アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

ディズニーランドはなぜ沖縄に似合わないのか

2016年01月21日 | 沖縄・平和・基地

  

 「ディズニー、ディズニー、ディズニー。みんなでつくりましょうよ」。宜野湾市長選挙の佐喜真淳候補は、「地元で約400人の女性支援者を前に」、こう訴えたといいます(2015年12月18日付朝日新聞)。
 「ディズニーランド誘致」は、辺野古新基地容認の本音を隠す佐喜真氏の“目玉政策”です。12月8日に首相官邸で菅義偉官房長官に直接要請した(写真中)と言われていますが、真相は逆のようです。
 「政権幹部は『実際に誘致を提案したのは官房長官だった』と明かす」(同朝日新聞)。
 なんとしても佐喜真氏を勝たせようとする安倍政権がおぜん立てした「誘致」だというわけです。

 「ディズニーランド」で「普天間・辺野古」の争点をぼかし、票をかすめ取ろうとは、あまりにも姑息なやり方です。
 そもそも、沖縄にディズニーは似合いません。誘致すべきではありません。

 USJに続いてディズニー。相次ぐアメリカ資本のテーマパーク計画に、「これらのテーマパークができるとわれわれの生活はどうなるであろうか」という不安の投書(読谷村・34歳・教員)が、3日付の沖縄タイムスに掲載されました。

 「ただでさえ激し交通渋滞が日常的に発生している許田と名護市街間の国道58号、宜野湾市と那覇市間の県道330号の渋滞はどうなるか。・・・県民の雇用情勢が厳しくなる可能性がある。・・・テーマパークができると急激な変化により、予想もできない弊害が起こるのではないかと心配してしまう。・・・目先にとらわれることのない沖縄の身の丈にあった経済成長とは何か、と考えさせられる」

 琉球新報(7日付)の「論壇」には、東京ディズニーランドと比較し、「普天間のディズニー」は「荒廃を招く『非日常空間』」になると警告する投稿(東京都在住・68歳女性)が載りました。

 「『戦争追従』の跡(米軍普天間基地跡地―引用者)には『追従のコピー文化』(ディズニーランド―引用者)というのではあまりに悲しい。・・・田舎に過剰な『非日常空間』を呼び込むと、田舎は荒廃する。それを支える、汗水垂らす『日常の時間』の絶対量を欠くからだ」

 交通、雇用、経済、そして、文化、「日常空間」の各側面から、ディズニーランドがいかに沖縄にふさわしくないか。2つの投稿は傾聴に値します。

 しかし、ディズニーランドが沖縄にふさわしくない理由は、それだけではありません。

 ディズニーランドの生みの親、ウォルト・ディズニー(1901~1966)が、国策映画で戦争に協力し、反共主義者(労働組合弾圧など)で、差別主義者(映画「南部の唄」と黒人差別など)でもあり、保守政治家と親密な関係だった(とくにリチャード・ニクソンとは厚い親交)ことは知られています。
 ここでは、現在と将来の日本に深くかかわる問題を取り上げます。それは、ウォルト・ディズニーが、米CIAと結託し、日本に原発を広める急先鋒、プロパガンダだったという事実です。

 CIAが「原子力の平和利用」を看板に、日本で原発を普及させるための一大イベントにしたのが、1955年11月から始まって全国で行われた「原子力平和利用博覧会」です。
 その「博覧会」で洗脳のために上映されたのが、ウォルト・ディズニー製作のアニメを交えた科学映画「わが友原子力」にほかなりません。
 そのいきさつを、「博覧会」の責任者(アボット・ウィッシュバーン米情報局次長)は、アイゼンハワー大統領に宛てた書簡でこう報告しています。

 「私たちはアトムズ・フォー・ピースのアニメーションについてウォルト・ディズニーと友好的な話し合いを持ちました。ちなみにディズニーの海外での観客数は、どの同業者のそれをも凌ぎます(合衆国情報局文書)」(有馬哲夫氏『原発・正力・CIA』)

 「博覧会」を契機に、ウォルト・ディズニーは日本で原発推進の旗を振る、CIAエージェント・正力松太郎(写真右)と親交を深めます。正力は自分が創業した読売新聞や日本テレビを使って「原発推進キャンペーン」を展開します。私たちが子どものころ、日本テレビ系列で金曜の夜に「ディズニーランド」が放送されたのは、ウォルトと正力の特別な関係からです。

 東京ディズニーランドの開園にも、正力との腐れ縁が背景にあります。
 「東京ディズニーランドは一九八三年に開園するまでかなりの紆余曲折を経ているが、そのたびに助けとなったのはディズニー・正力コネクションだった」(有馬氏、同前)

 「原発反対」なら東京ディズニーランドへは行くべきではない、と言うつもりはありません。私も子どもを連れて何度も行きました。しかし、エレクトリック・パレードに興じる一方で、ディズニーランドと原発、CIA、正力との「黒い関係」を知っておくことも必要でしょう。
 そしてだからこそ、ディズニーランドは沖縄には似合わないし、誘致すべきではない、と言わざるをえないのです。

 

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