写真:「東京都における単身世帯、単身比率」
中野区の個人情報保護審議会(第11期)が先週末(6月22日)で事実上終了となりました。2年間その会長を務めてきただけに感慨深いものがあります。
そのなかで特に印象深い事例のあったのは、孤独死をめぐる個人情報保護のあり方についてでした。孤独死。無縁社会といわれる中での悲惨な現象です。数日前の新聞にも死後、幾日もして発見された夫婦の記事が載っていました。
こうした事件を避けるべく、中野区が「地域支え合い」事業を始め、町会・自治会に高齢者への見守りをお願いしようとする条例を全国に先駆けて制定ましたした。昨23年のことです。
しかしこの条例化の際のネックが他ならぬ個人情報保護という壁でした。個々の高齢者状況を町会・自治会といったところに提供してよいのか。この諮問が私たち個人情報保護審に投げ掛けられたのです。
個人情報保護は絶対的なものではない。孤独死は命に関わる問題だ。住民サービスとのバランスの中で、むしろ個人情報は活用されることがあってよい。そう考えた審議会は町会・自治会への情報提供を認める答申を出しました。
個人情報至上主義が蔓延する昨今の社会風潮の中で、私たちは正しい判断をしたものと強く思っています。