アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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安倍政権と翁長知事が進める「USJ進出」の危険

2015年09月05日 | 沖縄・翁長知事

  

 安倍政権は来年度予算の概算要求で「沖縄県北部地域大型観光拠点推進調査費」の名目で1億2千万円を計上しました。米映画テーマパーク・USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の沖縄進出を後押しする予算です。

 これに対し、地元の沖縄観光コンベンションビューローの平良朝敬会長は、「国の施設(USJが候補地としている海洋博公園―引用者)に進出する一企業を優遇するための予算計上はいかがなものか。地域に対しても十分な説明がない中での調査はおかしい」(8月26日付沖縄タイムス)と批判しています。

 USJの沖縄進出は、辺野古新基地建設とリンクしています。「辺野古移設へ向け、沖縄側の理解を引き出す『切り札』として官邸が関与しているのではないかとの懸念も広がる」(7月19日付琉球新報社説)と言われていましたが、その懸念が現実になろうとしています。

 しかしUSJの沖縄進出はけっして安倍政権の一方的な押しつけではありません。翁長雄志知事自身が積極的に誘致しているのです。
 USJの最高経営責任者と会談(7月17日)した翁長氏は記者団に、「USJが沖縄に進出することを期待している」「進出にあたり、県の支援も必要になる。・・・支えられるものがあれば支えたい」(7月18日付琉球新報)と、USJへの全面協力を言明しています。

 翁長氏の命を受けこの問題を担当している安慶田光男副知事は7月23日、官邸で和泉洋人首相補佐官と密かに会い、「USJの支援策」について協議しました。「具体的にわれわれ(県)が何を進めていけばいいのか、国がどれくらい協力できるのか意見交換した」(7月24日付沖縄タイムス)のです。

 重大なのは、USJの進出をめぐるこうした政府と翁長県政の動きが、一貫して地元をはじめ県民には知らされず、秘密裏に進められていることです。「最有力候補地とされながら、関係者に具体的な説明はなく、報道やうわさ以外、何一つ情報が見えない」という本部町の當山清博観光協会会長は、「怖いのは地域をおきざりにして巨大計画が進むこと」(7月20日付沖縄タイムス)だと危惧します。

 さらに問題は、「美ら海水族館」をはじめとする国営・海洋博公園の管理運営をUSJに移譲する動きが強まっていることです。
 「同社(USJ)は、新パーク建設とともに、財団法人『沖縄美ら島財団』が運営する海洋博公園にもかかわりたい考えだ」(8月29日付朝日新聞)と報じられています。同財団の指定管理契約が2019年1月に切れることから、「政府は以降の管理をUSJに担わせることを検討している」(7月19日付琉球新報)といわれていましたが、その動きが進行しています。

 これに対し、「美ら海水族館」の内田詮三名誉館長は「今まで水族館をつくりあげて、管理・運営してきたものからすると、管理は財団がやっていくのが筋だと思う」とし、財団関係者は「(USJの)沖縄進出については報道でしか知ることができない。沖縄経済に貢献しようと努めてきたのに、頭越しに進められることに驚いている」「これまで積み上げてきた研究の蓄積や公益につながる事業もなくなるのではないか」(7月18日付琉球新報)と、USJに管理運営が移ることに強い危機感を抱いています。

 「大資本依存の観光危惧 県民の力でオリジナルの魅力を」と題する高校教員(宮城千恵さん)の投稿が先日の沖縄タイムスに載りました。「政府が主導するUSJ、私は危惧している」という宮城さんは、「大浦湾の埋め立て計画のように、USJの誘致も本土の大企業にどっさりと落ちるのだ。・・・沖縄がどんどん本土化している。・・・沖縄を心から愛する人々でアイデアを出し合い、一歩一歩自立の道を歩もう」(8月23日付「論壇」)と呼び掛けています。

 安倍政権と翁長県政が密室の協議で進めているUSJの沖縄進出は、沖縄の自然と文化を米・日本本土の大企業に譲り渡すものにほかなりません。
 
 「子供たちに残したいは、この『美ら海』です。軍事基地ではありません
 5日の中国新聞に載った辺野古新基地阻止の意見広告です。沖縄の「美ら海」は、軍事基地にしてはならないのと同時に、米・本土大企業の餌食にもしてはなりません。

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