荒野に叫ぶアイツの部屋

生き物絡みの仕事しながら空手やったり、漫画描いたり模型作ったり海の生物求めて津々浦々旅したりする男ばるぱんさーのブログ。

僕らはクジラ探検隊

2012-07-12 20:36:48 | 生き物

グロ注意!!でもできるだけ最後まで見て欲しい。

7月4日の朝3時15分頃に家を出る。
一心不乱に海岸沿いを突っ走る。
一時間程で九十九里に到着。ここからが長い。
九十九里のセブンイレブンで小便をし、眠気覚ましにコーヒーやガムを買う。
海が近いだけあり、この店では麦わら帽子や海パン、海水浴グッズが豊富だ。

更にひたすら車を飛ばし、一時間程で勝浦に入る。
夜も明けてきた。
夏の昼間は海水浴客でごった返すこの辺りも早朝は静かだ。
たまに新聞配達のおっさんや、近所の爺さんが犬と散歩しているくらい。
それにしても良い景色だ。
俺にとっては天使や妖精やスライムが跳び跳ねる異世界のように見えるこの場所も、地元の人々からすれば見飽きた光景なのだろうな。

道が空いてたため、家から二時間半程で鴨川シーワールドを通過。
子供の頃からこの辺に来ると胸がキュンキュンする。
更に車を飛ばし、遂に到着!
和田漁港!!
約一年ぶりだ。

6月20日から始まったツチクジラ猟。
しかし今年は海況が芳しくなく、3日にようやく初の水揚げがあり、この日7月4日朝7時から一頭目の解体が始まり、地元の小学生が見学に来る。

車から降り、昨年と同じくクジラが繋がれた岸壁へ向かう。

昨年の様子はこちら。

昨日の初猟でなんと二頭も捕れた。

岸壁では二頭のツチクジラが交差しながら波に揺られている。
どちらもでかい。
10メートルはあろうか。
見物人も増えてきた。
新聞社の方、俺と同じく別の地域から見物に来たらしい方々、地元の方。
地元の方からお話を伺ううちにが騒がしくなってきた。
解体さん二人がフォークに乗り、クジラを岸壁に繋ぐワイヤーを外しに来た。
解体さんのほとんどは釜石の人らしく、言い回しもこの辺とは違う。

ウインチで一頭目のクジラがへと引き揚げられていく。
今年一回目の作業だからか、何やら手こずっているらしく波打ち際でクジラが止まる。
波に揺られぐねぐねと揺れるクジラの頭。
「嫌だ。海に帰りたい。」
とでも言っているようだ。

ようやくに収まるツチクジラ。
ホースで水をかけ、洗い流したあと、仕事始めの儀式が始まった。
大包丁とツチクジラを酒で清め、解体さんたちも御神酒を呑む。

見学に来ていた現地の子供達や報道関係者達とに入る。

この一頭目のツチクジラは体長10メートル。
メス。
犬吠沖45キロの海域で捕殺。

解体の前にクジラに触る子供達。

解体が始まった。
解体さん達が物凄い手際の良さで捌いていく。
その様子を
「ぎゃあああああ!!」
「ひいいいいいい!!」
「あはははははは!!」
と、悲鳴を上げたり爆笑したりしながら見守る子供達。

ふと気がつくとの外に一人、川を挟んで向こう側の岸壁に一人、警官が目を光らせている、
シーシェパードやその類の者達を警戒しているのか?
昨年もそうだったが、今年もシーシェパードの姿はない。
「あらゆる捕鯨を阻止する」んだったよなあ?
言った事は守れよ大人なんだからさあ。
ま、来たら来たで海の藻屑にして殺るけどな。

一時間程でバラバラになるツチクジラ。
脛椎が外され、生首がずるりと移動される。
頭蓋骨と脛椎が繋がる部分。
勉強不足で何と言うのかわからんが、その部分を指差し、「あれがメロンかな?」と子供達。
「メロンはもっとこの辺だよ」と親切に答える解体さんも汗だくだ。
解体さんも神経使うだろうな。
分厚い脂肪を切り裂く大包丁だが、あんなのを降り降ろされたら痛いじゃ済まないだろう。

ツチクジラの生首を観察する。
メスだからか?昨年見たオスの個体と比べると吻が長く、全体的に尖った印象を受ける。
それに下顎の先の牙も無い。
どうでもいいが、どこかビグロやヴァルヴァロといったジオンのモビルアーマーを彷彿させる。

ちなみにこちらが昨年見たオス。

一頭目の解体が終わり、解体さん達も休憩に入る傍ら、二頭目が陸揚げされ、の少し手前で水産庁の方々が測定と雌雄の確認をする。
水産庁の方が隠裂に手を突っ込み、男根を引っ張り出す。オスだ。
やはり先程のメスの個体と比べると吻が短く、顔付きも丸い。

NHKの方が子供達にインタビューする。
もしかしたら俺も?
フッ、どんな角度で写ろうかと考えてたがガン無視された・・・

先生に引率され、外房捕鯨株式会社の方々に話を聞いて回る子供達。
「ぼくらはくじらたんけんたい」と書かれた用紙にせっせと何やら書き込んでいる。
この見学は恒例行事らしい。
とかく無機質になりがちな今、この見学に反対する親もいるかも知れない。
だが我々が日頃、深く考えずに口にしている肉だって何処かで生きていた。
顔があった筈だ。
この子供達はツチクジラに何を見ただろう?
いつかそのうち俺も親になったら、見せに来よう。

いつか・・・
いつかな・・・

安らかに眠れ。
ツチクジラ達よ・・・
お前たちを俺は忘れない。
お前達の肉を食べて生き残るぞ。
人間社会の大海原だって厳しい。
これでも生き物なのか?
どんな教育受ければそこまで酷い事が出来るのだと正気を疑うような奴等もいる。
だが、お前たちをはじめ、数々の生き物達から貰ったこの生命。
必ず未来に繋いでみせる。


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