ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

フィリピン養護隊員とティーム・ティーチング

2012年01月11日 20時15分37秒 | 青年海外協力隊たちの活動

 

22年度1次隊の青年海外協力隊員約400名のうち、
同じ福島の二本松訓練所で派遣前訓練を受けた仲間は約200名。
その1人、フィリピンで活動する同期隊員がコンケンにやってきた。
    


彼女は、フィリピンの島にある 私と同じ養護隊員。
訓練所では、語学の学習が日々の主な日課ではあったけれど、
職種別に分かれて勉強する機会もあり、同じ養護隊員の彼女ともよく話をした。
久々の再会。
     (→ 過去ブログ「ラオス隊員コンケン来訪」   「フィリピン同期隊員 コンケン来訪」



うれしかったのは、まず、タイに来る目的の一番は、
私の活動する第9特別教育センターを見ること、私の活動を見ること、
といってくれたこと。
その言葉は本当に本当に真実だと思った。
彼女は一人でやってきたし、
タイ入国後一目散にコンケンに来る計画を立てていた。
彼女の本気っぷりが分かる。




そして、もう一つ、
私が何か活動を一緒にしたいと伝えると、自分もそのつもりだったと
2人の意思が共通していたこと。
事前に活動を考えてくれていて、
「こういうゲームはどうかな」と、布や新聞紙など、学習材を用意して持って来てくれた。
布は彼女が同僚に頼んで、フィリピンの町の手工芸工場からわけてもらってきたたもの。
考えてくれてたんだ、と本気が伝わる。
     


「しっぽとりゲーム、こうやってしっぽをつけるの。
第9特別教育センターの子どもたちにもできるかな。」、と、
夜には2人で打ち合わせ。 
T・T(ティームティーチング:複数の教員がチームを組んで授業すること)が
できている、と実感できて、すごくうれしいし、打ち合わせも楽しい。
ずっと一人でやってきたことが、二人でできる。
それも、意思の疎通ができて思いが通じ合える相手はそうそういない。
「ほらほら、こうやってしっぽにするの。」
      


協力隊員でも
魅力的なタイ王国に観光に行きたい、買い物に行きたい、マッサージに行きたい、
という人はたくさんいるが、こうやって本気で私の活動を見たい
関わりたいと思ってくれるそんな仲間がいることがうれしい。





配属先、第9特別教育センター、自閉症クラスで
彼女が持って来てくれた学習材「しっぽとりゲーム」をコンケン風に
「恐竜のしっぽとりゲーム」にして、やってみる。
朝からいつも一人でやっている紙芝居づくりも、いわずとも手伝ってくれて・・・
かゆいところに手の届く気配りがありがたい。
     


しっぽに見立てた布をズボンに挟み、追いかけあって、しっぽを取り合う。
とられないように気をつけながら逃げ、そうしながらも誰かのしっぽを奪う
という、注意力、目視力、思考力、集団の中に属して一緒に楽しめる力
いろんな力が必要になる、それを楽しみながらやれるゲーム。
私と彼女でまずやってみせると、それだけで大うけ。  
子どもも楽しんだけれど、それ以上に保護者が楽しんでしっぽを追いかけっこ。
   



次に「新聞紙のりゲーム。」
音楽にあわせて体を動かし、音楽が止まったら新聞の上に乗り、
保護者は子どもを抱っこ、みんなで5つ数える。
回数を繰り返すごとに、新聞紙を小さくたたんでいき、
新聞紙の上に乗るのが難しくなっていくというゲーム。
      

親子で抱きしめあって抱っこのスキンシップが楽しんでできるし、
数を数えたり、バランスを保ったり、これもいい学習ができるゲーム。
これも、私と彼女でまずやってみせると、踊りでも抱っこでも大うけ。
おじいちゃんに抱っこされ、お母さんに抱っこされ、先生に抱っこされ。
   



どちらも、優勝者には手作りのメダルを彼女から渡してもらい、
興奮の中でゲーム終了。
みんなすでにちょっと疲れてはいたけれど、この際と思って
「ダイノーサオモーング!」までやって楽しいことの連続。 (→過去ブログ 「感動したダイノーサオモーング!」)  
短い時間にてんこ盛りだったので、子どもたちも慣れた頃に終わってしまった。
だから、これを明日もまたできたらなと思う。
      

「フィリピンからきたこの先生が考えてくれました。」
保護者たちも「ほほお~」とうなずきながら
「楽しかった!」といい顔。



子どもたちのこと、保護者のこと、子どもたちとの活動のことを
同じ教員同士で話せることが、本当に久しぶりのことで、
準備から活動まで、全てが充実した時間で私も楽しく、心強かった。

