日記

日々のあれこれ

「花降り」 道浦母都子

2010年09月05日 | 読書
一言で言うと中年の純愛物語。どんな人にもそれぞれに家族があり、家族の歴史がある。一人の人間が今ここに生きているのも、過去の様々な宿業に導かれてのこと。
人を好きになるのも深い奇縁。好きになったその心を自分でじっとのぞいてみると、あらゆる感情のパターンが網羅されている。その心のひだを関西の桜の名所を訪ねながらたどっている。前半はほとんど古典の世界。亡くなった身内の思い出を沖縄にたどっていく後半では、主人公の魂が死者と交換し、慰撫され、大きな平安の中へ溶け込む。。。。

体裁は日本古来の歌物語。各章の初めに短歌があり、直接の関係はないけれどお互いが響き合って物語を進めていく。奇跡の純愛、あまりに浮世離れしていると言うよりも、浮世離れをしたことでも書いていいのが小説というジャンルだと思う。あまりに世の中殺伐として欲望に突き動かされた身も蓋もない話ばかりを聞くと、つつましやかな過去の日本人の美徳ってこんなんところにあったんだよなと、すがすがしい。

「人を好きになるという感情はどうしようもないことだけど、あなたを愛しても、何も求めてはいけない。ただあなたという存在がいて下さるだけでいい」文中より…美しいではありませんか。

「人に慣れてしまったという感情はどうしようもないことだけど、この先あなたを愛さなくなっても、まだまだ全てを求めるつもり。だけどあなたという存在がメシ、フロ、ネルと言うだけで私の気楽な生活の邪魔をしないで下さるのは必要にして最低条件」…ということにならないよう私も日々精進いきたいと思います。

備忘のために

昨日は地デジが開通した。見積もりに来てもらったら、お姑さんがすでにアンテナ立ててることが判明。それにラインをつなぐだけであっという間に終了。
チデ鹿さん、さようなら~~~

夜、夫とともに息子の賃貸マンションに。夫が以前作った廊下の段差解消の踏み台を点検。スロープもつけることにした。赤ちゃんと遊んだ。若い家族。昔の自分たちを見るようで感無量。

写真は2005/4/15 吉野上千本の吉野水分神社。西行も立ち寄った桜の名所。豊臣秀頼寄進の社殿が残っている。小説の中では吉野には行っていない。行かない理由を少し触れているだけ。
それより、小説で蝉丸神社の行き方がわかってよかった。電車で行くんですね。東名高速、蝉丸トンネル出るとあっという間に通り過ぎて一度行きたいと思っていた。
コメント

団塊の世代

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