アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記324・斎藤真理子さんに学ぶ「ハン・ガン文学と日本人」

2024年10月20日 | 日記・エッセイ・コラム
   ノーベル文学賞が決まったハン・ガン氏の『別れを告げない』『すべての、白いものたち』などの翻訳がある斎藤真理子さん(64)(写真左)が、ハン・ガン文学について朝日新聞に寄稿した(以下抜粋)。

<この世の最も残酷な場所から響いてくる、あまりに親しみに満ちた声。血の通った、そして血を流しつづけている人類の小さな声
 ハン・ガンの小説にはそれが充満している。

 日本による植民地支配、南北分断、朝鮮戦争、そして軍事独裁政権による人権弾圧。韓国の現代史は満身創痍である。

 大事なのは、韓国においては長らく、追悼すら禁じられた時代があったことだ。光州民主化運動も済州島4・3事件も、追悼集会はおろか公に言及することもできず、映画や小説への作品化など、民主化前は絶対に不可能だった。無念の死、不条理な死は蓄積され、癒えない傷は癒えないまま、風化することすら許されなかった。

 作家は決して国籍や出生地に縛られない。しかし現代のさまざまな「生きられなさ」を追ってきた作家が、生まれた土地に蓄積された無念の死、封じられた声へ接近したのは必然だったろう。それを韓国一国でなく人類の経験として書ききったところに、今回の授賞意義があると思う。
 ハン・ガンの仕事の核は、これほど悲惨なことがあったと知らせることではない。最大の危機のときもこのようにして人の尊厳は存在しうるのだと示すことである

 各地で戦争が激化し、毎日遺体が運ばれてくるのに何を祝うのかとハン・ガンは言い、記者会見を固辞したそうだ。
 ガザのジェノサイドは、今すぐにでもやめられるはずのものである。光州事件も済州島4・3事件もそうだったはずだ。無念さが、今日も現在進行形で反復されている。

 ハン・ガンの意思表明に同意する人は多いだろう。と同時に、アジア人女性初の受賞を喜ぶ私たちの気持ちを作家が受け止めてくれていることも、間違いない。だから、おめでとうを言った後、それぞれのやり方で、この世の最も残酷な場所へ心を寄せたいと思う。静かに本を読みながら。>(17日付朝日新聞デジタル)

 斎藤さんは、著書『韓国文学の中心にあるもの』(イースト・プレス、2022)で、「最近日本で、韓国文学の翻訳・出版が飛躍的に増えている」ことについてこう書いている。

<この現象は、読者の広範でエネルギッシュな支持に支えられたものだ。寄せられた感想を聞くうちに…不条理で凶暴で困惑に満ちた世の中を生きていくための具体的な支えとして大切に読んでくれる人が多いことに気づいた。…韓国で書かれた小説や詩を集中的に読む人々の出現は、ここに、今の日本が求めている何かが塊としてあるようだと思わせた。(中略)

 韓国文学を一つの有用な視点として、自分の生きている世界を俯瞰し、社会や歴史について考える助けにしてもらえたらありがたい。…日本の歴史は、朝鮮半島の歴史と対照させて見るときに生々しい奥行きを持つ。この奥行きを意識することは、日本で生きる一人ひとりにとって、必ず役に立つときがある。>

 朝鮮半島の歴史と対照させて日本の歴史を見る。それは日本人に最も欠けているとの1つだ。国家権力がそれを最も恐れ、教育から一貫して排除しているからだ。

 生きている世界を俯瞰し、歴史を学び直すとき、ただ事実を知るだけでなく、どんな危機の時にも「人の尊厳は存在しうる」という視点を持ちたい。その視点を持って、ガザ、ウクライナ、世界の紛争地に対し、自分に何ができるか考えたい。


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「自衛隊の朝鮮半島上陸」も想定されている日米韓軍事一体化

2024年10月19日 | 日米軍事同盟と朝鮮・韓国
   

 日米韓3カ国の外務次官級協議が16日ソウルで行われ、朝鮮民主主義人民共和国の「制裁逃れ」を監視するための新組織(「多国間制裁監視チーム」)を発足させると発表しました(写真左)。

 日本の報道ではその意味がよく分かりませんが、韓国のハンギョレ新聞は明快にこう解説しています。

朝鮮半島が「新冷戦」の真っただ中へと飲み込まれているとの懸念の声が上がっている。…「韓米日」対「朝中ロ」の対立構造がさらに鮮明になることが懸念される。…韓米ロは昨年8月のキャンプ・デービッド首脳会談(写真右)以降、事実上の「3カ国軍事同盟」へと変容しつつある。今年6月末には中国を想定した共同訓練「フリーダムエッジ」を初めて実施しており、1カ月後には「韓米日3カ国安全保障協力枠組み覚書」(写真中)も交わしている」(17日付ハンギョレ新聞日本語電子版)

