アリの一言 

オキナワ、天皇制の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

北朝鮮への軍事圧力で゛一石九鳥”目論む安倍首相

2017年05月01日 | 安倍政権と戦争

     

 きのう(30日)夜放送の「外国人記者は見たプラス」(BS-TBS)で、北朝鮮に対する米トランプ政権の軍事圧力に関連して、中国人の記者がこう言いました。「一番得をしているのは安倍首相だ
 短い発言の中で記者が挙げたその意味は次の4点です。
 ①日米同盟の強化
 ②日本の防衛力の強化(防衛費の増大)
 ③「戦争ができる国」になれる
 ④念願の憲法改正につながる

 なるほど。きょう1日、海上自衛隊の護衛艦「いずも」が戦争法(安保法制)によって初めて米軍の補給艦を武装して護衛するのも、上記①③の具体例です。

 また、トランプ大統領のシリア空爆の直後から安倍政権は「日本独自の防衛力強化」を声高に強調し、高高度防衛ミサイル(THAAD)の日本配備の動きも出ています(トランプ大統領は韓国に設置したTHAADの費用は韓国側が負担すべきだと言っています)。上記②に拍車がかかるのは必至です。

 しかし、安倍首相が「得をする」のはこの4点だけではありません。少なくともあと5つあります。

 ⑤辺野古新基地の埋め立て(護岸工事)強行
 安倍政権が沖縄の民意を踏みにじって辺野古の護岸工事を開始したのが4月25日。「朝鮮人民軍創建記念日」で情勢が緊迫していたさ中でした。沖縄の基地強化が①②③に直接関係していることも言うまでもありません。

 ⑥「共謀罪」法案の強行
 「共謀罪」法案(「組織犯罪処罰法改正案」)が衆院法務委員会で実質審議入りしたのは4月19日。先に上程されていた刑法改正(性犯罪の厳罰化)をおしのけ、安倍政権は今国会中の強行を目論んでいますが、「朝鮮半島情勢」で重要な審議がかすんでいます。
 同法案は「内心の自由」を侵害し、「監視社会」をさらにすすめるものですが、国家権力によるこうした動きが、戦争への道(上記①②③)と表裏一体であることは、治安維持法を柱とした戦前・戦中の歴史が証明しています。

 ⑦「生前退位」はじめ憲法にかかわる「天皇制問題」の論議抑制
 「生前退位」の「有識者会議最終報告」が出されたのが4月21日。憲法や皇室典範に抵触する重大な問題が山積している(後日詳述)にもかかわらず、野党の翼賛化も手伝って、肝心な議論がないまま、特例法のレールが敷かれようとしています。
 余談ですが、護衛艦「いずも」をはじめ海上自衛隊の艦船の名前に「神話(神道)」に関係するものが少なくないのは、自衛隊(軍隊)と天皇制の関係の一端を示すものです。

 ⑧「森友・昭恵問題」の隠ぺい
 先日の安倍首相のロシア、イギリス訪問には昭恵夫人が同行しました(写真左)。もうほとぼりは冷めたと思ったのでしょうか。しかし、籠池泰典前理事長の新たな証言(4月28日)で昭恵氏のかかわりが改めて浮き彫りになっています。安倍氏は自ら「私や妻、事務所が(認可や国有地払下げに)関わっていれば、首相も国会議員も辞める」(2月17日の衆院予算委員会)と言ったのです。目を外(北朝鮮)に向けさせて逃れようとしても、そうは問屋が卸しません。

 ⑨世論調査の「支持率」挽回
 就任後史上最低を記録していたトランプ大統領の支持率が、「シリア空爆」でハネ上がりました(35%→42%)。「9・11」の時もそうでしたが、外に敵をつくれば大統領の支持率が上がるのがアメリカの、異常な現実です。
 しかしそれはアメリカだけではありません。安倍内閣の支持率も、前回(3月)の52・4%から今回(4月22、23日調査)58・7%に上がりました(共同通信)。「朝鮮半島情勢」が影響したのは明らかでしょう。

 以上、日米が一体となった北朝鮮への軍事圧力は、安倍首相にとっていわば゛一石九鳥”です。度重なるトランプ大統領との会談で、安倍氏の方から軍事圧力を要請したのではないかとさえ思えるほどです。
 ゛九鳥”の中で、あえて言えば、一番問題なのは9番目ではないでしょうか。安倍首相のさまざまな暴挙の共通の基盤は世論調査の「高支持率」であり、それを許しているのが「主権者・国民」にほかならないからです。


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「北朝鮮の挑発」という「報道」の不当性・危険性

2017年04月29日 | 日米関係とメディア

     

