Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol.355:2010 年2月~3月中旬の日経MJの教育業界関連マーケティング情報

2010年04月05日 | 教育関連マーケティング情報
毎月月末は「日経MJの教育業界関連マーケティング情報」をお伝えしております。今回は「検定」「企業教育関連」「ニューテクノロジー」の3テーマに分けてご紹介したいと思います。

バックナンバー(下記Blogに掲載)
vol.299:4月の教育関連のマーケティング情報
vol.307:5月の教育関連マーケティング情報
vol.311:教育産業はインドを目指す?(6月~7月分)
vol.325:8月~9月の教育業界関連マーケティング情報1
vol.326:09年:8月~9月の教育業界関連マーケティング情報2
vol.342:09年:10~11月の教育業界関連マーケティング情報
vol.348:09年:12月の教育業界関連マーケティング情報
vol.351:2010年1月~2月中旬の日経MJの教育業界関連マーケティング情報

■「検定」に関する記事

◆旬のサカナおいしく食べたい!!、消費者向け魚検定、関心高め需要喚起
◆2010/02/17, 日経MJ(流通新聞), 4ページ

【記事の概要】
サカナサカナサカナァ~魚をたべぇ~るとぉ~。
という訳で魚を食べてよくなった頭で「魚検定」に挑戦してみませんか。

正式名称は「日本さかな検定」、通称は「ととけん」。一般社団法人の日本さかな検定協会(東京・千代田)が実施する資格です。魚に関する資格としては既に「おさかなマイスター」というのがあるそうですが、これは専門的な知識が主体で小売店のバイヤーなどプロが受講する資格です。一方今回の「ととけん」は消費者対象。この検定で消費者の関心を高めて魚離れを食い止めるというのが開始した狙いだそうです。1~3級まであり、魚の種類や旬、魚食の歴史などの基本知識に加え、食生活を豊かにするような加工や流通について出題されるそうです。
詳細は「ととけん」のWebサイトをご覧ください。

【コメント】
かつて趣味がスキューバダイビングと釣りであったコガは、上記サイトにある2級の模擬問題を全問正解しました。第一回の試験は5月23日、「これならイケル。ちょっと受験してみようかなあ」と思い調べてみると、検定の運用をしているのは出版取次大手の「日販」さんでした。「日販」では「ととけん」だけでなく様々な検定の受験の受付を行っていました。
http://www.kentei-uketsuke.com/
単に検定の受付だけでなく、検定事業をトータルでサポートしているようです。本が売れなくなってきた昨今、出版取次会社も様々な事業に進出しているのですねえ。しかし、こうした資格検定のサポート(企画・運営受託)事業ですが、コガの経験から申しあげますと、手間がかかる反面そんなに儲からないのです。おそらく日販さんの場合、この事業単体での収益を追求するのでなく、資格検定の世界を活性化することにより、関連図書の需要を増やしていくという思惑があるのではないかと推察しております。

◆エキスパート協、通販の知識測定、5月から検定
◆2010/02/26, 日経MJ(流通新聞), 7ページ

【記事の概要】
通販エキスパート協会(東京・千代田)は、通販の仕組みや関連法律の知識を測る「通販エキスパート検定」を始めたそうです。対象はネット通販に新たに参入する人や通販業界への就職を希望する大学生などだそうです。詳細は下記通販エキスパート協会のWebサイトを参照願います。

【コメント】
百貨店、スーパー等既存の流通形態が売上減に苦しむ一方で、通販業界は昨対6.7%で売上が拡大しているそうです。それに加え、インターネットを活用すれば誰でも気軽に通販事業を開始できます。そうした状況から新規に通販事業への参入を検討したり、既存の通販事業の強化を目指す事業者が増加し、こうした検定へのニーズが高まっているのかもしれませんね。ちなみに上記のサイトに練習問題が掲載されているのですが、結構難しかったです。

■企業教育関連の記事
◆Uアローズ、こだわりの接客──年1回、販売職のコンテスト
◆2010/03/19, 日経MJ(流通新聞), 14ページ

【記事の概要】
衣料品の売り上げが伸び悩む中で増収を確保しているユナイテッドアローズ。その成功カギは、販売員の仕事への動機づけにあるようです。Uアローズでは21年前の創業時から「販売員の社会的地位の向上」を掲げ、彼らの技術と待遇双方を引き上げるため様々な施策を実施しています。この記事では同社での「接客テクニックを競うコンテスト」を紹介しています。毎年、全国2,200人の販売員の中から13人が選ばれ、決戦大会である「束矢(たばや。社名が束ねる矢に由来するため)グランプリ」が開催されます。
コンテストの模様はイントラネットを通じて全国で社内視聴されることもあり、販売員にとって決勝大会に勝ち残るのは大変名誉なことなのだそうです。
また、単にコンテストを開催するだけでなく、「束矢大学」という研修制度があり6つの講座を開講しています。こうした研修の機会と現場のOJTを組み合わせることにより販売員の能力を引き上げているそうです。

【コメント】
上記のグランプリ以外にも、販売員の頂点として選出する「セールスマスター制度」の創設や、本社販売職の長期アルバイトを正社員に登用する等の人材活性化のための基盤を整備しているそうです。そうした努力の結果か、Uアローズの既存店売上高は昨年12月から3カ月連続で前年実績を上回っているそうです。

