充電日記     

オフな話で一息を。

Google booksの和本のめくり方

2011年09月03日 | 
・Google books、慶応義塾大学とタッグを組んで、著作権切れの書籍をスキャン・アップロード中。大要はこちら

・慶応の決定は英断に属するが、スキャンする方はどうか。いくつか見てみたら、微妙にななめになってたり、その結果、映るべきものが映ってなかったり、挙げ句には切れ切れになっていたり、最後のページ(丁)からはじまっていたり。少々以上に残念なことです。どうやら、スキャン環境に物理的な制約があるようです。作業領域が狭いとか。

・ただ、どうやらスキャンにあたる人間のスキルにも問題がありそう。こちらの3枚めの画像を。色合いの変化もあってギクリとします。中指と薬指にはめられたサック。このように和本をめくっているわけです。

・これは普通の書籍をめくるときの用具のはずです。めくりやすさを確保するとともに、指の皮膚の磨耗を防ぐ意味もあるのでしょうけれど、めくりやすさは摩擦力の増大によるものです。これは和本には少々まずい。紙質にもよるけれど、通常は美濃紙という繊維の長い和紙を使っています。場合によっては長い繊維が、隣り合う紙同士でからんでしまい、めくりづらくなることがある。これを摩擦力で無理に剥がすようにめくれば、少々以上のダメージを与えることになる。

・さて、画像にもどって。人指し指と親指が見当たりませんが、どうやら灰色に塗りつぶされた(?)部分がそれにあたるのでしょう。しかも文字のゆがみからすると、明らかにつまんでいます。逆にいうと、つまんでいることが明らかなので、指の部分を灰色で塗りつぶしたのではないか、と思えます。うううむ。

・まったく公開されないことにくらべれば数等よいことだし、私の専攻分野上、ささやかながらも大事な発見もできました。ありがたきこと限りなしなんですが、早稲田大の古典籍総合データベースが(露出値はともかく)きちんとした約束を守っての撮影であるらしいことと比較すると、どうなのかなぁと思うわけです。

・書籍のことだけでなく、広く一般的なこととしても考えるべき点がある気がします。理念としてはよいのですが、それを実現するまでの具体的な過程や現場での作業に思いをいたしてから「理念」を決定しているかどうか。もちろん、理念の決定が先にあっても何ら悪くないのですが、「現実」の方をフォローしきれる余裕があってのことなのかどうか。今にはじまったことはではないのですが。

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