 「北朝鮮による度重なる挑発行為は断固容認できない」。菅官房長官は29日の会見で、北朝鮮の「ミサイル発射」に対しこう述べました。
 「北朝鮮の挑発」。それは日本政府の常とう句であり、同時に、日本のメディアが1社の例外もなく繰り返し使っている言葉です。

 それは果たして事実に基づいた「報道」でしょうか。

 「挑発」とは、「相手を刺激して事件などが起こるようにしかけること」(『広辞苑』)です。
 朝鮮半島の緊張を高めているこの間のアメリカ(トランプ政権)と日本(安倍政権)、そして北朝鮮の主な動きを振り返ってみましょう(日時は日本時間)。

★3・1 米韓合同軍事演習開始(過去最大規模。金正恩委員長の「斬首作戦」を含む)。
★4・7 トランプ大統領、シリアをミサイル攻撃(「アサド政権による化学兵器使用」の証拠示さず)。
★ 同 トランプ大統領、安倍首相との電話会談で「全ての選択肢がテーブルの上にある」。安倍氏「高く評価する」。
★4・9 トランプ大統領、原子力空母カール・ビンソンの朝鮮半島近海への展開を指示。
★4・10 米ティラーソン国務長官、シリア攻撃は北朝鮮をけん制したものと示唆。
★4・11 トランプ大統領「北朝鮮へ無敵艦隊を送っている」。
☆ 同  北朝鮮、最高人民会議(国会)で「外交委員会」を復活。
★4・13 トランプ大統領「(北朝鮮制裁を)中国がやらないなら、米国と同盟国でやる」。
★ 同  安倍首相「(北朝鮮は)サリンを(ミサイルの)弾頭に付けて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」(参院外交防衛委員会)。
★4・14 米、アフガニスタンで「大規模爆風爆弾(最強の爆弾)」を初使用。トランプ大統領「北朝鮮は問題だ。問題は対処される」。
★ 同 米NBCが「北朝鮮に核実験の兆候があればアメリカは先制攻撃する」と報道。
☆4・15 北朝鮮、「故金日成主席生誕記念日」で軍事パレード。「新型ミサイル」初公開。
☆4・16 北朝鮮、「ミサイル発射」(失敗)
★4・17、18 米ペンス副大統領、韓国と日本を相次いで訪れ、「平和は力によってもたらされる」。安倍氏「支持する」。
★4・23、24 カール・ビンソンと海上・航空自衛隊が共同「訓練」(写真右)。
☆4・25 北朝鮮、「朝鮮人民軍創建記念日」で砲撃訓練。
★4・26 米、最新鋭迎撃システム(THAAD)の発射台やレーダーを韓国に搬入。
★4・27 トランプ大統領、「北朝鮮政策」を上下両院の全議員に異例の説明。
★4・28 米、国連安保理で北朝鮮に対する「国際的包囲網」構築を訴え。
☆4・29 北朝鮮、「ミサイル発射」(失敗)。
★ 同  カール・ビンソン、日本海へ。日本海で日米・米韓共同「訓練」(予定)。

 以上の事実経過を先入観抜きで見れば、どちらが「挑発」しているかは明白ではないでしょうか。圧倒的軍事力で「相手を刺激して事件などが起こるようにしかけ」ているのは、アメリカ=トランプ大統領であり、それに忠実に追随している日本政府=安倍首相です。

 問題は北朝鮮の「核開発・保有」だ、と言うかもしれません。もちろん核開発・保有は許されるものではありません。しかし、その背景には、いまだに朝鮮戦争が終結していない(休戦中)状況で、北朝鮮が「平和協定」へ向けた対話を望んでいるにもかかわらず、アメリカがそれに耳を貸さず、韓国と一体となって北朝鮮に軍事圧力をかけ続けている(合同軍事演習の定例化など)実態があることを見落とすことはできません。

 「核」についても、アメリカが自国の膨大な核兵器保有は棚上げし、またインドなどの「核保有」は容認しながら、北朝鮮にだけ「放棄」を迫るのは、大国主義以外の何ものでもありません。北朝鮮に「核放棄」を求めるなら、当然アメリカ自身も核兵器を放棄すべきでしょう。そもそも「核兵器禁止条約」に反対するアメリカや日本に北朝鮮を非難する資格があるでしょうか。

 「北朝鮮の挑発」と言い続ける「報道」に正当性がないことは明らかです。自ら事実を検証することなく、政府の言い分(用語)を引き写しするのではメディアとしての基本的資格が問われます。