 「事実上の3カ国軍事同盟」は秘密裏にさらに危険な段階に進もうとしています。

 韓国の野党議員が「在日米軍の物資・人材などを在韓米軍基地に輸送するため自衛隊機が一時的に進入する場合、国会の同意が必要か」との質問に、韓国国防部は「国会での同意事項ではない」と答えたのです(8日付ハンギョレ新聞社説)。

 この意味について、ハンギョレ新聞は社説でこう指摘しています。

「国防部は…憲法が規定する国会の同意権を迂回して、政府の承認だけで自衛隊を受け入れることができるという法解釈を下したのだ。…1945年の日本の敗戦後、一度も実現したことのない自衛隊の大韓民国領土への進入を、事実上承認するような政府の方針をあらわしている」(8日付ハンギョレ新聞)

 そして同社説は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に対しこう要求しています。

「尹錫悦政権は就任からこれまで密室で推進してきた韓日、韓米日軍事協力の具体的な内容を国民に詳細に明らかにするとともに、それについて判断を仰ぐべきだ」(同)

 尹政権が「密室で推進してきた」相手は自民党政権であり、その内容は当然日本の市民に秘密にされています。現に、7月に取り交わされた「韓米日3カ国安全保障協力枠組み覚書」の詳細も(パリ五輪報道の陰で)明らかにされていません。しかし、その詳細を明らかにして市民の判断を仰ぐべきだと主張している日本のメディアはありません。

 さらにハンギョレ新聞には次のような指摘もあります。

強硬な安保観を持つ石破首相が、韓国政府のこのような解釈を利用しうるという懸念も出ている。石破首相は2017年、自民党内の派閥会議で「韓国に居住する日本国民は必ず自衛隊が責任を負わなければならない」と述べている」(8日付)

 ここで想起すべきは、「朝鮮戦争」(1950・6・25~53・7・27休戦協定調印)はまだ終わっていないという事実です。

 アメリカが国連を隠れ蓑に朝鮮民主主義人民共和国、中国と戦った「朝鮮国連軍」は今も解散されず、その後方司令部は横田基地に置かれています。横田をはじめ7つの在日米軍基地が「朝鮮国連軍」の基地にもなっています(横田飛行場の他は横須賀飛行場、キャンプ座間、佐世保飛行場、嘉手納飛行場、普天間飛行場、ホワイトビーチ)。

 そして日本は、アメリカはじめ「朝鮮国連軍」を構成している11カ国と地位協定を結んでいるのです。

 日本の市民は、「朝鮮戦争」のこうした現状、それと関連して秘密裏に進行している事実上の「日米韓軍事同盟」の実体に目を向け、日米安保条約の下で突き進んでいる戦争国家化を阻止しなければなりません。

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「ノーベル平和賞から抜け落ちた朝鮮人被爆者」の告発

2024年10月18日 | 侵略戦争・植民地支配の加害責任
   

 <ノーベル平和賞から抜け落ちた「朝鮮人被爆者」…「米国と日本は謝罪すべき」
 こんな見出しのハンギョレ新聞(日本語電子版)の記事(16日付)に衝撃を受けました。以下、抜粋します(太字は私)。

<「日本も米国も朝鮮人被爆者に一度も謝罪しなかった」―15日、広島県朝鮮人被爆者協議会の金鎮湖(キム・ジンホ)会長(78)=写真右=は、今年のノーベル平和賞に「日本原水爆被害者団体協議会」が選ばれたことについて、複雑な心境を示した。

 金会長は「原爆を投下した米国だけが間違っていたのではなく、植民地朝鮮から無数の朝鮮人を連れて行き、最終的に原爆被害を受けさせた日本政府も責任が大きい」として、このように述べた。

 ノーベル委員会は(選考理由で)、「肉体的な苦しみや痛みを伴う記憶を、平和のための希望と参加に用いることにした生存者を賛えたい」と明らかにした。しかし、「苦しむ生存者」として朝鮮人被爆者は言及されなかった。

 2010年に「対日抗争期強制動員被害調査及び国外強制動員犠牲者等支援委員会」が出した資料によると、原爆によって被爆した朝鮮人の数は、広島で5万人、長崎で2万人と推定される。死者は約4万人と推定されるが、資料の消失のため正確な被害規模は分からない。

 このような状況は今回が初めてではない。2016年にオバマ大統領(当時)が広島を訪問し、日本被団協の関係者たちと面会したが、朝鮮半島出身の被爆者は参加できなかった。オバマ大統領は広島平和記念公園の「原爆死没者慰霊碑」に献花したが、同じ方向に位置する「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」(写真中)には立ち寄っていない。

