弁護士のカフェタイム-相模原法律事務所

弁護士法人相模原法律事務所(弁護士伊藤信吾)が送る
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債務整理相談(13)公務員の破産と共済組合への返済-弁護士法人相模原法律事務所

2011-06-30 08:30:00 | 相模原 債務整理・自己破産相談室
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 破産者が公務員で、共済組合から借り入れをしていた場合、退職時に退職金が支払われた場合に、破産後であっても共済組合からの借入金の返済に充当されてしまうのでしょうか。

 破産後にあっては、借入金の返済はあくまで任意でなければなりません。

 この点、最高裁平成18年1月23日判決は、破産者がその自由な判断により自由財産の中から破産債権に対する任意の弁済をすることは妨げられないものの、少しでも強制的な要素を伴う場合には任意の弁済にあたるということはできないとして、給与の支払いから共済組合の貸付金の控除を認めませんでした。

交通事故相談(5)交通事故と因果関係-弁護士法人相模原法律事務所

2011-06-27 10:34:30 | 相模原 交通事故相談室
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 交通事故で損害賠償がされるのは、事故と因果関係のある損害のみです。

 因果関係とは、単純に事故を原因として生じるすべての損害という意味ではありません。

 かように単純に事故から生じた損害とすると、その賠償責任の範囲が無限に広がっていってしまい、加害者が予想外の損害賠償を負担することになってしまうからです。

 そこで、事故と「相当因果関係」のある損害のみが賠償されることになっているのです。

 具体的な相当因果関係の内容は、ケースバイケースです。

 微妙な事例もありますが、例えば、入院当初意識不明の母親を見舞うために遠方から駆けつけた娘の交通費等について認められるケースもあろうかと思います。

交通事故相談(4)後遺障害後の死亡-弁護士法人相模原法律事務所

2011-06-23 10:33:04 | 相模原 交通事故相談室
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 後遺障害の認定がされた後に、被害者が死亡した場合の損害賠償はどうなるのでしょうか。

 死亡と事故に因果関係がある場合には、当然に、死亡事案として死亡も含めて損害賠償の対象となります。

 では、事故とは無関係に災害等で死亡した場合などはどうなるのでしょうか。
 
 最高裁の平成8年5月31日判決では、後遺障害等級 12 級が認められた男子高校生が、 その事故とは因果関係のない別の交通事故で死亡 した場合で、死亡の事実は就労可能期間の算定上 、考慮すべきではないとして、死亡後の逸失利益 を認め、死亡後の生活費控除を否定しました。

 死亡という偶然の事情で損害賠償額が軽減されることはないとして、被害者保護を図ったと言えるでしょう。

相続相談(17)金銭的援助と特別受益-弁護士法人相模原法律事務所

2011-06-20 08:00:00 | 相模原 相続相談室
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 故人から,金銭的援助を受けた息子は,相続の際に,金銭的援助の総額について特別受益とされるのでしょうか。

 また,故人が孫に対して養育費を負担した場合に,それは相続人である息子の特別受益になるのでしょうか。

 こういったケースについて,東京家裁平成21年1月30日審判では,以下のように判断しています。

 このケースでは,父親であった故人から相続人の一人に対しては、約2年の間に1月に2万円から25万円の送金がなされていました。

 そして,裁判所は,本件遺産総額や被相続人の収入状況からすると,1月に10万円を超える送金は生計資本としての贈与であると認められるが,これに満たない送金は親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計資本としての贈与とは認められないとしました。

 また,相続人である息子の子の養育費用を故人が負担していたとしても,これをもって被相続人から相手方に対する生計資本としての贈与とは直ちにいえないとして,仮に相手方の生計維持に貢献した分があったとしても,被相続人には黙示的な持戻し免除の意思表示があったとして,特別受益として認めませんでした。

 かように,親族としての援助については,金額の多寡等によって特別受益と認められないこともありますので,注意が必要です。

離婚相談(11)収入減でも養育費の減額が認められない場合-弁護士法人相模原法律事務所

2011-06-16 16:30:42 | 相模原 離婚相談室
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 養育費を支払う夫に収入源があった場合に,一度,調停で成立させた養育費について,減額を求めることは可能でしょうか。

