アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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あの異常国会の後の首相会見がたった23分か

2017年06月20日 | 政権とメディア

    

 厚顔無恥とはまさにこのこと。19日夕の安倍首相の記者会見です。

 強行採決以上の「中間報告」なる禁じ手を使っておいて「十分審議できなかった」とはよくも言えるもの。「反省している」と言いながら実は野党を「印象操作」と攻撃する開き直り。「政策とは関係ない議論」とは自らの「森友・加計疑惑」=行政の私物化を隠ぺいする口実…。挙げればきりがありません。

 そもそもこの男にまともな「反省」や議論を望むのが無理な話です。蓮舫氏は「総理のために開く会見は意味がない」(19日の記者会見)と言いました。しかしそうではありません。問題は、記者会見が「総理のため」のものになったことにあります。すなわち記者会見のあり方を抜本的に改める必要があるのです。

 首相会見が始まったのは午後6時ちょうど。はじめに安倍氏の発言が17分間。それから記者との質疑応答に入りましたが、6時40分にはきっかり終了。つまり、安倍氏の゛独演会”を除けば、実質的な記者会見はわずか23分しかなかったのです。

 最後まで内容が不明確なまま成立が強行された「共謀罪」法。内閣府と文科省の言い分が食い違い官邸主導で真相隠しが行われた加計学園疑惑。これだけをとっても異常な国会でした。「国会は死んだのかもしれない」(高村薫氏)と言われるゆえんです。

 その国会が閉会した直後の首相会見です。国会では明らかにならなかったことを記者が国民に代わって追及しなければなりません。テーマは山ほどあったはず。ところがその会見が実質23分。まったく話になりません。

 しかも「23分」の中身がまた問題です。はじめに幹事社から2人(毎日新聞、TBS)が大雑把な質問をし、その後は質問希望者が挙手をし、司会者が指名するのですが、これが曲者です。なぜなら、指名する司会は官邸(安倍政権)が行っているのですから。

 案の定、この日指名された記者4人のうち、ロイター(外交問題)を除けば、NHK(公文書管理)、日経(成長戦略)、社名を名乗らない男性(北方領土)はいずれも安倍氏にとって痛くもかゆくもない質問ばかり。安倍氏に宣伝の場を与えてやったようなものです。朝日新聞や東京新聞、ましてフリーの記者はまったく指名されませんでした。
 加計疑惑の文書をめぐってこのかん菅官房長官の記者会見で執拗に質問していた記者たちも、発言の機会は与えられませんでした。

 時間といい、運営方法といい、この首相会見は異常です。まさに「総理のための会見」として仕組まれたものです。
 今回だけではありません。首相会見はだいたい同じような時間・運営方法で行われています。こうしてテレビ中継する首相会見が「総理のための会見」になっていることが、安倍内閣の虚構の「高支持率」の1つの要因になっていると言っても過言ではないでしょう。
 
 これを抜本的に改める必要があります。
 時間については、質問希望者がいなくなるまで行うべきです。少なくとも1~2時間の質疑時間は確保すべきです。
 会見の司会(質問者の指名)は官邸(政権)ではなく、記者クラブが行うべきです。

 現在時間も運営も官邸主導になっているのは、会見自体が「官邸主催」になっているためだと思われます。それを抜本的に改め、会見は「記者クラブ主催」にすべきです。
 首相会見を「総理のための会見」ではなく、「国民のための会見」にするのは国民に対するメディアの責務です。
 日本新聞協会、新聞労連の姿勢と責任が問われます。


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