嶋津隆文オフィシャルブログ

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当節、霞が関の諸兄には同情します

2009年11月07日 | Weblog

 

読売新聞が興味ある連載をしています。読まれている人も多いことでしょう、一面での「民主イズム」です。今は新政権と「官」との軋みを取り上げています。毎回読んでいて、民主党の「つまみ食い」方針に振り回される霞が関の諸兄に同情を禁じえません。

“脱官僚”を声高に叫ぶ民主党の、役人に対する公約にはこうあります。
「定年まで働ける環境をつくり、天下りのあっせんは全面的に禁止する」
「総人件費の2割を削減する」

確かに幾つもの天下りや渡り歩く度の高額退職金の話を聞くのは不愉快です。役人という職を選んだということは、カネ儲けでなく、清貧でも社会に貢献する人生を選択したということなのですから。その点で今の国の役人制度には改革の余地がいっぱいあります。又この問題を放置してきた自民党の不作為も明らかに犯罪的です。

しかし定年前の肩たたきで退職するのは毎年4000人。この人たちを定年まで雇用するとしたら、その国費は膨大です。また就くべきポストもなく、腐ってしまう役人が山ほど出てきます。現に政治主導という掛け声の下で、政策立案にも関与できなくなり、もうやる仕事なんかないよと霞が関の友人は意気消沈しています。

こんな無駄なことはありません。無駄を省くんだと叫ぶ民主党が、その一方で官僚の能力を次々に生ゴミとして捨てているのですから、こんな無駄はないのです。ゴミ扱いをされるとしたら早晩国の役人希望は減り、また現職も辞めて他に行くことでしょう。そうした場合にこの役人たちはどこへいくのでしょう。ちょっと考えてみます。

1番に選択するのは政治家になることでしょうか。イジメられるばかりならイジメる側に回ろうと思うのは当然で、しかしこれには民主党が困惑するでしょう。2番には地方公務員になるという選択です。が、地方自治体もそこでの秩序があり一方的な天下りは拒絶します。3番は大学の教員という選択です。しかしこれは、ただでさえオーバードクターで苦しむ若い学究者の労働マーケットをさらに奪う点で問題となります。

かように新政権のやり方は、全体のバランスを考えず一面だけで突き進む、たいへん危ういものだと心配します。いわんや先日の、“脱”官僚の掛け声の下、“過去”官僚の亀井さんが大蔵次官だった齋藤さんを郵政社長に据える人事などをみると、その身勝手さには開いた口がふさがらないというものです。これにはさすがの霞が関の後輩諸兄も焦っていて、かえって霞が関全体への反感が高まりはしないかと嘆いているようです。

 


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