 重大なのは、「北朝鮮の挑発」と繰り返すことは、正当性がないだけでなく、日米両政府の「北朝鮮敵視」に加担することになり、アメリカによって軍事衝突(戦争)が引き起こされた時には、米・日の責任を棚上げし北朝鮮を敵視することにつながることです。
 それはかつて帝国日本の朝鮮・中国侵略・植民地化を新聞が賛美したことの二の舞いと言わねばなりません。

 


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今村復興相発言と「土人」発言

2017年04月27日 | 安倍政権と民主主義

    

 「まだ東北で良かった」。今村雅弘前復興相の暴言は、「失言」でも「ゆるみ」でもありません。本音です。しかも、今村氏だけではなく、安倍首相をはじめとする政府・自民党の本音です。それはたんに「被災者を傷つけた」だけでなく、国家権力の本質にかかわる問題です。

 今村氏の発言はこうでした。
 「(東日本大震災による)社会資本などの毀損もいろんな勘定の仕方があるが、25兆円という数字もある。これが東北で、あっちの方だったから良かったけど、これがもっと首都圏に近かったりすると莫大な、甚大な被害があったと思っている」(25日、自民党・二階派のパーティーで。26日付中国新聞=共同配信)

 発言のポイントは、「東北」と「首都圏」を対比させ、「東北」が「あっちの方」、つまり「首都圏」から遠かったから、「社会資本」が「甚大な被害」に遭わずにすんだ、というところにあります。

 すなわち、「首都圏」(皇居が存在する地域)を「国」の中心と考え、「東北」を「あっちの方」=「辺境」とみなし、被害が「国」の中心でなく「辺境」で「良かった」ということであり、「東北」だけでなく「首都圏」以外の「地方」に対する露骨な差別発言にほかなりません。

 これは「首都圏」が使う電力のための危険な原子力発電所を、「首都圏」から「あっち」の「東北」「地方」に建設する、「首都圏」本位の「原発立地論理」とまったく同じです。

 かつて第2次安倍内閣で環境相だった石原伸晃現経済財政担当相が、核廃棄物の中間貯蔵に関連して「最後は金目でしょ」(2014年6月16日)と本音を漏らし不信任案を突きつけられたことがありましたが、これも同根です。

 今村氏や石原氏のように露骨に本音を漏らすのではなくより巧妙にこの差別政策を実行しているのが安倍首相自身です。
 「東京五輪招致」のために汚染水は「アンダー・コントロール」だと国際的な大ウソをつき、今また「五輪」のために被災者を半ば強制的に被災地に「帰還」させようとしています。被災者・避難者のことなど眼中になく、「五輪」へ向けた公共事業という「社会資本(経済効果)」のために、東北・被災地を犠牲にする安倍首相。今村氏とどこが違うのでしょうか。

 ここで思い起こされるのが沖縄・高江での「土人」発言です。

 2016年10月18日、高江で安倍政権のヘリパッド建設強行に抗議していた作家の目取真俊氏に対し、大阪府警の機動隊員が言い放ちました。「どこつかんどるんじゃ、こら、土人が
 目取真氏は振り返ってこう述べています。
 「ネットでは前からああいう言葉が飛び交っていたが、機動隊は公務員でしかも職務中。これまでとは違う次元で沖縄差別が口にされるようになった怖さがある」(16日付共同配信の辺見庸氏との対談)

 重要なのは、「土人」発言を鶴保庸介沖縄北方担当相が「差別と断定できない」と言い放ち、安倍政権が閣議決定の「答弁書」でそれを追認したことです。「土人」発言はいち機動隊員のものではなく、安倍政権自体のものです(ちなみに鶴保氏は今村氏と同じ自民党・二階派)。

 目取真氏との対談で辺見庸氏は、「『土人』にはこだわらなければならない。(19世紀末の)琉球併合後、日本の権力の基層部でひそかに語り継がれ、伝承されてきた差別意識、基本的な感情ではないか」と指摘しています。
 「土人」発言で露呈した「沖縄」に対する差別意識の上に立って、「日本の権力」と「本土」の「国民」は、「沖縄」に米軍基地を集中させ日米安保条約の犠牲を集中的に押し付けています。

 「東北・地方」に対する差別の上に立った「原発・災害」。「沖縄」に対する差別の上に立った「軍事基地」。その相似形が、「今村発言」と「土人」発言であらためて浮き彫りになっています。

 安倍政権が県民の意思を無視して辺野古の埋め立てを強行し、トランプ政権の対北朝鮮軍事圧力強化によって、沖縄がまたしても戦争の前線基地にされる危険性が高まっているまさにその時に、「今村発言」が飛び出したのは、けっして偶然とは思えません。


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「沖縄」「朝鮮半島」―「当事者」はだれか?

