どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設19年目を疾走中。

ポエム262 『モグラは太陽を見たか』

2020-03-27 00:45:37 | ポエム

 

     モグラ

   (ウェブ無料画像)より

 

キミを見なくなって何年になるかな

3・11の頃はどうだったかな

地面が割れてあわてて飛び出したのかな

ゴウゴウという音とともに流されたのかな

 

地震や台風など自然災害は何度もあったけど

キミたちは有史以来もぐったままだ

たまに飛び出すときは非常時だ

でっかい鼻とグローブのような手がビックラコン

 

そういえばキミは大食漢だそうだね

自分の体重の半分ぐらいは食べないと

一日を過ごせないそうじゃないか

12時間モノを食べないとご臨終らしいね

 

キミの主食はいったい何なんだね

地中に住むミミズやケラなど昆虫たちか

庭や畑や野原を縦横に掘って

エサを食べ土中の貯蔵庫に保管するんだってね

 

目も耳も退化してしまったのに

キミの鼻先にはアイマー器官がある

これがあるからエサ探しには不自由しない

先端科学も及ばない精密センサーは万端かい

 

ところでキミは最近太陽を見たか

視力はかすかに光を感じる程度と言われるが

破れたトンネルからひょっこり顔を出し

ギラギラと輝く太陽に出遭ったことがあるか

 

そうか キミは図らずも太陽を見たんだな

たちまち死んでしまうはずだがそれは嘘か

人間が作ったデマほどか弱くはないが

地中にいるのが一番心地いいんだな

 

ラーよ 古代よ コロナよ

フレアよ 太陽風よ 黒点よ

有史以来もぐったままのモグラを驚かせるな

未知の刺客を送って隠れ家を暴くことを封印しろ

 

 

 

 

 

 


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