コガは企業内教育の世界から離れて丸2年が経ちます。大学ではなぜか「マーケティング企画」というコースの担当になったことから、人事とか人材育成でなく、マーケティングとか店舗経営の視点で企業経営を見るようになりました。しかし、そうした視点で見ていても、成功している企業は、必ずと言って良いほど「人」を育てる仕組みや組織構造を持っている事実に辿り着きます。離れた位置から見ると、より人材育成の大切さが実感できるものですね。

◆大戸屋、店舗で食育セミナー、まず40店、食材選び指南、ファン育成見込む
◆2010/03/05, 日経MJ(流通新聞), 15ページ

【記事の概要】
今度は同じ企業教育でも、社員でなく顧客対象の教育の話です。コガもよくお世話になる大戸屋さんでは、食品に関する知識を持つ専門家や店舗オーナーらが講師となり、食材の選び方などを伝授する消費者向けの食育セミナーを開催しているそうです。今は限られた店での開催ですが、今後全店で開催する考えとのころです。1回90分で受講料は700円。でも受講後に定食を無料で提供してくれるそうなので、実質無料セミナーですね?

【コメント】
全然分野が違いますが、コガが自転車を購入したチバサイクルというお店でも、客向けの「初心者向けメンテナンス講習会」というのを定期的に開催しています。
http://www.trekstore.jp/chibacycle/news/index.php?entry=1501
モノを売るだけでなく、そこに教育というソフトウェアがセットになると、
顧客の満足度というのは格段に高まるものですね。

さて、2つの記事を読んでいて、企業教育の対象が「コアから周辺へ」変化しつつあるのかなとふとい思いました。

バブル崩壊後、企業の教育研修費が大幅に削減された時「選抜と選択」というキーワードがよく用いられました。研修はコア人材に対して重点的に実施され(=選抜型教育)、一方コアでない「周辺の」従業員には自己啓発制度等教育のメニューを提示し、任意で学習させる(選択型教育)という人材育成のトレンドが広まりました。しかし、自発的に任意の学習に取り組むような従業員であれば、そもそも選抜されるコア人材側にいる確率が高い訳でして、企業内教育における周辺の人々に対する教育投資はこの頃から大幅に減っていったとコガは認識しています。

今回のリーマンショックに端を発する不況下では、現場力をUPするため「コアから周辺へ」教育の重点がシフトしつつあるのではないかと2つの新聞記事を読み仮説がひらめいた次第です。皆さんの会社の人材育成の重点は「コア」それとも「周辺」?

■ニューテクノロジー関連の記事
◆電子書籍の利用──「読んだことある」20代の66%
◆2010/02/17, 日経MJ(流通新聞), 2ページ

【記事の概要】
アップルからiPadが発売されることもあり話題沸騰中の電子書籍ですが、実際に読んだ事がある人は、どのぐらいいるのでしょうか?

マクロミル社によるインターネット調査(20~60代の男女1000人から回答)によると、携帯電話やパソコンなどで小説やコミックなどを一度でも読んだことがある人は44.2%も存在する一方、「普段からよく読む」人は4.5%留まっており、恒常的な電子書籍読者はまだまだ少ない模様です。またジャンルは「コミック」が69.0%と最も多く、活字離れの傾向が見られます。さらに読んだコンテンツは有料か無料かを聞いたところ、76.3%が「無料」のコンテンツの読者とのことです。
ちなみに、AmazonのKindleやiPadといった電子書籍用の端末の購入については、4割弱の人が「買うつもりはない」と回答したそうです。

【コメント】
データーを見る限りにおいては、「ちょっと電子書籍のマーケットは大丈夫なの?」と心配してしまいます。現状のマーケットは「無料のマンガがダウンロードできるから試しにケータイで読んでみたことがあるけれど、お金出してまでは買う気はないわ」という人が大半なのかもしれません。

しかし、新しいテクノロジーがヒットするかどうかは、現在のマーケットリサーチ結果からは分からないものです。最初にeメールの機能やカメラをついたケータイが登場した時、多くの人は、こんな機能を一体誰が使うのだろうかと思った筈です。しかし、実勢にはどちらの機能も猛烈な勢いで普及し我々のコミュニケーションやライフスタイルを変革してしまいました。電子書籍だって同様に大化けする可能性があります。現にアメリカでは電子書籍のマーケットが急拡大しているのですから。

◆番組のネット同時配信、ラジオ13局、来月開始。
◆2010/02/26, 日経MJ(流通新聞), 7ページ

【記事の概要】
関東・関西のラジオ13社と電通でつくるIPサイマルラジオ協議会が地上波ラジオ放送のストリーミング(逐次再生)配信を開始しました。
radiko(ラジコ)
ラジオ受信機がなくても、マンション等の電波状態の悪い場所でも、パソコンがあれば地上波ラジオ各社の放送を聴けるようになりました。今は半年間の実験配信期間ですが、利用が多ければ本格的に事業化するとのことです。

【コメント】
今は単にラジオの音を配信するだけですが、うまくインターネットと組み合わせるとかなり面白いことができそうです。たとえばバックチャネルにTwitterを用いるだけで、双方向どころかリスナー同志も結びつけるコミュニティが形成できてしまいます。もちろんeラーニングに活用することを考えるとかなり無限大な可能性がありそうです。個人的には「放送大学」にはぜひラジコで配信して欲しいと願っています。

今回の「日経MJの教育業界関連マーケティング情報」いかがでしたか?次回はGW直前号あたりでまとめます。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