2017年04月25日 | 沖縄・平和・基地

     

 安倍政権は今日(25日)、ついに辺野古埋立の護岸工事を強行しました。また、今日は北朝鮮の「朝鮮人民軍創建記念日」で、朝鮮半島の情勢も一触即発です。
 「沖縄」や「朝鮮半島」のこうした事態の、「当事者」はいったいだれでしょうか?

 21日付の沖縄タイムスで、平安名純代・米国特約記者は「沖縄基地、日米国民の問題 当事者意識持ち行動必要」の見出しのコラム(「想い風」)で、こう指摘しています。
 「在沖米軍基地を巡る問題は『沖縄の問題』ではなく、『沖縄が押しつけられてきた問題』だ。これを解決するには、沖縄に基地を押しつけてきた日本国民と米国民が『われわれの問題』と認識し、行動する必要がある

 平安名記者の指摘から、16日付の沖縄タイムス、琉球新報の両紙に載った(共同配信)、作家の辺見庸、目取真俊両氏の対談が想起されました。「沖縄の基地問題の根底に潜むものは何なのか」がテーマです。全文が一読に値しますが、特に印象深かった個所を抜き出します。

 目取真 沖縄の経済は基地で成り立っていると思いたい意識構造がヤマトゥにある。県民は基地で食べていると思えば、基地を押し付けているやましさを解消できるから。

 辺見 状況は基底部から変わってきていて、憲法9条を擁護する人も、それを行動化しない。9条賛成で日米安全保障条約容認も「あり」になった。ホンド(「本土」-引用者)の立ち回りは論理の破綻であるとともに、倫理の根源にも触れる。端的に言うと、ホンドの視線には卑劣なものがある。沖縄からみたらもっと卑怯さを感じると思う。

 目取真 「九条の会」の組織が全国各地にできているが、日米安保条約には踏み込まない。意図的に平和運動の軸を安保条約反対から9条擁護にずらしていった気がする。沖縄が抱える状況とは乖離している。安保条約の問題を抜きにした9条擁護は欺瞞だと思う。

 辺見 そこですね。安保条約を事実上容認し、かつ反戦平和の側にも立ちたい人びとが多い。あまりに虫がよすぎる。しかし、安保条約肯定は、沖縄の巨大な米軍基地を是認することです。一方、沖縄の基地の県外そして国内移設を訴えている人びともいる。善意は疑わないけれど、県外移設論は安保条約そのものの本質を突いてはいない。

 目取真 (「沖縄の抗議行動には若い世代の参加が少ないとも感じる」という司会者=共同通信編集委員に対し)逆に聞きたいが、たとえば関東近県で若者の抵抗運動、政治運動がどれだけあるのか。…辺野古では、そういう人(「年金生活者」やアルバイトー引用者)が運動を維持し、20年も続いている。今の日本にこれほど長く続いている市民運動がいくつあるのか。辺野古へ来て座り込みすることはできなくても、ヤマトゥでも日米安保条約に反対することはできる。それぞれの場でやればいい。安保条約の上で暮らす全ての人が当事者。責任を負っている。

 「沖縄の基地問題」、いいえ、「沖縄に基地を押しつけている問題」で、私たちヤマト(ホンド)の人間は間違いなく「当事者」です。そのことの意味を、「辺野古」が重大局面を迎えている今こそ、あらためて肝に銘じる必要があります。自戒を込めて痛感します。

 「沖縄」だけではありません。そもそも朝鮮半島の南北分断は、帝国日本の(あるいはもっと昔からの)朝鮮侵略が発端です。現在の緊迫した状況を作り出している直接の原因である朝鮮戦争でも、日本はアメリカと一体となって(後方支援や軍事行動への部分参加など)事実上参戦しました。そしていま、安倍首相のトランプ大統領への賛辞や、空母カールビンソンを中止とする「空母打撃群」と海上自衛隊の共同「訓練」によって、日本は文字通り米軍と一体になって北朝鮮に圧力をかけています。
 「朝鮮半島」の事態に対し、日本は、私たち日本人は、間違いなく「当事者」です。

 こうして「沖縄の基地」や「朝鮮半島の緊張」に対して私たち日本人が「当事者」である根源が、いずれも日米安保条約(日米軍事同盟)であることは言うまでもありません。

 日米安保条約を(事実上)容認した「9条擁護」は、論理と倫理の破綻であり卑劣だという辺見氏の言葉、そして、「安保条約の上で暮らす全ての人が当事者」という目取真氏の言葉を、深く受け止めたいと思います。


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うるま市長選で敗北、翁長知事は直ちに「承認撤回」を

2017年04月24日 | 沖縄・翁長・辺野古

     

