アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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新基地阻止に「和解」なし!「新協議会」は公開し議事録残せ

2016年01月30日 | 沖縄・翁長知事

  

 29日の辺野古・代執行訴訟第3回口頭弁論で、福岡高裁那覇支部の多見谷寿郎裁判長は、国、県に対し、「和解」を勧告しました(写真右、30日付沖縄タイムス)。
 その内容は明らかにされていませんが、「根本的な解決案」と「暫定的な解決案」の2案が提示されました。

 これに対し翁長雄志知事は、「これから関係者の意見をうかがいつつ、検討していきたい」(30日付琉球新報)と含みを持たせました。

 しかし、「和解」勧告は、辺野古新基地建設へ向けた危険な誘い水である可能性がきわめて濃厚です。

 専門家が一様に指摘しているように、行政訴訟での「和解」勧告は異例です。それを高裁があえて行ったのは、「裁判所が国側の肩を持ってしまうと、国民から見ても司法が政権寄りに見える。・・・それを避ける狙い」(武田真一郎成蹊大教授、30日付沖縄タイムス)だと考えられます。

 「和解」の内容は明らかにされていませんが、「国に対して、いったん訴訟を取り下げ、代執行以外の手段を取るべきだと迫った可能性がある。逆に、県側に埋め立て承認取り消しを撤回させ、代わりに国に振興策を進めるよう促した可能性もある」(人見剛早稲田大教授、30日付琉球新報)。

 要するに、裁判所が自己保身を図りながら、国の主張に沿うように、国と県にあらためて話し合いをさせる。その際、振興策も含めて妥協点をさぐらせる。それが「和解」案の内容である可能性が大です。

 そもそも、「辺野古移設が唯一の解決策」との姿勢をますます強めている安倍政権と、何を「和解」せよというのでしょうか。
 辺野古新基地建設阻止に「和解」などありえません。世論の力で断念させるしかないのです。

 そこで見過ごせないのが、まさに「和解勧告」の前日(28日)に第1回が行われた、安倍政権と翁長県政との「新協議会」です。

 初会合は、4日前の宜野湾市長選で「激しくたたかった」はずなのに、「非常に和気あいあいとした雰囲気」(菅官房長官、29日付琉球新報)だったといいます。その前日(27日)には県のイベントで、翁長氏と菅氏が笑顔で握手しています(写真左、28日付琉球新報)。翁長氏は28日には島尻沖縄担当相との会い、要請しています(写真中、29日付沖縄タイムス)。

 「新協議会」では肝心の「普天間・辺野古」の話は一切ありませんでした。それどころか、翁長氏はこう述べています。
 「私からは基地負担軽減と振興策・・・日本のフロントランナーとして沖縄が果たす役割をしっかり支えていただきたい、沖縄県もそれに応えて頑張るという話をした」(29日付琉球新報)
 まさに、「基地」と「振興策」がリンクされて話し合われたのです。

 「新協議会」はその結成が安倍政権と翁長県政の間で合意された時(2015年9月9日)から、「基地問題と振興策が同じ協議機関で話し合うことには強い違和感を禁じ得ない」(同9月10日付琉球新報社説)と危惧されていましたが、違和感どころか、重大な危険性が現実のものになろうとしているのです。

 そこで、これだけは声を大にして言わねばなりません。
 「新協議会」は協議内容を公開するとともに、議事録を正確に残し公表すること。それが「新協議会」を続けるための必須条件だということです

 安倍政権と翁長氏による昨年(8月~9月)の「1カ月集中協議」なるものは、その間、埋立承認取り消しを棚上げし、安倍政権が戦争法案を強行するための「休戦期間」でしかありませんでした。
 そして重大な汚点は、それが議事録を一切残さない、文字通りの密室協議だったことです。この轍を二度と踏んではなりません。

 「和解案」および「和解」をめぐる協議を公開すること。
 「新協議会」は公開にすると同時に、議事録を作成して公表すること。
 これは、絶対に譲れない要求です。

 ※次回は2月1日(月)に書きます。


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