彼女は活動中も子どもたちや保護者の様子をよく見ていて、
活動中にも気がついたことを伝えてくれる。
そんな話が活動中にできて、活動中にどんどん改善していけるのも嬉しいし、
彼女の言葉がタイの先生達に敬意をはらったものであるのも嬉しかった。
     


このセンターに彼女が来てくれたことは、このセンターの先生達にとっても、
「日本の教師同士2人集まればこういうことをやるんだ。」
「先生2人でメインとサブになり、同時に子どもたちを見るんだ。」
と驚きがあったに違いないと思う。
なにより、私たちが大事にしたのは子どもが楽しめること。
だから、先生達が
「子どもたちが笑っている。」
というところで、驚いてくれていたら嬉しい。

ゲーム中、先生達も一緒に笑っていたし、子どもたちが楽しむ様子を
カメラを取り出し写真に撮っていた。
その写真が、やった誰活動として誰の手柄になるのかは私の知るところではないけれど、
きっと、驚いたからカメラを取り出したに違いないのだから、それだけでも
やった甲斐があったと思っている。
     


彼女の本気のセンター訪問は、
「さちえの友達が遊びに来た」
以上のものとして、センターの人たちに感じ取ってもらえたと思うし、
私もずっとずっとやりたかった T・Tができたことに加え、
刺激と意欲をもらった。
来てくれて、本当にありがとう。
     



活動に関すること以外にも、うれしかったことがある。
タイの人たち、タイの食べもの、全てを好きだと受けとってくれたこと。
彼女はなんでも美味しいといって食べたし、イサーンのソムタムもネームもタイのお菓子も
全部美味しいといってくれた。
      
そのたびに、タイの人たちはすごく喜ぶ。
自分の好きなものを好きといってくれたら、ものすごく嬉しいもの。
おいしいと思うものを、一緒においしいと感じてくれたら嬉しいもの。
だから、私はタイで何でも好きになりたかった。
実際に苦労することなく、何でも好きだった。
タイの人たちはそれをすごく喜んでくれたけれど、その気持ちが彼女の
「おいしい!」「これ好き!」の言葉を通して私も分かる。
     


彼女のメモ帳には、私と会うまでにすでにいくつもタイ語のメモがあった。
自分からタイ語を使ってタイ人と話そうとしていたし、
わからなくても、相手のいっていることを口に出してよく繰り返していた。
よく人を見て、タイ語が分からなくてもその雰囲気から状況を
理解しようとしていたし、だからほとんどの内容を理解していた。
ホント、大事なのは言葉そのものじゃないな、心だな、
言葉は意思伝達のための1つの手段に過ぎないな、とまた彼女を見て思う。
      


サイバーツも絶対やりたいの!といってくれる気持ちがうれしくて、
朝はタイのスカートを巻いて一緒にサイバーツをした。
「朝からこんなことができるなんて、こんな気持ちになれるなんていいね。 
 それにこうして朝の時間をナムプリック屋のお父さんたちと過ごして
 話ができることにも大きな意味があるね。」
という彼女は何でも分かってくれている。
     



私のブログもよく見てくれている人だから、センターの中の掲示物でも
「これ、ブログで見てた! だから見たかったの!」
と喜んで、興味深げにしげしげと見つめ、写真に撮る。
理解者がいるって、なんてありがたいことだろう。
そして、来てくれるなんて。
   



彼女がタイで驚いたことはなにか尋ねてみた。
食文化の豊かさ、人々の優しさ、笑顔、
高級車や新車に乗る人々が多いこと、
人を受け入れることが上手で慣れていること、
しんがしっかりしていること、
私の配属先の先生達から感じるプライド。
私の配属先の教材の豊富さ、先生達の知識、
すでにあらゆるものが十分そろっていること。

なるほど、なるほど、と思う。



同じ協力隊同士、フィリピン事情、タイ事情を言わずとも分かるところもたくさんあり、
予定が変更になっても、当日その時間になるまで先が読めなくても
互いにそんなもんだと思っている。
お互いに、そうそう、わかるかわかる、こういう感じだよね ふふふ、と
特に説明しなくても自然と受け入れているところがたくさんある。
そもそも、彼女が来タイするまでに互いの忙しさやネット事情により、
なかなか連絡ができなかったが、互いにやきもきもしていない。
自然で、互いの生活に負担も無理もなく常に心地よかった。


何でも認めて、「そうそう、そうよ、それでいいのよ」
と肯定する彼女の姿勢にも、教師としても人間としても
尊敬すべきところがたくさんあった。
       


国を超えて、一緒に活動できたこと。
任期の最後に うれしかった。

いい、仲間をもったものだ。
この協力隊生活で得たものは大きいぞ。











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