 日本政府は1957年に「原子爆弾被爆者の医療等に関する法律」、1968年に「原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律」を制定し、医療費と援護手当を被爆者に支給したが、対象を日本国内の居住者に限定し、韓国人を事実上排除した。日本国外に居住する被爆者が援護手当を申請できるようになったのは、2008年になってからだった。

 しかし、その後も日本と国交が結ばれていない北朝鮮の被爆者は、援護手当の支給対象にすらなっていない。金会長は「北朝鮮でも2008年に調査を終えて、被爆者1900人あまり、生存者380人あまりを確認した」として、「これらの人たちに対する治療と補償は、国籍の問題ではなく人道的な事案」だと強調した。

 広島と長崎で朝鮮人被爆者が多かった理由は、多くの朝鮮人が軍需工場の多かった両都市に、強制動員や徴集によって来ていたためだ。二重・三重の被害を受けた朝鮮人被爆者は、日本の法廷でこれに対する被害補償を要求する訴訟を起こしたが、1965年の韓日請求権協定などをもとに、日本の裁判所は受け入れなかった。

 これらの人たちに残された時間は長くない。特に「被爆第1世代」の生存者はほとんど残っていない。被爆者は加害国の謝罪・補償とともに「核のない未来」を要求している。

 金会長は「日本政府は、犠牲者遺族に後からでも被害を補償し、米国も同様に加害国として必要な措置を取らなければならない」として、「特に日本は核兵器禁止条約(TPNW)に加盟して、原爆被害国かつ戦争加害国として『核のない世界』の先頭に立たなければならない」と訴えた。>

 キム・ジンホ会長の言葉(特に太字部分)は、日本の政府はもちろん、メディア、反核・平和団体、そして市民の欠陥を鋭く射貫いています。
 その欠陥とは一言でいえば、侵略戦争・植民地支配の加害責任の忘却・棚上げ・抹消化です。
 核兵器禁止条約加盟について、「唯一の戦争被爆国」の側面からだけでなく、「戦争加害国として」の責任から主張する日本人がどれほどいるでしょうか。

 侵略戦争・植民地支配の加害責任に背を向けたまま「ノーベル平和賞」に歓喜することは、手放しで喜べない(13日のブログ)どころか、朝鮮人被爆者に対する新たな差別を再生産することになると気づかされました。

 被団協の受賞を喜ぶ学生・若者には特に、キム会長の言葉から学んでほしいと切望します。

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なお少ない女性立候補者、その理由は?

2024年10月17日 | 日本の政治と政党
 

 15日公示された衆院選挙の立候補者総数は1344人、そのうち女性は314人。メディアは「これまで最多だった2009年衆院選の229人を大きく上回り初めて300人を突破、過去最多となった」と手放しで評価しています。

 しかし、その評価は妥当でしょうか。

 1344人中314人ですから比率は23・4%。4分の1にも達していません。
本来50%前後になるべきですが、まずはクオータ(割り当て)制の発祥地であるノルウェーの男女平等法(1978年)が「それぞれの性が構成員の40%以上選出されなければならない」とする「40%」が基準になるでしょう。それには遠く及びません。

 政党別にみると事態はさらに深刻です。各党の立候補者に占める女性の割合を計算すると次のようになります(比率の高い順から)。

 ①参政37・9%(95人中36人)②共産37・3%(236人中88人)③れいわ34・3%(35人中12人)④社民29・4%(17人中5人)⑤立民22・4%(237人中53人)⑥国民21・4%(42人中9人)⑦維新17・7%(164人中29人)⑧自民16・1%(342人中55人)⑨公明16・0%(50人中8人)


 やはり40%に届いている政党はなく、自民、公明、維新にいたっては20%にも達していません。(写真左は各党党首。女性は共産党だけで、党首の女性比率は14%)

 また、都道府県別にみると、長野、富山、鳥取、佐賀の4県が、小選挙区における女性候補ゼロです。

 前回衆院選(21年10月)の17・7%に比べれば前進していますが、それでもわずか6㌽弱の増にすぎません。女性候補の比率が高まらないことは、女性国会議員が増えないことに直結し、国際的に恥ずべきジェンダーギャップ(世界経済フォーラムの24年報告では146カ国中113位)の大きな要因であることは変わりません。

 なぜ女性候補者は増えないのでしょうか。

 「男女の役割分担」という旧態依然としたジェンダー差別の風土、候補者に対するハラスメントなど、原因は広く深いものがありますが、その中で、衆院選挙の女性候補が増えない特別な理由があることに留意する必要があります。それは小選挙区制という選挙制度です。

 議員のジェンダー問題に永年取り組んでいる三井マリ子さん(元都議)は、前回の衆院選時、新聞のインタビューでこう述べていました。

「女性議員が圧倒的に少ない理由は選挙制度にあります」「ノルウェーでは比例代表制を土台に、男女平等を徹底させるルールが作られているのを知りました」

「小選挙区制では1人しか選ばれず「死に票」が多いのが最大の弱点です。政策よりも知名度や資金が物を言うため、現役や世襲候補、男性候補に有利に働きます。後発者の女性は排除されがちです。この制度のままでは、立候補する女性は苦労するばかりです」