 一般的には,養育費は固定的なものではなく,双方の経済状況の変動によって,支払額の増額や減額を求めることは可能です。

 しかしながら,東京高裁平成19年11月9日決定は,夫について収入減があったにもかかわらず,養育費の減額を認めませんでした。

 その判例は,一度成立した調停は最大限尊重されなければならないのを原則としています。

 そして,調停の当時,当事者に予測不能であったことが後に生じた場合に限り,これを事情の変更と評価して調停の内容を変更することが認められるものであるとしています。
 
 判例の事例では,調停成立後に,仕事上のトラックのレンタル料が必要となったことから養育費の減額を求めたのですが,かようなトラックのレンタル料の支払による総収入の減少について,調停時に具体的に認識していたか,少なくとも十分予測可能であったとして,減額を認めませんでした。

 一般的には「収入減があれば,養育費の減額は認められる」と安易に考えがちですが,かように「予測不能な」収入減というのが要件となりますので,注意が必要です。

相続相談(16)内縁の夫の死亡と妻の居住権-弁護士法人相模原法律事務所

2011-06-13 12:09:54 | 相模原 相続相談室
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 内縁の夫が死去した場合に,残された内縁の妻との間で,2人が同居していた内縁の夫所有の建物について,内縁の妻は,居住する権利があるのでしょうか。

 相続人である内縁の夫の子供から明け渡し請求がされた場合には,建物から退去しなければならないのでしょうか。

 同様の事例においては,これまで権利の濫用として,相続人からの請求を認めない扱いが定着しています。

 もっとも,事情によっては,権利の濫用という構成ではなくて,亡夫から妻に使用貸借権が設定されたという構成もあり得ます。

 大阪高裁平成22年10月21日判決は,亡夫が生前,関係者に「自分が死んだら,建物を妻にやって死ぬまでそこに住まわせて欲しい」と言っていたことから,妻に使用貸借権を認めました。

 なお,権利の濫用の場合には,家賃相当額の支払いをどうするのかという問題が残りますが,使用貸借の場合には,無償で使用できるのが前提となりますので,より,妻に有利な判断と言えます。

離婚相談(10)離婚裁判での尋問での態度-弁護士法人相模原法律事務所

2011-06-09 09:10:01 | 相模原 離婚相談室
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 離婚裁判において,尋問の時の証人や原告,被告の供述態度が,裁判の結果に影響することがあるのでしょうか。

 供述内容というのは,有る意味,陳述書等の文書で提出することもできます。

 では,証人尋問や当事者尋問という形で,立証をしようとした時に,証人等の尋問態度は,正式に判決に反映されるものなのでしょうか。

 結論を言えば,証人等の供述態度が判決に影響することは多々あります。

 ですから,証人尋問の準備というのは,供述態度の準備でもあります。

 例えば,仙台地裁平成21年2月26日判決は,不貞をした妻から夫への高額の慰謝料支払いの約束が自由意思に基づくものではなく無効とされたものですが,判決文の中で供述態度を引用しています。

 具体的には,判決文に「被告本人尋問の実施時,被告本人が原告から暴行を受けた状況を供述した際の恐怖の表情等を総合すると」との記載があり,供述態度が判決に影響することを端的に示しています。

離婚相談(9)離婚と退職金の財産分与(退職後)-弁護士法人相模原法律事務所

2011-06-06 12:37:06 | 相模原 離婚相談室
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 離婚をした場合に,妻は夫の退職金についても財産分与をして貰うことができるのでしょうか。

 この点,すでに夫が退職をして退職金を受領している場合には,その退職金のうち,夫婦の協力で形成された部分については,分与をしてもらうことが出来ます。

 例えば,在職期間が30年で,結婚期間が15年であれば,退職金のうちの1/2程度は,夫婦の協力で形成されたと言えるはずです。

そこで,さらにその1/2は妻の取り分として,同額を財産分与で請求できることになります。

離婚相談(8)離婚と退職金の財産分与(退職前)-弁護士法人相模原法律事務所

2011-06-02 09:30:42 | 相模原 離婚相談室
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 離婚に際し,妻から夫に対する,退職金相当額の財産分与について,いまだ夫が退職をしていない場合には退職金額を財産分与の対象とすることができるでしょうか。

 退職前であると,将来,本当に退職金が出るかどうかは不明な点があります。一般的には,10年以内であれば,退職金について財産分与の対象としうる可能性があります。

 ただ,その場合でも,1.退職金相当の金額,2.どの時点で支払うべきか については,様々な考えがあります。

 現在では,離婚の時点での自己都合退職の場合の退職金額を,退職金が支給された将来の時点で支払う,というのが判例の傾向です。

 もっとも,将来の時点のことを現在において確定してしまうと,退職金の変動があった場合には,双方に酷なことになることもあり得ます。

 この点,大阪高裁平成19年1月23日判決は,退職まで5年のケースにおいて,退職時から算出される一定の計算式で退職金相当額を定めたユニークなもので,参考となります。