 23日投票の沖縄・うるま市長選で、「オール沖縄」の山内末子氏=社民、共産、自由、社大、民進推薦は、現職の島袋俊夫氏=自民、公明推薦に得票率で10㌽差をつけられて敗北しました。この結果をどうみればよいでしょうか。

 注目されるのは、勝敗とともに(あるいはそれ以上に)、投票率が前回(8年前)より1・85㌽低い60・70%と過去最低を記録したことです。昨年の県議選や参院選よりは高いとはいえ、「安倍政権と翁長氏がそれぞれ推す候補の一騎打ちは全国的にも注目を集めた」(24日付沖縄タイムス社説)選挙として、この低投票率は見過ごせません。

 「過去最低の投票率」の大きな原因は、争点の不明確化、端的に言えば山内氏=「オール沖縄」陣営が「辺野古」をあえて争点から外したことにあったと言わざるをえません。

 「『オール沖縄』勢力は…求心力の源泉である『辺野古』問題を積極的に語らない戦略で選挙戦に臨んだ」(24日付琉球新報)のです。結果、山内氏は「教育政策や市政刷新を中心に訴えたが現職との差別化に苦しんだ」(24日付沖縄タイムス)。「その(山内氏の政策のー引用者)内容は島袋氏の政策と重なる部分が多い」(同社説)からです。

 政策に大差のない選挙が現職に有利なのは自明です。なによりそれは、有権者から投票意欲を奪います。その結果が「過去最低の投票率」となったことは明らかでしょう。
 山内氏と島袋氏の政策の大きな違いは、言うまでもなく「辺野古」です。山内氏が新基地に一貫して反対しているのに対し、島袋氏のバックボーンである沖縄自民党は8日の県連大会で「辺野古新基地容認」を明確に打ち出したばかりです。これこそ最大の政策的相違点であり、山内氏の政策の優位点です。
 ところが山内陣営・「オール沖縄」はそれを自ら封印し、争点のない選挙にしてしまったのです。

 選挙結果にはいろいろな要素が反映しますから、仮に山内氏が「辺野古新基地反対」を前面に掲げていても、選挙結果がどうなったかは分かりません。
 しかし、問題は「結果」ではありません。18日のブログで述べたように、「護岸工事」が目前に迫っている中で行われる重要な一騎打ちの選挙で、「辺野古」を前面に掲げないこと自体、新基地阻止のたたかいにおいて許されることではありません。
 ところが「オール沖縄」陣営はそれをやってしまった。いわばたたかわずして敗れたのです。その責任はきびしく問われなければなりません。

 問題は、この選挙結果を受けて今何をすべきかです。

 「オール沖縄」陣営には敗北に打ちひしがれているヒマはないはずです。「護岸工事」はきょう(24日)にも強行されると報じられています。うるま市長選の誤りを正し、いますぐ「辺野古新基地阻止」に向けたたたかいを再構築しなければなりません。その具体的な方策は言うまでもなく、翁長氏に直ちに埋立承認を「撤回」させることです。

 選挙結果を受けて、琉球新報は「『オール沖縄』勢力は…手詰まり感も漂う中、基地問題以外の分野での訴求力をいかに高めるかが今後の問題となる」(24日付)とし、沖縄タイムスは「翁長知事を支える層からは知事の埋め立て承認撤回や県民投票などの新たな動きを求める声があり…」(24日付)、「辺野古ノーの取り組みは再構築を迫られている」(同社説)と論評しています。

 驚くべき論調です。いま「基地問題以外の分野」や「県民投票」に視点を移したり「再構築」などと言っている場合でしょうか。今日にも「護岸工事」は強行され、事態は取返しがつかないことになってしまうのです。
 新報、タイムスが「辺野古新基地反対」なら、「辺野古の環境破壊反対」なら、なぜ「翁長氏は直ちに承認撤回を」と主張しないのでしょうか。
 県内に絶大な影響力を持つ新報、タイムスが、これまで翁長氏に「承認撤回」を強く迫って来なかったことが翁長氏の撤回棚上げを許してきた大きな要因であることを両紙は銘記すべきです。
 
 宜野湾、宮古、浦添に続くうるまでの「オール沖縄」陣営の市長選4連敗。その根底には、翁長氏が「承認撤回」を知事選で公約しておきながら、いつまでたっても実行しようとしないことに対する有権者の批判があることは明白です。
 
 翁長氏は今すぐ「承認撤回」すべきであり、「オール沖縄」陣営は翁長氏にそれを実行させねばなりません。それが知事選で翁長氏を担いだ責任ではないでしょうか。


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