「小選挙区制中心の米英や日本に比べ、比例代表制中心をとっている北欧諸国やドイツ、ニュージーランドの方が女性議員はずっと多いのです」(21年10月7日付琉球新報)(21年10月19日のブログ参照)

 野党が「共闘」で混迷を深めている元凶も小選挙区制です。

 「死に票」を無くする、少数意見を政治に反映させる、という民主政治原点のうえからも、そして女性候補・議員の増加で政治分野でのジェンダー差別解消へ近づくためにも、小選挙区制を廃止し、比例代表制の選挙制度に変えることが日本の政治・民主主義にとって喫緊の根本課題です。


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天皇主義の右翼政党・参政党の伸長が意味するもの

2024年10月16日 | 日本の政治と政党
  参政党(神谷宗幣代表=写真)はけっしてあなどれません。

 共同通信の衆院選トレンド調査(14日付)では、比例代表の投票先で参政党を挙げた人は1・3%にのぼり、社民党(0・3%)を大きく超え、れいわ新選組(1・4%)に迫っています(政党支持率は0・8%)。

 同党は2022年7月の参議院選挙の比例区で約176万票(得票率3・3%)を得て神谷氏が議員になりました。今回の衆院選挙では、小選挙区に85人、比例区に9人を擁立しています。

 15日の衆院選告示日。神谷氏の「第一声」(大阪)をユーチューブで見ました。
 「今回の選挙の争点は、日本がどう生き残るかだ」とし、自民党、立憲民主、そしてメディアを批判。「自民の裏金問題より国民のお金を増やすこと」と「裏金問題」を後景におしやりながら、「減税」「消費税廃止」「若者重視」「軍事産業批判」「コロナワクチン批判」を強調しました。

 その中で「夫婦別姓反対」「日米同盟を対等な同盟に」「安倍派が排除されている」「参政党が10~15議席あれば自公が過半数割れした時に必ず交渉する(自民政権補完)」などの本音を挿入。巧みな話術と迫力。参院選の時も街頭演説で多くの聴衆を集めたと報じられましたが、なるほどと思いました。

 神谷氏は、2007年から大阪府吹田市議を務め、2期目の途中で辞めて12年の衆院選に大阪13区から自民党公認で立候補し、落選しました。
 市議時代に立ち上げた超党派の政策提言集団で、自民党衆院議員(当時)の杉田水脈らとつながりました(2022年11月6日付朝日新聞デジタル)。

 そして2020年4月に参政党を結成。当時党代表だった松田学氏は衆院議員時代に、石原慎太郎らが立ち上げた右翼政党「次世代の党」に所属していました(同朝日新聞デジタル)。

 熱弁をふるった神谷氏の「第一声」でしたが、参政党についての肝心なことにはまったく触れませんでした。

 参政党の綱領の柱は3本。その第1の柱でこううたっています。
「先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる」
 「5つの約束」の4番目は「皇室は男系男子で継承を維持」です。(同党HPより)

 参政党の本質は、天皇中心主義の右翼政党です。現体制を批判しながら右から「天皇中心の国家」を支える。神谷氏は演説では「天皇・皇室」については一言も触れませんでしたが、氏の後ろでははためいていた「日の丸」がその実体を示していました(写真)。

 国家体制を批判しながら右から国家権力を支える。その手法はけっして新しくはありません。しかし、「高い党費」(神谷氏)を払っている党員は22年時点で「およそ10万人」にのぼり、「1回の演説動画が10万回前後再生されたことも」あります(22年11月6日付朝日新聞デジタル)。

 参政党の支持層には女性と若者が多いのが特徴といわれています。参院選全体の得票率は3・3%でしたが、共同通信の出口調査では「18、19歳の6・8%が参政党に投票した」(22年7月13日付琉球新報)といいます。

 同党の「投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる」というキャッチフレーズが、「支持政党なし」層に浸透する可能性は小さくないでしょう。

 神谷氏の演説を聴いた女性からは、「日本の歴史のすごさ、天皇の素晴らしさに感銘を受けた」という感想が聞かれました(22年7月13日付朝日新聞デジタル)。

 参政党が国会で一定の議席を占めれば、新しい衣をつけた天皇主義が国会・社会に広がる現実的な危険性が強まるでしょう。

 同党の自民党政治批判、既成政党批判はけっして的外れではありません(だからこそ共感をよぶのでしょう)。同党の伸長は、彼らが批判する政治の現実を、彼らとは逆の立場・方向からどう打開するのか、という課題を突き付けていると言えるでしょう。

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