動物相談室

サファリパークの現役スタッフ達が答える動物相談

ドイツの鴨パート2 その後

2008年05月04日 | ウォーキング係
【Q】質問者:斉藤さん

鈴木係長様

こんにちは。ご丁寧なアドバイスをありがとうございます。また、同じマンションの野中様におかれましても当ブログ及び直接お会いしてのアドバイスを頂きありがとうございました。その後につき、本日時点の状況を報告させて頂きます。

雛が孵化し本日雛達が自力で地上階へ降りましたが、一旦母親と過ごすもつかの間、母親が雄鴨達の激しい追尾により親子がはぐれ、現在雛達は他の母親の下で他の子供達と一緒に過ごしております。長くなりますが詳細は以下の通りです。

4月30日(水)朝 雛が孵化し母親のお腹の下に居ることを見つけました。(孵化日は早くて前日の夕方から開始したのではないかと思います。全部で12羽居ました。)元気に動き回っておりこれ以上活発になると下に落下する可能性があることから、同日14時頃に母親を捕まえダンボールに入れ、別のダンボールに雛達もまとめて入れ、地上階へ移動。藪の中でゆっくりとダンボールを空けました。母親は雛達に目もくれず一目散で逃げ出しました。(今思えば当然です)すかさず地上階に居た雄鴨達が激しく追尾しはじめました。追尾は激しく、母親は空へ飛び去る形となりました。追尾された後、母親が我が家の6階のベランダに戻った為、母親に見える様、地上階で雛達をダンボールのまま見せ、それでも降りてくる様子がないことから、ダンボールから雛を出し母親が降りて来るよう促しましたが、追尾が怖いのか一向に降りて来ませんでした。いた仕方なく雛たちをダンボールに戻し6階の母親のもとに戻しました。その日は親子とも6階のベランダで過ごしました。追記となりますが、雛達を地上階へ降ろす為に捕まえた際、1羽が落下しましたが無事でした。家族との合流は出来ませんでしたが、近所の方の話では他の家族に合流したと聞いております。

5月1日(木)朝 前日のこともあり、我々は自然に任せ静観することとしました。(昨日落ちた雛が落下したにもかかわらず無事であったことも1要因でした)母親が子供を引き連れベランダをうろうろし出しました。その際雛が数羽落ちてしまいました。その約20~30分後、母親が地上階へ飛び降りようと試みましたが、飛び降りた瞬間より雄鴨達に激しく追尾され、そのまま遠くへ飛び去る形となりました。子供達は母親が降りた後を追い地上階へ次々とダイブ。驚いたことに両羽を広げムササビが飛ぶ様な形で落下し、見た限りでは全て死ぬことなく無事の様でした。(これで次回は自然に任せても大丈夫である事が分かりました。下は芝生と木のデッキ・通路はタイル張りでしたが多くは芝生及び雑草です)地上階に母親が居ないことから子供達は行き場を失い茂みの中に隠れていました。約20分後、母親は雄の追尾を振り切りながら地上階へ到着。6羽の雛と母親が無事合流を果たしました。先に落ちたであろう数羽の雛を含む他の5羽は不明。残念ながら母親が来る前に食べられた物が目視で1羽確認出来ました。数は6羽に減ったものの、無事親子で行動をし始めたので安心していました。ところが、その後地上階にある池に親子が向かった際、子供がいるにもかかわらず雄達が再度母親を追尾。母親は激しい追尾に耐えられなくなり、飛び立つ形となりました。6羽の雛は池の淵に取り残される形となりました。しばらく親が戻ってこないことから、子供達は池の中で泳いでいた他の家族に合流。合流先の家族(1日前に地上階へ下りていた)は母鴨を含め、見た限りでは拒否している様子はありませんでした。数分後、追尾を逃れた母親が地上階へ戻るとまた雄が追尾を継続、池の中に居る雛達に近づくことは出来ませんでした。母親が子供達の居る池へ近づこうとしようも雄が邪魔する形となり、それがほぼ夕方まで続く形となりました。その間母親は6階の巣に戻り子供が居ないことを確かめたり、地上階や6階から子供に呼びかけるなどの行動を続けていました。目線は定まっていなかった為、他の家族に合流した雛達が自分の子供であるという認識をしているかは不明です。しかしながら母親が鳴くと子供の何匹かが反応している様子が伺えましたが子供達はその家族についていくことと、餌を食べることに夢中になっていましたので母親を探す様子は見受けられませんでした。夕方になると雄の攻撃も弱まり、母親は何とか池に入ることが出来ましたが、母親自身、自分の子供が居る家族に近づくことはせず、子供達も合流先の家族から離れて母親に近づくことはありませんでした。声は聞こえるものの、どこに母親が居るのかが分からなかったのかも知れません。また、時間が経過するにつれ、どれが母親か分からなくなってしまったのかも知れません。(学術的には間違った想像かも知れませんが。)その間、母親は6階の巣に戻る等の行動を引き続き繰り返し、子供を懸命に捜している様子でした。他の家族に合流していることを知っているかは分かりませんでした。ただひたすら探している様子が見られました。そうしているうちに日没を迎えましたが、母親は最後の最後まで声を出して子供達を捜している様子でした。今夜子供達が暖かく暮らしているかが心配です。合流先の家族は全13羽になったはずですが正確には不明です。今日は以上です。家族としてはかなり残念な結果となりましたが、子供達が生きていることが何よりの救いです。進展があり次第、また報告をさせて頂きます。ありがとうございました。

