この図書館をおとずれることは私のながらくの念願だった。伊万里市民図書館。15年前に市民と行政がちからをあわせてつくりあげた図書館だ。院生@福岡時代にもそのうわさをきいていたが、その後埼玉にうつりすんでからも、埼玉で活発に活動していた図書館市民の会のグループの伊万里視察記にうなづかされたり、いつもその存在感を感じていた。
伊万里は佐賀県だけれど、西部に属し、福岡からはちと遠く感じる。今年から社会教育主事講習の現地研修先を事前に訪問することにした。6か所、平日に福岡・佐賀・長崎・大分とまわっていくのは、実はちょっぴり大変。でも私を後押ししたのは、こうでもしないと無精な私が、今激しく動いている自治体の現場をフラットにまわり、実感していくチャンスはないだろうと思ったから。
で、第一回目にあたる訪問地のひとつが伊万里市だったのだ。生涯学習課とのうちあわせを済ませた私は、同行いただいていた県教育委員会のセキさんに「ぜひ、図書館いきましょー」と嘆願して、たちよることにした。
アポなし訪問なるも、ちょうど会議からもどってみえた館長さんがでてきてくださった。さらにラッキーなのは、この館長さん、15年前のたちあげ時の当事者で、行政職をめぐりながらふたたび最近戻ってこられた方だったこと。おかげでこの図書館をつくりあげたときの思いを重ねながら、館内の主な場所を案内していただくことができた。(が、40分くらいかけていただいても、おそらくいいたいことの半分もいいえなかっただろう…という雰囲気。まさに物語にみちた図書館だった。)
この図書館をどう表現したらいいだろう。空間的にいえば、大きな平屋建ての図書館で、館長が「フィンガープラン」と表現される、四方八方に指のように空間がいくつもつきでる形になっている。管理しようとおもうならこれほど面倒なつくりはない。しかしこの図書館は「誰にも居場所がある空間」「一人でいられる(管理されない)空間」を提供することを目標に設計されているのだという。しかもそれが和室タイプから子どもコーナーのかわいいおひとりさま空間まで、個人の嗜好がさまざまなように、空間もまた多様に用意されている。200席はそういう個人スペースにあてられていて、およそこれだけ用意すれば満席になることはないのだという。
そしてその図書館のまんなかには、「いすの木」といわれる大きなシンボルツリーと、グランドピアノがある。「いすの木合唱団」という図書館利用者による合唱グループまでできてしまったらしい。さらには、サークルがつかえる会議室や和室も、150人収容のホールも完備されている。
「個人スペースOK」(ふつうは、たとえば受験勉強する学生が排除されるのが図書館。)「シンボルツリー」(まるでコミュニティの中心のような…)「ピアノ」(えっ?静寂が図書館のうりでは?)…とくると、これが本当に図書館?っていいたくなるよね。「図書館は本を読みに行くところ」という概念を圧倒的にうちくだく、まさに市民の居場所としての図書館なのだ。(つづく)
伊万里は佐賀県だけれど、西部に属し、福岡からはちと遠く感じる。今年から社会教育主事講習の現地研修先を事前に訪問することにした。6か所、平日に福岡・佐賀・長崎・大分とまわっていくのは、実はちょっぴり大変。でも私を後押ししたのは、こうでもしないと無精な私が、今激しく動いている自治体の現場をフラットにまわり、実感していくチャンスはないだろうと思ったから。
で、第一回目にあたる訪問地のひとつが伊万里市だったのだ。生涯学習課とのうちあわせを済ませた私は、同行いただいていた県教育委員会のセキさんに「ぜひ、図書館いきましょー」と嘆願して、たちよることにした。
アポなし訪問なるも、ちょうど会議からもどってみえた館長さんがでてきてくださった。さらにラッキーなのは、この館長さん、15年前のたちあげ時の当事者で、行政職をめぐりながらふたたび最近戻ってこられた方だったこと。おかげでこの図書館をつくりあげたときの思いを重ねながら、館内の主な場所を案内していただくことができた。(が、40分くらいかけていただいても、おそらくいいたいことの半分もいいえなかっただろう…という雰囲気。まさに物語にみちた図書館だった。)
この図書館をどう表現したらいいだろう。空間的にいえば、大きな平屋建ての図書館で、館長が「フィンガープラン」と表現される、四方八方に指のように空間がいくつもつきでる形になっている。管理しようとおもうならこれほど面倒なつくりはない。しかしこの図書館は「誰にも居場所がある空間」「一人でいられる(管理されない)空間」を提供することを目標に設計されているのだという。しかもそれが和室タイプから子どもコーナーのかわいいおひとりさま空間まで、個人の嗜好がさまざまなように、空間もまた多様に用意されている。200席はそういう個人スペースにあてられていて、およそこれだけ用意すれば満席になることはないのだという。
そしてその図書館のまんなかには、「いすの木」といわれる大きなシンボルツリーと、グランドピアノがある。「いすの木合唱団」という図書館利用者による合唱グループまでできてしまったらしい。さらには、サークルがつかえる会議室や和室も、150人収容のホールも完備されている。
「個人スペースOK」(ふつうは、たとえば受験勉強する学生が排除されるのが図書館。)「シンボルツリー」(まるでコミュニティの中心のような…)「ピアノ」(えっ?静寂が図書館のうりでは?)…とくると、これが本当に図書館?っていいたくなるよね。「図書館は本を読みに行くところ」という概念を圧倒的にうちくだく、まさに市民の居場所としての図書館なのだ。(つづく)