Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol.299:教育関連のマーケティング情報

2009年04月19日 | 教育関連マーケティング情報
4月から新コーナーを作りました。

社会人教育部門でeラーニングを担当していた頃の知り合いに久しぶりに会った時必ず聞かれるのが、「どういう科目を担当しているの?」という質問です。パソコンの操作教育から初年次教育等、共通基礎知識やスキル関連の科目が大半なのですが、2年の後半以降の専門科目として、なぜか「マーケティング」関連の科目も担当しております。筆者を知る人からすると「あんたで務まるのか?」等疑問があると思いますが、まあそこはあまり深く突っ込まないのが大人のたしなみということで。。。

そうした背景より、最近マーケティングに関する情報をこまめに収集する日々を送っております。そこで気がついたのですが、マーケティングの話題の中でも教育に関連したものが結構多いのですよ。そのあたりの情報を、メルマガのネタに活用すれば、授業とメルマガ執筆の一石二鳥になるという事にやっと気がつきまして、今回から月1ぐらいのペースでこのコーナーを続けていきたいと思います。

ソムリエでなくジムリエ?

09年4月8日の日経MJより
文具・オフィス家具メーカーのプラス(東京・港)は従業員の商品知識や営業能力を高めるたけに社内資格制度を新設する。対象は文具営業担当の約百三十人。研修と試験を実施し、合格すると『ジムリエ』として認定する
とのこと。

研修はeラーニングによる社内講座を始めており、検定試験はネット上で選択式問題に解答する筆記試験と、営業のプレゼンテーションをする実技試験の2段階に応じて実施するそうです。

将来的には法人客に商品を納品している提携先の文具販売店にもこのeラーニングを無償で提供し、自社からジムリエ有資格者を派遣し、営業方法を指南していきたいということです。

検定試験も一般知識はネットで選択式問題を解答、リアルの場ではプレゼンテーションをやらせる実技試験の2段階になっています。現在対象者は社内の営業員けということですがこれをサプライチェーンに広めていくところも、eラーニング用の視点で見ると王道です。

この記事を読み思い出したのは、昔聞いたアメリカのIT関連企業でのeラーニングの取組事例についてです。その会社では、自社製品を扱う販売代理店に対してeラーニングで商品知識の教育を実施しており、最終テストの成績が優秀な販売店については、製品の卸価格を安くするという営業戦略を展開していました。

こうしたサプライチェーンを巻き込み営業戦略と連動した教育のあり方はなかなか面白いですし、ジムリエの今後の展開に期待したいところです。また、文具マニア向けにジムリエの試験を一般消費者にも公開・実施していくというのも営業戦略的にはアリかなと思った次第です。

文具だけでなく「○○リエ」ができそうな業界はまだまだありそうです。作りたい企業の方いらっしゃいましたらぜひ産能までご相談のほどを・・・。ちなみに企業内教育関連のセールスの「○○リエ」なんていうのもいけそうかも?

美容師の定着率アップの取組
09年3月18日の日経MJより
美容室大手の田谷は新人美容師の離職を防ぐため、四月から研修制度を見直す。従来は現場に一任してきたが、重要な技能は本部が新人を集めて直接教える。技能のばらつきをなくすことで入社三年目の独り立ちを確約し、士気の向上につなげる。優秀な人材の確保が集客のカギとなるとみており、入社1年後の定着率を現在より20ポイント高い85%にすることを目指す。

筆者の住んでいる中央林間という街には、街のサイズに似合わないぐらい多くの美容室があります。そして閉店後夜遅くまで「人形の頭」を使って新人さん達がカットの練習をしている姿をよく見かけます。先日東大の中原先生がブログで「理容師の熟達化」について書かれていましたが、あの人形の頭は1つ5,000円もするらしいです(下記参照)。
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/03/post_1472.html

ただ、大規模チェーンで展開している美容室の場合、あそこまで、現場に基礎技術の習得を任せてしまうと、いくつかの弊害が出る可能性があるのも事実です。

一つは育成にあたる先輩や店長のバラツキです。教える側の美容技術はもとより、教え方の技術や教える意欲にかなりバラツキがあることが予想され、それが原因で新入社員の育成に差がでたり、士気の低下につながる可能性があります。そして、うまく育ててもらえなかった新人は「こんな店で働いていても自分の能力があがらない」等の不満がから辞めてしまう可能性が高まるのです。

少々話題は逸れますが、最近「自分を成長させてくれる会社に入りたい」と言うワカモノが多いんですよね。「本当は、社会人になったら教えて貰うのでなく、自ら学ぶのが大切なんだよな」なんて文句爺の決まり文句をシャウトしたくなる部分ですが、ここは抑えて本題に戻ります。

さて、もう一つは、各店に配属された新人の孤立感の増長です。同期の絆は、何物にも代え難い育成の原動力になります。しかし個人がバラバラにちらばっていると、他の同期入社の新人がどこまで伸びたかも分からず、自分の能力向上に不安を感じてしまう筈だからです。

今回の田谷での取組では、月に一度本社の講師の研修を受講することになっているそうです。おそらく同時期に入社した美容師の卵達が本社等に集まって研修を受講するものと思われますが、それが同期との親交を深め、互いの成長を確かめ合う良い機会になるものと考えます。

ちょっと手間がかかりますが、新入社員研修の後は全て現場にお任せとするのでなく、このように定期的に新入社員を集めてあげることは美容師の世界に限らず、定着率と能力開発に必ず寄与する筈です。ぜひお試しを。

教室はカフェ
最後はちょっと軽めの話題です。
最近、マクドナルドでよく見かけて気になっている風景があります。20代ぐらいの中国人女性から中年のサラリーマンがマンツーマンで中国語を習っている風景です。

これは、外国語講師を自宅近くの喫茶店などに派遣する個人指導形式の語学教室です。09年3月20日の日経MJによると、「喫茶店の騒々しさは、中国で実際に会話する時のシチュエーションに近い。むしろ実践的だ」という受講者の感想を掲載しています。

例えば、下記はチャイニーズドットコムという中国語教室のURLです。
http://www.1chinese.com/
60分3,000円でカフェでレッスンというシンプルなビジネスモデル。さらに写真と出張可能沿線つきの講師一覧は必見です(上記サイトで「中国語講師を検索する」ボタンをクリックしてみてください)。

NHKのテレビ講座テキストの販売部数を見ると、現在、英語以外の外国語で最も人気があるのは韓国語でその次が中国語だそうです。かつて人気のあったフランス語やドイツ語は学習する人が2000年以降半減、ロシア語に至っては1/3になってしまったそうです。

eラーニングのような遠隔教育でもなく、教室に集めての授業でもなく、先生が出張していってマンツーマンで教えるカフェ授業。語学だけでなく様々な学習テーマで応用できそうですね。

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