<追記>
追尾の件ですが、池の中で暮らす鴨は野中様の一家ともう1つの家族で、種類としては野中様の写真の様に黒い色をしています。我が家の鴨は色が薄く(別途ブログ投稿用のアドレス宛てに写真を添付します)素人目にも見た目がかなり違います。追尾もしていましたが、雄が池の中に我が家の鴨を入れない様にも見えました。難しいところです。種類の違いについて写真をご覧頂き何か分かるようであればコメントをお願いいたします。

<質問>
よく、鳥は初めて見た動くものを母親と認識すると言いますが、この場合子供達が元の母親に戻る可能性はあるのでしょうか?状況詳細が不明な中、難しい質問となり申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。

【A】回答者:鈴木係長

こんにちは。斎藤さん。
詳しい経過と写真をありがとうございます。
そして、結果としてお力になれなかったことを本当に申し訳なく思っております。

写真を拝見したところ、斎藤さん宅の鴨は間違いなくマガモであると思われます。
野中さん宅の鴨もマガモ(亜種などもあるようなので)と思っていましたがどうやら違うようで調べてはいるのですが勉強不足で申し訳ありません。
正直なところ現段階では種類は判りかねます。
(図々しいお願いですが雄も2種居るはずなので雄の写真があれば種類を判別しやすいのですが・・)

他の鴨の一家と合流したとのことですが写真を見たところ近い種類の鴨でもありますし、雛の孵化日数も近いので母鴨の拒否がなければ大丈夫かと思います。
ただ、他の鴨一家に受け入れられると元の母親に戻るのは難しいかもしれません。

確かに『鳥は初めて見た動くものを母親と認識する』といわれますが、これは限られた種類の鳥のことであり、鴨は私の育すうの経験から人には多少なれますが親と思うことはないようです。ちなみに雁などは(種類によりますが)人に付きやすいようです。

野生下のマガモは10数羽の雛が孵りますが、捕食者に捕らえられたり、病気、気候などによって成鳥になれるのはそのわずかです。
厳しく、悲しい話ですが捕食者もまた生きるために捕らえなければなりません。それが野生の姿とその厳しさなのだと私は思います。
その中でも斎藤さん、野中さん宅から巣立った雛達が少しでも多く元気に成長してくれることを心から祈っています。
今回は、お力になれず本当に申し訳ありませんでした。
私も雛達が心配ですので、また何かありましたらご相談ください。



グレービーシマウマ

2008年05月04日 | 草食係
【Q】質問者:「てつ」さん

こんにちは!いつも丁寧に答えてくださってとてもうれしいです!!
さて、今日も質問があります。そちらには、絶滅危惧種のグレビーシマウマがいますよね?姫路セントラルパークではそのグレビーシマウマがたくさん産まれていると聞きました。「たくさん」と聞きましたが、数では何頭生まれたのでしょうか?また現在は何頭ほど飼育していますか?また生年月日や名前、性別をおしえてくれるとうれしいです。
いつもこのような個体情報の質問ばかりですみません。大変だとは思いますが、よろしくお願いします。

【A】回答者:栗田飼育員

てつさん、こんにちは。私は担当の栗田と申します。
早速質問についてですが、当園では、グレービーシマウマは、1986年に飼育を開始し、5頭繁殖があります。現在は♂3頭を所有しているのですが、当園で飼育しているのは2頭です。

・ケンイチ:1989年9月8日伊豆バイオパーク生まれ。2004年11月22日当園搬入。
・アンディ:2001年6月13日富山市ファミリーパーク生まれ。2004年11月30日当園搬入。
の2頭を現在当園が飼育しています。残りの♂1頭は、

・モモタロウ:2003年6月16日京都市動物園生まれ。2004年11月22日当園搬入。2005年11月16日ブリーディングローンにて、横浜市立野毛山動物園に貸し出し中。

ブリーディングローンとは、繁殖の為の動物の貸し借りのことであり、貸し出し期間や、生まれた仔の所有権、等の詳細事項を事前に取り決めて契約が交わされます。