黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

池島炭鉱 #11 進化する池島炭鉱

2012-06-19 17:59:52 | 池島炭鉱
先日ワンダーJAPAN TVのロケで行った池島炭鉱。
常に進化し続ける池島炭鉱の現在をリポート。

最初に池島を訪れた時には選炭工場を中心に見学させて頂きました。
2回目に訪れた時は海面下約300m位まで潜り、
また稼働中の坑外施設などを見学。
そして一般見学の最初は、模擬坑道を中心にした見学。
一般見学の2回目は、ボタ坑道や旧竪坑近くの施設で、
採炭のしくみを聞くようなコースでした。
これまでの池島リポートは以前の記事をご覧下さい。
しかし今回訪れてみると、見学コースはかなり充実していました。
進化した池島炭鉱の体感見学をご覧下さい。

池島炭鉱

まずはトロッコの試乗です。
見学用に安全面等を改造した人車ですが、
坑外からボタ坑道へ入る人車体験は、
臨場感があります。





池島炭鉱

坑道内も、かなりいろいろな所を巡ります。
画像は、坑内換気用の扇風機付きダクト。
坑道内の説明の多くは、万全の安全対策あれこれ。
どれだけ坑道内の安全を確保するかが、
炭鉱にとって最重要課題かがわかります。





池島炭鉱

稼働していた時に、実際に人が昇り降りしていた、
斜坑 (斜めの坑道) のトンネルを坑道内から見上げます。
遠くにトロッコの出口がかすかに見えます。





池島炭鉱

坑道内に残るボタ・ホッパー。
選炭工場で排出されたボタが落ちてくる場所は、
今回初めて見せてもらいました。
2基あり、その大きさはかなりのものです。

その他、
石炭を採掘するドラムカッターの掘削模擬運転や、
穿孔機を使ってのハッパ用穿孔体験など、
様々な炭鉱体験が出来ます。





池島炭鉱

坑外へ出たら、島の一番奥にある、
かつての事務所棟へ向かいます。
事務所棟では炭鉱マンが待機した繰込所の他、
ヘッドランプを管理している安全灯室も訪れます。
天井灯を消した後の、充電中のヘッドランプの灯りは、
幻想的でもあり、命綱の重みを感じます。





池島炭鉱

かつて使われていた事務所も訪れます。
事務所の横には中央監視室がありますが、
コンピュータも設備も時代を感じるもので、
レトロ・フューチャー映画のワンシーンのようですね。





池島炭鉱

現在、一般公開に向けて準備中、
ということで見せて頂いた鉱員風呂。
かなり大きな規模の浴槽が2基あります。
浴槽もいくつにも分かれていますが、
端島炭鉱の鉱員風呂のように、
炭で真っ黒な浴槽はなかったそうです。





池島炭鉱

第二竪坑の捲座 (捲き上げ機室) も今後公開の予定だそうです。
池島炭鉱の第二竪坑のケージは、
井戸釣瓶のような構造のケーペ式です。





池島炭鉱

捲き揚げの操舵室。
2基のケージを操作する左右のレバーを支える、
木製のカバーが、いい雰囲気を出しています。





池島炭鉱

壁に並べられた巨大なレンチ。
いったい何に使うかと言うと、





池島炭鉱

巨大な捲上機を支える、
巨大なナットを止めるためのレンチでした。
レンチをはめ込んで、鉄のハンマーで、
ガンガン締めまくるそうです。





池島炭鉱

室内の隅には時の止まったカレンダーがありました。
2001年11月、池島炭鉱の閉山の時です。




池島炭鉱

かつて訪れた選炭工場は、
現在では錆び付きが進行していて、
見学コースに組み込むのは難しいらしいですが、
選炭工場を含めた坑外施設は、
是非見学出来る様にして欲しいと思います。

池島炭鉱を訪れると、
地底産業がどれだけ命の保全に細心の注意を払っているかが、
ひしひしと伝わって来ます。

池島炭鉱には今も、
炭鉱マンの魂が生き生きと残っているのを、
痛烈に感じます。

■シリーズ:池島炭鉱■
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2010年12月17日発売のワンダーJAPANvol.14号に、
池島炭鉱が特集されています。



blogにアップしていない、
選炭工場の詳細や住宅街の様子が掲載されています。
特に選炭工場は、一般では入る事の出来ない場所で、
採掘された石炭が製品になるまでの行程を伝える、
貴重な遺産だと思うので、
興味のある方は是非ご覧ください。


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2 Comments

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Unknown (terashima)
2012-07-04 00:08:34
7年前の夏、一人で池島に行き、島唯一の旅館に泊まって島内を散策したことを思い出します。
帰りたい、という思いは日増しに強くなります。長崎に・・・・。

今年から離島勤務になりました。
やっぱり「島」に縁があるようです。
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▼terashimaさんへ (KLO@廃墟徒然草)
2012-07-06 02:51:11
おひさしぶりでございます!ご無沙汰しております。
7年前と言えばもう閉山後で、研修を行っていた時ですね。
唯一の旅館は「美松」でしょうか?
あっ、その時期でしたら福家旅館ですね。
今月もまた、池島へ参ります。
変化する池島をまたリポートさせて頂きます。
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