー「ニート」のマスター!

実はテイスティング会は「スコッチハウスさーん、ウイスキーの勉強会を開いてください!」とニートさんに言われてはじめたものなのです。最初はアルファベット順にウイスキーを飲み比べ。それが一巡し18回目あたりでネタが切れてどうしようかと思っていたらうちのマスターがヤフオクを始め、昔のブレンドがいろいろと入手できて「ブレンドとその原酒」という新シリーズを開始しました。

とはいえ盛岡はウイスキー人口がそんなに多くはないので私の気持ちがくじけそうになったことも。でも「次回はいつになりますか?内容は?」というニートさんの問いかけがいつも励みになりました。

うちのマスターがまた参加人数が少ないと張り切っておまけウイスキーを出すのです。(人数少ないとウイスキーを試飲させてもそんなに減らないと思うらしい。)参加3名のときがおまけを一番出したんじゃないかしら。(笑)

22回目は「ブレンドとその原酒④ベル&マッケンジー」です。興味のある方はどうぞ参加してくださいね。