ブリットの休日

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和田竜『村上海賊の娘』あらすじと感想

2018年04月21日 | 小説・雑誌


 平成26年度の吉川英治文学新人賞に本屋大賞も受賞し、累計200万部を突破した大ベストセラー、和田竜の『村上海賊の娘』を読む。

文庫本で全4巻だったけど、あっという間に読み切ってしまった。

 時代小説は好きで読むんだけど、村上海賊といってもあんまりなじみもなく、海賊王の娘として暴れまわった女性がいたなんて全く知らなかった。

実際には本の中でも説明してあるけど、家系図の中に村上武吉の娘であろう「女」とただ一文字あったことから、創作されたらしいんだけど、まあ面白いところに目を付けたなあ。

この一点でベストセラー間違いなしといったところか。

ゲームの世界でもお市の方が女武将になって、殺人鬼のごとく斬りまくってるもんね。

 物語は能島村上の姫である響が、偶然海の上で本願寺の門徒である百姓たちを助けたことで、本願寺と信長が激突した木津川合戦に巻き込まれるっていう話なんだけど、まあ読んでる間、字を読んでるんだけど漫画でも読んでるような錯覚を感じながら、スラスラと読み進めれた。

とにかくその情景がリアルに浮かんだくるような、生き生きとした描写が素晴らしく、合戦シーンとかまるで映画を観てるような鮮やかさで再現されている。

さらに青い海の上に浮かぶ船から聞こえてくる波の音から、海賊たちの雄叫びや、剣と剣がぶつかり合う音までもが聞こえてくるよう臨場感。

とにかく文体がエンターテイメントに溢れている。

そしてさらに登場人物がいいんだなあ。

男が男に惚れるような荒々しい魅力をまき散らす真鍋七五三兵衛をはじめとして、出てくる男どものなんと勇ましくも可愛らしいことか。

「信長公記」やらいろんな文献から、響を除くすべてが実在の人物であり、まあそれぞれの人物の設定は作者の独壇場で盛り付けられているものなんだけど、その強烈な個性はどれも痛快だ。

一方そんな男たちの中に一人、紅一点として放り込まれた姫はというと、やっぱり無理があるんだよねえ。

まあ強いっちゃあ強いんだろうけど、猛烈に嘘くさく、さらに我がまま放題に育てられたお姫様の、無邪気というか空気を読めない天然ぶりは、残念ながらまったく共感できなかった。

そんな無理をねじ込んでいるので、内容としては読みやすくて面白いんだけど、時代小説としてはほぼ漫画レベルであり、あくまでもフィクションとして読むものかなあ。

あと読んでる間中、これなんで映画化されないんだろうかっていう、心の叫びが止まらなかった。

今のところ予定もないみたいなんだけど、キャスティングを考えるだけでワクワクしてしまう。

調べたら同じようにキャスティングを妄想してる人たちがたくさんいて笑ってしまった。

村上響には杏さんやら綾瀬はるかさんの名前が挙がってるんだね。

私も響や七五三兵衛とか誰にしようかいろいろ考えたんだけど、やっぱり難しいねえ。

でも一人だけ浮かんだ人物がいる。琴姫。この人物は黒木華さんで決まり!どうでしょ?


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